2.同窓会から始まるドラクエライフ
リオさんがドラクエ10のプレイを始めたきっかけは、小学校の同窓会だった。
同窓会が開催されると決まると、小学校時代仲の良かった友人から一緒に行こうと誘いがあった。
一緒に行くといっても、会が始まる2時間ほど前に会場近くの喫茶店に集まりおしゃべりをしてから移動するだけである。
しかし久しぶりに会う友人との会話は何事にも代えがたい。リオさんは同窓会の日を楽しみにしていた。
友人と共に昔の思い出をふりかえることができるだろうか。
だが、喫茶店で待ち合わせた友人は席に着くなりこんなことを言い出した。
「リオ、あなたドラクエやってないの?」
この日、人の口からドラクエという単語を15年ぶりに聞いた。
何のことかわからないので友人に訊ねると、数ヶ月前にドラクエ10というゲームが発売されたらしく、ゲーム好きのリオならプレイしているのではないか?と思って聞いたのだという。
小学校時代の友人にとって、リオさんはドラクエをプレイしていたイメージが強かったのだ。
そういえば同じクラスの女の子たちとドラクエ3~5を遊んでいたっけ。
リオさんがこの日一番に思い出した小学校の記憶はドラクエのことだった。
友人はドラクエ10というゲームがどれほど面白いかを熱く語り始めた。
リオさんも結婚をして家に入ってから暇を感じるようになっていたので、話を聞いていると久々にゲームをやるのもいいかな?と少し興味が出てきた。
しかしドラクエ10がオンラインゲームだと聞き、途端にやる気がなくなった。
リオさんの中に、他人が操作するキャラクターと冒険するオンラインゲームに抵抗があったのだ。
その不安を口に出すと、待ってましたとばかりに友人の弁に力が入った。
発売日に買って現在プレイ中の友人は、ドラクエ10が持つネットゲームならでは魅力的な事柄を並べ、冒険するアストルティアという世界がプレイヤー同士の挨拶と思いやりにあふれた場所であると熱弁をふるった。
翌日、リオさんとご主人が住む部屋のTV前には新品のWiiとドラクエ10が置かれていた。
「友達の巧みな話術にまんまと乗ってしまった感じですよね。(笑)
その子は同窓会が終わったあとの二次会でもドラクエ10をしきりに勧めてきたんです。
翌日には買ってしまいましたよ。」
しかしリオさんが本格的にドラクエ10を始めるまでもうしばらく時間が必要になる。
オフラインモードをクリアしたところで止めていたからである。
自分には合わないかもと思ったのが理由だった。
※オフラインモード
ドラクエ10でオンラインの世界に旅立つ前にプレイするモード。
物語の導入部分と旅の目的、と簡単な操作方法を知ることができる。
オフラインモード自体は2~3時間ほどで楽にクリアできるボリューム。
「決してつまらないわけじゃないんです。でもドラクエ10をやってみて、すごく疲れたんですね。
画面が綺麗すぎて操作にも慣れませんでした。
私が最後にプレイしたドラクエが5、最後に遊んだゲーム機がスーパーファミコンなんです。
それから20年ぶりくらいにゲームをしたものですから、何から何まで変わっていて、ついていけなかったんですよね。
あれは今考えると3D酔いみたいなものだったんじゃないかと思っています。」
ドラクエ10に疲れてしまったリオさんは、オンラインに旅立つことなく、それから2週間ほどドラクエ10をプレイしなかった。
リオさんの冒険が再び動き始めたのは、2012年のクリスマスの頃だった。
「クリスマスの何日か前に友達から電話があったんです。
みんなでクリスマスパーティーでもやるのかな?と思ったら、
『リオ、ちゃんと(ドラクエ)やってるの?早くアストルティアにおいでよ!』
というんです。最初は何のことかわかりませんでしたね。(笑)
あまりにも友達が一緒に冒険しようと言うものですから、ようやくオンラインモードを始めてみようかなと思ったんです。」
こうして、1万時間におよぶリオさんのドラクエ10生活が幕を開けることになった。