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チョビの冒険  作者: M38
7/7

7話

「うわああああっ! 死ぬちょび! この世の終わりだちょびいいいい!」

「うわあっ! なにごとだあっ!」


 あたりにはモウモウと噴煙が立ち上っている!


「どうしたんだ!」

「何事だあっ!」


 城の中から、ワラワラと大勢の人間が出てきた!

 無理もない。あの大爆発だ。チョビの師匠も、王子やファンスたちと一緒にやってきた。

 槍を持った衛兵たちが、爆発物を一斉に取り囲む。

 

 煙が消えてなくなったチョビたちの目の前、噴水のあった場所に大きなUFOが着陸していた!


「ええええっ! なんだこりゃちょび! 未知との遭遇だちょびー! 心の準備が出来てないよー!」

「落ち着け、チョビ殿。かれらはおれと同じ四つんばい動物だ。チョビ殿も四つんばいになって……」


 ケンシロウがアドバイスをはじめた。映画の見過ぎだちょび。


 そのとき、UFOの底がパカッと開いた! 中から明るい光が洩れ出た!


「グレイだな。何体いるんだ?」

 

 チョビの隣に師匠が立った。魔法の杖で身構えている。


「セバスチャン……火星人だろ? たこだろ? いきなり襲ってきたらどうしよう!」

「王子! そんなの絵本の中の作り話ですぞ。本物はプレアンデルセン星から飛来してくるヒューマノイド型です! パーフェクトヒューマンッ! イエーイ!」


 セバスチャンがかっこつけて小首を傾げる。


「あのじじい……師匠たちより最新情報に詳しいぞちょび。アイチューブの見すぎだちょび」


 UFOが発光しはじめた! 周り中が、白い光に包まれる!


「ま、まぶしい……!」

「目を開けていられない!」

「皆、油断するでないぞ!」

「いよいよだ、ちょび……」


 

 ピカアアアアーッ!


 

 UFOがヒトキワ大きく発光した! 

 皆が一瞬、目を瞑った!



「まぶしいちょびー!」



――目を開けたそのとき。



「会いたかった……チョビ」


 金色の髪をたなびかせた美しい女神が、虹色の衣を着て立っていた。

 大きなブルーの瞳は、チョビにそっくりだ!


「チョビのことを知っているのかちょび? もしや……母上さま?」

「そうですよ、チョビ……。大きくなったわね……」


 女神が両手を広げて微笑んでいる。


「母上……? うそ! ハハウエエエエーッ!」


 チョビはその胸に思いっ切り飛び込んだ! 


「母上! 母上! お会いしとうございましたああああ!」


 チョビは母の胸にすがり、思い切り息を吸い込んだ。これが母上の香り! チョビは感動の涙を流していた。母上もチョビを抱きしめながら、大粒の涙を流している。



 ワーッ! パチパチパチパチ。


 

 周りのギャラリーからも大きな拍手が向けられた。皆、もらい泣きしている。王子なんて大泣きだ。


「母上! なぜ、チョビをこの地球に?」

「チョビ……あなたに父上と過ごしてもらいたかったからです」

「父上? 父上が地球にいらっしゃるのですか? ヤッター! チョビの父上だから、ケンちゃんみたいに賢くて、ファンスみたいに勇気のある、剣の達人ですよねちょび?」

「……騎士キャラではなくてよ」

「ん? では……勇者! 憧れの、勇者殿ですか? どうりで今回、勇者にだけは会えないと思っていましたちょび!」

「ゆ、ゆうしゃではないわ……」

「そうですかちょび……賢者でしたか。チョビはそんなに頭が良くなくて……もしかして、母上に似たのかな? でも、賢者なら薬草の知識がありますね? 薬屋さんとして、ガッポガッポ儲けて、いまごろ大金持ちになってますよね!」


「チョット待ていいいいっ!」


 そのとき師匠がチョビの頭巾をガシッと掴み、自分の方にチョビの頭を向けさせた。


「今の話の流れから、当然! おれさまがおまえの父親だろうが! ワザと、はぐらかしやがって!」

「ええええっ! そうなのおおおお? いやだああああっ!」

「なに、頭を抱えてる! 賢くて勇気があって男前で……最高の男じゃんか!」

「自分で自分をリスペクトしてるよ……その時点でダメンズじゃん! はっ! でも、それが本当だとしたら……師匠はいままで、父親であることを隠して、チョビを育てていたのですかちょび?」

「いや……おれがおまえの父親であることは、いま初めて知った。初耳だ……ドロシー……君はどうして? あの事故で死んだとばかり……」


 師匠が女神に向き直り、話しかけた。2人はおれの目の前で手を取り合い、涙を零しはじめる。


「オズ……馬車ごと川に落ちたわたしは、親切なプレアンデルセン星人に助けられたの。でも、わたしの体はすでに死んでいたため、彼らの星に行くしかなかった。そこでチョビを産んだの。チョビは人間だったから、どうしても地球で育って欲しかった。あなたのそばで……」

「そうか……それでおれのきのこハウスの前に捨てられていたのか……そのまま放置しなくてよかった。何度、孤児院に連れて行こうと思ったことか……。その度に、金目のネックレスに目が眩んで捨てられなかったんだ。手元に置いといてよかった……まさか自分の子供だったとは……」


「師匠あらため父上の鬼畜ぶりが想像以上でドン引きだちょび。それにしても……あんたらオズの回し者ですか? ちなみにチョビの本当の名はトトですか?」

「よくわかったわね。チョビのセカンドネームはトトよ」

「母上……その名前……どっちにしてもいやだちょび」


「そうだな……女の子の名前じゃないよな」


 師匠が腕組をして渋い顔をしている。


「え? 女の子? チョビには女の兄妹がいるのかちょび?」

「いるわけないだろ? おれは浮気はしてないぞ!」

「だって今、女の子って……」


「そうよ。チョビは女の子よ。こんな、男のようなナリをして……」

「ええ! なんだってちょび! チョビは女の子だったかちょび!」


 チョビは自分の性別が違っていたのことに、びっくらこいてしまった!


「ああ、そうだ。おれが男として育てた。そのほうが利用価値があるからだ!」

「なんと! この男は本当に鬼だ! 父上! 今日限りでおいとまします! 母上とアンデルセンなんとかで食って寝て遊んでラクして暮らします! それじゃあ!」


「チョビ……それは出来ないのよ……」

「ええ! 母上! なんでちょび? 一緒に行きたいちょび!」

「あなたが金銀銅の3つの鍵を集めたから、わたしは自動的に呼び出されただけ。あなたは人間。死ぬまではこの地球に留まらないといけないのよ」

「そんなああああ……それに……いまさらどうでもいいけど、赤い鍵って銅だったの?」


「わかったかチョビ? 当分おれのところでタダ働きだ!」

「くっそう……がっかりだちょび」


「いいじゃないか、チョビ! 城にいつでも遊びに来いよ! おまえ、おれの従弟だったんだな!」


 王子が笑っている。


「はああああ……そうかちょび。こいつと親戚……待てよ! こいつのほうが大きいぞ! なんでだ?」

「チョビ……プレアンデルセン星では、妊娠期間がとても長くなるの。本来なら、チョビのほうが早く生まれて王子よりお兄さんだったはずなのよ」

「ということは……チョビのほうが王位継承権は上! なんと! 王権が狙える!」


「なんと……あのチョビがドロシー姫の隠し子だったとは……。このじいやの孫を王に据える野望が……。ダナンに頼んで、暗殺者を探してもらわねば……」

「セバスチャンが1番、恐い人物だったとは……身近な人間が1番の敵だとはこのことだちょび! これからは王族の一員として、チョビも気をつけねば!」


 それぞれが、それぞれの思惑の元に考えを巡らせていると、王と后がやってきた。お后さまは、チョビの母の姉にあたる。


「ドロシー……生きていてくれたのですね……よかった……」

「姉上……」

「ドロシー、あなたは、わたくしがオズに片想いをしていることを知り、2人が付き合っていることを言い出せなかったのですね」

「姉上さま……ごめんなさい。先にオズに目を付けていたのは、姉上さまのほうだったのに……」

「そんなこといいのよ……わたくしは単にイケメンに目がないだけ。アイドルに憧れる追っかけみたいなものよ。それよりも……チョビはあなたとオズの……。これからは、チョビを大切に見守っていくことにするわ」

「姉上……ありがとうございます。父上も母上も星に還られたのですね。お会いしとうございました……」

「最期まで、ドロシーを想って2人は亡くなりました。わたしがいるわ。いつでも還っていらっしゃい」

「姉上、ありがとうございます……わたしはそろそろ行かねばなりません。みなさん、チョビをよろしく御願い致します。オズ……愛しています」


「ドロシー! おれも死ぬまで愛してるー! 死んだら、チョビと一緒に必ず会いに行くから!」

「なんじゃとー! この父親は、子供を一緒にみちづれにして老衰で死ぬ気かよ! きのこハウスは早々に出たほうがいいな……」


 

 バッバッバッバッ! バアアアアーッ!



 UFOのエンジンがかかりはじめた。


「母上! 母上!」

「チョビ……元気でね。母はいつでもあなたを見守っています」


 母はチョビを地面に降ろすと、UFO内へと去っていった。


「母上……!」



 ガアアアアーッ!


 

 派手な音をさせて、UFOが浮上した!

 そのまま、空の彼方へと一気に消えていった。


 キラリッ!


 星のような輝きだけを残して。


「母上……行ってしまわれた……あっ! いつの間にか、首にペンダントが戻ってるちょび!」

「チョビ、ペンダントトップの星が、銀から金に変わっているぞ!」

「ほんとうだちょび! 母上さま……」


 こうしてチョビは本当の母親に会うことが出来た。ついでに本当の性別と本当の父親もわかった。



――そして。


「こらチョビ! ちゃんと水汲みをせんか!」

「だって……女の子はそんなことはしませんのよ? 父上!」

「なんだそりゃ? 気持ちの悪い言葉遣いはやめんか! 魔法でホウキに水汲みさせずに、ちゃんと自分でやりなさい! ファンタアジかおまえは! ミルキーマウスかってんだ!」

「ファンタいっとく?って……だったら、1度でいいからデンデランドへ連れていってくれちょびですわ!」

「まったくおまえは……」


「ヤーヤー、チョビ! 遊びに来てやったぞ! ファンスも一緒だ!」

「あ! 王子! 菓子は持ってきたのか? じゃなきゃ、きのこハウスに入れてやんないぞ!」

「もちろん、持って来た。ぶどうがあるぞ! 昨日、ケンちゃんが届けてくれたんだ」

「あいつもファンタアジのお仲間だったな……そういうことなら、どうぞちょび! ホウキの召使にお茶を入れさせてやるぞちょび!」


「こらチョビ! 魔法を無駄に使うでない!」


 そんなこんなで、チョビは今日もがんばっている。


 寂しくなるとペンダントを握りしめながら、遠いお空の星に叫んでみる。


「母上ー! 早く父上を迎えに来てちょびー! 修行が辛いちょびー!」


 チョビの修行はまだまだ続く。



(おわり)

 

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