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チョビの冒険  作者: M38
6/7

6話

「ではチョビ。おれたちは城に行くから」


 王子が偉そうにふんぞり返っている。どうせ手柄を独り占めにする気だろう。最期まで嫌なヤツだちょび。


「行ってらっしゃいちょび。チョビはケンちゃんと金の斧を換金して、何かウマイ物をたらふく食べるちょび」

「赤い鍵はチョビにやろう。なあに。いらない物だから構わないだろう。地図だけ持っていくぞ。貴重な古文書だからな」

「チョビはゴミ屋じゃないちょびよ。でも、いらないならもらっておく。これも換金できるやもしれんちょび。ネックレスのチェーンに通しておくちょび。これで、金の鍵と赤い鍵が集まったちょび」


「ブルータス、大人しくしていろよ! では、チョビ殿。さらばじゃ! 」

「あ! ファンス! いろいろどうもありがとうちょび! 女遊びもほどほどにするちょびよ!」


 王子たちは行ってしまった。


「ブルータスはなんでチョビたちより先に、あの大広間にたどり着けたんだちょび?」

「あいつはあの迷宮の地図を持っていたからな。王子を誘拐したあと、抜け道を通って大広間へ行ったのだろう。そのまま秘密の地下道を通って逃げるつもりだったに違いない」

「そうかちょび。危ないところだった。ケンちゃんの鋭い洞察力のお蔭だなちょび。ケンちゃんのお蔭で死なずにすんだちょび。あなたは命の恩人だ。どうもありがとうございました。この先ケンちゃんの悪い噂を耳にしたらは、すべて訂正しておきますちょび! それにしても……ここはどこだちょび?」

「城の中庭だろ? あそこに噴水がある。ちょっと手を洗って行こうぜ?」


 ケンシロウに誘われ、チョビは噴水に近づいた。


「ワー。すごくきれいな水ちょび。顔が映ってるちょび。あ! ほっぺたが汚れてる! たいまつのススが付いてるちょび」


 チョビは噴水で顔を洗った。



 バッシャーアアアアンッ!



「アアアアーッ! しまったああ!」


 大きな水音と共に、ケンシロウの叫び声が聞こえてきた!


「どうしたちょび!」

「金の斧を噴水に落としてしまった!」

「なんだ……拾えばいいちょびよ」

「なんだと? 見てみろ! この噴水はものすっごく! 深いぞ!」

「ええ! 噴水ってそんなに深いのー?」


 チョビは噴水の中を覗きこんだ。水の底が見えないぐらいの深さがある! 当然、金の斧など、どこにも見当たらない。


「どうするちょびー! 金がなくちゃ、おまんまにありつけないちょびよー! え~んっ!」

「チョビ……済まぬ」


 チョビが半泣きしていると、突然、水の中がボコボコと沸き立ちはじめた!

 


――そして。


 なんと! 噴水の中から女神が現れたのだ!

 頭に金のティアラを付け、たなびくブロンドに碧い瞳、白い衣を纏い金銀鉄の三本の斧を持っている。


「あー! 女神さま! ありがとうちょび!」

「そなたが落としたのは、どの斧ですか?」


 女神がニッコリと美しい笑顔をつくり、チョビに尋ねた。


「金! ゴールド! 黄金に輝く金の斧に間違いないちょびー!」


 チョビはすかさず答えた。


「どの斧じゃ?」

「金の斧だちょび」

「どれじゃ?」

「金の斧……」

「どの……」

「金……」


 女神は微笑み、そして。


「わらわは正直者だけが好きです……」


 そう言うと、噴水に消えていった。


 

 ブクブクブクブク。



――あとに残るは、水の泡のみ。



「ちょっと! 女神! どうぼう! 返せー! 戻せー!」


 チョビは噴水の脇に身を乗り出し、水の中へ向かって思いきり叫んだ!

 だが、何も起こらない!

 

「どうしたらいいんだちょび……」


 チョビは頭を抱えてしまった。


「チョビ殿……おれの鉄の斧を投げ入れてみましょうか?」


 ケンシロウがそう提案した。


「おお! ケンちゃん、グッドアイディーア! お願いします!」


 

 バッシャーアアアアンッ!



 ケンシロウが鉄の斧を噴水に投げ入れた。



 ブクブクブクブク。



 また、水面に泡が立ちはじめた!


「ヤッター! 今度こそ、金の斧を返してもらうぞ!」


 さきほどの女神が現れた。また、3本の斧を持っている。


「そなたが落としたのは、どの斧ですか?」


 女神がニッコリ笑って質問してきた。


「鉄の斧です」


 ケンシロウが答えた。


「あーっ! ケンちゃん! ダメだってば!」

「よろしい。鉄の斧を返してあげましょう。正直者は大好きです。褒美にこの銀の鍵をあげましょう! ごきげんよう!」


 女神は、ケンシロウの落とした鉄の斧と銀の鍵を噴水のへりに置くと、満面の笑みを称えながらブクブクと水の中へもどっていった。

 めでたし、めでたし。


「……じゃないだろちょびー! おのれー女神めっ! このパターンで皆から金目のモノを巻き上げているな! あんなの女神じゃない! 魔女だ! 悪魔の使い! 成敗してくれるわ! 水よ~、枯れろ~、ちょびちょび……」

「チョビ殿! 待て!」

「だって……」

「銀の鍵が手に入ったじゃないか? おれは元々、斧ではなく弓の使い手だ。この鉄の斧を売り、弓矢とチョビ殿には食べ物を買ってやろう。おれは食べなくても生きていける不死の身だ。金は要らない」

「ケンちゃん……なんて良いお人だちょび。そうですね……元々は金の斧はこの城の物。チョビは欲が深すぎましたちょび。反省するちょび。ケンちゃんは賢人だ! では、お言葉に甘えてケンちゃんの斧で食事をするちょび。この鍵はいつものようにチョビのチェーンに付けるちょび!」


 チョビは、噴水のヘリに置かれた銀の鍵を手に取り、自分のネックレスのコレクションに加えた。チェーンに銀の鍵を通したとたん! あれよあれよという間に、星型のペンダントトップが輝きはじめた!


「んっ? なんだこりゃ? 星が光り出したちょびー!」

「なに? どうしたんだ!」


――そして。


「ワアアアアッ!」

「助けてくれちょびーっ!」



 ヒューウウウウッ! ドッカアアアアーンンンンッ! グワッシャアアアアッ!


 

 空から何かが落ちてきて、チョビたちの前で大爆発を起こした!

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