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チョビの冒険  作者: M38
3/7

3話

 らせん階段を下り終わったチョビたちは、一旦、地面に座って休むことにした。あたりは暗闇だ。たいまつの灯りだけが頼りだ。


「おなかが空いたちょび。王子! なんか持ってないか、ちょび?」

「持ってるわけないだろ! おれは王子なんだぞ!」

「チョビ……おまえは子供だからな……ほれ、このキャンディーでも舐めていろ。今朝、女の家からシッケイしてきた。さあみんな、先を急ぐぞ!」


 ファンスがペロペロキャンディーを投げて寄こした。


「ありがと、ちょび!」

 

 キャンディーにはピンクの派手なリボンが巻いてあった。チョビはいいことを思い付いた。


「そうだちょび! このリボンを魔法でなが~くして糸巻き代わりにして、迷路に入っても迷わないようにするちょび! ぼくってあったまいい! それではさっそく……ちょびちょびちょび~!」


 ピンクのリボンが見る間になが~く伸びた。


「おお! すごいじゃんか、チョビ!」


 めずらしく王子に褒められた。うれしくないちょび。


「ナイスですね! さすが魔法使い! それでは、階段の手すりに繋ぎとめておきましょうね。これでヨシ! と。絶対にほどけない8の字結わきにしておきました」

「ありがとう。ファンスさん。あなた、すごく重宝しますね。賢者のような知恵をたくさんお持ちだちょび」

「お褒めに預かり光栄です」


「やっと仲間らしくなってきたな。サア! 先をいそごうぜ! 早くしないとおれたち餓死しちまうぜ! レッツゴー!」

「……って、やっぱり王子は先頭じゃないんですね? やれやれ……こんな王子の下で働いて大丈夫かな……」


「ファンス殿? あなたはそんなになんでも出来るのに、なんで流れ者なんですかちょび?」

「いやね……おれって見た目、色男じゃん? 中身もそうなんだけど……ついつい、女同士の諍いに巻き込まれてしまうんですよ。だから、同じ場所にいつまでもいると、大変な目に遭ってしまうんですよ、これが!」

「そうですかちょび。聴くんじゃなかった……相当、女にだらしない奴だなちょび」


 チョビたちは目の前にある1本道の通路へと入っていった。そこは目が回りそうなぐらいの細いグルグル道だった。


「ふえ~っ。さっきの階段と一緒で目が回るちょび。三半規管がやられたちょび~!」

「たしかに……これはきついですな。それに、ここは迷路というよりは迷宮ですな。分岐点がまったくない。チョビ殿のなが~いリボンは必要なかったですな」

「なんと! 無駄に魔法を使ってソンしたちょび! これなら地図なんかいらないですちょび!」

「ん! 人の気配がする! 2人とも、気をつけてください!」

「ええっ!」


「なんだ! ファンス、何がいる? ブルータスか? それとも……」


 王子がガタガタ震えはじめた。

 数メートル先の曲がり角が明るい。そこだけ少し広くなっているようだ。チラチラと影が動いて見える。敵はどうやら馬と人、1匹ずつらしい。


「チョビたちは下がって! しかし……どうやってこんな狭い迷宮に馬を連れて来たのやら」

「馬が階段を降りられたのかちょび?」

「たしかに……おや?」


 なんと曲がり角から、体が馬の大男が出てきた。手には両刃の斧を持っている。キョ、キョワイちょび!


「なにやつ! チョビ殿、わたしのうしろに!」


 ファンスが化け物に剣を構えた!


「ファンスさん、ありがとちょび! あれが怪物ケンシロウ……想像以上に恐いちょびー!」

 

 チョビはファンスのうしろでガタガタ震え出した! そのうしろで相変わらず王子も震えている。


 

 カツカツ、カツカツ。



 半馬半人の男が、ヒズメを鳴らしながら近づいてきた!


「アワワワワ、ワワワワ……」



 カツカツ、カツカツ。



 斧のヤイバが怪しく光る!


「ど、どうか、命だけは助けてくれちょびー!」

「おのれ、化け物! それ以上近づくな! このファンスさまが成敗してくれる!」

「ちょ、ちょっと! ファンスってば! 刺激すんなよ、ちょびー!」

「かくごー!」

 


 ズササアアアアーッ!



 チョビの制止も聴かず、剣を上段に構えたファンスが馬の化け物に飛びかかっていった!

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