表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作小説倶楽部 第12冊/2016年上半期(第67-72集)  作者: 自作小説倶楽部
第69集(2016年3月)/「龍」&「卒業旅行」
11/35

02 ぼうぼう 著  卒業旅行 『私の卒業旅行』

挿絵(By みてみん)

挿絵/深海様より御拝領


「お疲れ様でした」とガイドが言った。

 黙ってうなづく。

「希望の場所と時代を」私は笑う。

「注意事項は、起きた出来事、起きる出来事を改変できないことです、でしょ?」ガイドが苦笑した。

「はい、歴史は変えられませんから」

 そう答えると思ったよ、と私はうなづく。

 未来か過去か?

 ちょっと悩んだけど、私は答えた。

「ケネディ大統領暗殺の真実と、三億円事件の犯人の真相が知りたいな」

 ガイドは微笑んだ。

「ご自分の最期は、よろしいのですか?」

「そういう要望の方が多い?」

「お答えできかねます」ちょっと困った笑顔のガイドに私は笑いかけた

「自分に起こったことを見ても、結果ここにいるわけだしなぁ」

 家族への未練はある。あるからこそ、何もできない自分の人生を振り返る時空旅行に行くのは、ただつらいだけだろうと私は思った。

 私は車が停車してる停留所の地名を再度見つめた。

 〝三途の川の中停留所〟

「やっぱ、世界の謎解明旅行してから、あっち行きたいな」

「かしこまりました」

 未来は、見ない。それは、今の自分でも「if」の世界でしかない。もし、その時代に生きていたら、技術の進歩で、私はもっと長い期間、慣れ親しんでいた場所にいたかもしれない。そんな可能性を今更知ってもな、というのが私の結論だった。

「間もなく出発します。ご乗車ください」

 ガイドに促され、車に乗り込んだ。過去の真実を確かめる卒業旅行に出発する。そういう気持ちにさせてくれる別れをさせてくれた家族へ感謝している。

 さようなら。

「では出発します」

 私の人生の卒業旅行のための車が時空の狭間を走り出した。

     (おわり)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ