宣戦布告で溺愛上等
「好きだ」
突然、八識がそう言ってきた。
「……うん、…え、今さら?」
付き合って半年…仲がいいだけじゃない。喧嘩もしてきたし。
急にそう言われても。
「いや、なんか違くてさ、ステージが違ってきたんだよ。
前の『好き』を超えた感じなんだ。
好きからめちゃめちゃに好きって感じでさ。
百パーから百二十パーになったような、そんなん」
ソファに座って、二人で肩を寄せ合う。テレビはお笑い。
別世界みたいに、テレビの音を遠く感じる。
「まひろがすっげぇ好き。
…どーしよ、困る」
「あたしが困るよ、そんなの」
八識は頭を抱えて膝に埋める。
照れてるのだろうか。いまさら?
「別にいいじゃん。
あたしも好きだよ?」
「いやー……けっこうキツいよ。
もー、かなりわがままになるし。
まひろに毎日会いたくなっちゃうし、夜とか寝不足になっちゃうじゃん」
なんじゃそりゃ。
あたしは今度こそ笑った。
付き合いたて…いや片思いなら分かるけれど。
八識は真剣みたい。
あたしは可愛いと笑う。
どっちが乙女なんだか。
「じゃあますます困らせてやる」
得意気に言ってのけた。
顔を上げた乙女の八識に、キスをする。
「もっと夢中にしてやるか」
あたしの言葉に、今度は八識も笑った。
「……返り討ちにしてやんぜ」