ライトの貴族的生活2
貴族って、爵位って、やっこしいね。
まぁ、基本おさえておけばいいんだけどね。
調べると変に混ざってやっこい。
パーティと銘打っていても、いくつも種類がある。
ダンスパーティ、ティーパーティ、援助をしている者達の発表会、観劇、狩猟、武芸大会、オークション、会議、食事会、等々、上げていくと暇が開かないほど多種多様に渡る。
今日のパーティーはダンスパーティ、中でも夜会と呼ばれるものだ。
ダンスが得意なものは、舞踊と自身とパートナーを魅せつけ己の価値を周囲に問う。
話が得意なものは、ダンスをしている人たちやダンスの種類、出てきた料理の特産や更に珍しい珍味を紹介し、次の別のパーティへの布石をばらまく。
パーティ自体が苦手なものは、壁の花となり食事や飲み物を楽しむ。
夜会ということもあり、夜陰にまぎれて連れ立って用意されている別の部屋へとしけこむ男女などもいるが、今回はそういう輩は少ないであろう。
何しろ、大騎士ラインの次男が始めて参加する、ある意味お披露目の意味が強いパーティだからだ。
家格は低くとも、国の英雄、その血縁がどのような傑物なのか、もしくは唯の愚か者なのか、見定めておき、場合によっては手元に置きたいと考える者もいるのであろう。
彼等には、貴族の常識として次男ならば、手放すのも惜しくないであろうという考えもある。
ある意味、長男より注目されているのだ。
家格が低いから、早い目に会場に入ることもあり、誰がその大騎士の次男なのかをはっきりさせようと、御付の人らしき者達が先に会場に詰めている。
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「やあ、よく来てくれたね。
待ちわびていたよ。」
主催者であろう、すこしふくよかな白髪の中年という感じのおじさんが、ライト達の挨拶ににこやかに答える。
実際、開催したのはこのおじさんでも、注目される元はライト達で、その事をある種自慢に思っているようだ。
会場には、爵位持ちなどはまだ騎士爵持ち程度しかきておらず、後は先行して会場入りした御付の人達がいるだけで、こっそりとメモしたりわからない程度に観察したりしている。
「私達がここにいると、ほかの方々の挨拶が遅れてしまうので、そろそろ。」
「ああ、そこそこの飲み物食べ物は用意したつもりだ、存分に楽しんでくれたまえ。」
ラインは一声掛けて、二人をつれて奥に入っていき、ラインとライルはおそらく部下であろう騎士の正装をした男性と、大柄なドレス姿の女性の歓談に混ざっていく。
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ライトはというと、ボーイにお酒を頂いてその他大勢の中に混ざろうとしたところ、声をかけられる。
「久しぶりだな、元気にしていたか?」
声をかけた人物は、精悍な偉丈夫という感じの中年の男性、かつてヘルハウンドのメンバー入りの切欠になったマッシュ・ポトフトフだった。
おそらく、ライトのお披露目という話を聞いて、参加したのだろう。
「どうも、お久しぶりです。
ご無沙汰していてすいません。」
「いや、こちらも指名依頼をするといって、最初の頃の1~2回程度になってしまってすまないと思っている。
なかなか、外に出せるような依頼がなくてな。
商人でもないから、尚更だな。」
マッシュ・ポトフトフは、現在自分の任せられている区域の整備に忙しくしており、その中には危険を伴う者は少ない。
そういったものは、最初のほうに淘汰しており、後は職人の技術を持つ人間や単純な力仕事といった態々冒険者を雇ってやるような事は殆どない。
あったとしても、下水の化け物鼠退治程度で、この程度の依頼をライト達のパーティーにやらせるのは無駄が多すぎるというものだ。
「ところで、君は今後どうしたいと考えているんだ?
この間の大事件で、色々な問題や穴が出来ているはずだし、色々狙うなら今だと思うぞ?」
遠まわし・・・・・・というほどでもないが、ライトに貴族のポストを狙うなら今だという話を向けている。
ライトは家を継ぐ気はないだろうが、それと貴族にならないことはイコールではない。
確かに、自らの才覚で貴族への昇爵を目指すのなら、今は良い時期だといえる。
「いえ、僕程度の人間なら今の状態がベストでしょう。」
確かに良い時期だけど、騒動の根本がライト達にあることもあり、下手にこれ以上目立てばどこまでさぐられるか判ったものではない。
今はおとなしくしているときであり、別の顔を作るときであり、味方をつくるときでもあるのだ。
「そうか、ではまた機会があれば会おう。
もし困っていることがあれば、頼ってくれていい。
話くらいなら聞いてやれるからな。」
マッシュが離れると同時位のタイミングで、次々と男爵以上の方々が入ってきだしたようだ。
幾人かは、挨拶もそこそこに御付から話を聞いてライトのところにやってくる。
値踏みするような視線をかくしもせずに、ライトへと話しかける。
「いや~、ラインの息子さんですな。
かの我が国の誉れ、大騎士ライン様にはいつもお世話になっておりまして。
今後とも良しなに・・・・・・。」
「ご丁寧にどうも。
ラインの次男、ライトと申します。
カルディア男爵様、このたびは弟様のことは心中お察しします。
しかし、そちらに仕えているドラド様は御子息とともに国境付近で活躍していたそうで・・・・・・。」
カルディア男爵は値踏みする視線のまま、顔が固まってしまったようで、何も返せなく、顔色が紅く蒼くと色を変えて、次の言葉を発する事ができなくなっていた。
ちなみに、人を覚えられる人って凄いと思う。
まったく、名前と顔を覚えられない。
知り合い程度だと、一ヶ月会わなかったら、名前を言えずにそのまま話をしてしまうこともザラです。




