日記(ライト4)
ライトの日記回です。
SIDE ライト
195日目
明日は、いつの間にか定番になってしまった炊き出しの日だ。
元々は、我輩がいつ食料を売って貰えなくなっても日々の食料に困らないように、採取&狩りをして取得してきた食料を料理していたのをアルナに見つかったのが最初なのだが、結果として良い地盤固めの一環となっている。
ただ、配給するのも芸がないので皆と相談して割符制度にしている。
教会は配給だけでなく、奉仕活動もしているのでその手伝いをした報酬の一部としてみたのだ。
一時期、奉仕活動をしていた子供が襲われて割符を盗まれるという事もあったようだが、教会側からのはたらきかけで沈静化したようだ。
まあ、全員の顔や特徴は記憶しているので、我輩が居るときには実際割符など必要ないのだがな。
見たことのない顔があれば、注意する程度ですむようになっており、ときおり人材になりそうな奴もくるので重宝している事実もある。
流石に料理も狩りも採取もそこそこの腕になっているので、今では普通に買物をして炊き出し用のナベを
作っている。
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196日
今日は、意外な収穫があった。
我輩はスリにあったのだ。
そこそこ注意していたので、気付いてはいたのだが、思うことがありそのままスられてみる事にした結果、スリの技術を教えてもらえた。
しかも、こやつ小人族であった。
頭脳は大人、身体は子供とかレーベンが呟いていたが、まあ確かに納得できる容姿をしていたな。
それだけでも大収穫なのだが、以外にもこのエルミアラーザの街の裏社会を知ることができたのは、これは時期が来たとおもうべき事であろう。
そして、それは正解であった。
我輩は、おそらくこの日を生涯忘れないであろう。
初めてみる魔法装置というやつが、この街の裏の元締めの地下にあったのだ。
幻想魔獣の携帯結界を持っていったのは正解であったな。
あのままでは、レットが報告してこの国に接収されるのがオチであったことは想像に難くない。
この街の正確な地図だけでも相当価値があるのだが、それだけなら時間を掛ければ我輩でも作成できる。
しかし、あの装置は立体的に見ることができるし、他の街の地図もあったようだ。
簡単に調査したが、魔法板に記述した人間の足跡から地図を作りだすようになっているようだ。
ただ、稼動していた魔法板は今は見当たらないのが少々気になったが、基本的な利用方法は理解できたので問題ないであろう。
場合によっては、ルーシーにのみ相談したほうがよさそうだ。
落ち着いたら、この建物を購入する事を検討しよう。
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197日目
皆に相談してみたところ、あっさりと承諾してもらった。
レイブやレーベンの事情も大体知っていたという事はあるが、流石に少々拍子抜けした。
結果として、全員帰還、アルナのみ暫く昏倒状態と、なかなかに我輩にとって都合のよい展開になっているようだ。
ただ、レイブとアルナの出した結果にはあきれるしかないな。
レイブは、皆殺しにしてきたというし、アルナの担当場所は見事になにもなくなっている。
レーベンは内部告発、ルーシーは傀儡を使って富裕層を牽制していくということで、余程の人間でなければ手を出そうと考えないであろう。
ただ、レイブは暫く暇を出したほうがいいかもしれないな。
流石に、皆殺しとはいってもその場に居なかったものも居るだろうし、町人にも目撃例があるようだし。
・・・・・・仕方ない、親父殿に預けておくか。
治安維持を担っているものたちも、事件が多すぎて真相まで行き着くのは難しいだろうしな。
よし、カガミ店員に色々注意をお願いしておくことにしよう。
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198日目
レーベンが忙しそうにしているようだ。
確かに、『糧』と『竜の恋人』から人を引っ張れなくなっては色々と停滞することが起こるのだろう。
レイブとアルナの事もあるし、暫くはおとなしくしておくことにしよう。
後は『ボルボル商会』だけだが、ここは今は放置が一番よい。
たまに冷やかしで覗いて、疑心暗鬼を募らせていないか様子をみにいくことにしよう。
しかし、あのルーシーの用意した幾つかの魔法紙は大したものだな。
名前、もしくは手からの一定量の血液で発動する契約《呪い》とか、刺激で文面が変わるものとか今回は色々役にたった。
人形兵については、丈夫な紙が必要だっただけだから、そこまでややこしいものは要らなかったな。
後は、部分コピーとかも便利であった。
おかげで、偽鑑定書とかも作成できたからな。
全鑑定書を覚えていたらやっかいであったが、そういうこともなくスムーズにいってよかった。
今はなにより、レイブとアルナの対応と、あの屋敷を手に入れる算段を立てないとな。
次はレーベンの日記の予定です。




