北の森4
ちょっと短めです。
鬱蒼と茂る森林に5人と一匹は分け入っていた。
獣道に手を入れて、人が通れるようにした道で、道なき道を行くよりはまだ安全だろう。
自然そのままの森に入るのはとても危険なので、獣道などを通るのが無難といえる。
獣の種類によっては、崖に向かったりしているので、通る獣をしっかり見極めなければいけないのだが、この道は元々"北の森の魔女"の住む家につなげられている道として教えてもらっている。
しかし、数ヶ月単位で使われていないことや、アンデット・ゴブリンが沸いて出ていた事から安全とは言いがたい。
そんな中、ライト、ルーシー、ハウル、レーベン、アルナ、レイブの順で進んでいく。
本来なら、野伏せがいればいいのだが、彼等にそれらに精通した者はいない。
ルーシーが前にいるのは、単純に以前通ったことがあるので、道が変わっていたりしたら指摘するように二番目についている。
「足跡は、ゴブリンのものと思われるものが多数。
数が多いことや、一定方向に歩いていないから、アンデット・ゴブリンだと思うよ。」
ライトが地面を調べて、皆に報告する。
「相変わらず、多才だな。
狩人にもなれるんじゃないか?」
「いや、僕のはやっぱり中途半端だからね。
熟練の者がいれば任せたほうがいいだろう。」
ライトは何気なく熟練の者と言っており、自らの技量が駆け出しの狩人より役に立つことを言っている。
その言葉に、嘘も偽りも自慢気な様子すらなく、当たり前の事を当たり前のこととして話している感じだ。
実際に、その筋の人がみても、十分通用するレベルであろうと見て取れた事は間違いない。
ライトが時々地面を調べつつ、順調に進んでいくと、少し開けたところにでる。
木々で隠されていた空が見え、ちょっとした草叢・・・・・・というには、少々草が繁りすぎてやはり視界はよろしくないのだが。
-ゴス、バキ、パコーン-
いくつかの気配と音があるが、普通に生物を殴ったような音と、妙に乾いた音が聞こえてくる。
「あ、おとーちゃんとおかーちゃんのゴーレムだねー。
多分、ウッドゴーレムを放ってアンデット・ゴブリンを村にこないようにしてるんだとおもうよー。」
音が近づいてくると、ルーシーの言ったとおり、黒い色になったアンデット・ゴブリンとウッドゴーレムが戦っている。
ギルドの古参として、やるべきことはきちんとやっているところは流石だ。
「しかし、ウッドゴーレムってそんなに役に立ったっけ?」
レーベンの疑問は、ウッドゴーレムの姿をみて解消される。
進む度に会うゴーレム、どれ一つとっても、人型のゴーレムが居ないのだ。
ゴーレムは通常人型、魔法の無人兵器として運用されていたのだが、純粋に戦闘のみに特化するのなら人型であるのはかえって不利になる。
蛇型は障害物を気にせずに進む為。
肉食獣型は、すばやく蹂躙する為。
他にも、単純な円形や円柱のゴーレムも居る。
しかし、ゴーレムとアンデット・ゴブリンの戦闘区域を抜けたところには、一つだけ人型のゴーレムが居た。
周囲の木を切って、削ってつなげて、新たな木型を作り出している。
「生産用ゴーレムさんとー、襲撃用ゴーレムさんのー、連携プレーだね。
ゴーレムの核は、あの人型さんがー、沢山もってるみたいだしー。」
それだと、人型ゴーレムが倒されればおしまいという気もしないでもないが、きっと何らかの対処をしているのだろうと結論付けて、全員はさらに進む。
幸い、道が切れることも、枝分かれすることもなく、無事に北の森の魔女の住処にまで辿りついた。
そこは木々が伐採されて場所が広げられており、その木で作成したのであろう木造で出来た、一般の家よりちょっと大きめの小屋があった。
そして、その入り口には、武装して見張りとして"緑色"のちゃんとした緑子鬼が立っていた。
『すまない、そこの小屋は北の森の魔女の住処で間違いないかな?』
ライトは、他の者には判らない言葉で緑小鬼に話しかける。
日記にもあったように、彼はゴブリン語を流暢に話すことができるのだが、今回初めて他のメンバーは知ったらしく、少々驚いている。
しかし、驚きつつも緑小鬼という魔物が居るので油断する事無く、ライトのフォローに入れるように内心準備していると、緑小鬼からの返答がある前に、小屋の中から"ガタンッ!"という音が聞こえてきた。
ライトは、雑用みたいに見えるけど、リーダーです。
一番印象が薄く感じるのは、仕方ないかも。
一芸に秀でてるほうが、インパクト強いからと、納得させてる今日この頃。




