表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

パワフルチャイルド

作者: ヤマコー

けっこう前に書いた小説です。

 ここに来てから5年になった。今日から中学3年生での2学期が始まる。

学校までの道を中本彰は少しうれしそうに歩いていた。

天然パーマで身長は少し低め、少し筋肉質な体形である。

彰はここに来る前は友達がいなかった。だから、友達がいる学校に行くのが楽しみでしょうがなかった。

友達がいなかった理由は自分でもわかっていた。

彰は、道に落ちていた手のひらくらいの石を拾って、少し強く握った。

そうすると、石は粉々に砕けた。理由はこれだ。

普通の人の力の何倍も強いこの力だった。。

だから、彰は今の学校では本当のことを隠していた。


 彰は教室に着き、右隣の席の女子に話しかけられた。

「中本君。おはよう。」

「おはよ。」

名前は平野由香。身長は彰とほぼ同じ。少しほっそりとした体で、ポニーテールが特徴である。

「中本君、休みの間どこか行った?」

行くわけがない。どこかに行けば、人に迷惑をかけるかもしれないからだ。

「いや。どこにも行ってない。」

「どこも行ってないとか悲しいやつだな。」

と後ろから声がした。振り向くと、宮崎和紀が立っていた。

身長は彰よりも高く、坊主頭の男子だ。彰は和紀の方を向いて言った。

「別にいいだろ。どこにも行かなくても。」

「まあ、いいけどさ。でも、休みの間何してたんだ?」

「家の手伝い。」

そういうと、和紀が笑い出した。

「和紀。何に笑ってんだよ?」

「だって、彰が手伝いって似合わなさすぎじゃん。」

「お前…。」

彰が言い返そうとした時、平野さんが先に言い返した。

「その言い方はないでしょ。中本君すごいよ。ふつうしないもん。」

「由香。そいつ褒めても何もでないよ。それにただのバカだし。」

とまた後ろから声がした。振り向くと、ロングヘアーの女子が平野さんの机に座っていた。

佐々木彩花だ。身長は彰より低く、よく腕を組んでいて、気の強い女子だ。

ちなみに、佐々木とはこっちに来てからずっと同じクラスである。

てゆーかこいつらは後ろから話すのがすきなのだろうか?

「だってすごいじゃん。」

「うーん、まあ。でも、こいつは褒めたくない。」

彰は佐々木にすぐに言った。

「褒めたくないってひどいだろ。たまには褒めようぜ。」

「うざくなりそうだから嫌。」

「ならねえよ。」

「ほら、なった。」

「これでかよ。」

「お前ら本当に仲良いな。」

和紀が笑いながら言った。彰と佐々木は声をそろえて言った。

「仲良くない!!」

平野さんはそれを見て苦笑していた。

いつも通りの風景だった。彰はこの時はこれからもこんな日常が続くと思っていた。


 キーンコーンカーンコーン

下校時間だ。ほとんどの人は部活だが、もちろん彰は帰宅部だ。

「じゃあな、彰。」

「おう。」

「バイバイ。由香。」

「バイバイ。」

軽いあいさつをして和紀と佐々木は教室を出て行った。

和紀は坊主頭のくせに卓球部だ。佐々木は似合いそうにない吹奏楽部だ。

そして、平野さんは彰と同じ帰宅部。だから、最近はよく二人で帰っている。

二人で帰り、途中にある彰の家で別れた。

彰は家の鍵を開けようとした。

「あれ?開いてる…。」

何でだ?と思いながら中に入ると、彰を少し大きくしたような男が座っていた。

「何してんだよ。兄貴。」

「ん?おう、おかえり。」

「ただいま……。じゃなくて、仕事は?兄貴が働かないと、生活出来ないんだぞ。」

「ああ、今日は休みだから。」

「なら、いいや。」

兄貴の名前は中本俊。家族は彰と兄貴だけだ。

親はある事情でもうこの世にはいない。兄貴が突然話しかけてきた。

「彰。学校は楽しいか?」

「まあ、楽しいかな。」

「そうか。もう5年前見たいにはなるなよ。」

彰は一瞬5年前のある出来事を思い出した。しかし、それを振り払い、一言言った。

「わかってる。」


 それから一週間後、彰はいつも通り平野さんといっしょに帰っていた。

学校から10分ほど歩いた場所にある人通りの少ない抜け道を歩いていた。

歩いていると、5人ほどのガラの悪そうな男たちが歩いてきた。そして、言った。

「そこのお二人さん。ここは俺たちの縄張りなんだよ。入ってこないでくれるかな。」

平野さんが少し震えながら、

「私たち知りませんでした。」

「じゃあ、金おいてけ。そしたら、帰してやる。」

平野さんが財布を取り出そうとしたとき、彰はそれを止めた。

「平野さん。こんなやつらに渡さなくてもいい。」

「てめー。どういう意味だ。ぶん殴ってやる。」

彰は殴られた。彰はやり返そうとしたが、平野さんがいることを思い出し、やり返せずに殴られ続けた。

だが、彰は我慢の限界だった。

彰は悲鳴を上げている平野さんに

「学校に戻って、先生を呼んできてくれ。」

と頼んだ。平野さんはわかったと答えて、走っていった。

「お前、ボコボコにされてもいいのかよ。」

その瞬間、彰は一人の男の拳を止めた。

「ボコボコにされるだろうな。お前らが。」

そう言って、掴んだ男を殴った。男は飛んでいき、ピクッとしか動かなくなった。

彰は他の男たちにも一発ずつ殴った。最後の一人のとき、

「ば、化け物。」

と言われたので、思い切り殴った。

彰は平野さんを待たずに、家に向かって歩いていった。

その時、さっき言われたことが脳裏によぎった。

化け物。


その次の日、由香は左隣の席を見た。誰もいない。

授業が始まっているのに、中本君が学校に来ないのだ。

昨日、先生を呼んできてみたら、中本君の姿はなかった。かわりに、怖い人たちが倒れていた。

何があったのかよくわからないから、今日中本君に聞こうと思っていたのに…。

由香は彩花に聞いた。

「中本君、どうしたのかな。」

「あいつ、休んだことなかったから、よくわからない。」

「中本君って今まで休んだことなかったの?」

「うん。風邪とかは全然ならないらしいし、サボるようなやつでもないからさ。」

すると、宮崎君が話に入ってきた。

「彰のことだから、心配することないだろ。」

由香はうんと答えたが、それでも中本君が心配だった。

しかし、由香は中本君が来ることを信じることにした。

そんな由香の気持ちとは裏腹に中本君は次の日も、その次の日も来なかった。

そして、中本君が来ないまま1週間が経った。

由香はまた彩花と宮崎君に何で来ないのかを相談した。彩花が先に口を開いた。

「あいつがここまで来ないなんてね。何かあったのかも。」

すると、宮崎君が提案してきた。

「じゃあさ、彰の家に行ってみたらいいんじゃない?」

由香は少し困ったような表情をして言った。

「でも、いないかもしれないし。」

「けど、わからない以上行ってみるしかないよ。僕は部活で行けないけど…。」

続いて、彩花も言った。

「あたしも部活。だからさ、由香が行ってあいつを引っ張り出してきて。」

「……うん、わかった。」

由香は自信がなかったけど、中本君に来てほしいという気持ちの方が強かった。

放課後、由香は早足で中本君の家に向かった。


 彰は考え事をしていた。内容はもちろん自分のことだ。

この1週間毎日考えていた。自分はみんなといても良いのかと。

答えはやはり出ない。どうするべきかわからない。その時、

ピンポーン、ピンポーン

インターホンが鳴った。誰かと思いながら、玄関に向かった。

「はい。」

「…久しぶり、中本君。」

「…え?平野、さん?」

扉を開けると、平野さん立っていた。彰はとりあえず平野さんを中に入れた。

二人が向かい合って座ると、彰が聞いた。

「で、どうしたの?」

平野さんはわかりづらいが、怒ったような表情をしながら言った。

「どうしたの?じゃないでしょ。何で中本君学校に来ないの?」

「それは……。」

「何かあったの?1週間前に。」

「今は言えない。」

嘘も思いつかなかった。

「…いつでも言ってね。聞くから。」

「ありがとう。」

「けど、学校は来ようよ。みんな心配してるし。」

「行けたら行く。」

曖昧な返事しか出来なかった。

「…じゃあ、私帰るね。」

「あ、うん。」

彰は玄関まで平野さんを見送った。

平野さんが帰ってから彰はまた少し考えた。

みんなは普通の人間、自分は普通じゃない。化け物だ。

一緒にいてもいいのだろうか?


 次の日、今日も中本君は学校に来ない。隣にいる彩花が話しかけてきた。

「由香が言ってもあいつは来ないのか。そしたら、打つ手なしかな。」

「たぶん来てくれるよ。」

「まあ、待つしかないか。」

「私、後で電話してみる。」

昼休みの時間、由香は1階のちょうど校門が見えるところに来ていた。

そして、少し深呼吸をしてから電話を取り出した。


プルルルルルル、プルルルルルル

電話が鳴った。誰だ?今日は兄貴も休みだから電話が鳴ることはないはずなのに。

彰は無視は出来ず、電話に出た。

「もしもし。」

「……。」

無言電話か?と思ったが、もう一度言った。

「もしもし?」

「…中本君?」

平野さんの声だった。

「うん。」

「学校来ないの?」

「……。」

これ以上迷惑もかけられない。

平野さんに真実を話すべきじゃないのか?

そうすれば、平野さんは俺に近づかなくなる。そして、俺がここを離れれば良いんじゃないのか?

と彰は考えた。返事がなかなか返ってこないからか、平野さんが声をかけてきた。

「中本君?どうしたの?」

「平野さん。」

「何?」

「平野さん、俺は……。」

その時、

『この前のやつ、出てきやがれー。ボスが借りを返すってよ。』

と電話越しに聞こえてきた。そして、平野さんが少し震えた声で、言った、

「あ、あれは。」

「どうしたんだ、平野さん。」

「この前の怖い人たちが仲間を連れて、学校に来たの。」

「なんだって。」

「この前のやつって中本君のことじゃないの?」

「それは…。」

答えられないでいると、また電話越しに聞こえてきた。

『あと少し待ってやる。それでも出てこなかったら、ここにいる生徒を一人ずつ殴っていってやる。

さあ、出てくるしかないぞ。』

彰は平野さんに聞いた。

「先生は何してんだ?」

「先生たちは…さっき止めに入ったけど、殴られて保健室に運ばれた。」

平野さんは続けて言った。

「中本君、あの人たちが言ってるのが中本君なら、今すぐ来てよ。」

「…わかった。」

「待ってるから。」

プツッ、プー、プー、プー

だが、彰は動こうとしなかった。行けば確実にばれるからだ。

さっきは一度言おうとした。けどそれは、言う相手が平野さんただ一人だったからだ。

行けば学校の全員が知ることになる。それは恐かった。

そこへ兄貴の俊がやってきて、彰に聞いてきた。

「今の電話誰からだ?」

彰は兄貴の質問には答えず、相談してみることにした。。

彰は兄貴に今の電話のことを話した。そして、どうするべきか聞いた。

兄貴はうーんとうなってから言った。

「よし、彰。学校に行って助けて来い。」

「でも、それじゃあ。」

「彰、お前は学校のみんなを助けたくないのか?狙いはお前だろ。お前が行かないといけないんだ。

お前しか助けられるやつはいないんだ。行け、彰。」

「……わかったよ、兄貴。俺が助けに行く。たとえ、その後に何があっても。」

「解決法は暴力だけじゃないぞ。わかってるな?」

「うん。じゃあ、行ってくる。」

彰は私服のまま家を飛び出し、走って学校に向かった。


 いつもは10分くらいかけて歩いている道なのに、走って2分ほどで学校の近くに来た。

すると、この前のやつの声が聞こえてきた。

「ボス。もう来ないんじゃないですか?この学校の生徒を殴り始めましょう。」

彰は校門を通りながら大声で叫んだ。

「待て。俺はここだ。」

そう言った瞬間、全員が彰の方に視線を向けた。大体この前のやつらの仲間は20人ほどいる。

そして、その中から一番えらそうなやつが話しかけてきた。

「お前か?強いっていうやつは?」

「それは知らないけど、そこのやつらを殴ったのは俺だ。」

その男はニヤリと笑い、言った。

「俺はこいつらのボスの鬼塚弘明だ。俺は、喧嘩で最強になろうと思っている。だから、強いやつを探して

勝つ。それを続けてきた。だから、強いお前待っていた。勝負しろ。ここの生徒に危害を加えたくなかったらな。」

だが、彰は闘おうとはしなかった。そのかわりに、彰は土下座をした。そして、言った。

「ここから去ってくれ。ここ以外の場所、誰もいない場所だったらいくらでも勝負してやる。

だから、去ってくれ。頼む。」

だが、そんな彰の頼みも鬼塚は聞かず、彰の腹を蹴って言った。

「そんな頼み聞くわけないだろ。勝負しないなら、ここの生徒を……。」

鬼塚が言い切る前に彰が言った。

「頼む…。」

鬼塚は舌打ちをしてからもう一度彰を蹴った。彰は自分を抑えて必死に耐えていた。その時

「中本君。」

と聞こえてきた。声のほうに振り向くと、彰たちの近くの廊下に平野さんが立っていた。

そして、鬼塚が他の仲間から鉄パイプをもらいながら言った。

「お前が勝負しないならあの女から傷付けてやるよ。」

「何をする気だ?」

「こうするんだよ。」

そういった瞬間鬼塚は鉄パイプを平野さんの方へ投げた。彰は平野さんに向かって叫んだ。

「平野さん、逃げろー。」

だが、遅かった。鉄パイプが窓ガラスを割ったところだった。

俺は助けられなかった。仲間を助けることが出来なかった。

彰はそう悔やんだ。その時

「彰ー。平野は無事だ。」

と聞こえた。彰が振り向くと、和紀と佐々木が平野さんを助けていた。

そして、平野さんは彰を見ると、微笑んだ。

だけど、平野さんはところどころにガラスで切った傷があった。

その傷を見た瞬間、彰は一瞬ある光景を見た。

ある女の子が傷だらけで倒れている光景だった。

それと同時に彰は鬼塚に怒りを覚えた。そして、彰は鬼塚に言った。

「許さない。俺の仲間を傷つけたお前だけは許さない。」

「何言ってんだ?悪いのはお前……。」

鬼塚が言い切る前に彰は地面を殴った。そして、地面に蜘蛛の巣のようなひびが入った。

彰は無言で鬼塚に向かっていった。鬼塚はびびったのか、自分は戦わず部下を全員出してきた。

そのうちの一人が鉄パイプで彰を殴ろうとしてきた。

彰はそれを素手で掴み、奪い取った。そして、鉄パイプを丸めて捨てた。

そして、それにびびった鬼塚以外のやつらを1発ずつ殴った。

全員が気絶し、残りは鬼塚のみとなった。鬼塚は彰に向かって走りながら言った。

「俺は最強なんだ。お前みたいなガキに負けるわけがないんだー。」

「鬼塚、お前が勝つことはない。なぜなら、俺はただの中学生じゃないからな。」

彰はそう言いながら、向かってきた鬼塚を殴った。鬼塚は吹っ飛びかけたが、彰が掴んだ。

そして、鬼塚の腹を蹴った。腹を押さえてうずくまっている鬼塚を見下ろしながら言った。

「今のは俺がやられた分だ。そして、これが平野さんがやられた分だ。」

言いながら彰は鬼塚を思い切り殴った。鬼塚はフェンスにたたきつけられ、動かなくなった。

彰は校舎のほうを見た。みんなが見てしまった。もう言い訳は出来ない。真実を話そう。

そう彰は考えた。彰は自分の教室に入った。もうみんな席に座っていた。

だが、彰が教室に入ると、ひそひそと話している声がした。

彰はそれを気にせず、教室全体に聞こえるように言った。

「みんな、聞いてくれ。俺の正体を言う。」

そう言ったら、教室は静かになった。

「俺はこの星の人間じゃない。要するに、宇宙人だ。パワフル星というところから来た。」

そこまで言ったら、和紀が聞いてきた。

「じゃあ、なんでここにいるんだよ。そこで何かあったのか?」

「うん。ちょっと長いが、俺の過去を話そう。」

彰は自分の過去を話し始めた。


 俺の名前は中本彰じゃなく、バンカーという名前だ。パワフル人はその名のとおり生まれつき地球人の何倍もの力というかパワーがある。

そして、俺はそのパワフル人の中でもずば抜けてパワーがあった。赤ん坊の時点で大人に近いパワーを持っていたらしい。

そして、俺は過去最強になれると言われていた。だが、その反面で危険ともされていた。

いくらパワーがあるといっても、まだ子供。まだ使いこなせない上に、怒りなどすればどうなるかわからないからだ。

だから、誰も近づこうとしなかった。家族でさえも。兄貴以外は。

もちろん学校でも一人、家でも一人だった。俺が話しかけても、何も言わずに、立ち去るだけだった。

だから、いつも自分の部屋で泣いてた。俺はただみんなと話したいだけなのに。笑いたいだけなのに。

といつも思っていた。そんな時、一人の女の子が話しかけてきた。カリンっていう名前の子だ。

背は低くて、おかっぱ頭の子だった。カリンも話す人がいなかったらしい。

理由は俺と逆。パワーが地球人並だったからだ。だから、いつもいじめられていたらしい。

そこで、パワーは最強で一人だった俺に話しかけたらしい。俺たちは友達になった。

初めての友達だった。だから、俺はカリンを守ると約束したんだ。

それから、いつも二人でいた。俺は笑ったことなんて1回もなかったのに、いつも笑っていた。 

そして、俺が10歳の時に一人の大人になるためのテストが行われた。

パワフル星では、10歳になったら普通はパワーを使いこなせるようになるので、それなりにパワー

があるかテストするんだ。だいたい合格できるのは20人ほど。

それ以外はまた5年間学校に通わなければならない。

もちろん、俺はトップで合格だった。だが、事件はその日の帰りに起きた。

カリンと一緒に帰っていたら、20人ほどの男子生徒たちが目の前に現れた。

全員テストに落ちたやつだった。何人かは俺がテストの実戦テストで蹴落としたやつらだった。

俺は自分が目的だと思ってカリンに離れとくように言った。それが間違いだった。

カリンが俺から離れた瞬間、男子生徒たちは一斉にカリンに向かって石を投げた。

パワフル人が投げた石だから、相当速かった。カリンはすべてに当たってしまい、傷だらけになって倒れた。

そして、その光景を見た俺はカリンを傷つけたやつらへの怒りとカリンを守れなかった自分に対して怒りを感じた。

俺は怒りに耐えられなくて、地面を思い切り殴った。周りの地面はほとんど割れた。後で聞いたが、半壊したらしい。

その後、俺はそのまま男子生徒全員を殴って吹っ飛ばした。

その数時間後に俺は国王に星を半壊させたことにより危険とみなされ、強制的に星から出て行かされた。

俺は大人とみなされていたから、言うことを聞くしかなかった。

そんな俺に心配だからと、兄貴もついてきてくれた。そして、着いた星がここだったんだ。


 彰は一息ついた。そして、これで終わりだと言った。彰はクラスのみんなに向かって言った。

「俺はもう学校には来れない。みんなに迷惑はかけられないから。」

そう言って彰は教室を出ようとした。すると、平野さんが

「待ってよ。中本君。」

と言った。だが、彰は止まらず、独り言のように小さく嘆いた。

「さよなら。」

彰は走って帰って行った。


その日の放課後、由香は彩花と宮崎君を呼んだ。そして、初めに口を開いた。

「2人とも、今から中本君のところに行かない?」

「なんで?」

と彩花が聞いてきた。それには、宮崎君が答えた。

「そりゃあ、あんな感じで出て行った彰が心配なんだろ。そうだよな?平野。」

「うん。それに昔、辛いことがあってその上全然友達もいなかったんだよ。私たちが中本君のそばにいてあげないと。」

それに2人とも納得して、3人は中本君の家に向かった。中本君がいると信じて。


 彰は考え事をしながら、荷造りをしていた。

少しでも早くここを離れなければならない。もうここの人たちには迷惑をかけられないから。

だけど、クラスのみんなの意見を聞かなくて良かったのだろうか。

平野さんは俺に待ってと言っていた。待つべきだったのだろうか。と考えていた。その時、

「彰ー。客だぞー。」

と兄貴に呼ばれた。玄関に向かうと、兄貴に一言言われた。

「がんばれよ。」

何のことかわからないまま外に出ると、和紀、佐々木そして平野さんが立っていた。

「な、なんで、お前らが?」

初めに和紀が口を開いた。

「なんでって。そりゃあ、彰を学校につれて来さすために決まってんだろ。てゆーか、勝手にどっかに行こうとしてんじゃねえよ。」

次に佐々木が不機嫌そうに言った。

「不服だけど、あんたがいないと張り合う相手がいないじゃない。面白くもないし、学校に来なさいよ!!」

彰は3人に向かって叫んだ。

「だから、俺はお前らとは違うんだよ。生まれた星も、持っている力も全部違うんだよ。」

「違う。」

平野さんが彰よりも大きな声で叫んだ。そして、彰に近づき、両手で彰の肩を掴んで言った。

「中本君。確かに生まれた星は違うよ。だけど、全部じゃない。中本君も私たちも同じクラスの仲間じゃない。だから、一緒にいたいの。

中本君にどんな力があっても、どんな過去があったとしても中本君は中本君でしょ。それは変わらない。だから、お願い。

中本君、戻ってきて。」

すると、彰の目から涙が零れ落ちた。そんなことを言ってくれる人は今までいなかったからだ。

どんな自分でも気にせずいてくれる人、そんな人が欲しかった。そして、それが目に前にいる。

うれしくて涙が止まらなかった。後ろから兄貴の声が聞こえた。

「彰。こんなにお前を必要としてくれる仲間がいるんだ。ここに残るべきだろ?」

彰は頷いた。そして、平野さんが手を差し出してきて言った。

「中本君。これからもよろしくね。」

「うん。」

二人は握手をして、笑いあった。


次の日、学校に通ってる生徒の中に彰の姿があった。教室に着くと、平野さんたちが話していた。

彰もその中に加わった。またこんな日常が戻ってきた。やっぱり、日常が1番だ。

日常があるから、人は笑っていられるのだから。

もう何も怖くはない。なぜなら、どんな自分でも一緒にいてくれる仲間がいるのだから。


短編小説の方も投稿していきたいと思っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ