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9/2024

三年後の未来

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。

 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。




「前回のあらすじ。未来の二人は未だ土手にいるのか、それとももう破局しているのか。気になった私たちは未来に行ってみることにしたのです」


「わあ酷い構成。ちょっといい加減すぎるんじゃないかな。タイムマシンとかタイムリープとか、最小限のギミックがあるべきなんじゃないかな」


「細かいこと言わないでください。元よりこんなセリフだけの手抜き作品にそんなディテールを求めている人なんていないんです」


「それ自分で言ってて悲しくならないか?」


「ナンヤカンヤで三年後の未来です」


「なんかそういう名前の乗り物で来たみたいに言うなよ。過去に戻るときもナンヤカンヤ?」


「戻るときはドウニカコウニカです」


「なんでちょっと苦労してる感じなんだ」


「過去に戻るほうが大変なんですいろいろと。それよりほら、ちゃんといますよ二人とも」


「あ、ホントだ。なんかホッとしたよ。三年後も今と変わってないってなんかいいよね」


「それは人によりますけどね」


「さりげなく毒を吐かないで」


「この位置からだと背中しか見えませんね」


「でもさすがに前に回り込んで見るのはまずいでしょ」


「変装すれば大丈夫ですよ」


「軽く言うけども」


「グリーンベレーごっこをするふりをして匍匐前進で回り込みましょう」


「たまに君の頭の中を覗いてみたくなるときがあるよ。どんな発想だ」


「仕方ないですね。このサングラスを掛けましょう。ついでにアゴをシャクっておけば完璧です」


「確かにバレなさそうだけど……笑うよ」


「お互いの顔はあまり見ないようにしましょう。さあ行きますよ、匍匐前進で」


「その必要はない」


「――さて、真っ正面まで来てみたわけですが」


「うわぁ、ホントに自分がもう一人いる。鏡で見るのとは違って怖いな」


「でもあなた、思ったより老けて見えますね。ヒゲのせいですか」


「うっさい。君はちょっと太ってるんじゃないか?」


「……いえ、あれは太ってるんじゃないと思います」


「いや、太ってるよ。お腹回りとか見ればわかるだろ」


「……そうですね。きっと太ってるんです。それか食べ過ぎです。そうに違いありません」


「あれ? 否定しないなんて珍しいね。どうしたの?」


「わざと言ってるとしたら殴りますよ。あと今あまりこっちを見ないでください」


「え、なんで赤くなるの? サングラスにシャクれ顔で赤面ってグハッ」


「早く過去に帰りましょう」


「……うん」




 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。

 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。

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