シンクロ
「あの、電気消してください。あんまり見られたくないんです」
「顔真っ赤だよ」
「……私だって恥ずかしいときくらいありますって。普段はあんな感じでも、一応女の子なんですから」
「とりあえず、服脱がすぞ」
「じっ自分でできますよ! 馬鹿にしないで……ってちょっと!」
「遅ーい」
「脱がすの早――あんっ、いきなり胸つねらないでください!」
「起きろー」
「ど、どんな掛け声ですか。さっきからボケとツッコミがひっくり返ってる気が……あっ、そんなとこ指入れちゃ――」
「可愛いよ」
「うぅ……可愛く、なんかぁっ」
「どんなに否定しても可愛いものは可愛いよ」
「えっと……そろそろ、入れてほしいです」
「何を? ちゃんと口で言わないとわからないな」
「あなたいつもと全然性格違いますね。意地悪しないでくださいよ……。あなたの、その、(∩)を……私に」
「うりゃっ!」
「イダッ!」
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「Zzz……」
「なんか古い表現で昼寝してるやつがいる。おーい起きろ。夕飯だぞ」
「むにゃむにゃ……電気消してください……」
「本格的に寝る気か。コタツで寝たりなんかするから顔真っ赤だよ。とりあえず引っ張りだすぞ」
「自分で……できま……」
「無理だろ。うんしょっ、と。起きないと頬っぺたつねるぞ。おーい」
「むぎぎ……つねらな……」
「鼻の穴に指突っ込むぞ。起きろー」
「フゴゴ……そんなとこ……」
「わあ豚みたい。日がな一日ゴロゴロしてる時点で豚っぽいけど。おい、いい加減起きろ」
「……可愛く、なんか……」
「どんな耳してるんだよ。一言も言ってないよ」
「……そろそろ、入れて……」
「何を? 闘魂? お望みなら仕方ないなぁ。さすがに顔はまずいから腕にしっぺで」
「……(∩)……」
「なんだ(∩)って。こないだの(∪)と微妙に違うぞ。はあぁ……うりゃっ!」
「イダッ! も、もっと優しくっ! ……あ、あれ? ホテルのベッドじゃない……?」
「何言ってるんだよ。夕飯だ寝ぼすけ」
「あぁ……素晴らしい淫夢を見てたのに、なんてことしてくれたんですか!」
「知るか下半身バカ」
「あ! 寝てる私に変なことしてたでしょう! だからあんな夢見たんですきっと」
「あんな夢って?」
「乳首をつねられながらお尻弄られて『可愛いよ』と囁かれつつ焦らされた挙げく恥ずかしい言葉を言わされ(∩)を入れられる夢です」
「オーライ。変なのは君の頭だ」
日は山に隠れ、星々が輝き出しました。
月が今日を急かしていますが、二人の一日はまだ少しだけ続きます。




