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54/2024

深夜

「……最近遅くないですか?」


「ごめん。また夕飯待っててくれたの?」


「今日はもう食べちゃいましたよ、特売品のエビフライ。だから一人で食べてください。冷蔵庫にエビの尻尾が入ってますから」


「残飯じゃないか」


「おつまみには持ってこいでしょう?」


「酒飲まないし」


「それはそうと、連日連夜どうしてこんなに遅いんですか? もしかして浮気?」


「違うよ。僕だってもっと早く帰ってきたいんだけどね。別に夜遅くなっても、冒頭部でむりやり夕方だってことにすればいいのに」


「形だけ取り繕っても無駄です。私の目は超越論的なところまで届きますから」


「超越論ってそういう使い方していいのか。単にメタネタを使えるってだけだろ」


「第一、冒頭や末尾の文章を変えるだけで状況を設定できるなら、私の好きなように始めていいってことになるじゃないですか」


「まあ、そうなるか」


「『ベッドの中で互いに愛を確かめあい、相手のぬくもりを感じながら。一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます』とか事後感たっぷりにしますよ?」


「うん、よくないな」


「そんなムードの中で、みかんの皮剥きだのウドナーだの話したくないでしょう?」


「問題はもっと他にある」


「だから、なるべく夕方に更新するべきなんですよ」


「更新って言っちゃったよ。言わないようにしてたのに」


「まあ明日から三連休じゃないですか。ゆっくりできそうですし、久しぶりにどこかへ出掛けましょう」


「ゆっくりできそうなのになんでゆっくりしないんだ。僕は寝たい」


「私と?」


「一人で」


「じゃあ明日は家でのんびりして、明後日どこか遊びに行きましょう」


「わかった。でもあんまり遠くないとこね」


「『それだけ言って、彼は彼女の唇をむさぼり始めました』」


「末尾を捏造するな」


「『二人の夜はまだまだ続きます』」


「もう僕寝るから」

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