表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/2024

花とトゲ

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。

 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。




「今日コンビニで、すごく綺麗な女の人が店員さんの手際の悪さに舌打ちするのを見てしまいました」


「ふーん。綺麗な花にはトゲがあるってやつだね」


「綺麗だけどトゲのある花と、綺麗じゃないけどトゲのない花、どっちがいいですか?」


「綺麗じゃないとは随分な……。その辺りは見方で違うんじゃないかな? まあ僕は綺麗でトゲのない花がいい」


「理想主義者ですか。女の敵ですね」


「それを言うなら君だって綺麗でトゲのない男のほうがいいだろ」


「そんなことはありません。第一、トゲのない男なんていません」


「現実主義者か。まあ男がみんなトゲを持ってるというのは同意だよ。ちんグハッ!」


「下ネタを言う人は論外です」


「……じゃあ、君は多少トゲがあっても受け入れられると?」


「そうですね。何か一つでも長けているところがあれば」


「つまりちんブヘッ!」


「下ネタを言う人は論外です」


「……具体的に何が長けてればいいの?」


「金、顔、名声、権力」


「強欲が服を着てる。性格とかは?」


「性格は後からどうにでもなります。最近は顔も後からどうにかなりますね。所詮トゲはトゲ、邪魔なら削ぎ落としてしまえばいいんです」


「……君は間違いなくトゲがあるね」


「綺麗ですから」


「逆推論は成り立つんだろうか」


「ツンデレですし」


「もうそのキャラ付けは手垢がつきまくってるし、そもそもどこにデレがあるのか。まあそういうのがいいって言う人もいるけど、僕は素直な人のほうが好きだよ」


「あなたの嗜好なんて興味ありません。まぁ、どうしてもというなら合わせてあげなくもないですが」


「それはひょっとしてツンデレのつもりか。別に合わせてくれる必要はない」


「ようは素直になればいいんでしょう? 欲しいものがあるので買ってください」


「それ素直じゃない。無遠慮」


「ケチですね。財布の紐がキツい男はモテませんよ? お金ないんですか?」


「それ素直じゃない。率直」




 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。

 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ