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25/2024

看病

「いやぁ、家まで来て看病してくれるなんて感激です。愛を感じますねぇ」


「僕の家に押し掛けようとしてたやつのセリフじゃないな。なんだよ『看病してほしいので今からそっちに行きます』って。病院に電話掛け間違えたのかと思ったよ」


「市民病院の内科にイケメン医師がいたら、ちゃんとそっちに行ったんですけどね」


「料理の途中だけど帰っていいかな?」


「耳が詰まって聞こえません」


「何を分泌してるんだ君の耳は。詰まるのは鼻のほうだろ」


「昨日からお風呂に入ってないので。ご飯の後に身体を拭いて頂けるとありがたいです」


「起き上がれないほど重病には見えないんだけど。昨日ほど熱もないんじゃないの?」


「まだ三十八度弱ありまして」


「三十七度後半だそれは」


「いいじゃないですか。女の子の身体を自由に触れるんですよ? そもそもそれが目当てで来たんじゃないんですか?」


「本気で帰るぞ」


「冗談ですよ冗談。あ、ネギは入れないでくださいね」


「風邪のときくらい好き嫌いするな。はい、召し上がれ」


「おおーこれはまた豪華な。卵がゆに生姜湯にポカリに……なんですかこのシワシワの白いのは」


「湯葉だよ、自家製の。消化にいいし栄養もあるからね。大豆タンパクとかイソフラボンとか」


「あーユバ。豆腐の薄いやつですか。使用済みコンドームかと」


「どこの! 世界に! そんなもん病人に出す馬鹿がいるんだよ! 謝れ! 僕と湯葉に!」


「おえんあはいおえんあはい。うぅ、ちょっとした冗談で頬っぺた引っ張らないでください。病人ですよ私」


「うるさい。自家製だと売り物みたいにキレイにできないんだよ。箸で摘まんだときに先細りになるの」


「てっきり私に精をつけさせようとしてくれてるのかと思いました。文字通り」


「もういいから早く食べて寝ろ」


「では、いただきます。まずはコンドームから」


「湯葉だって!」


「ズズズズルズル」


「普通に食え!」


「あ、美味しい。味はちゃんと湯葉ですね」


「味以外も湯葉だ」


「次は卵がゆを。じゃあ、お願いします」


「……は? 何を?」


「このシチュエーションならやることは決まってるでしょう。あーんです。まああなたがどうしてもというなら口移しでも構いませんが」


「風邪まで移るからそれ。はい、あーん」


「あーんアヂャヂャヂャヂャヂャヂャ!! ハフッハフッハフッハフッ! なにするんれすか!」


「あーんしてって言ったのは君だろ」


「ちゃんとフーフーしてくらさいよ! あぁ、舌を火傷しました……」


「フーフー。はい、あーん」


「あーんアヂャヂャヂャヂャヂャヂャ!! ハフッハフッハフッハフッ! ちょっと! 馬鹿にしてるんれすか!」


「うん、ごめん。面白くてつい」


「弱ってるからって調子に乗らないれくらさい!」


「その言葉はそのまま返す」

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