デートプラン
土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。
「デートの予定を立てましょう」
「ああ、そういえばそんなこと言ったね。月曜日あたりに」
「どこに行って何をするかくらいは、あらかじめ決めておかないと」
「買い物するなら車でいかないとね。荷物持って歩くわけにもいかないし」
「特に買いたいものもないので今回はいいです」
「じゃあ映画は? ……今何やってたっけ?」
「アベンジャーズとか。余談ですが私、ずっと阿部ンジャーズだと思ってました」
「どんな勘違いだ」
「阿部寛、阿部サダヲ、阿部慎之助、あべこうじなどが一堂に会して戦う話かと」
「後半は役者ですらない」
「でも映画はまた今度でいいです。そこで私なりにプランを立ててみたんですが」
「なんだ、そういうのがあるなら先に言ってよ」
「まず朝の八時くらいに駅前で待ち合わせ。ドトールで朝食を済ませます」
「ちょっと高くつきそうだな。まあいいけど」
「次に表参道まで歩き、そこでおやつに風月堂の和菓子を食べます」
「ふむふむ」
「いろいろ物色しつつ、つるやの饅頭を食べ、お昼はラーメン屋さん。そのあとデザートに」
「食ってばっかだな! 太るよ?」
「私は太らない体質なので。まあこれはプランA。たぶん文句を言われると思っていました。そこでプランBです」
「用意がいいね」
「まず駅前で待ち合わせ。ここまでは変わりません。その後電車に乗って隣町の動物園へ行きます」
「なるほど」
「動物たちで和んだ後は適当に昼食を済ませ、動物園の近くにある博物館へ」
「おお、思ったよりまともな計画だ」
「その後駅前に戻り、ホテルにしけこみます」
「しけこむな。途中まで良かったのになんでそう持っていく?」
「疲れとかが溜まってるでしょうから、休憩は必要だと思います」
「もう帰れよ。そこまで来たら」
「これもダメですか。じゃあプランCを」
「まだあるんだ。いくつ考えたの?」
「今のところプランXまで」
「そんなに!? どんだけ楽しみにしてるの!? 何も考えてなかった僕がクズ野郎みたいだ」
「ちなみにプランXは朝から晩までホテルで」
「却下」
一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。




