エンカウント
<4月10日(日)夕方 道>
「少し歩き疲れたね。公園で休憩していこっか」
「や、そっちに行くのは今日はやめときましょう」
「なんで? 公園行きたくないの?」
「いえ、公園に行くことそのものが問題なのではなく、あなたと彼女を会わせたくないんです」
「彼女って、例のギャルママの? むしろ僕は一度挨拶しておきたいんだけどな」
「ダメです。絶対ダメ」
「どうして?」
「恥ずかしいので」
「どういう意味っすか。僕のような男を夫として紹介するのは憚られると?」
「はい」
「冗談で言ってみたら真顔で首肯された」
「だって、あなたっていまいち男らしさがないじゃないですか」
「おっ……」
「あの子の好みとは天と地ほど離れてそうで、なんだか見せたらガッカリされそう」
「ガッ……」
「ですから公園に行くのはやめましょう」
「そこまで言われるとがぜん行かねばならない気がしてきた。僕という人間をその子に評価してもらわねば」
「地味、しょぼい、ちんちくりん」
「君の評価はいいんだよ! というか酷いなそれも!」
「あの子があなたを評するとしたらこんな感じでしょう。やめておいたほうが無難ですよ。少なくとも今日はやめておきましょう。もっと甲斐性持ちになったら、ね?」
「ね、じゃない! むしろ君にそんな風に思われてたことに傷ついたよ!」
「もちろん私はあなたをよく知ってますから、いまみたいなことは文ちゃんの産毛ほども思ってませんけど、中身に見た目が伴っていないタイプは第一印象で損しますから」
「泣いていいかな?」
「あなたの器量が悪いと言っているわけではありません。住んでいる世界が違うのです。タヌキとイタチでは言葉は交わせないのです」
「なに言ってんだこいつ」
「それになにより彼女、土日は旦那さんとなかよししてるらしいので」
「なかよし? まぁ、それならそれでいいよ。旦那さんにも挨拶していこう」
「そうではなく! あーもう面倒くさい! 今日のところは帰りましょう! 帰ってあなたも私となかよししましょう。久しぶりに、ね?」
「久しぶりって、ずっと仲良くしてるじゃん」
「もういいんですそのネタは! げっ!」
「どうした? ……あ、こんにちは」




