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106/2024

お餅

「ここのところお餅ばっかり食べてる気がするんですけど」


「実家からいっぱい貰っちゃったからね。早く食べないとカビちゃうし」


「しかしこうもお雑煮と磯辺焼きのヘビロテだと、さすがに飽きてきます。毎ー日毎ー日もーちもーちもーちもーちもーちもーちもーちもうちもう恥毛」


「イントネーション変えるな」


「そろそろ別のものが食べたいです」


「じゃあ今日は少し手間かけて、お汁粉でも作ってみようかな」


「結局お餅ですか」


「そこは我慢しろ」


「だいたいお餅って、食べれば食べるだけ死亡率が上がる食べ物じゃないですか。おめでたいからって、なんでわざわざ死の危険を冒そうとするんです?」


「毒みたいに言うな。気をつけて食べれば大丈夫だよ。飲み物も用意してさ」


「その油断が命取りですよ。そうやって私も何度か詰まらせたことがあります」


「それは君が迂闊なおっちょこちょいってだけだ」


「いえ、それだけで何度も詰まらせるわけありません。お餅はそういう風にできてるんです。毒を用いず重要人物を暗殺するために発明された食べ物だという説もあるくらいですから」


「へぇ、それは初耳だ。考えたやつは頭いいな」


「私が今考えました」


「やっぱり頭悪い気がしてきた」


「実際これなら殺意があったとしてもバレませんよ? 姑の執拗ないびりに耐えられなくなった主婦が」


「そういう笑えない冗談やめて」


「いえ冗談で言っているわけではなく。実際に凶器たりえる食べ物だから言っているのです。これを不謹慎と言うなら、そう言う前にお餅そのものを禁止にすべきです。可哀想なこんにゃくゼリーと同じようにね!」


「今一瞬私怨が見えた気が」


「そういうミステリーってないんでしょうか。餅で窒息死した被害者を前に探偵が『これは事故じゃない。殺人事件だ!』っていう感じの」


「うーん、本当に殺人事件だったとして、犯人が殺意を認めなければ逮捕は難しいかもね。過失致死と言えなくもないけど、みんな食べてればなんとも……」


「つまり、迷宮とは人の心なのです」


「なんかカッコいい感じだけど事件としては盛り上がりに欠けるぞ」


「殺意とは言わずとも、これで厄介払いができればと思ってお餅料理を作っている人は今年何人いたんでしょうねぇ?」


「エグいこと想像させないでお願いだから」


「お餅……真っ白な外見とは裏腹に、なんともブラックな食べ物です」


「ブラックなのは君の腹だ」


「はっ! 最近お餅料理が多いって……あなたまさか私を」


「そのどんどん妄想膨らませてく癖直そうか」

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