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第23話 〇〇様が御呼びです


──ダンスが終わり、オヴェリアとエルは大広間の片隅で飲み物を飲んでいた。



ダンスが終わった瞬間、オヴェリアは今度こそエルを宿に帰そうとしたのだが……。


エルときたら、「疲れたから、帰る前に休憩させてください」とか、「喉が渇いたので1杯だけ何か飲ませて」等と言って、なかなか帰ろうとしなかったのだ。



さすがにエルがシャンパンを手に取った時は、オヴェリアがグラス取り上げた。


大人っぽく見えても、エルはまだ完全なる未成年だ。保護者として飲酒を見過ごすわけにはいかない。



──が、それでエルがあんまり悲しそうな顔をしたので、仕方なく代わりに冷たいお茶を渡したのだ。


エルは「では、そのシャンパンはオヴェリア様が飲んでください」と言ってオヴェリアをソファに座らせると、その横に立った。


そしてやたらと時間をかけてお茶を飲みながら、楽しそうにオヴェリアに話しかけて来るのだ。



(もう、エルったらレオン様が戻るまでここにいるつもりなのかしら……。誰かに絡まれる前に、早く帰って欲しいのに)



今のところ直接的な被害は受けていないが、それでも相変わらず周囲からの目線は鋭い。


そろそろ、エルの身元を詮索する者も出て来るだろう。



「ねえ、エル。本当にそろそろ宿へ戻った方が──」



オヴェリアがそう言ったとき、



「オヴェリア・ホーリング伯爵令嬢」



後ろから、聞き覚えのある声がした。



慌てて振り返ると、先ほどレオンハルトと話していた男性が、こちらを見ている。



「ああ、ええと、レオン様の──」


「はい。アシュフォード団長の部下で、近衛騎士団のマリウスと申します」



男性は硬い表情でそう言うと、声を潜めて続けた。



「奥の間へお越しください。……国王陛下が、あなたをお呼びです」


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