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銀の皿を注文しようとしたら、お寿司がハートになっててビックリしました。

ホワイトデーのイベントらしいです。

でも女性に寿司?

寿司は美味しいけどチョコレートの代わりに寿司が帰って来たら、それってどうなんだろう。

出されたら間違い無く喜んで食べる自信はあるけど、なんか微妙?恋愛って難しいね!の巻。


「⋯ナ、⋯⋯さい!

リリアナ、起きない!」


姉の声にパッと目を開いて身体を起こすと、姉がホッと息をつくのがほぼ同時になった。


「お姉ちゃん、私何時間寝てた?!」

「じかん?

あぁ、そんなに経って無いわよ。

それよりも王様もアンタもどうしたって言うの?」

「アルフィン!

アルフィンはどうなってるの?

もう起きてる?!」

「アルフィンて⋯、アンタ王様を呼び捨てにしたら駄目じゃない。

王様ならまだ寝てるわよ。」


そう言って姉の視線が向いた先を見れば、私達が作ったトロピカル麦藁ソファーで眠り姫みたいな事になってるアルフィンが、周りを平民女性や子供達に囲まれて鑑賞会の展示物みたいな事になってた。


私もアルフィンの直ぐ横に寝かされてたから、同じく現在進行系で展示物にされてる所になる。


「それよりも一体何がどうなったの?!

大変って一体何が大変で、どうしてここに知らない人が沢山いるの?

あの黒い扉が庭に繋がって無いのは何でなの?!」

「あぁ⋯それは二度手間になるから、皆を集めて説明させてよ。

早くしなくちゃ夜が明けたら大変な事になっちゃう。」

「だからその理由を知りたいって言ってるのよ!

いい加減さっさと白状しなさい!」

「ご飯を作ってからね。

皆お腹が空いてるだろうから、お姉ちゃんは酸味の強い果物を取ってきてよ。

お兄ちゃんはどこ?

甘みのある果物を採って来て貰わないと⋯」

「いい加減にしなさいって言ってるじゃない!」

「うるっせえ!

ガタガタ言ってないで言われたように早く動けよ!

テメェ1人に時間を裂いてる暇がねぇってさっきから言ってんだろうが!

ヤベェ事になるからこっちは必死こいて倒れるまで動いてんだろが!

それとも説明したら王様や私の代わりに全部の責任をテメェが代わりに取って考えてくれんのかよ!

それでも説明が聞きてえのか言って見ろや!」

「なっ⋯」

「お姉ちゃん、今は私を信じて手伝って!

後で全部説明して謝るからお願い!

お姉ちゃんなら私がどんな子供か知ってるよね?

今はどうしても直ぐに説明が出来ないんだよ。

賢いお姉ちゃんなら、説明しなくてもこの意味が分かるよね?」


怒りに我を忘れ掛けていた姉が、ハッとした顔をして視線を降ろしてドン引き中の周囲に注意を払い、注目されてる事に気付いてため息を零す。


「あ、お姉ちゃん。岩の魔物はどうしてるの?」

「⋯アレならロベルトが持ってるわよ。」

「岩場!大変お兄ちゃん達が波に攫われてるんじゃっ⋯」

「慌てなくても今はあの大きな魔物の所に居るわよ。

お父さんがついてて波に攫われる訳が無いじゃない。

お父さんがあの魔物を浜に引き上げたから、アンタや王様は此処で寝てるのよ。

だから私はアンタ達を起こす為に回復魔法を使ってたのよ!

感謝しなさい!」

「うん、お姉ちゃん凄く助かったよ!

もう土下座でもなんでもする!


アルフィンがまだ寝てるなら、もしかしたら魔力不足になった影響で今まで徹夜してた反動が一気に来てるのかも知れないね。

ここ10日ばかり、何時も以上にロクに寝て無かったみたいだから。

その前もずっと薬で誤魔化してた反動も来てるのかも知れないのか。

⋯マズイな。それだと何時目が覚めるか分からないよね。

バッカスもピヨ子もどうすれば⋯私に転移が出来る?

いや⋯流石に次元を越えるのは、ミスした時がヤバ過ぎる。

空を飛ぶしか無い?

推進力はどうやる?

方角は?

オートマならイケる?

そうなると今度は料理が⋯クッソ痛い!

アルフィン何時まで寝てんだゴラ!

さっきと起きろ!

だからちゃんと寝ろってあれだけ何時言ってんにっ⋯」


私はそう説明しながら黒い扉の周りを魔力の壁で覆って勝手に通行が出来ないようにする。

今の所出入りが途絶えていて、男性達や年齢の高い男児達は全員が角の魔物の方にいて、女性達や女児や幼い男児達は全員がアルフィンと私を取り囲んでいた。

実は母もジーニスを抱いて、心配そうに私を見下ろしていたりする。


「何をブツブツ言ってんのよ。

⋯相当ヤバいの?」

「アーニャ叔母さんはどこ?」

「叔母さん?

アーニャ叔母さんかは知らないけど、女性が1人向こうに居るから、ここにアーニャ叔母さんが居ないなら、その人かも。」

「お姉ちゃん。

アーニャ叔母さんの娘さんは、ジギタス伯父さんの奥さんと同じ病気で亡くなったらしいんだけど、他にも旦那さんや娘婿さんも全員がそうらしいんだよ。」

「なっ⋯」

「他にもアーニャ叔母さんが住んでた街の人達なら、同じ病気で大勢亡くなってるみたいでね?

ここに居る人達は全員が叔母さんの家の近所に住んでる人達だから、皆に手料理を振る舞ってお別れ会をしようとしてるんだけど、案外ちょくちょく会う事になりそうになってきたから、仲良く出来たら助かるんだよね。


今は詳しい話をする時間を私は取れないから、お姉ちゃん。

酸味や甘みの強い果物をアーニャ叔母さんを連れて取りに行ってきてくれるかな?

お姉ちゃんと叔母さんなら、魔物が居ても倒せるから大丈夫だよね。


そこでついでにアーニャ叔母さんの娘さんが何処にいたか詳しく話を教えて貰ってくれる?

お姉ちゃんが知ってる私達の事も全部教えて良いからさ。」

「⋯分かったわ。

アーニャ叔母さんを連れて二人で果物を探しに行って来るわね。」

「酸味が強いのが欲しいけど、甘みの強い果物も皆が喜んで食べてくれると思うんだよ。

危ないからお兄ちゃん達を2人連れて行っても良いけど、他の人は迷子になったら困るし、連れて行かないでね?

お父さんに止められたら、私の指示だって言ってくれて良いよ。

今後の事とかもふくめて詳しい話は皆にも伝える予定だけど、取り敢えずは朝ごはんかな。」

「そう。分かったわ。」


姉がすくっと立ち上がり、浜辺に向かって駆け出して行く。

それを見送る余裕も無くして、私は段取りを考える。


「ハーニャお姉ちゃん。

此処に居る人達は皆アーニャ叔母さん家の近所の人達かな?」


ジーッと集まる視線を感じて、母の隣にいたハーニャにそう声をかけた。


「うん。そうだよ。」

「実は王様が働き過ぎて寝ちゃってるんだよ。

だから朝ごはんに使う麦や野菜を、私の家に取りに行けなくなっちゃったの。

まだ早い時間だから、お店に買いに行くわけにも行かないから、皆の家に有る食材を買い取りさせて欲しいんだけど、どの人に相談したら良いかな?」

「えっと⋯」

「買い取るってどうするつもりなんだい?」


ハーニャは周りの女性達をサッと見渡して、1人に視線を止めたら相手の女性が逆に声をかけてくれた。


「中身が減ってても構わないから、此処に居る人数分全員が食べられる物を集めたいの。

全員に銀貨5枚を支払うから、家から麦や野菜を持って来てくれると助かるんだけど、難しいかな?」

「銀貨5枚って⋯そんなに何処の家も沢山持ってやしないよ。」

「本当なら銀貨じゃ無くて金貨ぐらい渡したい所なんだけど、そんなものを貰っても皆使いづらくて困るよね?」

「き、金貨?!」

「どうして私がそんなにお金を持ってるか、皆気になるでしょう?

でもそれがアーニャ叔母さん達を連れ戻しに来た理由になるんだよね。

でも叔母さんを連れて戻るだけだったのに、私達はとんでも無いものを見つけちゃったんだよ。」

「とんでも無いものって⋯一体何を見つけたって言うんだい?」

「とびっきりヤバい厄ネタって言ったら分かってくれるかな?

正直な事を言うと王様も私ももの凄く驚いたし、かなり頭が痛いんだよ。

まさかあんな厄介な物を見つけるなんて夢にも思って無かったからね。」


大人の女性達が顔を見合わせながらも、少しの緊張と大きな好奇心の狭間で揺れて、ワクワクとしている表情になった。

多分女性達は全員が井戸端会議的な感覚で、話を聞けばこんな雰囲気は吹き飛ぶ事は間違い無いとは思うけど、今は話題が分からないから好奇心の方が大きくなってるんだね。


「その説明は男性達にも伝えたいから、取り敢えず朝ごはんの支度をしようと思ってるの。

予想してたより人数が増えたから、食材を調達しないと全然足らないんだよね。

そう思って肉ならあそこに有るんだけど、あれは始めて見る魔物だから美味しいかも分からなくてさ。

他にも小さな魔物なら何匹か採って来てるんだけど、王様は最近ロクに寝ないでずっと皆の為にお仕事をしてたから、倒れちゃったんだよ。」

『まぁ⋯!』


眠れる美人と化した王様に、この場にいる全員から熱い視線が一斉に注がれてる。

全員が揃って恋に恋する女の子みたいな表情になって、うっとりとしてるから超ウケるんだが?


「王様の望みは皆を幸せにすることなんだよ。

でもそんな王様を邪魔する人はもの凄く多くてさ。

見てよ。

あの黒い扉は、王様が自分で作った魔道具の扉なのね。

こんなに沢山の人があそこを通れば、こんなにも簡単に北寄りの西の辺境にいた人達が、全員南の海沿いまで来れちゃうんだよ。

ここの建物にいたら、涼しいから気が付かないだろうけど、そこの石畳から外は南になるからすっっごく暑くなってるの。

獣車で移動したら10日やそこらじゃ行けない様な場所に皆来ちゃってるの、分かるかな?」

「まぁ!すごいわね!」

「じゃああれって川じゃ無くて海になるの?」

「え?!川じゃ無かったの?!」

「え?!海ってなんだっけ?」

「私も知らないけど、川を見て海みたいだって思ったとか、ウチの主人が前に話してたわよ。」


皆思い思い話をしたり、石畳の端に言って「ホントよ!来てきて!」「まぁ!暑いわ!」

「え?!そうなの?」

「面白いわね!」


若い娘達が温度の違いで遊ぶように、キャアキャアして面白がっている。

皆が殆ど寝間着に上着を羽織った様な簡素なスタイルだから、無防備過ぎて家の外に出て来なったのに、様子を見に来てた男性陣が家に駆け込んで来たから、好奇心につられて家から出てきちゃったんだろうね。

だから最初は30人位しかいなかったのが、戻ってきたら100人ぐらいになってたのは、それが理由なんだろう。


アルフィンが区切った空間が、どの程度の範囲かは分からないけど、建物を中断出来なかったとしたら、路地で区切るしか無くなるから、そうなると10軒並んで建てられた建物が、丸ごと1筋分覆う形になる。

それが対面の家も範囲内にはいっていれば20軒分の家屋に住んでる人達からは、騒ぎが丸聞こえになってると思うんだよ。

それを考えると、一軒5人住んでたら100人ぐらいは集まって来ても何も不思議じゃ無いんだよね。


夫婦なら大人2人に子供3人でもう5人だし、もし祖父母が住んでたらそれ以上の人数に直ぐになっちゃう。

家を持つのは結婚した人達だけになるから、老夫婦だけの家も有れば、子供が3人以上居る家も有るだろうし、まぁそんなもんかな?


「でも麦や野菜があったってここにゃ竈門が見当たらないよ?

煮炊きはどうするつもりなんだい?」

「それは私が全て魔法でするから大丈夫。

でもお皿や匙までは準備が出来ないのよ。

だからここら辺に集めたテーブルを置いて行くから、椅子を並べて食べられる場所を作ってくれるかな?


食材を持って来てくれた人に銀貨5枚を支払う役目の人も居てくれたら助かるんだけど⋯おばさんにそれを任せても良い?

足りなかったら言ってくれたら、手間だけど魔石を渡すよ。

両替が出来る人はいないよね?」

「そうだねぇ。

銀貨100枚溜め込んでる奴はいるのかね?

いたら銀板を交換出来るって言うんだね?」

「うん!そうなの。

魔石なら2級を渡すから、銀貨5枚貰う形になるかな。

そうしたらもう1人には銀貨5枚渡せるよね?」

「あぁ、そうなるね。」

「あと今日ここに来た人達は、全員顔見知りなのかな?」

「そうさね。来てない家のもんは居るだろうけど、大抵は皆顔見知りだよ。」

「そらなら世帯数は分かるかな?」

「せたいすうってなんだい?」

「1つの家に家族5人が住んでて、それを1軒と数えたら、何軒分の数が来てるか分かるかな?」

「うん?」

「それなら家長の数は何人いる?」

「あぁ!そう言うことかい。

そうさねぇ⋯数えて見ない事には何とも言えないが⋯。」

「それなら食材を持って来た人に銀貨5枚を渡すのと、ついでにこの5級の魔石も渡してくれるかな?」

「ご⋯5級?!

え?5級って⋯」

「それとも4級の方がお金に変えやすい?

4級が良ければそれでも良いんだけど、5級分の数は残念ながら渡せないかなぁ⋯。

それとも6級を1つ渡して、皆で山分けするならそれでも良いけど、そこら辺は家長と相談した方が良いと思うから、男性でまとめ役になれる人を誰かに言って呼んで来て貰える?」

「ちよっ⋯本気なのかい?」

「あの大きな魔物を見てよ。

あれはまだ少ない魔物だけど、4級から6級の魔物が海にはウヨウヨ泳いでるの。

そこで沢山魔物が狩れるから、魔石なら沢山持ってるんだよ。

戦士が多い街なら、不自然じゃ無い程度にお金に変えられるでしょう?

だから手間の無い方法で分けて、皆で内緒で報酬を山分けするなら渡すのは簡単なんだよね。

そうする事が簡単に出来る子供が私だから、王様が直接保護してくれてるって言えば、アーニャ叔母さんがあの場所に住めなくなるのが分かるかな?」

「あぁ⋯そうさね。

そう言うことだったんだね?

でもウチラにまでそんなに良くしてくれる理由ってのはなんだい?」

「そうなんだよー。

でも1つ問題があってさ。

王様が寝ちゃってるんだよ。

私の裁量でできる事ならするし、一応王様から許可は取ってたんだけど、それはあくまでも王様が見て把握してる状態じゃ無いと私の勝手には出来ないのが分かるかな?」

「まぁ⋯厄ネタってなったら、そりゃそうだろうね。

王様が全部の責任を背負うって事になるんだろう?」

「うん。

私で背負える大きさの問題じゃ無いんだよ。」

「⋯それで打ち止め料ってわけかい。」

「それも有るけど、もし朝ごはんが終わっても王様が起きなければ、また起きた時に話をする機会を皆に作って欲しいんだよね。

その時になったらちゃんと料理の素材を集めておいたり、料理人もちゃんとした人を連れて来られるし、今回の参加者のみになるけど、参加者したく無い人は来なくても全然構わないんだけどね?

あの黒い扉はその日になるまでは一回片付ける事になるけど、もし話が再開出来るんなら、その時はまたこの場所に招待が出来ると思うんだよ。

ただ⋯それで間に合うかは分からないから、今私は猛烈に悩んでるんだよね⋯はぁ⋯」

「アンタがもの凄い子供なのは分かったけど、そんなにヤバい厄ネタなのかい?」

「うん。

まぁ簡単に言えば、あの黒い扉も一応は厄ネタなんだよ。

あれがあれば河に橋を渡さなくても対岸に行けるようになると思わない?」

『あ!!!』

「でもそうしたら、こんな街の規模は必要がないってなって、あの扉が獣車が通れる大きさでこの街と河の向こうに設置されたら、随分と仕事が減るんじゃないかな?」

「それは厄ネタだ。」

「ねぇ、どうするんだい?

仕事が無くなるのは困るんだよ。」

「うん。

今あの扉の設置は王様のお父さんと偉い貴族の人が反対してるから使えないんだよ。

他にも扉が大きくなれば、使う魔力の量が増えたりするから、平民が使うにはお金が高すぎて使いにくいって事もあって、あの門を使う事が出来ないんだよね。」

「なんだい。

焦っちまったじゃ無いか。」

「王様がたった1人で闘う理由はそこに有るんだよ。

みんな自分の事しか考え無いから、目先のことしか見えて無いんだよね。

だから王様がどうしてこんな魔道具を作ったのかを、理解する事が難しいんだよ。」

「⋯そりゃどう言う意味なんだい?

私達に死ねって言ってんのかい?」

「どっちみち塩が無くなれば、皆死んじゃうから、この街も無くなるんじゃないかな?」

『えぇ?!』

「ちょっと待ってくれよ!

塩ってあの塩辛い塩の事だろう?」

「うん。王様がどうしてこの橋を作ろうとしてるのか。

橋が駄目ならどうしたって魔道具を作ろうとしたのかと言ったら、全ては塩に有るんだよ。

今塩の値段は高くない?

しかも買うのに人数制限が有るから好きに買えないようになってるよね?」

「あ、あぁ⋯そうさね。」

「今はまだ塩は高くても平民でもギリギリ買える値段だし、制限はあっても手に入れる事が出来るけど、これから人が死ぬ数が減って人の数が増えてきたら、今の塩の量だと足らないから値段は高くなるし、手に入れる事が難しくなって行くんだよ。

でも塩は入れたら料理が美味しくなるだけじゃ無くて、人間が生きて行くのに必要な大事な素材なんだよね。」

「なっ⋯」

「麦を食べなくても、人間は塩と水が有れば、例え飢えても10日以上は生きて行けるらしいけど、水と塩が無ければ3日もしないウチに死んじゃうのが、人間って生き物なんだよ。


だから北部に近い地方の人達は絶望的な塩不足になっちゃうの。

何故なら海は南にしかないからだね。

そしたら国の中で塩を寄越せと戦争が始まる事になる。

だって塩がないと死んじゃうんだもん。

でも国内で戦争を起こしたく無いから、塩を手に入れることを考えるようになるよね?


橋が通ってればいいよ?

そもそも此処に橋を架けようとしてる目的は、河を通って海に向かう道を作って塩を国に届ける為に、わざわざ街まで作ってやってるんだもん。

でも塩が足りなくてもまだ橋を架けられて無ければ、海沿いの街から対岸に向かってあの黒いドアを使えば良いんだよ。

そしたら北の方まで回り込まなくても、海沿いをドンドン切り開いて住む人を増やせば、今よりも塩が沢山手に入れられるよね?

だから最悪の時のことを考えて王様はあの魔道具を作ったんだよ。

更に言えば今のウチにあの魔道具を使ってこの先に海へと向かう道を開いて行けば、北の地方が塩が足らなくて困ることは無くなるし、塩の値段も安くなるかも知れないよね?

橋の仕事は無くなるけど、今度は旅商人について行く仕事が新しく産まれるし、街の規模は小さくなるかも知れないけど、南側に道を通されるよりかは、マシな未来がまってると思うんだけど⋯どう思う?」

「そ⋯それならそうと言っとくれよ!

私はアンタみたいに頭が良くないから、そんなことまで考えたりなんてしないよ!」

「ところが、ドッコイ。

この程度ならそこら辺の貴族でも思いつく程度の話でしか無いんだよね。

私ならあの河に橋をかける案を作れちゃうし、なんなら橋の仕事がなくなっても、この街をこのまま残せるぐらいの知恵をポンポン出せちゃうんだよ。

だから王様は私を手放せないし、そんな私を狙う人はドンドン多くなって行くんだよね。

そして貴方達はもうそれが何なのかを見て知ってるんだよ。

それが何か分かるかな?」

『なっ⋯』

「では教えようか。

王様は国で1番の魔導錬成師でもあるんだよ。

それはこの国で1番の魔法が使えるって事になる。

あの壁みたいな崖を見てごらんよ。

この広い砂浜は王様が魔法で作った浜辺で、あの壁みたいな崖がこの場所にも同じように続いてたんだよ。

これが出来るって事は河の岸辺も高く出来るし、河の中を転々と地面を盛り上げて橋桁もたった1人で作れちゃうのさ。

そしたら後は綱を渡して吊り橋にしたら橋が完成しちゃうよね?

わざわざ河の中に入る理由がこれで無くなるから、河での死人が無くなることになる。

そして転移門を建物と一緒につくってそこに設置してしまえば、誰だってここの南の海に混て来れちゃう事になる。

そしたら橋の仕事が無くなった戦士達に新しい仕事が出来ると思わないかな?

それにそれに更に言えば、南まで行かなくても塩が取れちゃいます!

そしたら北部のいたる所から沢山の人がこの街に押し寄せて来るから街が更に大きくなるかも知れないよね?

どうかな?

こんなのは簡単な思いつきなんだけど、皆には迷惑かけちゃうよね?

だってここに大勢の人達が殺到しちゃったら、皆煩くて住みにくくなるから引っ越しがしたくならないかな?

ホントなら白金貨1枚づつ渡したら一生遊んで暮らして貰っても良いけど、下手に高いお金を持てば強盗に襲われてしまうから、そこは後味が悪くなるでしょう?

だから5級の魔石の値段になる、金貨50枚ぐらいで許してくれたら嬉しいかな?

皆の安全の為の口止め料込みで考えてくれると、私も安心して渡せるしね。」

「ハーーっハッハッハ!

こりゃ参った!

確かにアタシはこの目で全部見ちゃってるよ!

そのための5級の魔石かい!

そりゃ口止め料込みの迷惑料って言われちゃ納得するしか無くなるねぇ!

面白い!」

『わぁ!』


女性達が興奮に沸き立つのを見るともなしに眺めながら、さざ波みたいな不安を押し殺している。

その肝心要のアルフィンが、果たして私の知ってるアルフィンのままで居てくれるのかどうか、そこが1番の問題になるからだ。

でも私は私が出来ることをやるしか手がないので、ジリジリとひりつく危機感をお鍋の底に深く沈めて一歩先へと歩み始めた。


「さて、水を刺すようで申し訳無いけど。

野菜と麦の調達をお願い出来るかな?

魔石は一気にお金にすると怪しまれて、強盗を誘う事になりかねないから、そこは周りと相談して上手くやりくりして欲しいんだけど出来るかな?」

「銀貨5枚ってのは、そこも考えての事になるんだね?

アンタは本当に頭の回る子供だねぇ。

チビなのに良くまぁそんなに出来が良いもんだよ。」

「ありがとう。

でもこの楽しい話を台無しにする物を見つけてしまって、それを何とかしない事にはどうにも出来ないんだよね。

王様が1人で行動してるなんて、周りに知られたら色んな所から苦情が殺到しちゃうから、この話は此処だけの事にしておいて欲しいんだよ。

本当ならお城で強い騎士達に守られてなきゃいけない人だからさ。」

「そりゃそうだろうよ。

お貴族様ですら寄り付かない貧乏長屋に王様が来たなんて知られたら、ここの領主様はひっくり返っちまうね。」

「アーニャ叔母さんが私の親族だとバレるのもかなり危険だから、そこも秘密のままにしておいて欲しいんだけど、出来るかなぁ⋯。」

「そうなのかい?

身内が王様に取り立てて貰えるなんて大手柄じゃないか。」

「問題なのが私を守ってるのが王様たった1人なんだよ。

家臣は沢山いるけど、王様は私と一緒にいないといけないのね?

でも私はまだ小さいから、家族から離されたくなくて家に残ってるの。

だから貴族や騎士が来られちゃ家族が堅苦しくなるから、王様が離れた場所で様子を見る魔法を使って何時も守ってくれてるんだけど、こうして会いに来る事も有るから、アーニャ叔母さんから戸籍を辿られちゃうと、私の居場所が突き止められるかも知れないでしょう?

平民にそれは出来なくても、教会の人なら簡単に出来ちゃうんだよね。

教会の人達が私の便利さに気付いて、誘拐しようとしたら王様と揉め事になっちゃうんだよ。」

「まさか!教会の人達はそんな真似なんかしないよ!」

「そうよ!教会の人達は平民の味方だから心配しなくても大丈夫よ。」「そうそう!」「凄く良い人達よね!」

「だからマズイんだよ。 

教会の人達は貧しい人達を助ける事を使命にしてるから、もの凄く危ない人達なんだよ。

だってこんなに簡単にお金を稼げる平民の子供なんて、貴族から守る効率で心から悪意なんて無くて、簡単に誘拐しちゃえるんだよ。

教会の人達はそれを全く悪いとおもって無いの。

私がどれだけ王様の力になりたいから、自分でそうしてるつまて言っても、きっとチビだから騙されてるだとか適当な事を言って私の話なんて1つも聞いてくれない所か、私に教会の為に働けって無理やり言うことを聞かせようとするんじゃないかって、怖くて仕方が無いんだよね。

だって向こうは貧しい人達を救うのが使命だから、平民の天才なら自分達の味方をして当たり前だって思うんじゃない?

むしろ私が素直に言う事を聞かなければ、躾をしないとってなって、死なない程度にボロボロにされることしか考えられないんだよ。」

「そんな事をする筈がないよ!

だって神様に仕えてる人達なんだよ?」

「そうよそうよ!」

「そんなこんな幼い子供に暴力を振るうような悪い人達じゃないから、安心なさいな。」

「私は教会の殆どの人達は悪人だなんてひと言も言ってないよ。

善人だから危ないって言ってるんだよ。

自分達は悪い事なんて1つもしてないって言いながら、私を殴る人達だから怖いって言ってるんだよ。」

『???』

「教会の人達が守りたいのは、お金も権力も無い弱くて貧しい人達なんだよ。

だからお金があって使い道のある平民の子供や、死んだ人達を利用するのも、大勢の人達を殺す事だって自分達は悪く無いって言いながら平気にやれちゃう人達なんだよ。

どうしてそうなるか分かるかな?」

「さっぱり分からないよ。

どうしてそんな事を言うんだい?」

「だって教会で貴族の悪い人達の話は皆に教えてるけど、教会の悪い人達の話を聞いた事がある人はこの中にひとりでも居る?」

「ハハハ!居るわけないよ。

教会の人達はみんな良い人達だから、悪さをしたら教会から追い出されちまうからね!」

「ハハハ!そうよ。

だから何も不安にならなくても大丈夫なのよ。」

「⋯そう。

それなら死んだ人の死体を使って怖い病気の元を育てて、その死体を使ってるのをバレないようにするために、適当な骨を拾ってその家族の目の前で共同墓地に入れていても、それは悪い事じゃないんだね?」

『えぇ?!』

「そこで育てた悪い病気の元を売ってお金にしたり、街の人をそれで殺そうとしても、それは悪い事じゃないんだね?」

「な、何を言い出すんだい!」

「これからこの街で起こる事実を話してるんだよ。

だから王様が倒れるまで働いてるし、私も頭を抱えてるんだよ。

此処まで酷い人達だとは思っても無かったから、このまま放っておいたらこの街の人達は殆どの人が病気で殺される事になると思う。」

「はぁ?!

なんだいそりゃ!」

「私の思い過ごしだったら良いと思うんだけど、もし病気の元をその病気で死んだ人の死体で作ってるのが皆にバレたら、皆は教会の人達の事をどんな風に感じるのかな?

想像してみてよ。

自分の娘が共同墓地に入ってると思ってたのに、別の場所で骨の山の下敷きになってた時の気持ち、考えてみてくれる?」

「ま⋯まさか厄ネタって言うなは⋯」

「嘘よ!そんなのデタラメに決まってるじゃ無い!」

「そうよ!

教会の人達がそんな真似する筈がないじゃ無い!」

「うん。

だから気にしなくても大丈夫なんだね?

私達が此処を離れても、皆は死んだりなんてしないよね?」

『⋯⋯⋯』

「私の思い過ごしだったら良いと心から思うんだけど、万が一目が黄色くなる病気が街に大流行する事になったら、その時の犯人は教会の人達なんだよ。

それを説明するかどうかで凄く悩んでたの。

だって皆が教会に駆け込んでも、そんなわけないよって言われたら信じちゃうよね?

そしたら全員がその病気になるまで、騙された事にも気がつけないから死んじゃうんじゃないかなって凄く不安だったの。

でも下手にそれを皆に伝えたら、確認しようとする人が出て来るから、言わないでおこうか凄く迷ったんだけど、多分言わなくてもそのうち街全体に病気が起こりそうだから、話して身を守るようにして貰った方が良いかで、凄く迷ってたんだよ。

こんな大きな判断をするのは、子供の私じゃ手に負えないから、だから王様が起きるのを待ってたんだけど⋯子供だからついウッカリ漏らしちゃった!

でも皆のほうが本当の話なら、これは私の思い過ごしだから、言っても大丈夫だよね?」

「⋯それは証拠でも有る話なのかい?」

「今なら有るよ。

でも1人でも教会でそれを確認したら、その証拠は消されるんじゃないかな?

多分街の人間全員を纏めて消すんじゃ無いかと考えてるよ。

だって私はこれが良いこととはとても思えないんだよ。

でも教会の人からしたら、これは平民を助ける為の手段の1つだから、多分この街以外でも同じ設備が有るんじゃないなって思うんだよね。

だからバレたら教会の信用が無くなって困るでしょう?

そうしならない為の口封じなら、仕方がないなって教会の人達は考えるんじゃないかな?

この病の元を売ってお金を稼ぐのも、貧しい人達のご飯を買ったり、そんな人達を助ける人達のご飯のお金に使ってるだけで、贅沢したいからしてる事じゃないんだよ。

でもその病の元のせいで、王様まで昔殺してしまってるせいでバレたら国が怒って戦争になるから、どうしてもバレたくない話になってしまってるんだよ。

この場所にその病の元を作る設備が有るのは、その病が流行ってる事も有るけど、持ち運び易い女性達がその病の元の苗床として利用し易いからなんじゃないかな?

戦士達は重くて運び難いし、その病で亡くなったかどうかは、死体を連れてきた人が話さないと伝わらないでしょう?

それにこんな厄ネタなんて、周りにバレないように限られた人数で回すしかないなら、対応した人達がその話を知らない事も有ると思うんだよ。

直接死体を使って病をつくってる人達は、元々声が出せない人か、制約で縛ってるかは分からないけどそういった人がやってると思うけど。

この街の1番偉い教会の人だけは確実にこの話を知ってると思うよ。」

「⋯なんて事なんだい⋯」

「まさか、そんな⋯」

「嘘よ!絶対にそんな事ありえないんだから!」

「うん。

それは直接教会に行って聞いてみてよ。

子供がこんな事を夢で見たって言ってたけど、そんな事はしてませんよね?ってさ。

それで何も起こら無ければ、私が思い過ごしだったって事になるしね。」

「それでもし、病気が流行ったりなんかしたらどうなっちまうんだい?」

「この病の特徴はしばらく身体が怠くなって、目が黄色くなると高い熱が出て2日で死ぬのが特徴だけど、それは大人の女性の話だから、子供はもっと早くなると思う。

1〜3日元気が無くて、目が黄色になったら1日も保たずに死んじゃうんじゃないかな?」

「駄目だ!

この話は絶対に何処にもしたら駄目な奴だ!

良いかい皆!

誰一人として絶対にどこにも漏らすんじゃないよ!」

「そ、そんな!」

「どうして?!」

「だって教会の人達がそんな事をするはずがっ⋯」

「教会の人達がその病を育てるのも使うのも、全ては平民を守る為に悪い貴族へ向ける為の剣みたいなものだったんだよ。

そして今までずっとそうやって使われ続けて今まで来たから、教会の人達はその病を育てることは何も悪いとおもって無いと思うよ。

でもバレたらマズイのは皆も分かるよね?

だからその話を知ってる人を殺すのに、この街なら不思議に思われずに、その病の元を振りまく事が出来ると思うんだけど。

どう思う?」

『⋯⋯⋯』

「この土地に二度と来れなくなるかも知れないから、アーニャ叔母さんが家族の遺骨を移動さへたいって言ってね。

仕方がないから骨を探しに教会の共同墓地に行ったんだよ。

そしたら何故かアーニャさんの遺骨だけが無くて、魔法で探したら教会の裏手に有る雑木林の裏に小さな祠があって、そこの地面の下にあるって魔法が伝えてくれたんだよ。

だから王様が祠を調べたら細工があって、それを動かしたら地下には部屋があったのね?

部屋には石の棺が10個あって、その部屋の奥には沢山の骨が積み上げられてたの。

アーニャさんの遺骨は、その骨の山の下敷きになってたのを魔法で見つけたのがさっきの出来事なんだよ。


でもこれは王様が教会の偉い人に問いかけるから、そんな事はしてませんよって言って教会は慌てて証拠を消そうとすると思うのね。

だから王様がここに来たとか、その話は本当なの?って誰かが聞いたら危ない事になりかねないから、皆気を付けて欲しいんだよ。

祠を消すだけで終わってくれたら良いんだけど、腹いせに街ごと滅ぼして証拠を消そうとしないかだけが不安だったから、今皆にお話したの。」

『⋯⋯⋯』

「皆が言う通り、教会の人達は皆良い人達だから、何事も無ければ楽しくお付き合い出来る人達だけど、万が一の時は悪い貴族以上に獰猛な魔物になるから、皆は信じすぎないように気をつけてね。」

「まっとくれよ!

もしその万が一が起こったらどうしたら良いんだい。」

「それなんだよ。

1番困るのがそこなんだよね。

でも貴族が教会に突入したら、教会の人達からこの国は神様の敵だ!って言って喧嘩になっちゃうんだよ。

だって教会は世界中の何処でも有るから、色んな所でこの話が漏れたら大変な事になるよね?

貴族だけじゃ無くて平民も敵に回したら教会は終わっちゃうんだよ?

だから教会は王様が転移で自由に行動出来るのを良いことにして、教会を嵌める為の罠を作ったんだ!って神敵にしたら済むと思わない?」

「そんな!嘘の罪を逆に被せるって言うのかい!」

「それって私からしたらもの凄く腹が立つ行動になるんだよ。

否定したくても王様が転移が出来るのも、沢山の骨からアーニャさんの遺骨を探せるのも本当でしょ?

証拠を隠滅させられたあとじゃ幾ら騒いだ所で、王様は濡れ衣をかぶせられて断罪されちゃう事になるんだよ。

皆の笑顔がみたいからって、平民の私にも良くしてくれる良い王様なのに、そんなの悲しいし、悔しいって思わない?!」

「じゃあどうしろって言うんだい?!」

「皆で協力して目が黄色くなって亡くなった娘さん達の親をなるべく沢山探して欲しいの。

へその緒が有れば必ず骨のありかにたどり着けるから、それを平民の皆の前で見つけて教会の人達を逆に断罪して欲しいんだよ。

そして二度とこんな事をしないように皆で教会の人達を叱って欲しいの。

教会の人達は決して悪気がある訳じゃ無いのは知ってるけど、これ以上の罪を重ねないようにしてあげて欲しいんだよ。


でもこれをして良いかは王様にちゃんと聞かないと、教会と拗れたらそれこそウェスタリアから教会が無くなって、世界中の教会と戦争が始まっちゃうんだよね。

そんなこと私だけの判断で出来ないの分かるかな?」

「あぁ⋯そうだね⋯王様でなければきっとそれはとても難しい話になるね⋯」


私がアルフィンに視線を向ければ、この場にいる人達全員がザッと一斉にアルフィンの寝顔に視線を向ける。


「しかもこれには王様だけじゃ無くて、先王様や宰相のお爺ちゃんたちの協力が絶対に必要になるんだよ。

先に言えば必ず止められるから、王様は動くかどうかで凄く悩む事になると思うの。

でも肝心の王様は疲れて倒れちゃったから、もう私の独断でやっちゃおっかな!って、考えてるんだよ。

だって私はまだチビだから、やって良い事と悪い事が分からないお子様だから、そんな判断が出来なくても仕方が無いって思わない?」

「な!アンタっ⋯それじゃ⋯」

「その代わりに私1人じゃ何にも出来ないから、皆に助けて欲しいかな?

その報酬で5級の魔石だけじゃ無くて、あそこに転がってる魔物の魔石を売って、参加者全員の報酬にしたら、良いんじゃ無いかと思うんだけど、どうだろう?

王様じゃ無くても、この街にいる錬成師さんなら多分探せるんじゃ無いかと思うんだけど。

それは男の人達の仕事になるだろうから、皆で街の英雄達に美味し朝ごはんを作ってあげない?

今日中にさっさと悪い人達を潰しちゃえば、街に病気の元をばら撒くなんて出来なくなるよね?」

『ええぇぇぇーーー?!』

「そそそんな事しちまったらアンタっ⋯」

「大丈夫だよ。

私達が暴くのは死体を誤魔化して埋葬してる事を正すだけだから、病の元をそこで育ててるなんてわざわざ言わなくてもいいんだよ。

そうしたら向こうはきっとこう言うんじゃない?

危ない病だから治す事を調べるのに使わせて貰ってる。

でも言えば許可が貰えると思わなくて〜、とかさ?」

「⋯そうかい?」

「最初は本当にそうだったんじゃない?

でも上手く使えば悪い貴族を自然な形で倒せるから、利用出来ると思って段々とお金儲けの仕事になっちゃったんだよ。

他国は知らないけど、ウェスタリアは法律がシッカリしてるから、悪い貴族が居なくて使い道が無くなってたんじゃないのかな?

それでも他国には悪い貴族が居たりするから、細々と作り続けてたのが、権力争いの毒として売れるようになって、次第にお金儲けの道具になっていったんじゃないのかな?


家族かしてみたら許せないかも知れないけど、本人はもう死んじゃってるし、貧しい人達のご飯になると思えば、死んでからも人の役に立つ仕事をしてくれると思えば、死体の人も喜ぶとか考えてるんじゃない?」

「冗談じゃ無いよ!

そんなバカな話があるもんかね!」

「そこは暴いた時の偉い人に話を聞いて見たら良いんだよ。

向こうには向こうの言い分がきっと有ると思うんだよね。」

「あぁ⋯そうかい。

その通りだ。

アンタに怒ったって仕方が無いものね⋯」

「おばさんの身内でも亡くなった娘さんが居るのかな?」

「あぁそうさ。妹も私の娘もその病で死んじまってんだよ。

あたしゃこの目で教会の共同墓地に骨を入れる所をシッカリとこの目で見てるんだ。

粗末な扱いなんざしてたら承知しないよ!」

「うん。でも向こうは別の娘さんの埋葬をする時に、別人の骨を埋葬して骨の処分をしてる可能性が高いから、なるべく沢山の人を調べてみないと、誰の骨があの山の中に有るのかは分からないんだよ。

そこは気をつけてね。」

「っっ⋯!」


女性達の瞳が憤怒にギラつき、苛立ちを必死に堪えてる雰囲気がする。

下手な言い訳をしたら八つ裂きにされそうなぐらいに、噴火寸前の火山みたいで空恐ろしくもあるけど、まぁそうなるわな。


中にはまだ信じられなくて、悔しさに唇を噛み締めてる人もいるけど、声に出して言わない所を見る限り、大分教会への不信感が芽生えて来てる気がする。


「じゃ私は向こうの魔物を捌いて来るから、おばさんにお金と魔石を渡すね。」


黒い扉の周りの魔力を消して、私は魔法の鞄から錬成瓶に入った銀貨と、5級の魔石が入ったものを(いきどお)って仕方が無いおばさんに手渡した。


「確かに受け取ったよ。

数えなくてもいいのかい?」

「そこはハーニャを信用するよ。

そんなケチな真似しなくて私の信用を無くしたり、皆から恨みを買うよりも、誠実で居た方がお得だと思うしね。

それにそんな事をしなくても、多分当分使い切れないぐらいのお金にはなると思うから、大丈夫なんじゃない?」

「全く⋯アンタは人が良いね。

騙されないように気を付けなよ。

(こす)い輩は何処にでも居るからね。」

「はい。おばさん。」


元々が少量しか口にして無かったからか、さっき黒い扉の所で魔力を動かしたら少しコントロールが戻って来ていた。

これなら何とか大雑把な解体ぐらいなら、出来そうな感じがする。


「お母さん。

私はこれからあの魔物の方に行くから、女の子達が寝てる王様にキスしないか見張っててね?

王様には奥さんが5人もいて、子供も孫もいるから、キスなんてしたらその女の子が可哀想な事になるからね。」

『ええぇぇぇぇーーーーー!?』


今日1番の『えぇ!』を貰いながら、私はテクテクと歩いて父の元へ向かって行った。


それから海水を集めて凍らせた台をつくってそこに魔法の水で丸洗いして魔物から軽く砂を落としてから浄化をシッカリと発動させる。

でも余りにも身体が大きくて中までシッカリ浄化できてるかは不安なので、頭をきり落としてから水流操作で血抜きを行い。

その後シッカリ中まで凍らせる。

冷凍殺菌で果たして効果が有るかは謎だけど、まぁやるだけやるしかないよね。


それから頭からツノを切り離して頭をスープにする為に、浄化したプールを鍋の代わりに見立てると、ザックリとぶつ切りにした頭を入れてグツグツと煮込んで行く。


この時点で全員からアルフィンの時よりも野太い『えぇ!』を何度か貰いながら、醤油と砂糖と味醂があればと断腸の思い出歯ぎしりしてたけど、まぁ取り敢えず塩だけは沢山あるので煮込んだ魚の頭に塩を入れてはみたけど魚臭かった。

生姜が欲しい。

せめて匂い消しのネギで良いから、むっちゃ欲しいと心の中で血の涙をながしていたけど。

おばさん達が持って来てくれた野菜の中に、タマの実が何個かあって狂喜乱舞した。


無意識の魔法が発動してジャンプして3回転捻りしたので、我ながらビックリする。

これなら沢山有るよと言われたので、有るだけ欲しいと遠慮の欠片も無くおねだりして、タマの実を半分に割ったものを片っ端からプール鍋にぶち込んで行く。

他にも唐辛子っぽい草もあったので、それもぶち込んでみた。

あんまり辛いとお子様舌に厳しいので、そこは少しづついれておく。


お陰様で匂いが随分とマシな感じで、幼い私には少しだけピリリとするけど、まぁ良しと判断する。

旨味が半端なくて、魚のクセに豚汁みたいな濃厚さがある絶品スープになった。

酸味もほんのりあるから、これにレモンを入れたらトム・ヤム・クンでは?!と、思いながらも、自分の中では満足の行く一品となる。


そして天然解凍していたけど、全く解けてない本体へ意識を向けて凍ったままで腹を裂いて内臓を全て取り出して、砂浜に掘った穴に入れようと思ったけど、余りに胃袋が大きいので、これは何かの素材に使えるかと思って割ったら、中からゴロゴロと溶けかけの3級から4級の魔物と魔石が沢山出てきたからビックリした。

ここでもまた『えぇーー!』を頂きました!


そりゃ30mぐらい有る大きさだから、胃袋1つにしても半端なくデカいんだよ。

これは父に頼んで水洗いして貰いながら、他の内臓もヤバいかも知れないと思って、大型遮光錬成瓶に心臓をいれるだけ入れて、残りは砂の穴に廃棄処分とする。

溶けかけの魔物達はオジサン達にあげて、魔石を抜いたら穴に捨てて貰うように頼んだら、我先にとドクターフィッシュになってた。

喧嘩をしないでねーと、無責任に言い捨ててそのまま放置する。


正直に言えば素材は使い道が定かじゃ無いから何とも言えないけど、アルフィンが起きたら聞いてみて要らんかったら捨てようと思って、一応穴に廃棄したけど砂はまだかけない事にした。


それから半身にしたいんだけど、下においたら砂まみれになるからまあ海水を凍らせてテーブルを作ってたら、小さな虫が集まって来たから、虫は全て浄化して角クジラ鮫の周りを魔力の結界風で覆った。


そして半分に切って中を見てみたら、ピンク色のお肉とか骨とかヤケにキラキラとしてて、肋骨とかもそのままで槍みたいなってたので、欲しい!と相次いでオジサン達がおねだりして来たから、なるべく直線的で良さそうな所の小骨を背骨付近から断ち切って引き抜いたら、受け取ったオジサン達から海に駆け出して行って水洗いしてた。


大きな骨は人間サイズもあるからどうしようも無いので、尻尾を持ち上げて骨を身から抜いたら、父に丸洗いを頼んで後で魔法の鞄に治めると伝えておく。

そしたら骨についた肉が気になったらしく、父がソワソワしてたので抉って取った肉を炙ったら、肉から油がじゅわわ〜と地面に落ちたので、軽く塩を振って味見をさせたら「上手い!」と叫んだせいで、お兄さん達がワラワラと群がってきたから、後は父に任せてスルーする。


てかこれ食べきれない予感がする。

だから半身は悩んだ末に凍らせたまま、布の魔法の鞄に入れておいた。

そのままだと大袋でも入りきらなかったので、真ん中で上下に分けた後で3分割にしたけど、それでも3ブロックが精一杯だったから、大袋を2つも使う事になった。

大袋は戦士達から魔法の水を収集したかったので、あまり使いたく無かったので、これからどうせ教会に行くだろうから、寄付しとけばいいやと投げやりになった。

偉い人は逃げられないけど、下の方は善良な人達だろうしね。

駄目ならマゼラン爺ちゃんのお土産にしようと思う。

爺ちゃんも流石にこんな量は要らんかなぁ?

てかアルフィンが起きないと、届けられないかも知れない。

まぁいいや。


それから残った半身の方に取り掛かる。

部位の味を調べるのに、魔力の腕で体を高く持ち上げてうえから覗き込もうとしたら。


「と、飛んでる!」「スゲェ!」「おおー!」「俺も飛びてぇー!」


と、ギャラリーが騒いでムッチャ恥ずかしかった。

でも仕方が無いので上から真面目に見下ろしてたら、ゴロゴロ⋯と、聞き覚えの有る音か聞こえてきて。


「ご⋯ゴロゴロドンだー!」

「逃げろー!」

『わああぁぁーー!!!』


と、皆がパニックになって大騒ぎだったから、空を見上げたら一部明らかに怪しい黒雲があったので、魔力の手を伸ばして中の魔物を鷲掴みにしてそのまま入り江の外海にどーーん!!!

と、叩きつけてしばらくそのまま漬け込んでおいたら、皆が『え⋯???』ってなった。


ゴロゴロドンはしばらく海の中で放電しながら藻掻いていたけど、大人しくなったから魔力の手で持ち上げてみたら、マンボウみたいに平たい魔物がプラーンと持ち上がったけど、動かないので砂浜に持ってきたら、目玉が飛び出てたから死亡と確認する。

大きいのか小さいのか分からないからなんとも言えないけど、せっかく魔物を解体してたのに、また20 m級の魔物が増えてしまって非常に困った。


また『ええぇぇぇーーー?!』を頂きました。

オプションで『嘘だろう?!』もついてました。

父も唖然としてたけど、どうしようも無いので、また解体を凍らせたテーブルに乗せて、首が何処か分からないまま目のある部分を下から切り込みを入れて水流操作で血抜きをして、砂浜に捨てておく。

アルフィンが素材として持ってたけど、私は要らんしな。

あと錬成瓶ももう空きが無いから、浮かぶ要素が何処に有るかは分からないけど、アルフィンが起きたら渡そうと思う。


ちなみに骨クジラ鮫の魔石は黒魔石だったので、これで8 級以上が確定した。

ゴロゴロドンにはまだ血抜きと冷凍しかしてないので、魔石がどうかは分からない。

てかマンボウて⋯お前竜種とか言って無かったっけ?

お前竜種なのにマンボウなのが。

なんかもの凄く不憫。

あれにどうやって人は襲われててるんだろう。

だって食べようと口を下に向けても、地面にお腹が突っかかると思うのは私だけだろうか?

マンボウの⋯じゃ無かった。

ゴロゴロドンの捕食スタイルが非常に気になるけど、もう死んでるしな!


でもゴロゴロドン。

縦に20m高さ20m弱と大きく見えるけど、身体の厚みが2mも無いんだよ。

だから横にして寝かせたら、座布団になった。

しかもめっちゃ軽いのよ。

コレの素材は私でも欲しいかも知れない。

空とふ座布団が作れそうでワクワクする。

でも空を飛ぶなら縦と横のサイズに違和感を感じるんだけど、目は座布団の両サイドについてるんだよね。

何でヒラメ方式じゃ無いのかな?

ヒラメの目は上についてるけど、下につけたら丁度良さそうなのにね?

不思議な生態してるなぁ〜と、少しソワソワする。

まぁいいや。


皆ゴロゴロドンの周りに集まって、つついたり触ったりとふれあいパークしてた。

聞こえてきた感想からすれば、ブニョブニョしてるらしい。

⋯ブニョブニョって何だろう。

くそ!料理してなきゃ見に行くのに!


私は断腸の思いでまた少し高く上がると、上から見下ろして白い油の部分を大型透明錬成瓶でこそげ取るようにして5個ぐらい保存すると、次は油と肉の境目辺りに注目して、薄いピンク色になってる赤身の部分を魔力の手で抉って持って来る。

皆がゴロゴロドンに注目してるから、塩をちょっと振って口に入れたらスルリと油が溶けちゃった。

これはヤバいかも知れない。

油の塊みたいな感じなのに、魚の臭みが殆ど無くて、ふんわりと旨味が口にいっぱいに広がって行く。

上手い!

なんてもんじゃ無かった。

これはヤバい!だったよ。

たぶん炙ったら無くなる奴だ!

ピコンとヒラメキが走る。

ハッとした私は、これを使ってラーメンモドキを作る決意をする。


つまり背脂にしちゃえば良いんだよ!


生食厳禁の世界だし虫のヤバさが半端なくヤバいから、簡単に取れる魚じゃ無いけど。

やっぱりこの美味しい部分は、殆ど捨てなくてはならない。

だけど天ぷらにしたり、ほんの軽くあぶって背脂にするのはやっぱり駄目?

くうう⋯もったいないよう!

卵が無いけど、麦粉を溶かして天ぷらチャレンジをしてみよあかなぁ?

ラーメンモドキは確定ね!


私には中華麺を作る知識が無いんだよ!!!

何故覚えてないの!

ホント辛い⋯。

卵が無いから下手したらラーメンモドキじゃ無くて、塩うどんになりそう。

胡椒も無いしそっちになるのかなぁ~。

トホホ。

アルフィン!

アルフィンさえ起きててくれたら、ウチの卵が使えたのにぃ!


私は心の中だけでハンカチを噛んでキィィってしてるイメージで血の涙を流した。

角クジラ鮫はレアな魔物だから沖まで行かないといなさそうだと思えば、チルド室の魔法の鞄が欲しくて仕方が無かった。

だから未練がましくも錬成瓶に詰められるだけつめとく。

もうこれ以上瓶を増やしても管理しきれないしな。

と、黄昏ながらも麦粉に魔法の水と塩を少し入れて魔力の手をオートにした状態で捏ね続けさせとく。

ある物を使って美味しく食べるしかないのよね!


黄色いトマトみたいなトトがあったので、湯剥きしたものを甘い粉を入れてオートマで弱火に煮込むイメージで放置しておいて水分をとばす。

芋みたいなベルチも水洗いして圧力鍋で少しだけ加熱してから、全て皮付きのまま短冊切りにして、角クジラ鮫の油を加熱したモノに全て投入する。


浮いてきたものは魔力の手を網にして、網籠にしてる魔力の手に入れて塩を振って油切りをしてから、テーブルの上に置いてくれてる木皿にドンドン乗せて行った。

油を取るキッチングペーパーが無いからベタッとするかなぁ?と思いながらもホクホクのそれを1本だけ味見したけど、湯がいて置いたからちゃんと中でホクホクのフライドポテトになってる。

後は他のベルチも同じようにしてサッサと揚げていく。

それから赤身の部分も少し塩を振って味見をしたら、コクのある旨味がギュッと濃縮された良い赤身の肉だったので、小さく切って軽く炙ってから味見をしてみると、臭みが無いから柔らかい牛肉みたいな食感になってて驚いた。


あれ?魚だよね?牛?!

コクのある油や食感が特上肉のステーキみたいだったんだよ。

今度は中までシッカリと加熱すると、紛れも無く牛肉に変身したから小さく唸った。

角クジラ鮫を狩りに沖に行きたくなってくる。


でも頭はあんなに魚臭かったのに、中身は全然違うのがもの凄く不思議な気分になる。

でも油はやはり少し魚っぽい匂いが有るから、匂いが少なくなるのはピンク色の所から中心部にかけてそうなるみたいだ。

そりゃ骨にこびりついてるお肉が美味しい訳だよと、未だに骨を舐める勢いのお兄さん集団を横目に納得する。

もう加熱すら忘れて新手のペロペロキャンディを舐めるみたくなってるしな。

父がそれを見つけたら注意してるけど、一心不乱で麻薬中毒患者みたくなってるから、あちこちが同じ事になるもんで、業を煮やした父が骨を水で手が届かない所まで持ち上げたせいで、阿鼻叫喚の大騒ぎになってる。


根性でぶら下がった状態の子もいるから、迂闊に持ち上げられなくて父が途方にくれていた。

流石14歳以下の食べ盛り!

食への執念がマジパネェっすわ。


「お父さん、海に落としたら良いよ。浅いから立てば足がつくから溺れないよ。」

「そ、そうか!」

『わあぁぁーー!!!』


ドボンドボンと、水深50cmしか無い浅い海へとボロボロ落ちて行く。

3mの高さから落ちてるけど、下は砂地だし足から落ちてるから、まぁ大丈夫だろ。

「しょっぺえ!」「から!」「ゲホゲホ!」「何だこの水!」


あっちこっちで大騒ぎになったけど、こっちは揚げ物してるから目が離せないのよ。


私は次次とベルチを揚げていくと、その横でフライパンに赤身のステーキを焼いていく。

肉の厚みを整えてオートマで出来るように半生をイメージして加熱した時間を元に、ステーキを量産して行った。

途中で手を加えなくて済むように、3分片面を焼いたらひっくり返して3分焼くのを繰り返しておく。

形を均一にしたステーキは、塩で下味をつけて焼いてるので、途中で味を見る必要が無いからお手軽だった。

どうせ生でも食べられるし、柔らかいお肉だから6分経った肉はドンドン木皿に積み上げて行けば、あとは余熱で火が通ると思って放置する。


はぁ⋯塩が足らん。

浜辺は料理やお兄さん達で海水が汚れてるので、この辺りの水を使うには心理的に抵抗があったので、オートマで出来る料理以外は一度止めて、魔力の手を足に変えて1歩歩いた所で入り江の出入り口前に来た。

でももう転びそうだったので、そこから身体に魔力をまとって海に直接ダイブする。


そして水の力を利用して沖の方に向かい、その辺りの海水を浄化した後で味見してミンチ味になって無いことを確認してから、海水用の魔法の鞄に取り込み満水にした所で、また入り江に向かって水流操作で戻っていく。


海の中だともの凄く早く移動出来るから、もしアルフィンが起きなかったら海を経由して河を逆に辿れば村に帰れるんじゃないかと思いついたけど、西の辺境から村に帰るのと南の海辺から河をのぼって帰るのとどっちが効率が良いのか分からないし、村に続く河がどれか分からないから、地理が分からないからこの案は結局使えない事が判明した。

ワックスさんに聞いたら分かるかな?

でも彼だって村に続く川がどれかなんて知らないよね。


竹馬歩行は怖かったから、今度から沖に出る時はこの方法で行けば良いやと、新しい水泳方法を見つけて私は一旦満足しておく。

やっぱり過保護は駄目なんだよ。

シアはそれを知ってたから、神様をぶっ千切ってたんだね。

それで向こうが悲しむから、罪悪感を捨てるのに記憶を消しちゃったのか。

相当ウザかったんだろうな。

まぁ魔法生物の方は長年続いてた片思いが晴れて叶うから、今頃2人は名実共にラブラブしてるんじゃね?


持ち直してまだラブラブしてたいなら、私は星の運営の仕方を教えて貰って他所の星に新しく神様候補を連れて旅立てば良いしね!

別にアルフィンが来なくても、姉とか兄とか両親を連れて家族経営で星の運営に行っても良いしな!

何ならお嬢さんやギルバートさんも連れて行こう!

あくまでも神様になって遊びたい人達だけを連れて行けば良いから、そこは本人にちゃんと確認するよ?


それには私がみんなが乗れる宇宙船を作らなくっちゃね!

食べ物を沢山詰める魔法の鞄も必要だし、何なら宇宙船の中で食べ物も栽培しなくちゃだし。

それには沢山この星で色んな勉強して、美味しいものを見つけなきゃダメだから、私は自由に動けるようにならないと駄目だね!


あぁ⋯だからあの時私は神様を呼び出したのか。

私がこれまでずっとこの星で経験して来て、改善したかった事をようやく見つけられたのね?

あとはアルフィンをちゃんと自分の家族の所に戻してあげれば、任務は完了かな?

元気草があればアルフィンも人間に戻れそうだしね!


家族をアルフィンの代わりにするのは私がリリアナだからこそ思いついた事だと思うけど、他は何処まで私が思いついたのか、それとも過去に学んで心のメモに残していた記憶を思い出したのかが分からないのが少しだけモヤモヤするけど、これが本当に正解かなんてきっとリリアナの人生では分からないんだろうな。


一度きりしか無い人生だから、そんなつまらない事なんて気にしないで、精一杯冒険しなくちゃね!

誰だってきっとこうして記憶を無くして転生を繰り返してるんだろうから、空に上がって全部を思い出したら悶絶しちゃうのかも?


まぁこんな先の話なんてどうでも良いのよ。

そもそも候補生なだけで、本物の神様になれるかはリリアナの人生をちゃんと生き抜かないと分からないんだもん。

途中で失敗してプチられたら、家族の神様化計画も破綻しちゃうしね。

あの神様がどこまで星を破壊せずに居てくれるか分からないけど、リリアナの人生が失敗したら下手したら星が壊滅の危機になるから、しっかり着実に進まなくっちゃ。


「もー!

今度は料理を放ったらかして何処を彷徨いてたの?!」

「あっ、お姉ちゃん!

果物は持って帰って来てくれた?」

「それよりも今度は何をしてたのよ!」

「お塩が足りなくて沖で作りに行ってたんだよ。

このあたりはお兄さん達が泳いでたり、魔物のお肉が散らばってて汚くて嫌だったの。」

「そんなの浄化すれば一発じゃ無い!

でもまぁ⋯そうね。

私でもそうするかもしれないわね。」

「でっしょ〜!

やっぱり綺麗な所の塩の方が食べても気持ち良いもんね!

それじゃお姉ちゃん、岩の魔物と果物を出してよ。

味見してソースにするか確かめるから!

カニは採れたての塩で塩ゆでにしちゃうね!」

「かに?岩の魔物のことね?

もう面倒だからカニにしちゃいましょう!

ちゃんとした名前がまだついて無かったんでしょう?」

「うん。アルフィンが知らなかったから、ウェスタリアでは初めての魔物なんだと思うけど、他所の地方で居るかは分からないよ?」

「良いじゃない。

その時はまた覚え直しても良いし、ウェスタリア産はカニって呼べば区別もつくでしょ?」

「そうだね!

じゃあ岩ガニにしよう!

小川にも似たのが居るから、岩のカニでイワガニ!」

「そんなのいた?

ひょっとして川虫の事を言ってるのかしら?」

「⋯川虫って言うんだ、アレ。」

「虫ってつくとイヤな気持ちになるから、私は今度から川ガニって呼ぼうかしら?」

「私もそれが良いなぁ〜」

「じゃあ勉強してて本当の名前を見つけるまでは川ガニね!」

「うん!」


姉が兄達と採って来てくれたのは、見た目は完全にバナナだけど、甘いマンゴーみたいなネットリとした果物と、見た目はザクロだけどちゃんともの凄く甘いオレンジだった!

これだよ!

私はこのオレンジを探してたんだよ!!!

また嬉しくて空中3回転横捻りジャンプして思いっ切り喜んだ。


「ビックリした。

アンタなに川ガニみたいに跳ねてんのよ。」

「果物が甘くて嬉しかったの!」

「ふぅん?まぁ美味しかったから採って来たんだけど、それ痺れから食べ過ぎに気を付けなさいよ。

浄化して食べないとロベルトが動けなくなってビックリしたのよね。

でも味が良いから卵みたいに浄化すれば食べられると思って取ってたのよ。」

「野生って怖いね。」

「だからウチでしか食べられない果物になっちゃうわね。」

「こっちの黄色い棒の果実は何も無かったのにね?」

「ロベルトが下痢をしてたから、食べ過ぎたらお腹を壊すみたいよ。」

「お兄ちゃん、身体を張ってるなぁ⋯」

「意地汚いだけじゃ無い。

マルセロは少し食べてちゃんと様子を見てるわよ。

私だってロベルトが変な事になるか確認するまで食べないもの。」

「お姉ちゃん、それって人体実験って言うやつかも。」

「何よそれ。」

「人の身体を使って確認するやつだよ。」

「でも仕方が無いのよ。

私しか治癒も浄化も出来ないじゃない。」

「あ、うん!

お姉ちゃんは何も間違って無かったや。

ロベルト兄ちゃんはきっと強く育つよ!」

「アイツも早く浄化や治癒を覚えないかしら。

美味い美味いって食べるから、我慢するのも大変なのよ?」


アーニャ叔母さんが横で私達の話を聞いて遠い目をしてた。

危機管理が抜群な叔母さんからしたら、姉達の行動が危なっかしくて仕方が無かったんだろう。

さもありなん。

むしろ20歳までに死ぬ戦士の死因て、コレなんじゃない?

お兄ちゃんはお姉ちゃんが側についてて本当によかったよ。


まぁ甘い物と酸っぱいものを探してって頼んたのは私だしね。

兄弟達が危なかったのは私のせいだった。

今度から指示する時はちゃんと気をつけようと思う。


「あとこれが悩んだけど、甘い粉を足したら美味しくなるかも知れないと思って一応採って来たのよ。」


そう言って姉が採って来た果実はライチみたいに5cmの大きさに産毛が生えてる果物だった。

割ってみたら果汁がボトボトと溢れ出したので、ペロリと舐めたら私の目が思いっ切り輝く。

見た目はらライチだけど、味がココアだったんだよ!

少し苦味はあるけど、香りが正にチョコレートだった。

コクのある旨味とほんのりとした酸味と甘みが、めちゃくちゃくせになりそうで、姉は悩んで持ち帰って来てくれたんだろう。

中には種が入ってて殆ど実は食べる場所は無いけど、これは是非とも大量に栽培せねばと使命感に胸を熱くする。

てか本当に身体がポカポカして来た。

どうやらこのクッソ暑いにも関わらず、温暖効果もあるらしい。

恐らく香りと味に惹かれて食べた獲物を熱中症にでもさせたいんだろうか?

そんな訳ないわな。

だって種を運んで貰わないといけないんだもん。


それよりもこのポカポカ効果は、果汁にアルコール成分が含まれてるのかも知れない。

これはお酒になる果物なんだろうか?

匂いがチョコレートだけど、それってどうなの?

まぁ好きな人は好きなのかもね?


「お姉ちゃん!

この果物は大当たりだよ!

流石お姉ちゃんだね!

天才かも!」

「見つけたのはロベルトだから、ロベルトに言いなさいよ。

私は毛が生えてて気持ち悪かったから、反対したんだもの。」

「ロベ兄ちゃんは食べ物を探す天才だったんだ!」

「だから食い意地が張ってるだけじゃない。

下手に持ち上げたら調子に乗って危ないから、やめときなさいよ。」

「はい。お姉ちゃん。」


珍しく常識的で諭す様な柔らか猫パンチだったので、私も素直に返事を返す。

すると姉は得意げに笑みを深めると。


「そしてこれが本物の大当たりよ!」

「ふおぉぉぉーーー!」


じじゃーん!と効果音が付きそうな雰囲気を滲ませて、魔法の鞄から取り出されたのは、すいかサイズのマクスメロンだった。

そりゃ興奮するよ!

だってメロンだよ!

しかも姉が自信を持ってだした果物なら、とてつもなく美味しいに決まってるよね!


「なにこれ!」

「ウフフ⋯採るのがもの凄く大変だったのよ。

沢山針みたいなトゲトゲの中に、守られるみたいにこの実が実ってたの。

周りには沢山の虫がいて、本当に辛かったわ。」

「凄い!お姉ちゃんそれはもの凄く嫌だったね!」

「そうなのよ。

だから浄化で吹き飛ばしてやったのよ。

だから5級の魔石を使い切っちゃったのよね。」

「つまり金板1枚の果物なんだね!」

「元々使ってたから金板までは行かないと思うけど、少なくても金貨は使ってるわね。

でもね?

それでこの実が沢山取れたの!

13個もあったのよ!

でもリリアナが全部採ったら生えなくなるって言うから、我慢して1つ残して来たわよ!」

「そ、そうなんだ。

たった1つしか残さなくて大丈夫かなぁ?」

「仕方が無いじゃない!

味見したらもの凄く美味しかったのよ!」

「そっか⋯それは仕方が無かったんだね。

でも珍しい植物ならもう少し残しておこうね?」

「⋯そうね。採れなくなったら困るわね。

そうだ!

アンタがこれを育てて増やせば良いじゃない!」

「虫が毎日沢山あつまって来そうで嫌かも。」

「瓶の中で育てたら良いでしょ!」

「お姉ちゃん、木の入る錬成瓶なんて無いんだけど⋯」

「⋯そうね。

錬成箱でも全然足らないわね。

困ったわ⋯どうしましょう。」

「此処で育てるのは嫌だから、もうちょっと東に寄った所に果樹園みたいに美味しい果物を集めて試しに育ててみようか?

私もそのトゲトゲのある木を今度見せてよ。

地面とか周りの環境を調べて置かないと、育てるのは難しそうだもんね。」

「なによ!

錬成瓶が無くても育てられるんじゃない!」

「どうだろう?

試してみるしかないから、育てるって言うよりも殆ど放置になるから、ちゃんと育ってくれるかは分からないよ?

だから実は1つ丸ごと残して置こうよ。

種だけだと育たないかも知れないしね。」

「え?!

1つ無駄にしちゃうの?!」

「でも成功したらもっと沢山増えるよ?」

「⋯そうね。なら後で連れて行ってあげるわね。」


でも実の大きさが、直径60cmぐらいあるせいで、直径50cmの大型錬成瓶でも入らなかったのだ。

だから闇のカーテンで光を遮って、毎日入れ替えしてる透明錬成箱の方に実を浄化して入れておいた。


「何だか甘い匂いが水につきそうよね。」

「良い匂いだなら少しなら良いんじゃない?

少し魔力が下がっちゃうかも知れないかな。

まぁ1日ぐらいなら平気だろうけど魔石もいれとくかな。」


4級の魔石を瓶から出して、浄化した後に割ってから中に放り込んでおいた。

一応4級の魔石は小金貨1枚なんだけど、もうアホほど取れるし、今の所使い勝手が悪くて溜まる一方だから、つい扱いが雑になってしまう。

そう言うのは母も煩いし、気をつけようとは思うんだけど、中々難しいよね。

だってメロンなんだもん!


まだ味は見てないけど、大当たりのメロンなら7級の魔石でも必要だったら使っちゃうぞ!

過剰だと思うからしないだけなんだよ。

だって南は魔力が北より低いはずなんだよね。

魔力=甘味の説が有るなら、コレラの甘味はひょっとしたらゴロゴロドンの雨のお陰なのかな?

それを考えると迂闊にゴロゴロドンを狩るのは考えなくちゃ駄目よね。

そのうちゴロゴロドンも養殖の時代がやってくるかも知れないね!


そして期待に胸を膨らませてスイカサイズのマスクメロンを割ってみたら、濃厚な甘い香りがあまりに漂ったから、人が沢山ワラワラと集まってきた。

あれだけアルフィンの周りにいた女性達も全員こっちに流れて着てて、アルフィンがボッチになってたのが超ウケる。

まあアルフィンも展示物になるのは嫌だろうから良いんじゃね?


そしてマスクメロンは、実は割って見て分かったけどアボカドスタイルだった。

中央に大きくて茶色の種が有るんだよ。

だからスパンと切っちゃったもんで、種が台無しになっちゃった。

オートマの包丁はこれが有るから難しいんだよね。

でも大きくて私の力じゃ切れなさそうだったのよ。

次からは気をつけようと思う。

とか言ってる場合じゃ無かった。


だって種の中にタピオカみたいな小さくて白い粒が沢山入ってたんだけど、切れたせいでその白い粒から切れた蜘蛛がポロリと⋯。


『ぎょえええーーー?!』


もう阿鼻叫喚の地獄絵図。

コレッて果実じゃ無くて虫の卵だったの?!

じゃあ匂いで集まってた虫は、蜘蛛が孵った時の餌ってこと?!

ぎょひえええーーー!?

れれれれれれんせい箱に入れちゃってる!

入れちゃってるよ!

しかも魔石まで入れて、入れちゃってるからあぁぁー!!!


姉も私も顔面が蒼白になってるし、私達をワクワクして取り囲んでた女子達全員が、物理的に後退しようとしてドミノ倒しになってる。


てか私も逃げたい!

一刻も早く遠くに逃げ出したい!!!

でも怖くて身体が動かないのおぉぉぉー!!!


「じ⋯浄化!!!」


パアァァ⋯とレモン色に光ったら白い粒が全部綺麗に消えて行った。

姉が浄化してくれたお陰で、取り敢えず目の前の脅威は消え去った。

姉がハァハァと肩で息をさせながら、据わった瞳をギラギラとさせて私を見つめている。


「変ね。

私はちゃんと浄化してたのに、中にまで虫が入ってるなんて。

でももう大丈夫よ。

虫なんてどうってこと無いのよ。」

「お、おねぇちゃん?

あの、これ果実じゃなくて⋯虫の卵⋯」

「さぁ!

すっごく美味しいのよリリアナ!

アンタも食べたいでしょう?!」

「おおおおお姉ちゃん?!」

「アンタが甘い果実を採って来いって言ったんでしょうが!

責任取ってちゃんと食べなさいよ!」

「ふへ?!」

「だってまだあと12個も有るのよ!

他所に虫なんて持ち込んだら駄目ってアンタ言ってたわよね?!

だったら全部私達が食べなきゃいけなくなるじゃない!!!」

「うえぇぇーーー!

そんな!

捨てたら良いじゃ⋯」

「すっごく大変だったのよ!

トゲトゲが刺さると痛くて、もの凄く頑張って採って来たのよ!

トゲなんて燃やしたかったけど、燃やしたら果実まで燃えちゃうから治癒しながら頑張って採って来たのよ!」

「はわわわ⋯」

「さぁ食べなさいリリアナ!

食わず嫌いは許さないからね!!!」


ででででたーーーーー!!!

久しぶりに何時もの理不尽アタックして来やがった!

でも虫だから!

虫の卵でそれすんのは流石にハードルが高いっすわ!!!

しかも治癒までして採って来たとか、どんだけ強欲な上にど根性を発動してんだよ!

普通ならやめるだろ!

完全に欲に溺れちまってるじゃねぇか!!!

ぎゃあーーーーー!!!


ハワハワとしてたら口の中に姉が摘んで抉った実を突っ込まれてしまった。

途端に広がる濃厚な甘いメロンの香りに、口の中いっぱいにひろがる幸せの甘味なのに、なぜだろうか。

私の目から涙が止まらないのだ。


まだあの光景を見る前なら、きっと有頂天になって食べてただろうし、食べてからアレに気付いても、この味に惹かれて我慢して食べてたかも知れないけど。

でも違うから!

まだ心の準備が全然出来て無くて、この素晴らしい香りも甘味も全部が拷問でしか無くなっちゃってるんだよ!

生ぬるい食感に余ったるい味がもう最悪なんだよ!

せめて、せめて私にコレを冷やさせて欲しかった!

っていうか、無理やり口の中に突っ込んで欲しく無かったのに!


⋯⋯でも美味しい。

虫のクセに生意気な。

前世のメロンよりも灰汁が無くてピリピリしないし、スッと甘みが消えたら爽やかな香りがふんわりと何時までも鼻を幸せにしてくれてるから、この果実はとても素晴らしいと思う。

だからもう種は消滅させちゃえばいいんだよ。

栽培はかなり悩むけど、兄達が取ってくる分には良いんじゃないかな?

どうせ種だけ植えて放置する予定だったしさ!


「⋯美味しい⋯でも冷やした方がもっと美味しいかも。」

「でしょう!

味を知ったら止まらないのよ!」


そう言って姉は果実の緑色実を指で抉って次から次へと口の中に入れてるけど、目が笑ってないからもの凄くヤバい人にしか見えないんだよ。

ねぇ、この実って本当に大丈夫なのかな?

私、心から拒否してるのに、魔力の手が伸びて少しだけ冷やした所を抉って口に運んで来てるんだけど?!

ねぇ!

コレッてちょっとヤバいんじゃないの???

思ってる事と行動が全然違ってて、もの凄い違和感を感じちゃうんだけど?!


だから周りにいた女性達も、ゴクリと唾を飲み込んで、恐る恐ると指先を伸ばして来たから、私と姉が2人して集まってる人達全員を浄化させた。

するとあれだけ魔力の手が伸びてたのが、突然ピタリと止まったんだが?!


「お姉ちゃん!」

「コレッヤバいヤツだったのね?!

でも浄化したら治るんなら別に良いわよね!」


私はアボカドスタイルのメロンを見下ろす。

さっきまで思ってた事と行動が違ってたのに、今なら我慢しようと思えばちゃんと我慢出来てるんだよ。

だから実を浄化さえすれば良いと言うのは、あながち間違って無いのかも知れない。


「お姉ちゃん。

私も浄化したらイケる気がする。

でも始めて食べるから、もうこの辺で止めて様子をみようと思うの。

大丈夫そうなら、また食べる事にするよ。」

「⋯そうね。

私もこの辺でやめておくべきね。」


でもまだ半分は手つかずで残ってるし、浄化した人達は片隅を飲んで私達をジーーーーっと見つめてるんだよ。


「まだ始めての果実だから、もの凄く美味しいんだけど、食べるのは止めた方が良いと思うのね?

でももし食べたいんなら、そこはもう自己責任でお願いします。」


そう言って少し冷やしたメロンをおばさんに進呈すると。


「それなら大人で食べたいもんだけ試せば良いね。」

『えええぇぇーーー!!!』

「大人が大丈夫ならまた食べさせて貰えるだろうから、我慢するんだよ!」

「だって!そこの2人も子供じゃない!

そんなのってズルいわ!」

「私はおばさんの意見が正しいと思うけど、意地悪がしたい訳じゃないから、そこは親に言ってよ。

私達は食べて貰った方がたすかるんだよね。

そこの所は誤解しないで貰えるかな?」

『うう⋯お母さーーん!!!』


そして始まるおねだり大会。

勿論許す親がいるはずも無く、大号泣する子供を置いて、試食タイムに入った女性達にメロンを明け渡した。


子供の怨嗟の声にものともせずに、味に感動して美味しいを連呼しながら泣く人や、真面目に毒味してる顔をして、次次と手を伸ばしてる人や、団子になって奪い合う様にしてあっという間にペラペラの薄皮1枚だけが残されて終わった。

何ならその皮すら齧った跡やら、汁だけ吸って吐き捨てて地面に皮の残骸が落ちてたから、穴を掘ってそこに捨てるように言いつけておく。


あんなに綺麗だった砂浜がもう見る影も無く荒らされてしまつまてるから、アルフィンが寝たままで居てくれて本当に良かったよ。

皆もアルフィンが寝てるから気楽に居られるのかも知れないね。


居たらいたで便利なんだけど、要るか要らないかで言えばいなくても平気だから、要らないんだよね。


こんなだから神様は拗らせたんだろうなぁ〜。

やっぱり私のせいだった!

まぁアルフィンはあんな風にならないように、頑張って躾けてたまには優しくしてあげようと思う。

でもストーカーだからなぁ。

距離を思いっ切り置かないとヤバいけど、露骨にすると執着しそうで逆効果になりそうだから、適度に離れられるように考えて付き合わないといけないたか、クッソ面倒臭ぇ。

やっぱりアイツ要らないわ!


それなのに好きとかもう終わってねぇか?

まぁ程々で頑張ろう〜っと。

この好きは神様パワーのせいかも知れないしね!


「ねぇ〜もう無いのかしら〜?お母さん。もっと食べたいわぁ~!

ジーニスも食べたいみたいよ〜」

『お母さん!!!』


ヤベェ!

我が家で誰よりもお子様な母をスッカリ忘れてた。

あのスイカメロン見たいなご立派をたゆんたゆんさせて、ジーニスに指をチュパチュパとさせておねだり笑顔で発注注文するそのバカさ加減に、私や姉の額に青筋が浮かんだ。

よりにも寄ってジーニスに食べさせるとか、何やってくれてんの?!

私もあんまり変わらないかも知れないけど、本物の赤ん坊はマズイだろ!


「お姉ちゃん!」

「任せなさい!」


姉が速攻で浄化を発動すると、母からジーニスを即座に奪い取った。


「あら、カタリナ。

何時も悪いわねぇ〜」


でも母は楽になったと言わんばかりに良い笑顔を咲かせてる。

その眩しいばかりの美貌と笑顔に、何人かのオジサンが視線を奪われたもんだから、ヤバい。

今はまだ父は少年達に翻弄されてるけど、この状況に気付いたらクッソ荒れる。

だって自宅に避難が出来ない状態になってるんだよ。

じゃあどうしたら⋯。


回せ回せ回せ!

考えろ考えろ考えろ!

そうだ!

アレだよアレ!

アレが有るじゃない!

よし!もし父が荒れそうになったら、アーニャ叔母さんの家をこのに建てちゃえばいいんだよ。

そしたら母を連れて父が避難出来るよね!

家族会議的な題目でそうすれば、ジーニスと母を寝室に追いやっちゃえば父は絶対に落ち着くと思う!


てか今更なんだけど、父も束縛系の監禁野郎じゃね?

母は何にも気にして無いから上手く行ってるだけで、実は大人しい顔をして穏やかで優しいヤツが1番ヤバいヤツのパターンだったりするのかな?!

ちょっとこれには気付きたく無かったぞ?!

私の理想の男性像にいま確実にヒビが入った気がするんだが?


え、これってどうなの?!

浮気野郎もムカつくけど、その対比が束縛系監禁野郎になるって、極端過ぎやしない?!

真ん中で良いんだよ?!

普通な感じで1人の時間も大切に出来て、2人の時間も楽しめる人が良いよね?

もー私に恋愛なんて無理だから!

子供だから良く分かんなくなっちゃった!

何処かに見本で居てくれる素敵な男性は居ないかなぁ⋯。


浜辺には肉に夢中な食欲が服を着てるような若い男性達と、女性達が薄着なのに気付いてチラチラ見ては鼻息の荒い性欲しか頭に無さそうなド助平野獣野郎共と、唯一子供に気を取られてる子煩悩そうなマトモな男性に見える父が、実は束縛系監禁と言うかなり嫉妬深い裏表野郎だったとは、もう何を信じて良いのか分からなくなる。


私はまだ2歳なのには早くも男性陣に失望して期待が持てなくなってしまった。

貴族は貴族で面倒そう?

いやまて、ギルバートさんは?!

プライドがクッソ高いから、そう言えばお嬢さんとマウントの取り扱いしてたような⋯。

しかも私より美人て、それはそれでなんて言うか⋯微妙?


カルマンさんは、あれは単にアホなだけだしなぁ。

どうか息子さんと末永く仲良くやってくれて良いよ。

アルフィンに対してのやらかしが酷すぎて、未だにムカついてるんだよね。

しかも未だに1番デカいやらかしに、気付いて無さそうだしなぁ。

そこは恋愛のせいって言えば、仕方が無い面が有るから許容してるだけなんだよ。

本人は丸っきり悪意がゼロだからね。

アルフィンは恋愛を知らないから、許せなくて裏切られた事を根に持ってるんだろうけど、大人だから表面的には見せてないんだよ。

そのせいで未だに傷ついてるから、色んな意味で可哀想ってなって、私が不憫に感じるんだよね。


アイツも恋愛が無理なタイプだしな。

教育のせいで父親や息子が仮想敵扱いしなくちゃいけないし、弟はバカ丸出しだし。

かと言って女性達は欲望を剥き出しにしてくるから、人間不信が酷くなるんだよ。

そんなヤツが恋愛なんて出来るはずが無いから、淋しくて私なんかに縋っちゃうんだろうけど。

私も恋愛が無理なタイプだから、欲求不満になって更に歪むんだろうね。

そんなだから私は余計に近付きたくなくなると言う。

あぁ矛盾。

世は無常なりけり。


まぁ良いや。

私はお一人様で冒険を楽しもう。

うん。それが良いね!

私は自由に生きるのだ!



リリアナ式神様計画 未来予想図

ジギタス 弓神

マゼラン 美食神

エリザベス 商の女神

マドルス 友好と芸の神

母 忘却と慈愛の女神

父 豊穣神

姉 正義と教育の女神

ロベルト 規格に価せず現在保留中

マルセロ 好奇心と知識の神 候補生

セフメト 旅人の神

アルフィン 魔技魔導神

リリアナ 創造神の端末 知恵と情報の女神


適当なので今後は変わったりして(笑)

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