33
ピタゴラと家族会議
夜の21時ぐらいに会議したから翌朝は皆んな目がショボショボしてた。
興奮して寝つきが悪かったんだと思う。
最近の何時も通りにロベルトが私を抱っこしてくれて、錬成瓶や錬成箱を回収して回ってる間に、使用済みの藁をカタリナやマルセロが干してくれてる。
使用済み錬成瓶は私がさっき籠のなかに入ってたのは浄化した。
慣れてきたから鐘半分ぐらいで作業は終わってる。
錬成瓶増やしても良さそう。
朝ごはんの時に提案してみようと思う。
それにしてもヤマは緑色の蕪ボディな人参なんだけど、遮光錬成瓶に入ってるのよ。
葉っぱに月の光を浴びせる為に外に出しておいたけど⋯スッカリ葉っぱがピンとしてて、瓶から出してみても蕪みたいな丸いボディのシワも消えてツヤツヤしてる。
月の光の水がというより、水分を吸ったからこうなったのか。
ちょっと判断が難しいけど、裏庭のヤマよりも葉の元気は良さそう。
でも日の当たる植物だから土の栄誉も必要だと思うんだよね。
リンとかカルシウムだっけ?もう全然分かんない。
家庭菜園やら農家とは縁が遠かったんだろう。
ただ卵の殻を植木鉢に乗せてるのを見たことがある。
都市伝説かは分からないけど、昔のお墓に火の玉が現れる現象の理由って、土葬が普通だったからリンが悪さしてたせいとか言うし、だったら卵の殻じゃ無くてもノインでもピノでも骨を砕いて、月の光の水の中に入れたらヤマの栄養にならないかな?
骨ってリンが多く含まれる所らしいし、ついでにカルシウムも含まれてるしさ。
でも食物に骨って、気分的に嫌かなぁ⋯。
そうだ!腐葉土をろ過したのを入れてみる?
透過させる必要がないなら、泥水でも良いわけだし。
一応しばらくはこのスタイルで育成して、痩せて来るならそうしようかときめておく。
でも出荷された野菜だから、育て過ぎたら食べ頃を逃して開花しそう。
上の葉の部分が育ったらヤマみたいな根野菜は美味しくなくなりそうな予感がする。
ラグはどうかな。
紫キャベツみたいな色したほうれん草。
こちらも葉っぱに元気が戻ってる。水気が足りたらしい。
紫色の葉の長さは15cmぐらいかな。
つまり月の光の関連性はまだ分からないけど、両方とも保水してあげたら、鮮度が戻るのが分かった。
花を枯らした魔力草みたいな復活劇だね。
これらの瓶が10本。
兄弟に手伝って貰って屋内に持ち込んだ。
どうせピノの餌だから手間を考えて土間に並べて置く。
「あら?どうしたのコレ〜?」
「あ、お母さん。これ実験用に買って来て貰った野菜だよ。」
「えー?ヤマなら裏にあるじゃない〜!」
「腐る前の悪くなる寸前のが欲しかったんだよ。
野菜の強化実験だから。」
「え〜?!
こんなに葉っぱがピンピンしてるのに〜?」
「昨日の夜までは萎れてたよ。ヤマの根っ子も少し長細くなっててシワがあったし。
月の光のお水に一晩つけてたら、朝になったらこうだったの。」
「わぁ~!それなら悪い野菜を値切って買えるからお得じゃない〜!」
「後は明日どうなるかを見るつもりだよ。ヤマは根っ子が小さくなってて葉っぱの所が大きく育ったら失敗。ラグは大きく育っても良いけど葉っぱが硬くなってたら失敗かな。」
『へえぇ〜!』
「今はまだ日陰でどうなるか様子を見てる所かな。明日になったら1種類づつ味を食べ比べしてみてもいいね。」
「ヤダ!愉しみね~!
あ、でも〜。食べ比べるなら今もどんな味なのか見てみない〜?」
「それなら1つづつ、少しだけ切って味見して見ようか。
味見して良いのは1つだけにしよう。」
お母さんの意見を取り入れて、2種類の野菜を1本づつ味見用に置いておく事にする。
ヤマは悩んだ結果、丸いボディの横を1/10ぐらい縦に切ってみた。
1番下は味見出来ないけど、上から下まで満遍なく味が分かると思ったからだ。
ワクワクしてるカタリナとロベルトと、いつの間にか混ざってたマルセロと母との5人で縦にスライスしたヤマを味見してみる。
「あ、土臭くない。」
「あら、ホントね〜。」
「何か甘いわね。」
「うん!少し甘いかも!」
「おー、何時もなんか草みてぇな嫌な匂いすっけど。それもなんて言うか⋯、消えたわけじゃ無いけどこっちのが食べやすいかも?」
『ウンウン⋯』
私がまず匂いの変化が気になって呟けば、母が同意し。
カタリナが甘さに気付くと、マルセロも目を輝かせてる。
ロベルトも普段は野菜が得意じゃ無いのに、皆につられて食べたけど。
1番しっかり分析をしてる気がする。
あの青臭い匂いが嫌いだったみたいだ。
それでも野菜嫌いが1人も居ないのは、他に食べる物がなくて、幼い頃から食べ慣れてるせいだと思う。
食感と匂いが何時もと違うせいで、皆好奇心で美味しく感じてるだけかも知れない。
「次はラグだけど⋯これって生で食べられるのかなぁ?」
「あら。ヤマだって何時も湯がいて食べてるわよ〜?」
言われてみればそうだった。
つい人参っぽいと思ったから生で食べてしまったけど、何時もはスープの具なんだった。
と言う訳でラグも生で食べてみようとなったけど。
「コレ、どうやって分けよう。」
『うーん⋯』
根元の部分から1枚茎から千切ったのは良いけど、縦に5等分は中々難しい。
悩んだけど茎に沿って葉を切って貰い。茎は縦に5等分して貰い。
葉っぱは横に5等分して貰って、それぞれ齧って見る。
「茎がシャクシャクしてて、美味しいかも。」
「お母さんもコレ、好きかも知れないわ〜」
「甘いわね。」
「うん。でもちょっと苦いかなぁ〜?」
「何時ものヤマよりかはマシだけど、俺葉っぱは苦手かもしんねぇ。茎ならまだ食えるんだけどよ。」
女性陣にはウケが良かったけど、マルセロは苦味が気になったようで、ロベルトは葉物野菜特有の匂いが元から苦手らしく、嫌そうな顔をしてた。
実はヤマの方が青臭い匂いは強いけど、何時もスープの具になってる時はもっと匂いがきつかったせいで匂いが少なく感じたから良く感じたが。
元々青臭い風味が少ないラグは、スープとかに混ざると匂いがほかの具に紛れて全く感じられないせいで、今は逆に隠すものがないから、本来の風味に気付いてダメだったらしい。
「うーん⋯お母さん、これやってみたいわ。一晩漬けるだけで良いなら使っても良いかしら?」
「お母さんも瓶が欲しいんだね?でもコレ、ちょっとヤマには向かないかも。
買った時は細くなってたから気にしてなかったけど、いまはもうパンパンなんだもん。
ちょっとお姉さんに相談して、大きいのを取り寄せようと考えてたんだけど⋯」
「そうねぇ〜。それじゃあお母さん、ラグや細めのお野菜を買って来て、色々試してみようかしら?」
「⋯置けるかなぁ?」
「日陰で良いなら大丈夫よ〜。」
母には水に漬けるだけと言うお手軽さが刺さったらしく、実験魂に火がついたみたいだ。
でもそれだと瓶も足りないけど、魔法の水がもっと必要になってしまう。
でもぶっちゃけ今でもキツくなってるから、これ以上魔法の水を出すなら魔力草のお茶を飲む等の工夫が必要になってしまう。
ドーピングしてまで無理をすれば、行き着く先は魔王の姿が頭にチラついてしまい、微妙な気持ちになってしまう。
他に何か良い方法は無いだろうか⋯と、ウンウン悩んでたけど。
ハッとして土間の奥へとトテトテ走って向かう。
そこから出ると裏庭に出るので畑やら洗濯物干し台やら、何時もカタリナが脱水に使ってる木や、水を汲む井戸と釣瓶を垂らす為の木枠があった。
私はそのまま裏庭に出て、空を見上げて月を探す。
お日様が登って来てるので、空は随分と明るくなって来ているけど、まだほんのりと青白い光を照らしている月が、家の向こう側に有るのを見つけた。
どうやらお月さまは北側の方に傾いているらしい。
裏庭は南側にある。
だから月は家の向こう側に行ってしまうのだ。
方角としたら、月は南東から登って北西に傾いて行くのが昨夜の月の場所から予想される。
ひょっとしたらだけど、イスガルド大陸でウェスタリアが魔力が豊富な理由は、その方角に有るのかも知れないと、頭の中に取り込んだ情報がスパークした。
裏庭から出て、月が見える場所まで移動してそうなった私は、瞬間的な頭痛に思わずおでこを抑えて呻く。
私の頭の上にいるピヨ子が前に傾いて驚いたらしく、ピヨ!と鳴いた。
「いきなりどうしたのよ、リリアナ。」
私を追いかけてきたカタリナが、俯いて頭を押さえてる私に前屈みになって、肩に触れながら声をかけて来る。
ロベルトやマルセロも走って来て、私を取り囲んで見下ろしていた。
私は齎された情報と思考に翻弄されてるせいで、咄嗟に言葉が話せず。
少ししだけ黙ったまま頭を押さえてジッとしていると、業を煮やしたロベルトが私を抱き上げて家の中へと戻って行く。
月だけでは無くて川辺に座っていた騎士の2人の姿や、透明錬成瓶に魔王が絨毯の上に座り込んで話してる姿、空に打ち上がった人工太陽の様な魔王の魔法に照らされて現れた、山の隙間から見えた広くて青い海、洗濯をしてるカタリナと井戸と木と家。
全て私が目にした物だけど、そんな景色が目まぐるしく動いていて、皆の声が聞こえたのは土間の段差に座らされた私の顔を、母が心配そうに覗き込んだ所だった。
「リリアナ。大丈夫?」
「⋯あ。え、と。うん。」
珍しく間延びしてない母の口調に戸惑いながら、私もぎこちなく頷く。
「ちょっと色んな事が頭をグルグルしたから混乱したけど、何とか答えを整えられたから、今はもう大丈夫かな。」
「うん?」
「えーと⋯どう説明すれば良いのか。お父さんが麦の研究を始めて、お母さんも野菜の研究を始めてたがってて、カタリナも魔力草を育てるみたいで、私も実験するとなったら錬成瓶も足らないし、魔力の水も足らなくなるでしょう?
だからそれをどうしようか考えてたら、答えが見つかりそうだったから裏庭にでたのね。
そしたら気付いた事が切っ掛けになって、イスガルド大陸でどうしてウェスタリアは他より魔力が豊富な場所に有るのかとか、足りない魔法の水や錬成瓶をどうするかとか、そんな事が一気に押し寄せてきて、2種類の事情を同時に考える事に頭が追いつかなくなっちゃったの。」
『????』
「伝わらないよねぇ~。
うーん⋯お母さんが料理をしながら刺繍をする感じかなぁ?
カタリナは洗濯物をしながら、お買い物をしてるとか。
ロベ兄ちゃんなら狩りをしながら畑の水やりをするの。
マル兄ちゃんは法律を覚えながら、ジーニスと遊ぶ感じかな?
そんな2種類の事って一度にするのは難しいでしょう?
なのに違う事を頭が一度に考えようとしたから、頭が痛くて動けなかったの。」
『あー⋯うん。』
「洗濯と買い物なんてどうやっても一度に出来ないわよ。」
「そうだよな。狩場に畑なんかねぇし。」
「どうかしら〜煮込んでる時ならお裁縫するのは出来そうだけど⋯お料理が焦げちゃうかしら〜?」
「うーん⋯法律を覚えながらジーニスと遊ぶのは、ぼく出来るかも?」
『えぇ?!』
ギョッとして皆がマルセロに視線を向ける。
「えとジーニスを背中に背負って本の中の文字を紙に書いて、グルグル回りながら覚えるとか?」
「あらスゴイわね〜。」
「良く思い付くわね、そんなこと。」
「やれるっちゃやれるけど、それで覚えられるかぁ?」
「目が回って吐きそう。
あ、でもさっきの私もそんな感じだったから、それでしんどいなら良いのか。」
『あー⋯』
何か皆が揃って納得してくれた。そうか、私はジーニスを背負って本の中身を書き出して、グルグル回りながら覚える様な事をしてたらしい。
そんなたとえ話なんざ初見に出て来るかぁ!
足元に雑巾を叩きつけたくなったけど、皆が納得したならそれで良い。
あと洗濯しながら買い物は、流石に難しいが、狩りをしながら畑の水やりなら頑張れば出来るかも知れないと思ってる。
裁縫も煮込んでる時なら確かに普通に出来るよね。
でも焦がす危険は確かにある。
それもどうでも良い話だが。
「とにかく、私があんなになるまで大変だったのは理由があったんだよ。
まだ何も証明出来てないから、今はまだ思い付きなだけなんだけどね。」
「また何か変なことに思いついちゃったの?」
カタリナから呆れた様な警戒する視線を向けられてウッとなる。
現状の変化は私が原因なわけで、つまり私の日頃の行いの悪さのせいで、姉がメッチャ不安になられてらっしゃる様だ。
すまんな。
「うん。
でもこの思いつきは、太陽と月の関係性に気付いた1番最初の発見よりはまだマシ⋯かな?」
「な⋯なんでそこで悩むの?!
マシならマシって言い切りなさいよ!」
「まぁまぁカタリナ落ち着いて〜」
「だってお母さん!
私⋯外で変なこと言わないように何時も気をつけてるから、お友達とお話するのにずっと緊張してたから、前みたいにするのが怖くなって⋯」
カタリナの表情が歪んで声が涙ぐんでる。
前は家事が終れば良く出掛けていた彼女が、買い物を頼んだ時以外は外に行かずに、いつも家に居る理由がそこにあった。
姉はまだ10歳だ。
賢い彼女の繊細な精神に環境の変化は大きなストレスを与えていた様で、人間関係に関して何も考えて無かった2人の男兄弟は、何が姉を苦しめてるのか理由が分からずにキョトンとしている。
「うん。なら説明するのやめとくね。だからお姉ちゃんは知らない方が良い。聞かなければ話せないから大丈夫でしょう?」
「う⋯それは⋯でもそれはそれでさっきのは何だろうって、気になるって言うか⋯」
悲壮感は消えたけど、今度は好奇心からモジモジとして罰が悪そうな顔になってるから困った。
ウチの姉が可愛いんだが?
コレがツンデレの正しい萌えと言うヤツなんだろうか。
八の字眉毛の金髪美少女に胸がキュンとトキメイたよ?!
「取り敢えず私もまだ具体的にどう問題を解決するかで悩んでるから、お父さんが帰ってきたら皆にも相談するよ。」
それだけを伝えて私はリビングにある椅子に向かい、紙を出して書きながら対策を考えて行く。
そして好奇心が抑えられない子供達が、私の周りに群がって書いた絵を覗き込んでいる。
「ちょっとしっかり考え込むから、話しかけられても直ぐに返事出来なくなるかも⋯」
「それってさっきのよね?
後でお話してくれるの?」
「頭の中が纏まったらね。
理由ははぶくよ。
そのほうが楽でしょ、お姉ちゃん達も私も。
訳が解んない説明を延々されるのは疲れるだろうし。だからロベ兄ちゃんもお父さんの所に行ってあげて。
後で皆がいる時に話すから。」
「お、おう。」
「⋯難しいお話なの?」
「詳しく説明するなら難しいと思ってる。だから簡単にしようと思うから、少し時間を頂戴ねマル兄ちゃん?」
カタリナは微妙な表情で沈んでいたのが、ホッと綻んでくれた。もの凄く私を気にしながらも、ロベルトは駆け出して行った。
マルセロは隣に座って私のしてる事を横からジーッと見つめてる。
カタリナはあんぎゃー!と叫んでるジーニスの様子を見に行ってくれた。
お母さんは理由は分からないまでも、私達が落ち着いた様子に安心して、また鍋の中身を覗き込んで焦げ付かない様に料理を続けてる。
そんな中で私は映像がフラッシュバックを起こした情報を文章として頭の中で整理する事にした。
まず魔法とは何か。
これは学校で習う事だし、前世には無い情報なので、まだこれについて考えるのは情報が足らないから今は除外する。
次は水について。
魔法で水を出すとほぼ無味無臭。
だから井戸から汲んだ水の方が美味しいので、井戸から汲んだ水を飲んだり料理に使うために土間には水瓶が置かれている。
そして仕事で魔法を使うので、細々とした事には井戸水が使われるのが普通だ。
何故井戸水は美味しいのか。
これは雨水が地面にろ過されて集まってるのが地下水で、そこから水を出すのが井戸だから。
この辺りで言えば雨は少ないので、人工小川の水を父が畑に撒くせいで、擬似的に雨水の役割を果たしてる気がする。
他に支流が有るかは不明。
小川の水は太陽の日差しに晒され続けているので、基本的にそこに含まれている魔力は分解されているのかも知れないが。
此処で1つだけこの土地の環境に疑問が浮かぶ。
その人工小川の水は何処から引かれて居るのだろうかと言う事だ。
まぁ私が知らないだけで川だとは思う。
そこは実際にどんな川なのかは見なければ分からない。
でも父ならそれを知ってるかも知れない。
だから確認も兼ねて朝食時に話が聞ければと考えている。
まぁ朝は忙しいからそこはサクッとしなくちゃだけどね。
そして何故私が川に注目してるかと言うと、ここでイスガルド大陸のウェスタリアと言う国が出て来る。
まだ情報が断片的だから確信までは持ててない。
ただ北は永久凍土と呼ばれる極寒地帯で、一年中寒さが強くて夏は1月しか無いぐらい短い。
夜が長くて昼も短いから、魔力が豊富だろうと考えられる土地になる。
この情報を補完してくれるのはカルマンさんの家族の話。
魔力の低い土地で暮らしてた人が、ウェスタリアに来たら魔力過多症になった話だ。
これには妊娠といった要素が含まれてるから、外国が必ず魔力が乏しい土地だとは言え無い。
でも北に比べたら南側に行けば行くほど、魔力が低くなる土地なのは分かる。
何故なら日照時間が北より多いから。
ただ東のルドルフを見てきたから、あそこら辺は山が多い土地なのか、海が見えたのは山と山の間を通る海から帝都に続く道からと、魔王が高い場所から見下ろしてたからその山の向こう側に広大な海が見えた事で、山に囲まれた平地が帝都だと分かったぐらいなんだけどね?
それでもルドルフは魔法文化が未発展な国だった。
魔力が低い土地だからか、文化の違いが理由かは不明。
あとは外国は平地が少なくて、麦を育てにくいからウェスタリアが麦を輸出していると魔王が言っていた事からも。
イスガルド大陸は、全体的に高低差のある大陸だと、何となくそんな予想になる。
では何故ウェスタリアは平地が多いのか。
それは広大な平地に木が生えてる環境を、人が切り開いて住んでるから。
では何故そんなに沢山木が生えてるのか。
魔力を豊富に含んだ北の土地から流れて来る川か地下水脈がウェスタリアにあり、そこから分岐した川や地下水等で魔力が豊富な土地になっているとしたら?
恐らく魔力の消耗を抑えられるとしたら、日差しの当たる川よりかは地下水脈だと私は考えているが、具体的に調べた訳では無いからこれはあくまでも推測になる。
次は時差かな?
西の果てにあるウェスタリアから東の果てのルドルフまでは8時間以上の時差があった。
前世の知識から、時差とは太陽が通り過ぎる時間で決められるものだから東と西で時差が有るのは当たり前だ。
つまり経度と緯度の関係で、緯度は赤道を中心に考えて地球を横に輪切りにする事で温度の指標となっている。
つまり赤道直下が1番暑いから、そこから北に行けば温度が低くなると考えられるので、数値で表現してるのが緯度。
経度は縦に切って時間の経過を指標になるものだと、ざっくりだけど私はそう認識している。
ウェスタリアは大きな国だから国内でも少しは時差があっても可笑しくは無いけど。
王都が遷都した理由として国が大きくなり過ぎたから、北の土地が王都だと難しくなったので、国の中心部分に移動したと習った。
つまり辺境より王都に近いと言うミシリャンゼは、王都とほぼ同経度にある北の土地と時差が近い事になる。
ならば恐らく魔力が豊富な永久凍土に近いという場所は、今は夏を迎えてる事を示している。
夏は暑いので氷が溶けて川や地下水脈の水が増えてるのでは無いかと予想も出来る。
ならばウチの井戸の元となってる小川から引かれた川の水は魔力が豊富だと言えるのではないだろうか。
そして経度が近いのなら、日中の日照時間も時差は少ないはず。
ただ北の土地柄朝は遅く夜は早く来る特性として、全く同じとは言え無いけどこれ以上情報がないから不明とする。
果たして最北から此処までで何時間、何日有れば水が届くかは分からない。
でも大多数を地下水脈が通り、一部分が川となって流れてきているのなら、朝方の小川の水なら魔力が日照で分解されていないので、夕方よりかは魔力が豊富なのかも知れないなぁ⋯と。
途中で湖とかあれば終わるんだけどね。
ファンタジーでお馴染みな龍脈とか呼ばれる不思議要素とかあったら、私にはもうお手上げだ。
でも森もそうだけど強い魔獣やら聖霊実だなんて呼ばれる不思議果物の話を聞いたら、ウェスタリアが魔力が豊富な理由の1つに永久凍土が関連してるのを疑うのは有りかなぁ?と思う訳だよ。
私はトントンと紙をペン先で無意味につつく。
絵には北と書いて丸で囲み、王都と書いてそこの少し西に村と書いて丸で囲む。
そして北から斜めに線を書いて村と繋げる。
そして井戸。
村の横に川→人工小川→→畑→井戸と書いて、井戸に丸をつけた。
人力で水を汲むシステムだから深い場所にある水脈よりも、周りの水を集めたろ過システムの井戸っぽいんだよね。
ここの家の井戸。
私は前世では井戸とか知らない環境で育ってるから、ワンチャン地下水脈の水が溢れてる可能性も有るけど、それなら余計に都合が良い。
畑もだけど腐葉土からろ過されたミネラル豊富な栄養のある水が井戸水なら、その方が植物の育生に効果が高いと考えたからである。
そして井戸は擬似的な閉鎖空間でもある。
完全に閉鎖されてないのは、水を汲むために真上に穴が空いてるからだ。
今度は縦長の長方形を書く。
その上に月のかわりに丸を書いた。
丸は北西に移動するので、そっちに横棒を書く。
その下に家の絵も書いた。
横棒の先にも月の丸を書いて、家が当たって長方形に光が届かない事を表現する為に、丸から伸ばした棒矢印をくの字に曲げる。
そうなのよ。
井戸水にはゴミが入らない様に蓋がされている。
だからその蓋を夜に外せば真上に月が来た時はお日様の光を浴びられるけど、角度が傾けば光は直ぐに入らなくなるのだ。
そこで思い出したのは、騎士達の鎧が眩しかったこと。
つまり銀だ。
私には銀は加工できない。
その施設も技術も無いからね。
そして加工済みのものと言えば、銀貨。
もっと言えば銀板は使えないだろうか?と、考えている。
でも表面は模様が描かれてるから、きっとボコボコしてるだろうし、そうなると乱反射するから何もない畑に囲まれた所に置いてたら、キラキラと目立って他所から誰かが見に来るかも知れない。
そこで思いついたのが遮光錬成瓶。
立て掛けた銀板の周りに置いて、一定の方向だけに光を飛ばせないだろうか?
目指す方向は井戸の近くに有る木だ。
そして其処にも銀板を置いて、今度は井戸の中に光が入る角度に調整をする。
そして井戸の中の上の方の部分に銀板を貼り付けていれば、井戸の中で乱反射を起こせば、水面に月の光が当たるのでは無いかと予想しているんだけど、どうだろうか。
お姉さんに銀を薄く薄く伸ばして貰って透明錬成瓶と同じ性質の透明な板と木の板とかで銀を挟んで貰い、鏡を作ればその方が安くなるかも知れないなと。
紙に銀、透明錬成瓶と書いて板の絵。つまり長方形を書く。
枚数は少なくても3枚。
月の光を遮るものの無い広場から木に向かわせる鏡と、木から井戸に向かわせる鏡と、その光を受け止めて井戸の中の壁に当てる鏡。
理想を言えば井戸の中の壁を全部鏡にしてやりたい。
でもまあそれは無理なので、最低3枚欲しいんだけど。
実験してみないと上手くやれるかは分からないし、そうやって人工的に集めた光が果たして月の光を直接浴びたものと同じかどうかは分からない。
こうして錬成師が破産して行くのかと、何となく意味が分かってしまい、私はテーブルに突っ伏した。
「アレ?リリアナどうしたの?」
「⋯ううん、なんでもない。」
鏡は学校に行って勉強してからにしよう。
効果が有るのか分からないものに、まだ高価なお金は使えない。
他に井戸の水に月の光を浴びせられる方法は何か⋯。
出来るかな?
やってみないと分からないけど⋯。
「ねぇマルお兄ちゃん。」
「うん?」
「透明錬成瓶てキラキラして綺麗だよね?」
「うん。」
「お月様の光を、水が入った透明錬成瓶で遠くに飛ばせるかな?」
「???」
「試してみなきゃ分からないよね?
だったら試してみよう。」
私はそう言うと椅子から降りて朝日が完全に昇った明るい庭に出ていく。
後ろにはマルセロがトコトコとついてきた。
そして干してた透明錬成瓶を平籠から1つ取ってもらい、コルクっぽいの蓋とセットにして手に持つ。
魔法で出した水を透明錬成瓶に入れて、お日様の光を当てたらキラキラした。
そしてそのまま日陰を探してトコトコと歩いて行く。
「わぁ~⋯影が光ってる!」
「⋯かなり弱いけど⋯これが錬成箱になれば⋯」
ようは水面反射だ。
これも効果が有るかは試して見なければ分からない。
それと反射する方向を指定する為に、鏡にする為の錬成箱の周りには障害物が必要になる。
今なら私の身体に光が遮られてるから、錬成瓶に当たった光が、前にある影の方向に向かっているのだ。
でも完全に反射する性質は無いから、ぼわりと光がボヤケてる。
無いよりはマシと言った具合だろうか。
「お兄ちゃん。夜に月の光をこうして集めて、井戸の中に集めたいの。」
「どうやってするの?」
「この光の先にも、瓶を置いて光を飛ばすんだよ。」
「へぇ〜」
「夜にやらないと駄目だから、今は何処まで飛ぶか試してみよう。」
「うん!いいよ。手伝ってあげる。」
こうして兄の協力を得て、私は透明錬成瓶を3つ集めて水を中に入れると、私の身体の代わりに紙を透明錬成瓶に撒いて、光を取り込む方向と、出す方向を開けてから麦わらで結んで固定する。
高さが必要だったので、マルセロに椅子を運んで貰い、1番日当たりのいい場所に瓶を置き、光が飛ぶ角度を調整して、その先にも瓶を置いた。
今はまだ簡単な実験なので、スタートを裏庭の日当たりのいい場所にして、反射した先は木の影になる部分にする。
そしてその木の陰になる部分から、井戸の陰になる部分に飛ぶように配置して完成だ。
「おー⋯薄いけど飛んでるね?」
「これって成功なの?」
「光を飛ばすのは成功だけど⋯問題はどうやったら井戸の中に光が入るのかだよね。」
「難しいなぁ〜」
私達はまだ身長が低いので、上に光を飛ばしても、そこから下に向けるための瓶を置けなかった。
だから難しいけれど、この原理を父に相談したら手伝ってくれるかも知れない。
銀板を使ったり、鏡を作るよりかはまだ敷居が低いかと思われるので⋯。
そして父とロベルトが戻ってきたら、母とカタリナも呼んできて、ジーニスまでカタリナに抱かれてついてきちゃったけど、まぁ良いや。
マルセロと作ったピタゴラな透明錬成瓶を使った光の移動装置を見せておく。
「この説明はご飯を食べてからするから、今はこんな光の飛ばし方が有るって事だけを知ってて欲しいの。
今からやるからこの辺でこの陰の所を見ててね。」
『へぇ〜』
井戸のなかの陰にある光は、装置を見せる時には消えていたので、マルセロと2人で少しづつ瓶の角度を調整すると、また井戸の陰にふわりと光が灯った。
『おおー!』
両親も姉も兄も真っ暗だった陰が淡く光った事を面白がって拍手してくれて、私とマルセロは少し照れくさかった。
こうして装置の説明が終わると、椅子を持っていかないとご飯が食べられないので、ワイワイと騒ぎながら椅子を運んで貰ったり、錬成瓶のなかの水を捨ててまた乾燥させるために平籠に置いたりして、家の中へと戻って行く。
そして配膳が終わって皆が食事を食べ終えた頃、ジーニスにカタリナが離乳食代わりに私達と同じ朝ごはんを食べさせてる中で、私はマルセロに頼んで井戸の水を汲んでもらい。
井戸水を空の錬成瓶に入れてから、皆んなが待ってるリビングに戻った。
まだジーニスはご飯を食べてる所だったけど、私は木のコップを出して、そこに魔法の水を入れて行く。
「説明する前でアレだけど、こっちの錬成瓶は井戸のお水で、こっちの木のコップは私が今魔法で出したお水が入ってるの。
皆は知ってると思うけど、話の前に一度木のコップからお水を飲んで、次に錬成瓶からお水を飲んで味の違いを確認して貰えるかな?」
「あぁ、そう言うことか。
味が違うのは知ってるぜ?」
「うん。でもじゃあどうして味が違うのかはロベお兄ちゃん分かる?」
「え?!それは井戸の水だからだろう?」
「じゃあどうして井戸の水はそんな味になるの?」
「え⋯どうしてって言われても⋯」
「だから一度、それを考えながらお水を試し飲みしてみてね。
後で私が考えた事をお話するから。」
『⋯⋯』
皆訳が分からないなりにウンと頷くと、木のコップからお水を回しのみして行く。
「お父さん。この辺の魔法師さんが作った小川って、川からお水を引いて作ったんだよね?」
「あぁ、そうだな。」
「その元になる川って森の中を通ってるの?」
「あぁそうだぞ。
よく知ってるな。」
「そしたら川の上は木の葉っぱが沢山有るから日陰になりやすいかなぁ?」
「そうだな。水のなかに生えてる木もあるから、川の真ん中は明るいと思うが端の方は日陰になりやすいだろうな⋯」
「私ね?どうして森が魔力が豊富で、あんなに魔力の高い果物みたいな素材や、強い魔物が居るのかを考えたの。
まずこれを見てくれるかな?」
私は椅子から立ち上がって、テーブルの真ん中に絵を書いた紙を置く。
「ここが、北で寒い所ね。
今の王様達はこの場所で産まれて来て、ここからこっちの方に国を大きくしたから、今此処に王都があって、私達が済んでるミシリャンゼの村は多分この辺にあるの。」
『ふむふむ。』
今は私の横に座ってるマルセロが錬成瓶のお水を飲んでて、木のコップはカタリナの方に渡されている。
カタリナはジーニスのご飯を食べさせる匙を置いて、サクッと木のコップから水を飲むと母にコップを渡した。
「それで皆勉強したから知ってると思うけど、昔王様達が住んでた場所。
この北の土地は昼が短くて日が昇るのも遅いし、夜も早く来るらしくて、あと夏が一年のうち1月ぐらいしか無い寒い所なんだって。
だから今私達は夜に透明錬成瓶を外に出してるでしょう?
日が当たりにくいって事は、この辺りの土地は魔力が高い土地になるのは、皆分かるかなぁ?」
「あぁ、そう言われたら分かる。」
「そうよね。お日様があったらダメなら、夜が多い所の方が月の光にあたりやすいものね?」
父が同意すると、錬成瓶の水を飲んでたカタリナもそう応えてくれた。
今木のコップが母から父の所に届いた所で、父も絵を眺めながら魔法のお水を飲む。
「水は高い所から低い所に流れるのを、皆知ってるかな?」
「そうなのか?」
「へぇ?あ、だから洗濯物は上から乾いて行くのね?
上を触ったら乾いてるのに、下の裾の方は濡れてる事があるもの。」
「あ〜、それならお母さんも知ってるわぁ〜。だからシーツはちゃんと下の方を触ってから取り込むのよ?」
「ふむ。そう言えば川より小川は低い場所になる様に少しだけ坂道になってるな。」
「あ、それなら僕も分かる!
小川の水が流れる上の方が坂道になってるよね。ちょっとだけど。」
「へぇ、そうなのかよ。
俺は知らなかったな。
坂とか気にしたこと無かったぜ。」
皆の話を聞いて、ロベルトも成る程と頷きながら、父から回ってきた木のコップから水を飲んだ。
父も錬成瓶の方を飲んでから、ウンウンと味を確認してるのか、少し頷いてからロベルトに瓶を回す。
そしてロベルトも瓶を口につけた所で木のコップは私の前に戻って来た。
だから私は自分の為に魔法で水をコップに注いで、沢山お喋りするから喉を湿らせる。
「皆話の途中だけど、味を覚えてるウチに聞くね?
木のコップは魔法の水で、瓶の方は井戸水なんだけど、味に違いが有るのを分かったかな?」
『ウンウン。』
皆各々が頷くのを見て、私はまた話を始める。
「小川は川から流れてくる水。じゃあ井戸水は何処のお水か、誰か知ってる?」
「ん?それは地面の中にある水だろう?」
「他の人もお父さんと同じ意見かな?
じゃあお父さん。どうして土の中にお水が有るの?」
「え?!どうしてって言われても⋯水が通る道が地面に有るからと聞いてるが⋯」
「じゃあその地面の中の道は何処からお水を運んで来たのかな?」
「それはちょっと⋯お父さんも知らないなぁ〜⋯」
父は罰が悪そうな、照れくさそうにしながら頭を掻いてる。
「私もこの事はまだ私の予想でしか無いから、勉強したら正解が分かるのかも知れないけど、今はそれは分からないから、私の予想を聞いてくれる?」
『ウンウン』
「これはモーブの獣車に乗ってて気付いた事なんだけど、道の端っこが高くなってる壁には色の違う筋が出来てたのね。
それを元にした予想なんだけど、地面の中の土は全部同じ土じゃ無いんだと思うの。」
『へぇ〜???』
「畑の土と、家の前の土と、林の中の土。全部種類が違うの皆分かる?」
『あ!』
「本当にリリアナは色んな物を良く見てるんだなぁ⋯。
確かに場所に寄って土は違う。
うーん⋯だから地面の中の土は全てが同じじゃ無いと思ったのか。」
皆は土が場所によって変わることをなるほど〜と納得していると、父は頭をガシガシと掻きながら感嘆した様に呟く。
「だから多分、地面の中の水が通る道は、そこの下の土が水を通し難い性質があって、その水が通らない所と通す所の間に道が出来て水が流れてるんだと思うの。」
『フムフム!』
「それでね?その地面の中の道を流れてるお水は、森の奥の高い所から地面に染み込んでるお水とか、雨が降ったら地面に染み込んだお水とか。
この辺りなら畑に撒いた小川の水とかが集まって、流れてる水の道じゃ無いのかなぁ?って思うの。」
『え?!』
「魔法で出したお水に味がついてないのは、魔力が普通のお水を作っただけだから味がしなかったのね。
だけど井戸のお水は森やら地面やら、畑の土を通って集まってるお水だから、沢山地面の中の栄養を含んだせいで、味がついてるんじゃ無いかと私は考えてるのよ。」
『はぁ?!』
多分皆衝撃を受けてるのは、畑に蒔いてる肥料の元が人間のブツやら生ゴミや藁だからだろう。
それに気が付いてない母やマルセロはキョトンとしているが、それに気付いたらしい賢い姉や畑仕事の経験があるロベルトや父が目を見開いて、井戸水を入れてる瓶を見つめてた。
「井戸の水は地面が時間をかけて悪い物を除けてくれてるお水だから、人間の身体には悪さ
をして無いんだと思うの。
でも代わりに沢山栄養を含んでるから、植物を育てようと思うなら、井戸のお水はとても向いてると思うんだよ。
ただ水を汲むのが大変だから、使わないだけじゃないかな?」
「あーっ⋯なるほど、だから小川か⋯」
「えー⋯本当に大丈夫なんでしょうね?畑ってアレを使ってるんでしょう?」
「ウッゲェ⋯今まで何も考えずに飲んでたぜ⋯」
「え?え?何?なぁに?
お母さん、ちょっと分からなかったの、もうちょっと優しくお話して欲しぃなぁ〜?」
「僕も!僕も!」
カタリナとロベルトの反応に急激に不安を掻き立てられた母が焦り、マルセロは理解出来なかったのが悔しいらしくて必死に解説をせがんでる。
「お母さんは分からない方が良いと思う。今まで何の問題も無かったんだから、世の中には知らないままの方が良いお話も有るんだよ。
マル兄ちゃんは後で説明してあげるから、今は我慢してね?
じゃないとお母さんが分かっちゃったら大変な事になっちゃうからね?」
前半はハキハキと大きな声で母を安心させる様に諭し、横にいるマルセロには耳元で囁く様に言葉を告げておく。
「え?内緒なの?お母さん分からなくても本当に良いの?
え〜⋯仲間はずれはちょっと淋しいんだけどなぁ〜⋯」
「お母さん。お母さんは私達家族の為に大事なお仕事をしてくれてるんだよ。
だから知るとそれをするのがもし嫌になったら、私達家族が大変な事になっちゃうの。
だからお母さん。
私達の命のためだと思って、このお水の秘密は知らないでいて欲しいの。
どうかお願いします。」
「え〜?
そんなにスゴイお話なの〜?え〜?も〜やだぁ~⋯。
お母さんもの凄く気になるんだけど〜⋯」
「お母さん!大丈夫よ!
今まで何も無かったのよ!」
「そうだぜ母さん!
俺も知らなきゃ良かったって思うから、絶対に知らない方が幸せだぜ!!!」
「え〜?」
「⋯そうだな。皆母さんの事が心配なんだ。
だからここは1つ。
俺達家族の為だと思って、このまま話を流してやってくれないだろうか。」
「んん〜⋯、まぁお父さんがそこまで言うのなら〜。
でも本当に悪い話じゃ無いのよね?
本当に信じて大丈夫なのよね?
ええ?!なぁに?何なの〜?
もぉちょっとやだぁ~!!!」
正直者な全員が思わずサッと視線を逸らした。
だからお母さんは両手の拳を軽く握り締めて、腕を曲げて分厚い胸部装甲をサンドしてる状態でミョンミョンと椅子の上で弾む駄々っ子と化したので、バインバインと揺れる物に父の視線が釘付けになると言う、指摘すると子供の教育に悪そうな事件が軽く起こってしまったのだが、まぁサラッと流す。
「ともかくどうしても知りたいなら後で説明するから、取り敢えず落ち着こうか、お母さん。」
『え?!』
「え〜?ホントに?
お母さんも聞いて良いの〜?」
「だって気になるよね?
だから後で覚えてたら説明するから、今はお話の続きをさせてね?」
「あら、そうなの〜?
ならお母さん、お話が終わるのを待ってるわ〜。」
『⋯⋯』
覚えてたらの意味をすかさず他の家族達は理解したらしく。
母以外の全員が私の意図を察して、流す事にしたらしい。
マルセロにすら分かるとかどんだけ?とは思うけど。
うん、お母さんはきっと忘れちゃうからね。
もし覚えてても大丈夫。
私、ちゃんと誤魔化すから。
「どうしてこの話を始めたかと言うとね?
昨日の夜お父さんが畑で月の光を浴びせた水を使った実験を始めたし、カタリナお姉ちゃんも自分の魔力草を育ててみたいって気持ちが芽生えて来たし。
お母さんも萎びた野菜が元気になったから、月の光を浴びたお水を安く買える野菜で試そうと考えてるんだよ。」
「ん?その話は初耳なんだが。」
「ん?ロベルトお兄ちゃん?」
「あ!悪い!俺伝えるの忘れてた!」
なので昨夜仕込んだ野菜を今朝味見した話を父に説明する。
「へぇ、それはスゴイじゃ無いか。それなら野菜を生き返らせられるんだな。」
「コレは此処だけの秘密だからゴメンね。今までの話なら外で話ても大丈夫だからね?お姉ちゃん。」
「うん。⋯あんま気を使わなくても良いわよ?」
「そうはいかないよ。
だってお姉ちゃんの友達も心配してるんでしょう?
でもお姉ちゃんは話せないから、だから余計に友達と会うのが辛くなってるんじゃ無いの?」
「それは⋯」
「ん?どういう事だ?」
とまぁ、ここでまたお父さんへの説明タイムが始まったので、また話が少し脱線した。
「なるほど、それはカタリナには可哀想な思いをさせてるな。」
「うん。でもお姉ちゃん。
多分ある程度の話はしても皆きっと分からないと思うんだよ。
でも魔力草でどれだけ稼げるとかお金の話をしたり、野菜が復活するとか、生活の役に立つお話をしたら皆食いついて大変な事になると思うの。
だから人が知ったら便利な話だけ秘密にして、他は聞かれた話に答えるのは大丈夫だよ。
貴族の話は皆知ってるからね。
前と少し状況が変わったから、私の事はあまり言わない方が良いけど、2歳の妹が居る。ぐらいなら友達だけなら大丈夫じゃ無いかな?」
「⋯その話分けがちゃんと自分が出来るか不安だったのよ⋯。」
「お姉ちゃんは賢いから、私は大丈夫だと思うよ。
それが分かる人だから、そうやって警戒して思い詰めてるんだもん。
もし間違って友達にお話したら直ぐに私に伝えてくれたら、お父さんと対策を考えるから思い詰めないで欲しいかな?」
「そうだぞ。変に身構えてた方が向こうも気になるだろう?
だから大丈夫だカタリナ。
俺達を信じて今で通りに友達と、お付き合いしなさい。」
「⋯ありがとう、お父さん。
リリアナ。
私、少し心が軽くなったわ。
でも心配してくれてる子にはなんて話たら良いのかしら?」
「それなら叔母さんの話をすれば良いんだよ。家族が増えるから今まで生活が苦しかったのに、これから大丈夫なのか不安だとか。でも家族を迎える話なのに、そんな事を思う自分が悪い子だから心が沈んでたとか。
今元気なのは家族が増えても生活出来るように、ウェブンを育てたり仕事を色々増やしてるから、とかなら言っても大丈夫だと思うの。
それでお手伝いが忙しくなって、会えなくてゴメンねって言うのはどうかな?」
「そうね、言っていい話は沢山有るわね。
あ〜良かった。
何を話せば良いか分からなくてすごく困ってたの。」
「もしお金はどうしたの?って聞かれたら、ジギタス叔父さんが鳥を継ぐから、先のことを考えてお金を貯めてたんだよって言えば良いからね?
だよね?お父さん。」
「うん。親父にも伝えておくが、多分その方が良いな。」
こうして問題は解決したけど、何処まで話したのか、私が分からなくなってしまってとても困った。
「えーと⋯何処までお話してたんだっけ?」
「野菜が元気になるから、お母さんも実験する話で終わってたよ。」
「わぁ!マルセロお兄ちゃん、ありがとう。
すごいね!よく覚えててくれたね?」
「えへへ。僕は覚えるのがちょっとだけ得意なのかも。
前はそんなじゃ無かったんだけど、最近色んな事を覚えてたら、ちょっと得意になって来たんだ!」
照れながらも得意気なマルセロが可愛くて、心がホワッと暖かくなった。
「お兄ちゃんは頑張ってるもんね!
じゃあ話の続きするね?
皆もそうだけど、私も研究に魔力草を使いたいから数を増やしたいの。
でもそうすると、大型透明錬成瓶や遮光錬成瓶も買って増やさないといけないし、今でも魔力のお水を沢山出してるのに、もっと出すのは大変だなって色んな事を考えてたら、井戸を思い出したの。
ひょっとしたらって使えるかもと思って裏庭に出たら、まだ夜は暗かったからお月様の場所が見えてたのね。
その方向が北の方だったから、沢山頭の中に今までに覚えてた情報がパパパー!て、溢れてきたから、色んな事を同時に考えられなくて頭が痛くなっちゃったの。
それで皆に心配をかけてたんだよ。」
『あー⋯』
その話はロベルトから聞いてたのか、父も含めて家族全員が納得したらしい。
「でね?その時に考えついたのがこの北の大地なの。
此処がもし、今いる場所よりも高い場所なら、此処から魔力が沢山詰まったお水が、地面の中の地下水脈を通って、こっちの森まで流れて来てるんじゃ無いのかな?
だから川の周りだけじゃ無くて、森のある土地が全体的に魔力が豊富で栄養もあるから、木も沢山生えて森になるし、沢山魔物も産まれて来てるんじゃ無いかなぁって考えたの。」
「確かに、そう言われるとそうなのかとも思えて来るな。」
「うん。まだ私の知らない情報があって別の理由が有るのかも知れないけど、この私の考えた自然の在り方も、全く見当違いって事は無い気がするの。
そしたら井戸の水に北の大地から流れて来てるお水も混ざってるのかも知れないでしょう?
今は特に夏だから、寒い所も暖かくなってるとしたら、雪や氷が溶けてお水の量が増えてると思うんだよ。」
「ふむ。」
「もちろんここら辺りは畑が多くて、人工小川から水を使って畑に撒いてるから、そのお水も地下水脈には混ざってると思うの。
でも元の川の水が、日陰の多い川なら、太陽の光を浴びても完全に魔力が分解されずに、届いてるかも知れないでしょ?
そしたら人工小川のお水も、朝なら月の光をしっかり浴びてるから、魔力が多くなってるんじゃ無いのかなぁって⋯。」
「あっっっ!!!
だから日の出前から水を撒くのか?!」
突然父が立ち上がると、両手をバン!とテーブルについて身を乗り出す様に、紙に描かれてる絵を目を見開いて見つめる。
動揺してるのか身体を支えてる腕が、ブルブルと小刻みに震えてた。
「温度が暑くて昼にお水を撒けば温度が高すぎて麦がダメになるとか、暑いなか作業するのがしんどいとか、そんな理由も有るのか分からないけど。
此処らへんの麦が何時も沢山生えてるのは、魔力が少し関係してるのかも知れないよね?
偶然かもだけど。
理由は知らなくても、日が昇る前に水を蒔いた方が畑が元気に育つ事を知ってたら、畑を継ぐ子供にはそうしなさいって親が伝えてると思うんだよ。」
「あぁ⋯そうだ、多分そうなんだ。
理由なんて聞いてないが、親父は何時も朝が来る前にずっと水を撒いてたんだ。
俺もそうする理由は何も分かって無くても、親父がそうしてたから真似してた。
昼の暑い時間にゆっくりした方が楽だから、でも春や秋の涼しい時だって毎日そうしてたらそれが習慣になってたから、何も考えずに⋯そうか。
これには意味がちゃんとあったって言うのか⋯。」
父が何に大きなショックを受けているのかは分からない。
でも口元が綻んでるから面白い!と、顔が全体的がそう表現している。
元々父はジギタス叔父さんよりも、頭脳派だしね。
ちょうど月の光の水に興味を持って自分の畑で実験しようとしていた人だから、今まで何も考えずに習慣として来た事に、理由がつけられたのが面白いんだろう。
見えて無かった物が突然拓けたかの様に見えた時の新たな気付きとは、そう言った快楽を脳に感じさせるから楽しいのだ。
父は、はぁ〜〜と大きく長い吐息を漏らすと、ストンと椅子に腰を降ろす。
でも目はとてもギラギラと輝いていて、頬は興奮に少し赤く染まってる。
元々植物を育てるのが好きだから農家の家業を継いで、収入が高い鳥を兄に譲るぐらい農業に執着していた人だから、まぁ⋯うん。
子供達にウンザリする様な法律を覚える事が流行るのも、全ては娯楽が無いからだ。
平民に限らず仕事は生きるためにする必要が有る。
でも子供達は少しでもその仕事に楽しみを見出すから、春先に少年戦士達が死ぬ様な悲しい事も起こるのだ。
父は仕方が無くて家業を継いだのでは無くて、自分がやりたいから家業を継いだ人だから、そりゃ植物を育てるヒントを見つけたら興奮の1つぐらいしても可笑しくは無いよね?
「つまり朝は小川の水を撒いて、夜は月の光の水を撒けば良いのか⋯」
「あ、うん。その通りなんだけど、夜に水を撒くのが本当に良いかは分からないよ?
寒くなったらそれが原因で、植物の育ちが悪くなるかも知れないし⋯」
「麦なら大丈夫だ。まだ暑い時期に収穫になる。」
「あー、うん。
えと、だからね?
麦の成長として食べる部分の味が良かったり、つける実の数が増えるなら成功だと言えるけど、その成長が藁が太くなったり、上に伸びたりするのに使われたら、それは変化を起こす事には違い無いけど、農家としては失敗になるの分かるかな?」
「⋯それはつまり日の光が麦の成長に必要なら、そうなるのか?だが日の光なら昼に浴びてるが⋯」
「温度の変化だよ、お父さん。
夜日が落ちてこれから冷えようとする時期に水を撒いたら、夕方ならまだ水を温めてくれるけど、夜に冷えた水を撒いたら麦を冷やす事にならないかな?」
「そうするとどうなるんだ?」
「それは実際にやってみないと分からないよ。
でもさっき言った様に何時もと比べて実に成長が上手く行かずに食べる所の味が落ちたり、麦の本数が減ったりしたら失敗になるからね?
だから月の光の効果が有るのかだけを調べたいなら、月の光の水を朝だけ撒いて、夕方は何時も通りに育てないとその差は温度の変化で起こったのか、それとも月の光の水が原因かは比べられなくなっちゃうよ?」
「ああ⋯そう言う⋯。
だがそれなら朝は小川の水を使って日が落ちた時に水を撒いたらどうなるか、調べてダメなら方法を戻せば済む話だろう?」
「あーうん。まぁ、それで夕方に撒くより夜の方が良いってなったら、全部の畑でそうするの?」
「あー⋯嫌、それは無理だな。
寝る時間が無くなる⋯」
「まぁ国に渡す麦は今まで通りにして、自分達の麦は美味しいのを作れば良いんだけどね?」
「ハハハハハ!
確かにそうだな!
ならそうしよう。
今なら失敗しても魔力草のお陰で飢え死にする事も無いしな。」
「あー⋯うん。そうだね。
それでじゃあ月の光を浴びせた水は沢山使う事になるのかな?」
「朝は小川で良いなら日が昇るまでだが、家の畑を優先して撒けば良い。
それなら比較もしやすくて良いな!」
「じゃあ夜の水はどれぐらい必要になるのかな?
昨日の分で足りると思う?」
「いや、流石にあれポッチじゃ量が全然足らな⋯⋯あ⋯」
「良かったよ。大事な話に気付いてくれてさ。」
「むぅぅ⋯」
拗ねた!
むっちゃ可愛いか!
唇を尖らせて少し膨れた顔がマルセロに似てる!
マルセロって母似だと思ってたけど、父に似た所も有るんだろう。
目元は母似だけど、眉毛とか唇は父の遺伝子なんだと今気付いた。
「だから井戸を利用出来たらと思ってるんだけど、問題は井戸水を利用しようと思ったら、昼間に蓋を開けられなくなる事と。
出来れば錬成瓶代わりにしたいから、なるべく井戸の中に月の光を入れたいなぁって考えて、あの仕組みをマル兄ちゃんと作ったんだよ。」
『あーー!!!』
皆が一斉にピンときたらしくて、大きな声を出したからジーニスがビク!と跳ねた。
泣くか?!
と、ジッと見てたらモッチャモッチャと咀嚼を続けてらっしゃる。
図太い。
流石末っ子、動じねぇなぁ!
何だか生暖かい気持ちになった。
「アレは錬成瓶を銀の代わりに使ったんだけど、1番最初にあの仕組みを考えた時は、ギルバートさん達が着てた銀色の鎧を参考にして考えてたの。」
「あー!
キラキラしてるよな!」
「うん!キラキラしてる!」
「うん。でも銀なんて直ぐに手に入らないし、銀板を使うのも夜に庭に置きっぱなしにするのはちょっと⋯」
「それは流石にお父さんも嫌だぞ。」
「うん、だから錬成瓶を使ってアレを作ったんだけど、月よりも強い太陽の光ですら、あそこまで光が弱いし。
井戸の中に集めるのは難しいかなぁ?どう思う?」
『うーん⋯』
しばらく皆が考えてる様なので、私もちょっと考えてみる。
問題は指向性を持たせる為に、錬成瓶の周りに紙を巻いた事だ。
上蓋がコルクなので月の光を当たらせようとしたら横からの光が必要になる。
つまり地面から反射した光が、あの錬成瓶の光の元なのだ。
だから強い日の光ですら、あそこまで光力が落ちた原因だと考えられる。
でもこれが錬成箱の場合。
上蓋が錬成瓶の構造になっているので、真上からの光も中に取り込めるのだ。
恐らく魔王は月の光を最大限に吸収させるためにそう言った造りにしてくれたんだと思う。
だからあの箱を横に倒せば、透明錬成瓶と違って中の水が零れて仕舞うだろう。
まぁそこは良い。
問題はあの錬成箱の周りを遮光したら、錬成箱の月の光を吸収させる力が衰えてしまう事だ。
つまり錬成箱を鏡代わりにするのは非常にロスになる。
しかも錬成箱は構造上と重さの問題から、木に括り付けて使う事が出来ない。
と言う事は高い所に置けない事になる。
そこは横からの光で十分なので、錬成瓶を使えば済む。
でもなぁ⋯結局は錬成箱を1つ犠牲にしてるし、錬成瓶も使うんだよ。
それなら素直に錬成瓶を増やせば良いって事になりかねないのよね。
井戸の中の水を全部取り出して、透明錬成瓶に入れて庭に並べておけばわざわざ井戸の中に光を当てなくても済むんだよ。
「良い案がないなら私が考えたことを話すね?
沢山考えたけど今の私には井戸の中に月の光を当てるのは難しいの。
だから今出来る事が有るとしたら、大型透明錬成瓶を増やす事。
錬成箱は法律の問題が有るから、簡単に増やせないけど。
大型透明錬成瓶なら増やせるでしょう?
それで井戸の水を夜になったら大型透明錬成瓶に移すの。
そして井戸の蓋は開けて置いて、残りの井戸水を自然な形でだけになるけど月の光を当てる。
朝になれば井戸は蓋をする。
今とれる方法ってこれしか無いんだよ。
井戸から大型透明錬成瓶に移した水を、お母さんの野菜の強化実験に使ったり、私の実験の為の魔力草に使えば魔法の水は節約出来るかなと考えてるんだけど、どうかな?」
「俺の畑の水はどうなるんだ?」
「それは大型透明錬成瓶に朝になれば畑のお水を入れたらどうかな?」
「それだと朝の水やりの時間が取られてしまうんだが⋯」
「小川の水を大型透明錬成瓶に入れるだけならお父さんじゃ無くても出来るよね?」
「おお!そうか!それは良いな!」
「問題は大型透明錬成瓶を増やすのに10個で銀板10枚要るんだよ。
だから実験の資金から出すにしても、種を売るのに2回分売って大型透明錬成瓶を10個増やす形になるのね?」
「ふむ⋯時間がかかるのか。
なら取り敢えず銀板10枚ならリリアナが貰った金から出したらどうなんだい?」
「うん。学校のお金には手をつけたくないから、白金貨は使えないけど、まだ金貨なら沢山残ってるよね?」
「うむ。大丈夫だ。」
「それならどれぐらい人の手で小川のお水が汲めるかは分からないから、大型透明錬成瓶を10個増やして試してみようか。
先ずは井戸からのお水がどれだけ有るかを調べてからにした方が良いと思うんだけど、どうかな?
流れて日の光に当たりやすい小川のお水よりも、井戸のお水の方が栄養もあって月の光を貯めやすいと思うのよね。」
「それは⋯」
「⋯井戸の水を使って私達の食物を強化するのよね?」
「井戸の水より小川の水の方が良いんじゃ無いのか?」
ワハハハ!お父さんとカタリナとロベルトの顔と目がむっちゃ面白い。
超嫌そうなのに表に出せなくて、表情が釣られて無表情になってる。
目だけが嫌!って言っててヤバい!
なんかホラーになってる!
「全然大丈夫だけど⋯井戸を調べる時に一度井戸の水を空にして中を私が浄化しようか。
後は水を汲んだ時に浄化したら気分的に大丈夫じゃ無いかな?
元々は大丈夫な水だから、小川よりも本当は綺麗なんだよ。
小川の方が逆に獣や人間のアレが混ざってても可笑しく無いし、土にろ過されて無いから人間の身体には危ないんだよ?」
『あー、なるほど⋯』
お母さんは長文になると右から左に話を聞き流すので、今はジーニスに気を取られてるから大丈夫なのだ!
「でも井戸のお水が勿体ないね。今夜は錬成箱のお水を捨てずに井戸の中に入れたいなぁって考えてたんだけど⋯大型遮光錬成瓶も買った方が良いのかなぁ?」
「それなんだが、普通の水瓶ではダメなのか?」
「え?普通の水瓶て⋯あの土間にあるヤツ?」
「あぁ、前から聞こうと思ってたんだが、どうして透明錬成瓶の方が良いんだい?
井戸の蓋を開けてても良いのなら、水瓶の蓋を開けて月の光を浴びせても構わないだろう?」
「あ⋯、ゴメンお父さん。
私、大事な事を1つ見落としてる。
ダメだ。
井戸の蓋を開けて月の光を浴びせても効果は無いかも知れないや。」
「うん?」
「実験してて分かった事なんだけど、魔法のお水をお皿に入れたら魔力が飛んで無くなっちゃうんだよ。
魔力は多分空気より軽いからお空に昇って雲のなかに混ざって、雨になったらお水の中に魔力が混ざって地面に落ちて来ると考えてるの。
だから蓋を開けてたら魔力が逃げちゃうから、大型透明錬成瓶の中で魔力草を育ててるの。
種になるときはどうしても月の光を花に直接当てないと行けないから蓋を開けてるんだけどね?」
「あー、それで魔力草が育つ速度が上がってるのか。
魔力を逃さない造りにしなければ行けないんだな?」
「うん。だから井戸に透明錬成瓶みたいな透明な素材で板を⋯あ。氷だ!お父さん氷だ!
氷を錬成箱で作れば良いんだよ!!!」
「うん???」
「えとね?氷は透明だよね?
だから氷は溶けるまで魔力を閉じ込める性質が有ると私は考えてるの。
だから井戸の蓋の代わりに氷を上に乗せたら光は通っても魔力は抜けないし、氷が溶けたら井戸の中にお水が落ちて行かないかな?!」
「それなら普通の水瓶も上に氷で蓋をすれば良い事になるんだが、その氷はどうやって作るつもりなんだ?」
私は木のコップの横に置いてあった透明錬成瓶を手に取り、中の井戸水を魔法で凍らせた。
魔力の水よりも魔力を使ったけど、無事に凍った錬成瓶を父の方へトンと置く。
「凍ったよ。」
「ま⋯まさか?!」
父が慌てて錬成瓶の蓋を開けると中に指先を突っ込んだ。
「冷たい!え?リリアナ?!
まさか氷の魔法も使えるのかい?!」
「魔力で出した魔法のお水よりも凍りにくかったよ。
だから井戸水を直接凍らせるのは難しいかも知れないけど、錬成箱で魔力のお水を凍らせて蓋にするなら出来ると思うの。」
「っっ?!」
口を開いて驚いてる父を見て、カタリナが小首を傾げた。
今は母がジーニスにお粥を食べさせている。
「確かリリアナってこの前お湯も出せるって、言ってなかったかしら?」
「うん。貸してお父さん。」
私は今度は錬成瓶を両手で包むと、お湯をイメージして瓶に送り込む。
自分で実験した時に気が付いた事だけど、蓋が開いてたら魔法は使えるのだ。
面白い事に蓋が開いてないと、幾ら念じても錬成瓶の中は何も変わらないから面白い。
でもだから魔力草は瓶の中に魔力が有れば育つんだと思ってる。
つまり私が魔法を使おうと考えた時に、魔力が変化させたいものに伝わってないと魔法は発動しないと言う事になる。
「⋯温かい⋯お湯になってるぞ!」
「一度凍らせて魔力を通したからかな?凍らすより楽だったよ。」
「し、信じられん。どうやって凍らせたり、温めたりしてるんだ?!」
「うん。私の場合は小さな砂粒を頭の中で思い描いてるの。
服を身体に擦ると熱くなるよね?それと同じで水を砂粒だと思って小さく動け!こすり合えって念じたらお湯になったの。
じゃあ逆に砂粒止まれ!絶対に動くな!って念じて氷になれ冷たくなれって願ってたら凍ったかな。」
「ふむ⋯やってみよう。」
そう言うと父はジッとぬるま湯になった水面を見つめる。
「あ⋯」
『わあ!』
「よしっっ!!!」
皆の歓声に父が瓶の中に指先を入れて確認すると、お水の中に浮かんでる氷を見てグッと拳を握り締めた。
「お父さん余裕?」
「いや、始めてやるから少し消耗したな。でも水を操るのは元から得意だからな。
あとはリリアナの説明がとても頭の中に描きやすかったよ。
凍れと思うだけなら凍らないから不思議だな。」
「学校に行ったらまた違うやり方を教わるかもしれないよ?」
「だとしても無駄にはならなさ。新しい事が出来るのは良い事だ。」
「なら良いんだけどね。」
「ぼ、僕も!僕もやる!」
マルセロがキリリとした顔で瞳を爛々と輝かせて両手を父に向けて伸ばす。
コレは瓶を寄越せアピールか?
「は?俺が先に決まってんだろ。」
「僕が先に言った!」
「じゃ2人で同時にしたら良いよ。はい。木のコップどうぞ。」
『あ⋯』
ロベルトには父から錬成が、マルセロには私が木のコップを渡したら、ウンウンと両サイドが唸り始めた。
ウケる。
動きがシンクロしてて、こう言う息ピッタリな所を見てたら兄弟だなぁって感じるのよね。
お父さんは困った顔をしてる。
「この後もまだ仕事が有るんだが⋯ロベルトは難しいだろうなぁ。」
「それなら私がロベお兄ちゃんに背負って貰えたらお手伝いするよ?」
「え?!リリアナは裏庭の水やりが有るじゃ無い!」
「あー、ならそれしてから行くよ。小川で練習してみる。」
「ふむ。ならもし終わって余裕が有るならロベルトに連れて来て貰いなさい。」
「うっわ!なんだコレ。」
お父さんと話してたら突然ロベルトが頭を押さえて呻き始めた。
「魔力切れた?あ、でもちゃんと氷になってるよ。
でもロベ兄ちゃんでこれなら、マル兄ちゃんは危ないかな?」
「いや、まだ動かせんだろ。」
「うえぇぇ⋯気持ち悪⋯」
「魔力草1本使ってお茶を作ろう。そしたら楽になるよ。」
「はぁ?魔力草使っちゃうの?!勿体ないじゃ無い!
寝てれば治るわよ。
魔力切れなんて!」
でた!農家あるある。
シンドかったら寝ろ。
薬飲むぐらいなら休めの根性論なんだよ。
コレが有るからお母さんは産後無理したし、農村で使われるのが初級回復薬なんだよね。
「お姉ちゃん。
お金より家族の健康だよ。」
「でもっ⋯」
「そりゃ計算しちゃっから勿体ないって思うのは分かるの。
でもロベお兄ちゃんは魔力切れが分かってて魔法を使ったんじゃ無いの。
だから危ないと思うから、悪いけどお茶は作るよ。
どうしても嫌なら今回私が銀貨1枚払って買い取るよ。
良いね?」
「うっ⋯そんな私、悪く無いわよ!皆が育てた魔力草なのにっ⋯」
「だから私が買うの。
お母さんお願い。
根っ子は使うから切って葉っぱと茎で水の時から入れて沸騰させないようにして欲しいです。」
「え?え?」
「指示するから。
お姉ちゃんらジーニスをお願い。
お父さん、私を抱っこして。
残ったら私達も飲もう。」
「ああ⋯分かったよ。」
姉は涙を滲ませて悔しそうにしてた。
父に抱っこして貰い、土間に向かう。
私は日の当たらない場所で錬成瓶を出して蕾のついてない魔力草を1本取り出す。
母に指示をして根っ子は切り落として避け、葉っぱは千切り、茎はざっくりと3カ所ぐらいにカットして貰った。
鍋に月の光を浴びせた1日目の魔法の水一瓶入れて、追加で魔法の水を注いでコップ三杯ぐらいの総量にかさ増しする。
そこに葉っぱと茎を入れて、塩を2つまみと甘い粉を耳掻きひと掬い分入れたら蓋をして貰った。
「お母さん、私が合図するまでそのまま湯がいててね。
お父さん根っ子を回収したいから日陰に行きたいの。」
過去に回収した根っ子が入ってる月の光を浴びた水入りの錬成瓶に、新しく根っ子を追加する。
これを使う時は眼鏡が完成してからにするつもりだ。
その頃には魔王にこの辺りの月の光の水は全て渡してしまってるだろうから。
これは使用済みなので、私が使おうと思う。
頭で5分数えた所で少し蓋をズラして貰う。
湯気が出てるのを確認して直ぐに蓋をとじ、鍋を揺らして貰った。
そして後1分加熱した後で竈門から降ろし、まな板代わりの机に鍋を置く。
そしてお玉で掬って新しく出した浄化済みの遮光錬成瓶3本にそれぞれ均等に入れて貰う。
切り分けた茎も1本づつ瓶に入れた。
全て注ぎ終わったらすぐに蓋をしてしばらく放置する。
焦り過ぎたかも知れないけど、錬成瓶に満遍なく葉っぱや茎を入れたから、後は蒸れてくれるのを祈る。
試飲して弱かったら瓶ごと湯がいて貰うつもりだ。
そこで最初からそうすれば良かったとこの時気付いた。
次からはそうしようかなと思うが、遮光錬成瓶にコルクの蓋をして湯がいて、瓶の中の圧力を考えると、それも危険かと思い直す。
まぁこの辺は学校に行って本家の魔水製造法を聞くか、眼鏡が使える様になれば実験して試せば済む話だ。
「ロベ兄ちゃん、身体はどう?」
「あー⋯頭が痛いのは少しマシになったけど、まだ気分悪ぃし身体がスゲェ怠い。」
「そろそろ冷めてると思うけど、飲んでみて?」
「⋯うん。」
マルセロはロベルトが気持ち悪いと言った所で、すぐに木のコップから手を離して、ジッとロベルトの様子を見つめてた。
マルセロはとても賢いなと、その様子を見て心の中でほっこりする。
私も遮光錬成瓶の蓋を開けて味見をする。
大分薄くしたから塩気と甘みがほんのりと効いてるヌルいお湯だ。
でも草の匂いはついてる。
苦味は全く感じない。
魔力は消耗してたけど、体調に感じる程では無かったので、回復してる実感は無かった。
「ロベ兄ちゃん、どう?」
「うーん⋯少し楽になったかも。気持ち悪かったのがスッとした。」
「初級魔水より少ない所を更に薄めてるから、効きが弱いと思う。でも一応は効果が有るから草の匂いが嫌いでも全部飲んて欲しいの。」
「あ、うん。コレぐらいなら平気かな。」
「なら良かった。」
「リリアナ。俺も飲んだ方が良いか?」
「うん。3等分したから、錬成瓶に空間が有るでしょう?
それだと保存に向いてないの。
だから飲めたら飲んだ方が魔力が抜けなくて良いと思う。
でも今飲まないなら、魔法の水を縁まで入れて蓋をしたら良いよ。」
「分かった。」
お父さんは水を足して蓋をすると自分の魔法の鞄にいれる。
後で飲むことにした様だ。
空いた遮光錬成瓶は纏めて浄化してから魔法の鞄に収めた。
「カタリナお姉ちゃん。
お姉ちゃんは多分教会で頑張って魔法の練習をしたから、魔力切れの経験が有るんだよね?
だから休んでたら回復するのを知ってるんだよね?」
「⋯そうよ。死ぬわけじゃ無いんだから、休めば良いのよ。」
「うん⋯でも私ね?
農村では出産したら初級回復薬を飲んで休んでたら良いって考え方が大嫌いなの。
それが原因でお母さんが大変な目にあって、私の兄弟が2人も死んじゃったから。
多分今なら中級回復薬を私達は買えるよね?
でも初級回復薬は銅貨50枚だけど、中級回復薬は銀貨50枚するの。
お姉ちゃんはどっちの回復薬を飲む?」
「⋯それは⋯」
「休めば良いから初級回復薬を飲むんじゃ無いかな?」
「っっ⋯」
「今なら14日で銀板1枚稼げるから買えるのに、銀貨1枚が惜しいお姉ちゃんは、絶対に買わないよね?
休んでたら死なないから。」
「っっ⋯」
「私は家族皆に迷惑をかけて生きてるの。
お姉ちゃんだって私のせいで凄く辛い思いをしてるでしょう。
でもお姉ちゃんも、家族の皆も私なんか要らないって言わないで、優しくしてくれるし守ってくれたの。
だから私は家族が私よりも大事になったんだよ。
お金は大事にするべきだと思うけど、使わないといけない時にお金をケチって薬を飲まないのは、私には難しいかな。
これは私の考え方だから、お姉ちゃんもそうしろとは言えないけど。
でもこう言う理由が有るから、お姉ちゃんの言うことは聞けなかったの。
お姉ちゃんがもし、それで傷ついてたらゴメンね?
お姉ちゃんが悪いんじゃ無くて、私とは考え方が違ったんだと思ってくれて良いよ。」
「っっ⋯⋯」
カタリナは両膝の上に両手の拳を握り締めて深く俯いている。
「あー⋯それとね。
これは皆に聞いて欲しいの。
マリア婆ちゃんとエリザベスお祖母ちゃんの若さの違いって何だか分かるかな?
マリア婆ちゃんは初級回復薬を飲んで13人子供を産んで、エリザベスお祖母ちゃんは中級回復薬を飲んで子供は4人産んだんだっけ?年齢は10歳違い?
その割に年の取り方が全然違う気がするの。
後ね?王様若く見えるけど、45歳で孫まで居るんだって。
子供の頃から魔法薬を沢山飲んでて男の子が中々生まれなくなって、跡継ぎ問題ですごく大変だったみたいよ。
魔法薬は効果が強いから、ちゃんと正しく使えば老後の老い方や体調はかなり違うみたいだけど、王様みたいに無茶をしてたら身体に問題が起こる事も有るんだって。
だから安易に薬を使わないのは、決して間違いじゃ無いと私も思うの。
今回ロベルトお兄ちゃんは普段使わない魔法を使って自分の限界を知らないウチに超えちゃったんだよ。
それは自分で何度も練習して、そろそろやばいかな?って思って魔力を使う魔力切れとは少し違うんじゃないかな?
大きな魔法を使わないと分かりにくいかも知れないけど。
身体から一気に魔力がズルッて抜けて無くなると、ドッと身体がシンドくなるから、体力が削られてる感覚が有るんだよね。
だから魔力切れは死なないって安易に考え無い方が良いと私は考えてるんだけど。
かと言ってロベルトお兄ちゃんはまだ8歳でしょう?
王様の話を聞いてたから1本丸ごと飲ませずに3人で分ける様にして少ない量を使ったの。
これがお父さんだったら私は花付きの魔力草で1人分のお薬を作ってたよ。
でも本当はちゃんと学校に行って勉強しなくちゃ危険なことだから、なるべく使わないようにしたいかな。
だから強い魔法を使う時は皆気をつけ欲しいの。
マル兄ちゃんも1人でいる時に練習しないでね。
私も1番最初に氷を出した時は、お母さんやお姉ちゃんが側にいて、自分で飲むお茶を用意してからやったんだよ。
ロベ兄ちゃんは私より年上だから大丈夫かなと思ってたけど、朝畑仕事してたから消耗してたかも知れないね。
私が先に気付いて準備してたら良かったのに、遅くなってごめんね。
次からは気をつけるよ。」
『⋯⋯』
カタリナは俯いたままだったけれど、他の皆は納得してくれたらしい。
でもカタリナも今は素直になれてないだけで、もう私が伝えたい事は分かってると思うからそこは触れずに流す。
「それじゃあお父さん、早目に畑に行こう。井戸や水瓶の話はお昼にしよう?」
「あぁ、分かった。先に行ってる。ロベルトももう少し休んでリリアナがやれそうなら連れてきてくれ。」
「うん。分かったよ。」
こうして朝の会議は終わった。
裏庭に出たらマルセロに呼び止められたので、畑の肥料の材料が何かを説明をしたらガーンとショックを受けて、物凄い顔をして井戸を見たからめっちゃウケた。
だって威嚇してる猫みたいになってたんだもん。
マジ可愛ゆす。
私はトコトコと歩いて、裏庭の畑に1番近い人工小川に向かって、そこのお水を魔力で持ち上げると、雨の様に小さな粒にして畑全体に撒く。
水を持ち上げるのに最初は少し戸惑ったし、一度に持ち上げる量も少なくてドッヂボールぐらいの水玉だから、魔力はあまり消費しなかった。
自分で作った水を撒くほうが大変だったからだ。
操るのに少しコツがいるけど、そこにある水を使った方が魔力の消耗はかなり抑えられる。
コレは氷を作る時の原理と同じみたいだ。
でも私にはこれ以上大きな水のボールは支えられない気がしてウーンと悩んだ。
水の塊が重いのなら、軽い水の塊にしてやればいい。
そうイメージを固めたら、小川の上に手を翳す。
するとふわんふわんと水で作ったシャボン玉が出来たから、後は早かった。
「それ!」
手を小川から畑に向かって振るとそれに釣られる様にして沢山のシャボン玉が畑に向かって飛んで行く。
シャボン玉なので水があるのは周りだけで、中身は空洞になっている。
だからそれを全て畑の上で落としてやれば、水やりはあっという間に終わった。
『うわぁーー!!!』
ロベルトの愕然とした顔であんぐりと大きく口を開いた悲鳴みたいな叫びと、マルセロの好奇心にキラキラと顔を輝かせた楽しそうな叫びがハモって聞こえてビックリする。
「キャハハハ!」
でも次の瞬間それが面白くて、私は弾ける様に声を挙げて大笑いする。
キラキラとした水滴のついた葉っぱも眩しいぐらいに、日差しの厳しい真夏の朝の出来事だった。
ロベルトは大量の水玉に度肝を抜かれてるけど、シャボン玉なので見かけ倒しです。




