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お金のお話になります。


まずはお父さんに相談する。

お昼ゴハンの時に帰ってきた父に、カックス叔父さんが商人さんを連れて来たら見せられる商品が無い事を伝えて、(ピノ)を実験に使って野菜を強化してみたい事をお話した。


「今はお前もノインの雛を育ててるし、向こうはウェブンの雛を育ててるから、もう手一杯だろう。

この上ピノの世話までするのは難しいと思うんだよ。


焦る気持ちは分かるがウェブンの雛を見せるだけで、今はまだ良いんじゃないか?」

「あー⋯うん。」

「もし餌に効果が有るのかを試したいだけなら、ノインを数羽借りて実験してみたらどうだい?

別に野菜を買わなくても、あの水を飲ませるだけでも違うだろうし、今与えてる餌を強化してみたらどうだろうか。」

「ハイ。あ、もうハイ。

その通りです、お父様。」

『ぶは!!!』

「届け尊敬の祈り!」

『アハハハハ!』


もうホント、それな!

正にその通りなのです。

家族全員から笑われてるが、私は全身から尊敬のオーラをお父さんに向けて注ぐように、両手の指先を向けてグネグネしてる。


「あ、でも靴屋さんに話をして貰ってるのはどうしよう⋯」

「ふむ。そうかアレがあったなぁ⋯。

セフメトの修行も有るし、金を持ってる事の説明にもなるのか⋯うーん⋯」

「ピノは捌くのが前提だし、育てるって言っても5日ぐらいのつもりなのと、昼間は倉庫の暗い所に居させて、夜は檻に入れたまま庭に出すだけなんだけど⋯」

「そうか。それなら手間はそこまで掛からないのか。

なら一度だけ試して見て、大変なら捌けば良いな。」

「うん!」


と、言う訳で食後に皆が勉強会して遊んでる間にマドルスお爺ちゃんの家に行ってセフメトに話を説明する。


「分かったよ。生きたピノと野菜を買ってきたら良いんだね?」

「うん。あ、でも野菜を強化したいから、野菜を先に欲しいです。」

「それなら今日は野菜を買って、狩人にピノを頼んでくるよ。

それなら明日か明後日にはピノが届けられるんじゃないかなぁ?」

「ピノが好んで食べてくれる野菜で、お水を吸いそうなのってどんな野菜かなぁ?」

「うーん⋯じゃあタルクス叔父さんに聞いてみる!

ピノも言えば取ってきてくれると思うしね。」

「おお、セフ兄ちゃんありがとう!

でも何度も移動が大変だよね?

無理しないでね?」

「ううん!獣車の練習してるから、移動する理由があった方が良いんだ。

だから気にしなくて大丈夫だよ。

雛もまだ居ないしね。」

「そか、分かった。

じゃあ、よろしくね!」

「うん!強化?したピノ楽しみだね!

そのピヨ子みたいにふわふわになるのかな?」

「アハハハハ!

なったら良いね!

あ⋯そうだ。タルクス叔父さんに会ったら、ピノがどんな魔法を使うか聞いておいてくれるかな?お父さんも知ってるかもだけど、タルクス叔父さんの方が詳しいかも知れないしね。」

「そっか強化したら魔法も強くなるかも知れないからだね?

そりゃ大変だ。

ちゃんと聞いてくるよ。

あ、メモしとくね。」

「紙いる?」

「ううん、大丈夫!

まだ紙に余裕あるし!」


そう言って食器棚からインクとペンを持って来て、折りたたんであった紙の余白にセフメトが文字を書いて行く。

ちゃんと省略文字も使って文章が書けてきてる。

私も勉強しないと皆に負けるなと感じたから、急いで家に帰って勉強会と言うカルタ大会に混ざって遊んだ。

そしたら最近サボってたからコテンパンにされた。

ムキー!悔しい!!!

マルセロにドヤ顔された!

昼寝もしないで法律を暗記しようとしたら叱られた。

ぐすん。

マルセロとロベルトは教会に行ったよ。

騎士の体育塾はまだ続いてるらしい。

でも最近は午後に教えて貰う時間があるんだって。

午前中は授業の勉強があるから、みんなご飯を食べてまた2時ぐらいから集まって夕方まで遊ぶらしいよ。

あ、修行だった!

この暑い中みんな良くやるなぁ。

でも暑いから農作業も無いから暇になる時間帯なんだよね。

夏は朝や涼しくなる夕方の時間の方が、仕事があるんだよ。


ロベルト達の話では、カルマンさんがアスレチック作りにハマってるらしい。

何か行くたびに増えてて楽しいんだとか。

大人気のアスレチックはチーム戦闘らしくて、太さの違う木の棒を高さを変えて地面に突き立てて、その上を飛んで移動するらしいんだけど。

向こうとこっちから来て、かちあったら戦闘するらしい。


チーム分けしてて表チームと裏チームがあって。

戦闘中に地面に落ちたら負けで自分の陣地に走って戻れるけど、、勝った人が棒を全て通り切って相手チームの陣地に行けば勝利らしい。


でも棒に色がついてて、赤い棒のエリアは木の棒でつつきあって戦うらしいけど、青い棒のエリアだと戦闘内容は問答なんだって。

境界でお互いが立ってる棒の色が違ってたら、仲間が銅貨を1枚投げて表か裏かで、銅貨が表した方のチームの選手が立ってる棒のルールで戦闘になる。


青なら同じくチームの誰かが銅貨を投げて、現れた方のチームの選手から問題を出して、相手が出した問題に答えたれたら勝ちで通れて、答えられなかったら負けで自分で地面に落ちるのがルールだ。


赤い方は細い棒が多くて、青い方は太い棒や橋もあるらしく、橋もあるから女の子や小さい子でも出来るんだって。


選手の年齢が7歳以下なら問題はチームで出して、チームで答える工夫もしてて、チームには必ず7歳以下枠や女の子枠が有るとか発展してる様だ。


答えは正しい答えじゃないと駄目だから、子供達で分からなかったら教会のスタッフさんにジャッジして貰うとか。

最初は子供聖書の内容とか、王様の名前とか地名とかだったんだけど、問題が出されすぎてて皆覚えちゃったもんで、直ぐに答えられちゃうから。


ロベルトやマルセロが法律の問題を出すから、かなり強いらしくて教会の人も正解が分からないから、ギルバートさんやカルマンさんが頑張って答えてたらしいけど、今はもう法律の本が置いてあるらしい。


だから子供達の間でも今は法律を覚えるのがトレンドになってるとか。

お嬢さんの実験なのかな?

知らんけど。


そのアスレチックゲームが大流行してるから、教会を卒業した子供達も大勢集まって来てるから、チームも複数有るしトーナメント戦とかもしてるらしく。

今度は秋のお祭りで大人も混ぜて大会しようぜって言ってるんだとか。


娯楽が無いってスゲェなって思った。

てか防具は?

無いんかい!

怪我したらどうすんの?

しさいさまって人が頑張るのか。

大変だな、しさいさま。


でもまあ⋯、そりゃマルセロがメキメキ法律を覚えて行くよ。

私がボコられるのも納得だよ!

王様相手にキリ!としてた理由が分かって脱帽した。

戦える自信があったんだね⋯。

まぁ王様には勝てないとは思うけど。だよね?

ワンチャン王様は爺さんだから、勉強したの昔過ぎてて忘れてたりして。

今度聞いとこ。


ニタニタしながら私は夜の仕込みに入った。

昼寝から起きたらセフメトが情報と野菜を持って来てくれたからだ。

ヤマと言う野菜何だけど、こっちの蕪っぽい人参かな。

根っ子の色が緑で、葉っぱや茎がオレンジ色〜赤い色になってる。

味はほんのり甘くて土青臭い。

そう、土の匂いと葉っぱの匂いがブレンドされてる根野菜なんだよ。

苦味が無いのが特徴かなぁ。

茎や葉っぱも食べられるけど、パセリみたいにパサパサしてて、あんまり美味しくない。

ヤマは根っ子が太くて美味しい野菜なのだ。

形は蕪っぽくてズングリとしてる。

コイツがピノの大好物らしくて、土を掘って根っ子を齧って逃げていくから害獣指定されてるそうだ。

美味しい野菜は貴重だからね。


さて根野菜ならまだ強化出来る可能性は有るかな? 

実は我が家の裏庭にもヤマは植えてある。

食卓にはスープの具になって良く出て来るね。

ヤマは根っ子の部分を草が生えてる所を残せば、また根っ子が育つ野菜なので、我が家では根っ子の下の2/3を食べて、草のついてる上1/3は地面に植えてリサイクルして食べてる。

あとセフメトがもう一つ持って来てくれた野菜は、ラグと言う葉物野菜だ。

ラグはこっちのキャベツモドキのほうれん草かな。

これは裏庭には無い野菜だから、私も我が家では余り食べた事はないんだけど、マゼランお爺ちゃんのお店で出て来た事は何度か有るよ。

割とポピュラーな野菜かな。

色は紫色で白が混ざってる。

色は紫キャベツみたいだけど、形はほうれん草なのだ。

純粋な葉物野菜。

これも根っ子がついてる状態でゲットしてきてくれてるから、少し萎びてるけどイケるだろ。


てことで2日月の光を浴びた水を遮光錬成瓶にいれて、ヤマとラグの根っ子の部分を漬けている。

ラグは大丈夫だと思うけど、ヤマがどうかなぁ。

根腐れしなければ良いなと思いながら、今夜は月の光を浴びせて様子を見る。

何故遮光錬成瓶にしたかと言えば、透明錬成瓶なら月の光を浴びせた水の条件が変化するからかな。

あとラグは過食部分が葉っぱだから駄目だけど、ヤマなら根っ子が過食部分だから、このまま太陽に当てられるとも考えたからだ。

やってみないと分かんないけどね。

最大の理由は遮光錬成瓶が余ってたから。

透明錬成瓶をまた仕入れなくちゃね。

なので遮光錬成瓶でヤマを5本、ラグを5本作ってる。

失敗なら次は透明錬成瓶を使えば良いだけさ。

そもそも最初から成功する研究なんて、無いのが普通なんだよ。

魔力草のあれはビギナーズラックかな。


そしてその日の日没後、もう日課になってる錬成箱の魔法の水入れと、水汲みをするとなった時の事だ。


「なぁ、リリアナ。

この残ってる水は、このまま残してた方が良いのかな?」

「うん?お父さんどうしたの?」

「うん⋯試しに(アムル)にあげたら駄目かな?」

「別に良いよ。あ、でも自分家用のにしてね?国のにして変化があったら、向こうの人達がビックリしちゃうから。」

「そうだな。秘密にするのなら、自宅用の畑で実験してみるか。

なら残りはお父さんが貰っても良いかな?」

「良いよ。でも入れ物はどうするの?」

「ん?このまま使えば良いんだ。

前の時は捨ててただろう?

あの頃はこの水がそんなに凄いと思ってなかったから、試そうとは考えてなかったんだけどな。」


そう言うとお父さんは箱の上に手を伸ばして指先をピンと張り、クッと肘を曲げたらザバッと底から水が持ち上がった。


『わぁ!!!』


私達家族がポカンとして大きく口を開けながら宙を舞う水の塊を見上げていると、ぐねぐねとアメーバーみたいに動いてる塊が月の光を反射してキラキラと光ってとても綺麗だった。


「じゃ、ちょっと行ってくるな。」


もう近所のコンビニ行ってくるわ!ぐらいの気軽さで、お父さんは月明かりを頼りに家の前のあぜ道を歩いて遠ざかって行く。


『はー⋯』

「俺も始めて見た時はビックリしたんだぜ?

ウチのオヤジって水を操るのがスゲェ上手いんだよ。

なぁ⋯アレ、絶対やべぇだろ?!」


ポカンとしてる私達にまるで勝ち誇る様な様子で、得意気にロベルトがそう言ってへヘンと笑ってた。


「そっか⋯だからたった1人で畑の面倒が見れちゃうんだね。」

「おう!俺もさぁ〜、オヤジに言われて修行してんだけど、今はコレぐらいを浮かせるのが精一杯でさぁ〜」

「え?!ロベ兄ちゃんて、お水を操れるの?!」

「おう!練習したんだぜ?

最初は全然浮かなくて、コツ覚えるまで3日も経っちまったよ。」

「ほへ〜⋯」


ロベルトがコレぐらいと両手で大きさを示したのは、ドッチボールぐらいの大きさだった。

それでも自分が出した物じゃ無い魔法の水を操れる事に、私はビックリ大仰天だ。


「じゃあ何でわざわざ瓶でお水を掬ってたの?」

「あぁ、1つ1つ操作するぐらいなら、手でやった方が早いだろ?量が少ないんだしさぁ。」

「あー⋯でも目の前に浮かばせてくれたら私やマル兄ちゃんでもお水を掬えたのに。」

「持ち上げてるだけでも、スッゲぇしんどいんだぞ?

オヤジはあんな風にやるから簡単そうに見えるけど、ずっと浮かせてるのってスッッッゲェ大変なんだからな?」

「ほほう⋯あ、そう言えばそうかも。形がぐねぐねして、ジッとするのって難しいよね。」

「うん?何だよリリアナ。

お前、もう出来るのかよ。」

「でもあれは私が自分で出したお水だったから出来たけど、よそのお水なんてどうやって動かすか分からないよ。」

「あー、そっか。

そう言う事か。

ビックリしたなぁ〜」

「ちょっと!喋ってないで仕事しなさいよ。」

『あ⋯』


カタリナが空になった錬成箱に魔法の水を入れて行く姿に、私も慌て水を入れて行く。

私の場合は身長が足らないので、掌から水が放物線を描いて錬成箱にジャバジャバと入って行く。

ロベルトは水を入れたばかりの透明錬成瓶を抱えて、魔力草の水の入れ替えに向かって行った。


マドルスお爺ちゃんから、父は水の魔法が得意だから跡継ぎに選んだとは聞いていた。

父本人からも水の壁を出したとかの話も聞いてたけど、実際に大きな魔法を使ってる姿は始めて見たからビックリした。


何時も畑でお仕事してるのは知ってるし、指先からお水を出したり小川の水を飛ばして雨みたいにしてる姿も見たことは有る。

だけどあんなに大量の水を一気に持ち上げて運べるとはちっとも思ってなくて、何だか騙されてた気分だ。


最初からアレを見せてくれてたら、魔法がショボいとは思わなかったと思う。

居るじゃん!

水の魔法使い。

しかもそれ、ウチのお父さんじゃん。

何だそれ!


仕事して魔力を消費するから、遊びで使えないのは分かるんだけどさぁ〜。

私が悩んでた2年を返せと言いたい。

クソ!最近見落としが多いの気付きまくりやんか。

頑張って観察してたんだけどなぁ⋯凹む。


とか拗ねてたら魔法の水がいっぱいになった。

私だけじゃ無くて、カタリナやマルセロやロベルトも出してるしな。

そうお気付きだろうか。

シレッとした顔でマルセロがいつの間にか混ざってるのだ。


「マル兄ちゃん、魔法どうしたの?」

「見てたらなんか出来るようになったんだよ。」

「そっかぁ~」


話を聞いてたら動揺で目が遠くなった。

春になった時、果たして兄は一体教会に何をしに行くんだろうか。

来年の春から暇になるマルセロが教会で無双してる姿が目に浮かぶようだ。


⋯可笑しい。

何故兄が無双する?

普通は転生者が無双するんじゃ無かっただろうか?

今じゃもう勉強でも負けそうな勢いなんじゃが?

あ、でも計算ならまだ勝てる。

よし!トランプ程度じゃまだ負けねぇよ?

妹のクセに兄にマウントをとられそうで嫌な大人気ない私だが、私の身体はまだ2歳の子供だから大丈夫なのだ!


それから疲れた顔をした父がトボトボ戻って来た。

でも顔は楽しそうなので、実験の結果を想像するのが楽しいんだろう。

まぁ、うん。

あの魔法大変だってロベルトが言ってたしな。

100リットルの水を(かつ)いで運んだぐらいには大変だったんじゃ無かろうか。

知らんけど。


私も出来るのかなぁ?

マルセロが見てて水出せるようになるぐらいだし、私も今度お父さんが畑仕事してるのを見に行ってみようかなぁ。

ピヨ子がピヨピヨし始めたので、錬成瓶達をどんどん鞄から出して行く。

兄弟達はそれを並べてくれていたのだが。


「ねぇリリアナ。私も魔力草を育ててみたいんだけど。」

「うん?何時も育ててくれてるよね?」

「そうじゃ無くて、私の魔力草を育てたいの。」

「⋯つまり?」

「この綺麗な瓶を1つ貸してくれないかしら?魔力草は自分で林から取ってきて育てたいの。」

「ふーん。良いけど、混ざるんじゃない?」

「今部屋には置いてないじゃない?だから私のはお部屋に置こうかと思ってるのよ。」

「育ててどうするの?」

「売るに決まってるじゃない。」

「あー、自分で作って自分が売りたいんだ。お金を沢山貰えるから。」

「そうよ。ねぇ〜良いでしょう?」


成る程と思う。

そりゃお小遣いをもらってチマチマ貯めるよりも、種を売ればガッポリ丸儲け出来るもんね。


「良いけど条件が有るよ。」

「何よ、条件って。」

「自分の分の錬成瓶を買って育てるまでは、錬成瓶を貸し出ししてる間はお小遣い無しにするけど、それでも良い?

自分で錬成瓶を買って育ててるなら、私の作業をお手伝いする時にお小遣いは今まで通りに払うよ。」

「えと⋯それってどうなるの?」

「透明錬成瓶は1本銀貨20枚なの。今はお姉ちゃんにお手伝いして貰ってるから毎日銅貨6枚支払ってるよね?」

「うん。そうね。」

「それを無しにする代わりに錬成瓶を1つ貸し出すよ。

種を作って売れば銀貨150枚は手にはいるから、錬成瓶を自分の分を買えるよね?」

「ええ、そうね。」

「そしたら錬成瓶を1つ自分で買ってよ。その後私のお手伝いしてくれたら、また銅貨6枚支払うからさ。」

「でもそしたらお水はどうなるの?」

「自分で魔法のお水を出して育てたらいいよ。」

「じゃあ、この月の光を当ててるお水は使えないの?」

「うん。そうだよ。

使いたかったら錬成瓶をもう一つ買ってね?

種を売ったら買えるよね?」

「それならあの大きな瓶はどうなるの?」

「あれは1つ銀板1枚何だけど、注文するには10個からだから、銀板10枚あったら買えるよ。」

「え?!銀板って幾らだったかしら?」

「銀貨100枚だよ。」

「えー!!!そんなの高くて買えないわ!」

「買えるよ。

「魔力草1本有れば種が15個以上取れるでしょう?だから銀貨150枚は最低の値段なの。

でもそれで計算しても、67回種まで育てたら大きな錬成瓶10本買えるんだよ。


最初は錬成瓶1本だから20日ぐらいかかるけど、錬成瓶が3本有れば途中から育てるなら10日有れば種までなるよね?


透明錬成瓶だけじゃ並べて育てられないから、日数はかかるけど670日有れば大型透明錬成瓶買えるよ?でもこれって透明錬成瓶1本で魔力草1本育てる計算だから、10 本育てるならお水用が20 本必要になるから、合計30本錬成瓶があれば67日で作るる計算になるでしょ?

そしたら2ヶ月と少しで大型透明錬成瓶が買えるよ。」

「うー⋯そしたら10本1人で育ててないと行けないのよね?

うーん⋯2ヶ月かぁ~⋯」

「でもどうしたの?何か欲しいものでも出来たの?」

「そうじゃ無いけど、私もお金が稼ぎたかったのよ。」

「ふぅん。でもまあ1本からノンビリそだててみたら?

私も最初はそうだったんだし。」

「そうね〜、じゃ1本錬成瓶を貸してね?

リリアナみたいにはなれないのが、今ので分かっちゃったから、お金稼ぎじゃ無くて楽しんで育ててみるわね。」


そう寂しそうに微笑むカタリナを見て、私は成る程と納得する。


「お姉ちゃん、私。ちょっとお小遣いの金額を見直そうと思うの。

最初にお手伝いして貰ってた時は、まだ魔力草の数も少なかったし、錬成瓶も全然少なかったでしょう?


でも今は錬成箱まであるし、あれに魔法のお水を入れるだけでも大変なのに、他にも沢山お手伝いして貰ってるから、値段が全然見合ってなかったんだよ。

本当なら私が先に気付いて言わないと行けなかったのに、気がつけなくてごめんなさい。」

「ううん。違うの。

リリアナは沢山お金を稼いでるけど、それは自分の為じゃなくて、鳥の事をしたり皆の為に使ってるでしょ?

だからそれは分かってるの。

叔母さんや従兄弟達が帰ってきたら、今までの稼ぎじゃ食べて行けないから、リリアナが頑張って色んな事を考えてくれてるの、分かってたのに⋯。

私が欲張りになっちゃってただけなの。

だから謝らないでね?

お姉ちゃんなのに情けないわね。」


私を見下ろしていたカタリナの顔がクシャっと歪み、声が震えて籠ってしまった。


「お姉ちゃん!泣かないで!

お姉ちゃんはちっとも情けなくなんか無いよ!

私ちゃんと、考えるから。

皆んなが幸せになれる方法あるから!

だからお姉ちゃん、悲しまないで!」


私もカタリナのスカートにしがみついて彼女を見上げる。

ロベルトやマルセロや父や母がどうした?!と、ビックリしながら集まって来た。


「お父さん。家族会議を開きましょう。魔力草の栽培のお手伝いについて、賃金の見直しをやります!」

「うん???」

「前と違って魔力草を作る時の作業が増えてるの。

だから前に決めたお手伝いの料金じゃ、皆の働きに見合わなくなってたの。

お父さんやお母さんも沢山手伝ってくれてるのに、2人には何も払ってないのも変なんだよ。

だから私、ちゃんと計算する!

それで皆と話し合いをしたいの!」


目から涙がポロポロと零れてるけど、泣いてる場合じゃ無いから、カタリナのスカートを握り締めて父の困った顔をキリリと見上げた。


「うーん⋯良くわからんが、分かった。取り敢えず夜も遅いから、作業が終わったら家に帰ろう。

話し合いはまた明日でとは思うが、まぁ余裕があるなら皆で話そう。」


こうしてカタリナも私も両手で涙を拭うと、バタバタ動いて作業を終わらせていく。

最後にお父さんにお爺ちゃんの家に連れて行ってもらい、錬成箱を出して鍋の水を入れ替えると、残った水は錬成瓶に入れ変えた。

今夜はエターニャに錬成箱の中に魔法の水を入れて貰う日なので、一度錬成箱を浄化させてから、エターニャが入れられるだけお水を入れて行く。 

その間、錬成瓶をお爺ちゃんの家の前に並べて行った。


作業が終わって自宅に戻れば、寝る準備を済ませた兄弟と母が、暗いリビングのテーブルのまわりの椅子に座ってた。

テーブルの中央にはお皿が置いてあり、そこに細いロウソクに火を灯している。

下手をしたら月明かりの方が明るいけど、今夜は雲があって時々真っ暗になるからロウソクがある方かマシかも知れない。


「うーん⋯暗いね。私が明かりを灯しても良いかな?しんどくなったら止めるけど。」

「もうそんな魔法を覚えたのか?」

「まぁやってみる。

いきなり消えて暗くなったら嫌だし、ロウソクはそのままで良いかな?」


そう前置きをしてLEDをイメージした明かりを天井に飛ばした。


『眩し!!!』


我ながら見上げてしまっていたせいで、思いっ切り目が眩んだ。

アホだ。

一家全員が目潰しを食らった状態になってしまい。

少しの間目をコシコシしてた。

なんか久しぶりの蛍光灯だなと、感慨深くなりながらメモを取り出して一生懸命に計算をしていく。


取り敢えず今は野良の魔力草が12本ある。

あらかじめ1本につき銅貨30枚を支払っているので、収益銅貨1200枚から360枚引いておく。

そして残った値段は840枚になった。


「取り敢えず外からの魔力草は12本有るでしょ。

そこから1本銅貨30枚はもう支払い済みだから、残りは840枚になります。

そして私の研究や家族の買い物をするのに半分を引きます。

そして残ったのが銅貨420枚です。

そして労働条件ですが、5人で割るとお姉ちゃんとマル兄ちゃんは、昼間も作業しているので不平等になります。

だから7で割って、お姉ちゃんとマルお兄ちゃんの取り分は2人分とします。

此処までで何か意見はありますか?」

「えーと⋯これは何の話だい?」

「魔力草を売ったお金の分配だよ。」

「何故そんな事をする必要があるんだい?」

「これは家業じゃ無くて、私の研究だからだよお父さん。

家業になったらお父さんが考えてくれたら良いけど、私はまだ一人で作業出来ないから、皆にお手伝いして貰ってるの。

始めたときは魔力草も錬成瓶も少なかったし、分けてもらう魔力草のお水も少なくて良かったけど、もう随分と増えてしまったから報酬が必要だと考えたの。」

「ふむ⋯」

「そこで皆に報酬を支払うつもり何だけど、私も研究がしたいから全てはあげられないでしょう。だから取り分の話し合いをして、分からない事や気に入らない事が有れば教えて欲しいの。

譲れる事も有るだろうし、難しい事も有るからお話し合いなんだよ。」

「それで⋯この値段は?」

「外からロベお兄ちゃんとカタリナお姉ちゃんが取ってきた魔力草なの。

これは魔力草を取ってきてくれた時に1本につき銅貨30枚支払ってるから⋯」

「あぁ、ようやく分かった。

続けてくれ。」

「そこで7人で分けるのは良いかな?お父さんとお母さんとロベルトお兄ちゃんは1人分。カタリナお姉ちゃんとマルセロお兄ちゃんが2人分。ここに不満のある人はいる?」

「私がマルセロと同じなのは少し不満だわ。」

「マルセロお兄ちゃんはどう思う?」

「うん。カタリナお姉ちゃんと同じぐらいは出来てないかな?」

「それなら他の人達が問題無かったら、この4人分を2人分で分けずに前みたいに6と4で分けるよ?じゃあ具体的に数字に出すね。

まずは1人分が銅貨60枚。

これが3人の報酬になります。

そしてカタリナお姉ちゃんとマルセロは、240枚の銅貨を10で分けたら24枚になるから、お姉ちゃんは6人分で、お兄ちゃんは4人分と考えるとカタリナお姉ちゃんは銅貨144枚でロベルトお兄ちゃんは銅貨96枚になります。どうですか?」

『わぁ!』

「スゴイわ!そんなに貰えるの?!」

「やったぁ!」

「じゃあ決まりね。

次に種から育てた魔力草にうつります。

これは今回50本育ててるけど、このうち20本は種まで育てるので30本で計算します。

それで⋯1人分214とちょっとになるけど、銅貨より下のお金はないので214枚になります。

そしてカタリナお姉ちゃんは1284枚で、マルセロお兄ちゃんが856枚になるので、全部合わせてお父さん達3人が銅貨274枚なので銀貨2枚と銅貨74枚。

カタリナお姉ちゃんが銅貨1428枚なので銀貨14枚と銅貨28枚、マルセロお兄ちゃんが銅貨952枚なので銀貨9枚と銅貨52枚になります。

計算間違いしてないか不安なら、自分で計算してね。」

『⋯⋯むり。』

「いや⋯しかし、すごい金だな⋯」


お父さんが頭を抑えて感心したように呟くと、カタリナやマルセロがプルプルと興奮に震えている。


「俺も今度から昼も手伝うよ!」

「お母さんもそうしようかしら〜」

「そうなるよね~。

その辺は皆の自由にして良いよ。でも他の家業や家の仕事はちゃんとしてからになるからね?

そっちのが優先だから。」

「う⋯うん。」

「そうよねぇ〜⋯はぁ。」

「そこで不満も出ると思ったので、今度は種です!」

『!!!』

「でもまだ種は少ないので全部はどうしても売れません。

ここは分かるよね?」

『コクコク』

「そして今回は20本を種にします。でも魔力草は半分の日数で出荷してるから、種は倍必要になります。

30本魔力草を作るのに種は60個必要だから、多めに見積もって6本は栽培用になります。

あと14本のウチ研究とか、魔力不足の時のお薬と使うので、4本は予備に残します。

なのでこの10本で作った種を出荷するけど、種は出来てから数えるから今はおおよその値段になります。

14日で150個出来たとして、銀貨1500枚なので、このうち500枚は実験費用に回して、残り1000枚なんだけど、家計にも回したいから500枚はお父さんに渡します。

残りを家族で等分に割ろうと思うけど、どうかな?

一人銀板1枚なんだけど。

お姉ちゃんとマルお兄ちゃんはそれで良い?」

「そうね!さっき多く貰えたから皆で分けましょう!」

「うん!良いよ!」

「お父さんやお母さんやロベルトお兄ちゃんも銀板1枚になるけど良いかな?」

「おう!やったぜ!」

「やだぁ~何を買おうかしら〜?」

「つまり俺は⋯」

「お父さんのお小遣いは銀板1枚だけど、家族の買い物用には銀板5枚だよ。これは2週間での金額だからね?」

「⋯よし、分かった。だが管理が大丈夫か?皆んな。危なくないか?」

「そこはもう自分で錬成瓶に貯めて、お父さんの魔法の鞄に入れておけば良いんじゃない?

地面に埋めても良いけど、いちいち掘り返すの大変でしょう?特に銀板は重いから、自分で持つ分は魔力草の方のお金だけで良くないかな?」

『う〜ん⋯』

「まぁその辺りは任せるけど、高い買い物する時は気をつけてね?」

『⋯うん』


こうして家族会議は無事に修了した。

ふふふ⋯敢えて計算してない金や種は全て頂いて行くぜ!

何より買い物するのにいちいちお父さんにお金を貰う手間が省けて良かった。

これで自由に買い物できるぞ〜!!!



チャリ〜ん♪

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