31
ヒロインまた爆死
全く今思い出しても酷い目に遭わされちゃったよ。
アレから全員が変なゾーンに突入して、お茶が飲みたいのにカップに口をつけたら誰かが吹くし。
そしたらこっちも飲めないじゃ無い。
口をつけたら確実に吹くもの。
だから心が落ち着くまで思い出話をしようと思ったんだけど、ほら魔王やヴィルフォンテお爺ちゃんやお師匠さんやポッテリとしたオジサンも。
ソファーに座ってる人達全員が、王様が我が家へ飛んで来たあの日、あの会場に居た人達じゃない?
共通の話題だから王様が飛んで来て、ウチの家族がびっくりしてひっくり返った話やら、チビりそうなぐらい怯えてた話をしたの。
それで私が家族の混乱を立て直そうと思って、余裕な態度を演出するのに、こうやって腕を組もうとして短くて組めなかったり、足を組もうとして短くて組め無かった事を実演して、「ようこそ我が城へ」って言ったら王様が笑い崩れた事を説明したら、もう皆にそれが刺さる刺さる。
騎士やヴィルフォンテお爺ちゃんの慌てぶりをモノマネで実演したら、騎士の1人が崩れ落ちてたし。
あ、あっちも参加してたんだ。
って分かったから、王様が死ぬ死ぬ言うから、ウチではね⋯とか、私の事を知ってたサラディーン様がね?とか話してたら、もうね。
お茶が冷えるまで全員が当時を思い出して、ソファーの上で身悶えしたり肘置きを叩いたり、足踏みしたりと。まぁ⋯うん。
全員が全身で笑ってたよね。
それでもあのオジサンは真面目な人だから、どうにか私の頭のサイズを測るからと紐を持ち出したから、じゃあってほっかむり外したら落ちてくる藁を見て皆が一斉に笑うし。
理由を話しても爆笑するし。
オジサンもヒーヒー言いながら紐を持ってプルプル震えてるもんだから、ヤバい人みたいになってて私だって笑うわよ。
やっとの思いで紐で頭のサイズを測って、私が用意してた紙工作のカチューシャや、サンバイザー的な模型とこんな感じにと、スカウターの絵を這々の体で説明すると、じゃあお開きにしようねって這々の体で王様が言うと、お師匠さんと王様と私がヨロヨロしながら部屋を去る前に、私の姿は秘密よってオジサンに言ったら、もう笑う所じゃないのに爆笑しながら頷いてたのよ。
失礼しちゃうでしょ。
私もその爆笑してる姿に爆笑してたから、人のこと言え無いんだけどね。
でもサイズを測ってデザインを渡すだけなら5分も掛からなかったの。
酷くない?
1時間近くかけて、本題は5分以下だったのよ。
しかも全員体力の限界に挑戦するレベルで笑ってたから、そりゃもう疲れるよね。
その前から合わせたらお城の滞在時間は鐘1つと半分は居たと思う。
その後私達も部屋を去る前に、ヨロヨロしながらも私は隣の部屋に行ったのよ。
ドアの下に隙間が有るから頭に乗せてるピヨ子が落ちないように、両手で頭のピヨ子を抑えて、少し斜めに身体を傾けたら通れたんだけど、それを見たソファーの所の居残り2人と、私の後ろにいた2人と騎士達全員が揃って爆笑してたわね。
そして迎えた方はギョッとして部屋の中で身を寄せ合っていたのに、頭にピヨ子を乗せてフードを被ってた私のスタイルを見た途端、全員がブッツと吹き出して口元を抑えたの。
私はあの最強の刺客を笑わせたくて行ったのに、ドアを潜って中を見回したら口元を抑えて床に崩れ落ちてたからびっくりしたわ。
あの執事風のお爺さんも、お腹を抑えながら左右に無言で揺れてたよ。
それじゃあと思って、お騒がせしました。って挨拶をしたら全員がこっちを向いて固唾を飲んでたから、「あ⋯王様が肩から下げてる布、あれ実は王様のお部屋の窓にぶら下がってたカーテンなんですけど⋯。皆さんご存知でした?」と、告げ。
皆がまた爆発しそうになってるのをギリギリで堪えたのを確認してから。
最後にフードをとって3倍ピヨ子を見せて大爆笑を取った。
悲鳴じみた笑い声やら奇声じみた笑い声やらを聞いて、私は満足したのでまたフードを被ってえっちらおっちら部屋をでたのよ。
その時も魔王達3人は前後に傾いて爆笑してるし、騎士達もちゃんと爆笑してたわ。
勿論私だって笑いながら帰ったの。
魔王は私を抱き上げる余裕が無いから、そのままポテポテ歩いたわよ。
廊下ですれ違う人達が笑いながらフラフラする王様を見てギョッとして壁際に行くのに、私を見下ろしてブッツと吹き出して口元を慌てて抑えるもんだから。
王様もお師匠さんも笑いが止められ無くて、フラフラしながら歩いてたわね。
私の姿は秘匿?何それたべれるの?みたいな感じに頭から跳んでたわね。
それぐらい全員が精神力を持って行かれてたのよ。
まぁあの人達は魔王からしたら身内だから良いやと諦めてる。
廊下の途中で力尽きて庭に逃げ込んだら、魔王が落ち着くまで転移魔法が使えないって言うから、じゃあ上后様に抱き締めて貰いに行こうねって言ったら、あっという間に落ち着いて私を連れて帰ってくれたのよ。
上后様ってすごいなって思ったわ。
捨ててくみたいに、杖を持った私をウチのリビングに1人残して、魔王はあっという間に帰って行ったけどね。
だから私、ご飯を食べて無かったのに、家に帰ったら水だけ飲んでバタンキューで夕方まで爆睡したの。
ピヨ子も随分と疲れてたみたいで、途中でご飯を食べてた事も良かったのか一度も起きずにぐっすり私と昼寝をしてたよ。
あの日の翌日、ウェブンの卵孵機からウェブンが孵ったの。
つい朝になって前日の話を朝ごはんの時にしちゃって、皆がまたオナラやら崩れ落ちた人達の話やら、色々私から聞いて笑い転げるから、私も思い出して笑いが止まらなくなっちゃって。
お父さんなんて泣きながらロベルトと畑に向かったんだよ。
それからカタリナやお母さんと何時もの家事をしたりして、やっと心が静まったから、ぼーっとしてたら。
昼前に卵を1つ背負ったバッカスがすっ飛んできて、ピヨピヨ言ってる!って言うからお父さんとロベルト以外の全員で鳥小屋に向かったの。
そしてマルクスにマドルスお爺ちゃんを呼びに走らせたんだよ。
そして駆けつけて来たお爺ちゃんとバッカスとセフメトを横並びにさせて、少し離れた所から他の家族達は鍋の蓋を開ける3人の姿を眺めてたの。
セフメトをメンバーに混ぜたのは、魔力が関係するかを確認するためね。
本来刷り込みは少ない人数でするべきだと思うけど、今後水を出す時の事を思えば、この時点でセフメトも刷り込みが成功すれば、今後は誰の魔法の水でも良い事になるからよ。
そして実験の結果、セフメトが米粒を与えようとしたけれど、ウェブンの雛は食べなかったの。
でもお爺ちゃんとバッカスがあげた米粒はちゃんと食べたのを見て、魔力も刷り込む必要が有る事が確認できた。
でも予想以上に雛は大きくて食欲も旺盛で米粒じゃ全然足らない。
バッカスは昼間の作業が有るから、夜間の世話までするのは難しいとなったの。
だから資料通りに芋と麦を使って水分多めの雛の餌を作ったよ。
芋と麦をあらかじめ魔法の水に浸して鐘1つ分置いてから、粥より少し硬めにするのにお水はそのまま魔法の水を使って炊いてる。その時蓋はしっかり閉めて貰う。
もう1台の携帯魔導コンロが待ち遠しいねって話したら、セフメトが「仕入れは任せて!」とキリ!とした。
お爺ちゃんが夜は俺が雛を見ると張り切ってたけど、もう一つの卵が孵ったら難しいねって皆で話し合ったの。
雛が同じタイミングで起きてくれたら良いけど、既に産まれた日数が同じじゃ無い。
だからセフメトが自分も参加するって言ったけど、彼には昼間も動いて貰っているから、私がうーんと悩んでたら。
14歳のエターニャが私がセフメトを手伝うと、雛の育成協力に名乗り出てくれたんだよ。
卵孵機にセフメトとエターニャが交互に魔法の水を入れ替えようと話がついたので、そしてその日の夜から月の光を浴びせた水を作る事になったよ。
それまではお爺ちゃんの魔法の水を使って卵を温めるのと同時に、孵ったばかりの雛もあたためている。
雛を羽毛のない人間が育てるには、やっぱり温かい季節の方が良い。
それでもノインの雛ですら温度が足らなかった事を考えると、ウェブンも同じ危険性があったので、雛が孵った日からウェブンの卵孵機の上の雨よけに設置してたテーブルを木箱に変更したのだ。
まず倉庫から探して1m四方の木箱を空にしたものを2つ準備した。
木箱の蓋は木の板に蝶番がついてて、上下に開閉して使う仕様になっている。
1つの木箱は横に倒し、開け閉め出来る蓋を手前に来るようにする。
そして本来なら横になる場所だけど、横を上にしたので新しく上の位置に当たる所に鍋の蓋をズラしたあたりの場所に小さめに穴を開けた。
前後左右の4カ所に穴を複数作った。
そして箱の中に卵孵機を入れるのだが、従来通りに下側には石を積んで魔導コンロが手前に入れるようにした。
鍋蓋の開け閉めが不自由になったが、コレは仕方が無い。
中の水を入れ替える時は鍋を取り出して対応する。
これで下の箱は完成だ。
次に上になる箱を細工する。
下の箱の上に通常通りに乗せるのだが、底の部分に下の箱と同じ場所に穴を開けた。
鍋蓋をずらせば蒸気や熱気が上の箱に伝わる様なイメージで細工をしたのだ。
簡単な工具しかないなら、釘やらナイフやらを使って、小さい穴を開けるのにも割と苦労していた。
大人がしてくれてるのを横で見てるだけなので、私は楽だったけどね。
そして熱気が直接にあたらない様にする為に、底に布代わりに服を敷いて熱気が出る場所は多めに藁を敷き詰めてから、中央はノインの羽毛を散らし、ウェブンの雛を住ませるのだ。
場所は鳥小屋にバッカスが居る時には北側に置いてるけど、彼が長時間離れる時や家に戻る時は箱を運んで家の土間に持ち込んでいる。
そしてお湯を炊くときは少し蓋をズラして炊いているけど、木箱の壁に熱が当たる木蓋の部分は特に温度を確認した。
火事になるので。
まぁ携帯魔導竈門の構造としては、前世の電気コンロに似ていて直接火が出てる訳では無いので、木の蓋を閉めて加熱しても鍋の横辺りの板がちょっとだけ、ほんのり温かいだけで済んでる。
これは鍋が金属製なので、そちらの放射熱で温められたのだと考えられる。
つまり木箱の蓋だけでなくて全周囲が火事の危険性が有る事になるんだけど。
ただコンロの場所がずれてるから、正面が1番熱くて左右がそれに少し劣り、そして後面は全く熱くなってなかったから、正面さえ気を付けてれば輻射熱で燃える心配は低そう。
もちろん上の板が1番加熱されていた。
でも1番上は湯気が当たるので保湿される事を考えると、横壁よりも燃えにくいとは考えられる。
それでも長時間加熱するとやはり火事の不安は残るが、魔導コンロを付けっぱなしにしなければ多分火事にはならないと思う。
でも人間はミスをする生き物なので、加熱時は箱の木蓋を開ける事で対応する事にした。
閉じて加熱をした事を忘れて炊きっぱなしにしてしまえば、卵も雛も死んでしまう。
でも閉じて炊くのが当たり前になると、その異常に直ぐに気が付けないと考えたのだ。
その代わり中の温度や魔力が逃げないように、加熱時は毛皮を上の箱との間に挟んで垂らして、中の温かい空気と魔力が逃げるのを期待してる。
天板と鍋蓋の間の空間が狭い構造上の理由として、蓋を前後にずらし難いので箱の手前の穴は不要な事に、この時気付いて罰が悪かったよ。
コンロの高さが約10cm大で、鍋の高さが大体80cmある。そして、鍋蓋の持ち手が4cmぐらいだから、天井の板まで5cmぐらいの隙間しか無いからね。
もうガチでギリギリ。
魔力漏れを考えれば、断熱材を使用して箱を作れたらいいけど、前世の記憶には作り方なんて覚えて無い。
お嬢さんに相談するしかないなと考えてる。
値段次第になるけど、設計図を書いて断熱出来る穴あきの箱を注文した方が早いのかも知れないけど、それなら元から卵孵機を注文すれば良かった事になる。
だから今は話を聞くだけにする。
あとこっちに卵孵機が有るのかも聞いてみようと考えてる。
カタログには無かったからだ。
恐らくこれは私の予想でしかないけど、本業のウェブンを育ててる所に行けば正解が分かると思う。
でもあくまでも私の予想なら、数日卵を人間が抱いて魔力を教え込み、卵を孵すのを親鳥に任せてるのでは無いだろうか?
つまり親鳥が居れば卵孵機は不要になる。
なら親鳥を買ってこいよとなるが、そこでウェブンの性質が問題になる。
そう親鳥は他人では飼育出来ないのだ。
つまり雌のウェブンの卵を孵して、成鳥まで育てた人しかウェブン屋になれないと言うことになる。
つまり魔法生物ウェブンを作る錬成師も大変だけど、原種ウェブンを育てるのも始めてするのは大変って事だね。
でもウェブンは原種でも人気の高い獣だから、旅商人が頑張って育てたんだろう。
何度か失敗して大勢の人達が諦めて行く中で、頑張って成功させた人も居る。
その人達が先駆者になってウェブンの牧場を作って卵が手に入れやすくなって今は私達もその仲間に入ろうとしてるのかと思えば、何だかもうロマンティックと言うか⋯胸熱なのは私だけかな?
卵孵機がないのは平民が育ててるからだと思う。
高そうだもんね、魔導具。
魔導具がなくても出来る事なら、錬成師にわざわざ作らせない気がするしね。
それでも有るかも知れないから、お嬢さんに確認はしてみようと考えてる。
だって騎士が乗るハブトゥルはトカゲだからワンチャン卵じゃ無い?
聞かないと分からないけど。
でも卵は成体のハブトゥルに孵させて、成体を魔法契約で服従させてたらまぁ⋯うん。
要らないかな?卵孵機。
騎士は貴族だから、ソレが出来ちゃうもんね。
この時私は膝から崩折れそうになった。親鳥を買って魔法契約したら、私も卵孵機が要らなかったのでは?と気がついたからだ。
ロマンティックとか無かった。
むしろ胸が寒くなる思いに今は遠い目になってるんだが?
⋯まぁこんな失敗も人生の経験さ。
魔法生物ウェブンが商人の憧れなのは燃料問題が有るからだろうし、原種ウェブンに魔法契約が流行ってないのは、金が無い奴が卵を買って夢みてるだけかも知れない。
契約する金が無いか、知識が無いか。
私みたいに安易に考えた奴が、沢山世の中に溢れてそうだもんなー。
ハハハハハ。
チーン⋯。
⋯現実に戻ろう。
断熱材は⋯要らねな。
多分我が家で卵孵機が必要なのは、あの卵達が雛に孵るまでだし。
何なら今の卵が孵って雌が居なかったら、雌の原種ウェブンを魔法で契約すればええやん?
ハーイ、パチパチパチパチ!
問題解決ぅ♪
取り敢えず昼間は鐘1つに7分水を炊いてるので、上の箱の中は外よりも温度が高めになっている。
夜は雛が餌を求めてる間、お湯を沸かしている。
その代わり2日月の光を浴びせたお水は1日2回交換していた。
朝はエターニャのお水を使い、夜はセフメトのお水を使うのだ。
交換時に素早く入れ替え出来る様に、鍋はもう一つ買って準備してある。交換したばかりの時だけ今は竈門で少しお水を温めてから、古いほうから遮光錬成瓶を重しがついたまま取り出して鍋の交換をする。
そして鍋の蓋をとじて、湯気が出るまでお水を温めるのだ。
だから今の所2日経っても雛は元気に育っていた。
最初は月の光を浴びせる日数が足りて無かったが、2日目からは足りているのでこのまま順調に行けば良いなと考えている。
そして2日目なった今日、エターニャの魔法の水を鍋に入れて、卵孵機の稼働が始まったばかりだ。
それとは別にようやくタルクス叔父さんが帰ってきた。
10日前に通信機でやり取りをしたから、そろそろ帰って来るとは思っていたけれど、顔を見たら無事に帰ってきてくれてとてもホッとした。
そしてウッカリ忘れてたけど、新しい卵がもう一つ増えてしまった。
我ながら本当に何をやってんだと、頭をどついてカチ割りたくなった。
タルクス叔父さんが出発する前は、こんなに雛の育児が大変とは思ってもなかったので、欲張って卵を買って来て欲しいと頼んでいたのだ。
通信機で話をした時に思い出してたら止めてたのに、スッカリ忘れていた。
我ながらもの凄く凹んだけど、タルクス叔父さんは悪くないので、ありがとう!と、頑張って笑いながら受け取ったのよ。
でもバッカスは優しくて、卵孵機を作ってくれたから、大丈夫だよって慰めてくれたの。
エターニャも餌を作る手間は同じだからと朗らかに笑ってくれて、ホロリと泣きそうになった。
だって彼らは魔法契約を知らないんだよ。
バレたらどうなるのか怖くて言え無い私を赦して欲しい。
次の日の夜は皆でマドルスお爺ちゃん家に行って、タルクス叔父さんから土産話を聞いたり、カックス叔父さんの話も聞いた。
一度此方の様子を見に来ると言っていたそうだ。
その時は修行に出してる娘さんの修行先の旅商人と一緒に来るそうだ。
カックス叔父さんの話しの持っていき方次第になるけれど、まぁそうなるだろうね。
商談も有るしさ。
やべぇ怖くなって来た。
私もうちょっと勉強しないと、下手に行動しない方が良い気がして来た。
普通はそうなんだよ。
ウッカリ世界の秘密を見つけたから、白金貨なんて貰っちゃって、だからこのまま進んだら絶対に何処かで大転けしちゃう!
分かってる!
知ってた!
だから慎重にしようと思って、ちゃんと資料を取り寄せて調べて考えたのに、なんかもう何でこうなるの?!
金儲けに目が眩んで、ウェブンを育てる事しか頭になかったせいだよね!
だから実際の牧場を現地に行って見学なりしてたら気付いてた事も、子供だから行けなくて出来なかったんだよね!
知ってるよおぉぉぉ!
真実が痛い。
心から心がクッソ痛いんだが?
ヤバい!今すぐにでも首を吊りたくなって来た!
これは危機だ!
私の命の危機になるやつだ!
取り敢えずピヨピヨとピヨ子が鳴き出したから餌をあげよう。
胸元に下げてる魔法の鞄から、エレガント米粒を取り出してピヨ子の口に放りこんだ。
⋯はー⋯。
何も考え無いってのは良いね。
癒されるわぁ~⋯。
お日様がぽかぽかしてて温かい。
ローブ脱いだら暑すぎてギャーギャー言ってるとは思う。
ピヨ子がローブの中に入りたがるのも、暑いからだろうな。
もふもふやし。
鶏ガラ見たいなエイリアンピヨ子の時は、凍え死にそうになったと言うのに、成長って言うか時の流れってもんはすげぇなぁ〜⋯。
さぁリフレッシュしたから対策を考えよう。
いつ頃カックス叔父さんが来るかは分からない。
来てもらって見せられるのは卵孵機と雛の姿だけ。
商人が来て商談しようと考えたら、商品が必要になる。
雛を見れば成長すればウェブンになる事は分かるだろう。
でも卵孵機はダメだ。
これはまだ商品には出来ない、有り合わせを寄せ集めて作った道具だからね。
なら売り物になる商品と言えば何だろう。
私は此処で兎の毛皮を考えていた。
なんなら当時は強化した兎を、檻に入れて売っても良いまで考えてたけど、万が一魔石が強化されてたらそれは出来ない。
魔石の強化は秘匿技術になるからだ。
でも従来の魔石強化と違って生きてる兎には意志や本能が有る。
魔法を使えば消費されるだろうから、せいぜいが2級未満の強化出来れば良い方なんじゃ無かろうか。
コレは実際に実験して見なければ、どうなるかは分からない。
でも魔力草がなぁ。
私はこの時花付きか花付き寸前の魔力草を兎に食べさせて強化しようと考えてたんだよ。
でも今そのレベルの魔力草は、1本で銀貨150枚以上の価値になっちゃってるんだよ。
種がひと粒銀貨10枚しちゃうから。
1本の魔力草から大体16〜20個は今種が取れるから、銀貨150枚は最低値なのよね。
丸ごとピノを買えば銀貨2枚か3枚で買えちゃうんだから、それを強化した所で毛皮が銀貨10枚になるとは思えないのがネックだ。
実験だから利用が許されてるんであって、商売するなら真顔でバカか?って、切り捨てられちゃう。
ならどするか。
実験だから一応魔力草は花付き寸前のか花付きを食べさせるよ。
その代わりになるクズ野菜を強化した物を新しく作る必要は有る。
それでどれぐらい魔力草を与えた兎に近づけるかを、調べようと考えてるの。
でもね~。月の光を浴びた水に野菜を漬け込んで、どれぐらい強化出来るかなぁ?
まぁ1日漬けるぐらいなら、腐らないかなとは考えてるの。
でもそれぐらいなら、最初から畑に月の光の水を撒いて、野菜を作れば良いんじゃね?とも、考えてるのよ。
つまり時間がかかる実験になる。
出来る事から始めれば良いんだから、今夜から裏庭の畑には月の光を浴びた水を撒こうと、今考えた。
そして檻はもう有るから、セフメトにピノを買って来て貰えば、花付き魔力草で実験を始める事が出来る。
なんなら比較したいなら、最初はクズ野菜を買って来て水に漬けた物から試しても良いんだけど、靴屋さんの事が有るし。
一回クズ野菜を試してから、檻を増やすなりして考えれば良いかな?
クズ野菜はクズなので腐ってる可能性が有るから、古いけどまだギリギリ売れるかな?って物を集めて貰おうかと考えてる。
どうせ銅貨10枚も出せば籠で山盛り買えそう。
余ったらのノインやウェブンの雛の餌にすれば良いしね。
兎が好んで食べそうな野菜を買って来て貰う事にした。
セフメト居るかなぁ?
新研究始まるよ♪




