30
始めての刺客。
結果としてヴィルフォンテお爺ちゃんの、魔力測定機関係者との交渉は順調に終わったらしい。
私は親族とは会わなかったので、その人がどんな方だったかは知らないままだ。
ヴィルフォンテお爺ちゃんは古強者の猛将だから、ボコボコにしたんじゃないかと思われる。
寝てるピヨ子を抱いてる私を抱いた魔王が、この後部屋を移動したので、先王様や宰相のお爺ちゃんとは此処でお別れをした。
ピヨ子が頭の上に居ないから、私が姿を消したせいで、魔王がピヨ子をエア抱っこしてる形になってると思われるのだが。
カーテンを殊の外気に入った魔王が、肩からラフに羽織ってるせいでピヨ子は布に隠されている。
どう考えてもカーテンは設えられた衣装では無いのに、布地やら刺繍が豪華な造りなだけあってか、雑に肩にかけてるだけの魔王に、何の違和感も感じさせない所はやたらと感心させられる。
何だこのお洒落空間。
コレが一流パリコレモデルの風格と言うヤツなんだろうか?
1発芸のネタを仕込んでるだけなのに、優雅な歩き方や仕草や美貌がそんな脳内バグを誘発させるのだ。
カーテンがハイセンスなファッションに見えるぐらいのバグってなんぞ?とは思うが、事実なのが恐ろしい。
ヴィルフォンテお爺ちゃんが圧倒的に強過ぎたのか、謁見室よりも客室造りの談話室っぽい部屋に入ると、お爺ちゃんに萎縮している中年がサッと立ち上がる気配がする。
ヴィルフォンテお爺ちゃんも少し遅れて、貫禄のある立ち姿で魔王を迎えた。
魔王の後ろについてきたお師匠さんが部屋に入るのと同時期に、魔王がサッと片手を振ると責任者っぽいお爺さん執事を1人残し。
小間使いをしてたらしい青・中年のオジサンやメイドっぽい女性達が次々と、離れた所にあるスイングドア風のドアから部屋を出て行った。
位置的に廊下じゃ無くて、控え室っぽい隣室に入った感じがする。
声をかけたらそこからお茶でも運んで来そうな雰囲気だが、魔王のカーテンが邪魔をしてるせいであんまり良く見えなかった。
でもカーテンの纏い方が雑なもんで、魔王の正面は見えなくても横が開いてるから、そこからなら外の景色を見る事は出来る。
部屋から出る前にピヨ子を頭に乗せろと言われたが、寝てるのを起こしたら餌くれタイムが始まるよ、と言ったら諦めてくれたお陰だ。
私の作戦勝ちとも言える。
だって暗い中でジッとお硬い話を聞かされてたら眠くなっちゃうもん。
退屈だしね。
移動した先の部屋は窓の無い造りになっていた。
入口から入って一番奥に一人掛けの大きめな椅子が置いてあり、その後ろには壁に金の縁取りと刺繍の美しい紺色のタペストリーがかけられている。
模様は王家の家紋かな?
グリフォンみたいな獣の側面が描かれている。
魔王が部屋に入るとその椅子に座っていたヴィルフォンテお爺ちゃんが立ち上がり、私達から見て左側に移動してそこにあるソファーの横に立った。
一番奥の大きめなソファーの前には低めのテーブルが置かれていて、奥から出入り口を向くとお爺ちゃんは右側の椅子の横に立つことになる。
そして奥から見て正面には横長のソファーが置かれており、そこにお客様のポッテリとした体格の中年男性が立ってこちらを向いていた。
右手を胸元に当てて、背筋を伸ばした姿勢で腰から折り曲げる形で頭部を前へ倒している。
魔王は部屋の右側を通ってソファーの横を通り過ぎると、奥の豪華なソファーに座った。
お師匠さんは私に押し付けられた杖を手に持ちながら、魔王の左後ろに立つ。
他の小間使いの人よりも少し濃いめの深緑の生地に金色の縁取りや刺繍がしてある上着を着た執事風の年配の男性は、ヴィルフォンテお爺ちゃんの左斜後ろに立っていたので、魔王の右側の位置に控えている。
魔王の正面にある私達が入って来た入口には、肩から金色のモール付きの短い深赤のマントを着た、近衛兵風の騎士が2人槍を持って締めたドアの両横に直立してた。
面がないので30代のオッサンなのが良く分かる。
ソコソコ美形なのに私には地味な顔立ちに見えてしまった。
私はその事に愕然とする。
お嬢さんに出会ってからギルバートさんやカルマンやらと顔面偏差値の高い男性を見続けてるせいで、気が付かないウチに私の審美眼が英才教育をされてしまい、行き遅れてる魔王の娘達と同じ末路を辿らされている事に気付いたからだ。
奥から出入り口の方に向いた形で、部屋の右側の壁にはウエスタンスタイルのスイングドアまでは無くても、上下に空間の空いたドアがあり、そこに小間使い風の人達やメイド風の女性達が入っていった部屋に繋がっている。
魔王がソファーに座るとヴィルフォンテお爺ちゃんも座り、魔王に抱かれていた私が正面を向いた状態で座らされた時に、無駄に英才教育をされてる事に気付いて愕然としていた私から、次の瞬間余裕が消え去った。
酷い事に、魔王が肩にかけていたカーテンを横にズラしたのだ。
すると魔王の顔を直視しない様に頭を下げていた、ポッテリとした中年男性が正面を向いた途端に、ピヨ子の顔面を直視する事になった。
「むぐっ⋯」と、息を止めた様な異音が男性からした後で、ブオン!と大きな音がお尻から鳴った。
「は⋯キャハハハ!!!」
何というカウンター。
これまで100%の確率でピヨ子を見た人達を吹き出させ続けていたのに、カウンターで爆撃された私は弾ける様に爆笑した。
大きなオナラに私が笑ってるせいで、ピヨ子の顔の威力を知っている魔王やお師匠さんやヴィルフォンテお爺ちゃん達は、むぐっと笑いを耐えて踏ん張っているのだが。
それを見て怒らせたと勘違いした中年男性の顔色が、見る見るウチに青くなっていく。
執事風のお爺さんからはピヨ子の側面が見えてるせいで、中年男性が魔王のイタズラでオナラをしたのも分かったし。
魔王やお師匠さんが笑いを堪えているのも見えてるせいで察しているから、中年男性の焦る姿が勘違いなのも分かってしまう。
だから込み上げて来る笑いを堪える為か、下顎を動かして衝動を逃そうと我慢している。
入口にいる騎士たちにはピヨ子の姿は中年男性の背中やらソファーの背もたれやらで見えてないが、大きなオナラに私が爆笑しているせいで、背中を縮こまらせてる男性に呆れてる雰囲気を漂わせていた。
その絶妙なすれ違いを全て把握してしまえる私は、永遠に笑い続けていられるゾーンに突入しかけていたのだが。
負け知らすだったピヨ子が鮮やかなカウンターを食らい、私1人が暴発してるのも悔しかったし。
皆が絶妙にすれ違ってるのに気がついてないせいで、私1人がこんなに苦しんでるのも面白くなかった。
なので死に物狂いでゾーンの入口で踏ん張って笑いを留めると、ゼーハーと荒い呼吸を繰り返して頑張って冷静さを手繰り寄せたのだ。
「はー⋯はー⋯、オジサン、いきなり笑ってごめんなさい。
王様は昔真面目に勉強して急いで大人になったから、最近になってイタズラする楽しさを覚えてハマっちゃったの。
ねぇ見て。」
私はそう前置きをしてピヨ子を持ち上げると、右側にいる執事風のお爺さんにピヨ子の顔を見せた。
「ブフッ⋯」
そして執事風のお爺さんが無事に吹き出した事に満足すると、魔王の膝から滑り降り。
今度はトコトコとお客の中年男性のソファーを少し超えた所で立ち止まり。
『ぐふっっ』
抱いていたピヨ子の身体の向きをくるりと変えて、顔を騎士たち2人にも見せた。
「ね?ピヨ子の顔は面白いんだよ。だからオジサンも笑いそうになったから、我慢したんだけど、そしたら力を込めすぎてお尻から空気が出ちゃったんだよね。」
『ブハッッ!!!』
それを言うのか!ちょ!やめて!と、ポッテリとしたオジサン以外の連中から、一斉に聞こえない悲鳴が挙がったが、私はそれを無視して割と大きな声で言葉を続ける。
「だから今王様達の顔が怖いのは、オジサンを傷つけない為に笑うのを我慢してるだけだから、そんなに汗を出して怯えないでも大丈夫だよ?
オジサンはオナラをしたから叱られると思って、勘違いしたんだよね?」
『ぐふ!』『ゲフンゲフン!』『ふんぐ!』『ゴブハッ!』
そこまで言うの?!もうやめてあげて!と、壁の向こうからも風邪が流行ってるかの様な咳払いが響いてくる。
魔王は耐えきれず。
声も出せずに全身で悶えながら笑っているし、お師匠さんも限界を迎えて口元を握りしめながら小刻みに痙攣している。
ヴィルフォンテお爺ちゃんもひぐ!ひぃ!と甲高い異音を発してるし、執事風のお爺さんも、大きく口を開けて全く音を出さずに爆笑していた。
ポッテリとしたオジサンは、今度は見る見るウチに顔を真っ赤にして行く。
そして更に背中を丸めたが、声が聞こえてる方を向いていたせいで、真横に来てた私が向けたピヨ子の顔を間近に見て「ぶふ!」と、吹き出していた。
「ハーーー!っっっ」
「ぐふっっ⋯グフッグフッ⋯」
「ダハファヒャヒャヒャ!!!」
それに釣られて王様が引きつけ見たいな声を大きく出したもんだから、まずお師匠さんが耐えきれずに咳に似た笑いを挙げて身悶えするし、ヴィルフォンテお爺ちゃんはもう諦めて素直に爆笑しているのに笑い方が進化してる。
執事風のお爺さんもやたらと深呼吸を繰り返してるし、騎士達は堂々と持っていたはずの槍に縋りつきながら身体を震わせていた。
そして姿の見えない人達は、ドタンバタンと何かを叩いている様だ。
恐らく自分の身体を叩いているのかも知れない。
王様達が変に笑いを我慢するから、その異音すらも聞かされた方は妙に面白いのだ。
笑ったら駄目だと思っている時って、そう言うのあるよね?
私は完全勝利を実感したので満足すると、ピヨ子を空いてるソファーに置いて、うんしょ⋯とその横によじのぼった。
大人の膝下ぐらいの身長しかない私には、ソファーの座面はほぼ身長と同じ高さにある。
だから足やら腕やら、なんならフードがズレてほっかむりしている頭まで見えてるし。
「ピ!ピヨピヨピヨピヨ!!」
と、これまでは煩いなぁ⋯寝にくいやろと顰めっ面で我慢していたピヨ子が、私の体温から離された事でソファーの上から猛抗議をして来る。
『アハハハハハハ!!!』
「ダヒャヒャヒャヒャ!!」
ソファーに蝉みたいに張り付いてる私と、怒り心頭のチョンチョン歩き&短い羽根パタパタを目撃している、魔王やヴィルフォンテお爺ちゃん達がソファーを叩いたり、足踏みしながら壊れた様に大きな声で爆笑している。
お師匠さんも大声で笑ってるけど、流石にソファーは叩いてない。魔王が座ってるので。
執事風のお爺さんも一度は持ち直していたのに、また大口を開けて声もなく爆笑していた。
ポッテリとした中年男性は、思ってた以上に私が小さかったので、眼を零れんばかりに見開いて愕然としていた。
またそれが魔王と、お師匠さんの笑いを誘ってる気配がする。
執事風のお爺さんとヴィルフォンテお爺ちゃんから、オジサンの顔は見えて無いからね。
騎士達2人は修行僧モードに突入して、熱湯風呂に入れられてるみたいに険しい顔をしているが。
「しっ⋯静かにぎふゅ!」
小声で必死に室内を沈めようとした真面目な人が誤爆したせいで、隣の室内がドッと笑いに溢れたものだから、騎士達2人は苦悶の形相で固く目を閉じている。
多分襲撃があったら何も出来なくなってるヤツだねアレ。
えっちらおっちら頑張ってソファーによじ登り、ふぅ〜と安堵の吐息をついてから、真正面に座り直してからピヨ子に餌をあげようと思ってたら。
「キャハハハハハ!!!」
目ん玉をピンポ玉みたいにしてこちらを凝視してる愕然としたオジサンを目撃してしまい、私だって爆笑する。
顔芸なんて卑怯だよ。
私は計算だけど、天然はやっぱり強いわ。
オナラと言い顔芸と良い、地味なオジサンのクセに無自覚な攻撃が的確に私のツボを強打する。
意外と彼は私には鬼門なのかも知れない。
でもピヨ子がピピピッ!と、キレ過ぎてアラームみたいになって来たおかげで笑ってる場合じゃ無くなったから、私は魔法の鞄からエレガント米粒を取り出そうとして止めた。
流石に此処でエレガント米粒はマズいと思ったのだ。
だから種を混ぜてる麦粉を固めた方を出して、ピヨ子の口に木串で押し込んでやる。
顔芸のまんま見つめてくるの止めて欲しい。
見られてる気配を感じながらも必死に無視を続けてる。
しばらく笑いの確変に入ってた人達も、ゼーゼー言いながら落ち着いて来た。
「⋯茶を⋯」
「あ、私も下さい。」
「全員分⋯お持ち致します。」
グッタリとした魔王の催促に乗っかると、執事風のお爺さんが一礼してスルリと身を翻し、息も絶え絶えになってるだろう隣室に向かって行く。
そしてお爺ちゃんが入ると、壁の向こうからギョッとしたザワつく雰囲気が伝わってきたが、まぁ特に音はなにも聞こえて来なかった。
「お師匠さんもこっちに座ります?」
「⋯しかし。」
「私は小さいからテーブルまで手が届かなくて。」
「承知致しました。」
お師匠さんもお茶が飲みたかろうと声をかけると、彼も苦笑を浮かべて私の側に寄り、恐る恐るといった様子で、ピヨ子を抱いてる私をみょ〜んと抱き上げてから一人掛けのソファーに座り。
私を太腿の上に乗せてくれた。
「此方に戻れば良かろうに。」
「お師匠さんでも心苦しいですが、王様に給仕はさせられませんから。」
「ふぅん?」
ニマニマしてる彼の嫉妬混じりの言葉をシレッと流す。
アレだ。仲のいい友達が他の誰かと仲良くしようとしたらヤキモチ妬くやつ。
そう言う面倒なのって居るよね。
顔を見てたら本気で拗ねてる訳では無いのは直ぐに分かる。
ビクッとしたお師匠さんの反応を楽しんでいるだけだ。
「オジサンも、そろそろ座られたらどうですか?」
「は⋯」
私の姿をずーっと眺めていた中年男性は、我に返った様子でハッとして王様の方を見る。
「うむ。楽にするが良かろう。」
「はっ⋯失礼致します。」
そして王様からの声に緊張してしまい、少し勢いよく座ったせいでキュ〜〜と、甲高い音が鳴った。
「アハハハハハハ!!!」
『⋯⋯』
「ヒッ⋯」
え?マジなんなん?
ちょ、本気で無自覚でソレなの?!
ちょっとやってらんないんですけど!!!
瞬発的に爆笑しながら私の心が荒れ狂う。
その甲高い音のせいで、やっと笑いから抜け出せて消耗してる面々から、またオマエ屁をこいたよかよ。と、オジサンは皆から非難じみた圧力を向けられてしまい。
ちがう!ちがうの!と言いたいけど言え無い空気にサッと顔色を悪くするのがまた笑える。
「ハハハ⋯もう、面白すぎ!
革張りのソファーだから空気が抜けにくいのに、重めの体重で圧力を掛けたから本物の空気が抜けてく音が鳴っただけなのに、皆が勘違いするからオジサンがもう⋯アハハハハハハ!」
『⋯⋯』
「はぁ⋯」
何だそうなの?みたいな誤解が解ける雰囲気に、オジサンは全身から緊張を抜いてホッと息をつく。
居るよねこう言う間の抜けた人。真面目にやってるだけなのに、何故だか上手く行かなくてそれで焦るから余計に悪い事ばかり続けて起こるの。
でも私から見ればそれこそ正に天然コメディアンの才能だと思うんだけど、お笑いの無い真面目な世界だと責められ易そうで大変だなぁと感じた。
しっかり者の親族が付き添いにくるはずだよと、何となく腰の低そうな冴えないオジサンから、普段見の周りに居る人達から受けてる、粗末な扱いが伝わって来る様だった。
私は笑ってるけど。
「アハハハハハハ!」
そしたら一難さってまた一難が向こうから悲壮な顔つきで現れた。
ちょ⋯卑怯!
マジでアレは卑怯!
クソ!お爺ちゃん逃げたな!
執事風のお爺さんがリタイアしたのか、代わりに今にも切腹しそうなぐらいに気合いを入れて悲壮な顔つきになってる、真面目な雰囲気の細身の中年男性が、お茶の乗ってる台を押しながら現れたのだ。
もうあの人を見ただけで私は大爆笑。
でも私以外の人達は、どうして私が笑ってるのか全く気がついてないから悪質だ。
「お待たせ致しました。」
でも至近距離に来たら皆も気付くよね。
私はピタリと笑いを止めて、気合いで我慢する。
絶対に視線を合わせんぞ!と、言わんばかりに俯きがちに、淡々とテーブルにティーカップを置いていくオジサンに、またこれは⋯みたいな予感を感じたポッテリとしたオジサン以外の人達がそれぞれ覚悟を決めた頃。
私は満を持して、テーブルにティーカップに置くオジサンの顔の真下にピヨ子を突き出す。
「もぐっっ!」
その異音を聞いたポッテリとしたオジサンもようやく気付いたらしく。
『ゴフッ!!!』
真面目なオジサン以外の人達が全員揃って吹き出すのを我慢したせいで異音が鳴った。
それでもその細身のオジサンは、グッと目を閉じ、奥歯を噛み締めてそれ以外は断固として取り乱しはせんぞ!と、言わんばかりにスススと足早に立ち去って行く。
そんな彼の決死の気迫のせいで、皆笑いたくても笑えない状態に落とされたもんだから、声も出せずにプルプル震えながら笑ってる。
「クソ!あの爺さん、最強の刺客を送って来やがった。」
『しきゃく⋯』
「ぶふ!」
「ちょっ⋯」
「ぐぬぅ~ククク⋯」
「はっはっはっ⋯」
私が呟けばオウム返しに誰かがハモって単語を口にしたせいで、真っ先に魔王が吹き出して肘置きにもたれかかり、お師匠さんがそれを見て笑いを誘発され、ヴィルフォンテお爺ちゃんも俯いて足を叩いて頑張ったが笑いを堪えきれずに漏らし、中年男性が笑いを懸命に堪えようとして、呼吸困難を起こした人みたいになってる。
「⋯あの人。さっき、さっき向こうの部屋で皆に静かにしろって言おうとして途中でぎゅふって笑ったから、生贄にされてここに来たんだっハハハハハ!」
『ぎゅ⋯ぶはっっっ!!!』
『アハハハハハハ!』
またそれが可笑しいから私も堪えきれずに笑い出し、釣られた全員も耐えきれずに大笑いした。
騎士達も追爆して爆笑してる。
真面目な小間使いのオジサンが部屋に入る前に大声で暴露したから、向こうの部屋からもくぐもった笑い声が響いていた。
私は一体お城に何をしに来たんだろうか。
前回入り切らなかった残りなので、今回は短めです。




