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王道のファンタジー入ります。


さて目まぐるしく日々を送っています。

魔力草の種が瓶のなかで発芽したのを発見してから、怒涛の日々を送っていますが、季節は8月下旬の様になって来ました。

ウェブンの卵孵機を作ってから、2週間が経ちました。

まだアレやコレやと条件を変えて魔力草を育てているので、私は今の所あんまり余裕は有りません。


それでも病気にならず、倒れずに無事生きていられるのは、家族と魔力草のお陰だと考えています。

さて論文ですが、魔力草の論文は書き直ししようか悩んでる所です。


月の光を使った栽培方法は、秘匿すべきと考えたからです。

つまり他の誰かが私と同じ事を思いつけば、私が実験して得たもの全てを失うのと、同じになるかも知れないピンチを迎える事になりますね。

だから悩んでる所です。


なので今回の論文は秘匿する事を条件にして提出する事になりました。

なので一部の偉い人達のみ知ることの出来る研究論文となります。

だから類似の論文が提出されても、私の権利は守られますが。

逆に向こうが勝手に使っても、商売目的で無ければこちらは権利の主張は出来ません。

問題が発覚したらそこで始めて向こうが利用を望む場合、権利の使用量を支払って秘匿技術と言う認識のもと運営する形になると、相談したギルバートさんから教えて頂きました。

この前会ったからさ。


そう!やっとピヨ子が!

私のエイリアンピヨ子が、ラブリーピヨ子に到達したのです!

ひゃっふう♪

だから3時間毎の餌やりから開放されて今は5時間空けられるんです。


真っ白な羽毛がふわっふわな、もふもふラブリーピヨ子ですが、米粒を主食にしてる限りは頬ずりするのはお預けです。

大きさも随分と大きくなり、私の片手に乗ると少しはみ出すぐらいのサイズが、今は両手に乗せててもはみ出すぐらいにサイズアップしております。


そう!でかいんです!

最初はアレ?とちょっとした違和感を感じるぐらいでしたが、1週間過ぎた辺りで少しデカくない?となり。

今ではデカすぎるやろ!

の、サイズまで育ってくれてます。

まだ雛なのに、ノインの親鳥と同じぐらいのサイズになってるんだけどヤバくない?!

仮面かぶってないライダーしてない?

ライダーしちゃってるよね?

ねぇ、何で?

最初の頃は色々と試したけど、最近はエレガント米粒と月の光のお水と種とトウモロコシしか使って無いのにねぇ何でなの?!

魔力か⋯知ってた。

魔力を与えすぎたんや。

でも元気無くなったら食べさせるしかなくない?!


お陰様で食事の度に毎回米粒を取りに行くレベル。

それが苦痛でストックしてるがそれもブルー。

箱の中身が全滅しないか不安といつも戦ってる。

跳んで逃げてくやつ、もうおらんからな?!

不安でバッカスに聞いたら、何処の農家にも有るから無くなったら貰いに行くって言う。

でもそれはそれでなんか嫌くない?!

家族のブツでも気持ち悪いのに、赤の他人のブツだよ!

もう気持ち悪いで済まないレベルだよ!


流石に夜中とかは困るので、1週間過ぎた頃から麦やら芋やらトウモロコシも与えておりますが、やはり魔力が足らなくなると元気が無くなるので仕方無く種やら月の光の水を混ぜて与えていたのが悪かったのでしょうか?


もう今では私の頭よりも大きく育ってしまったピヨ子なのです。

でもまだ雛なので、鳥小屋に戻す事も出来ません。

もふもふだから大きく見えるだけで、実際はかなりスリムだと考えてます。

軽いんで。


最近ピヨ子は私の頭の上に乗る様になり、日陰を作る為に私はフン尿除けに藁を頭の乗せてその上に布を被せてから、ピヨ子を乗せたあとでフードを被るのですが、ピヨ子がでか過ぎて顔が完全にフードからはみ出ている始末なので、お嬢さんやらマゼランお爺ちゃんやら、ギルバートさん達から顔を合わせる度に「ぶっ!」を頂いております。


見るの何回目やねん!と、突っ込みたくなるのですが、ピヨ子が日差しを眩しがるせいか、明るい場所になると眼が細くなってしまい。

しかもモフモフなので元から目とくちばしが羽毛に埋もれて顔のサイズより小さいんで、相撲取りみたいにブチャ可愛いタイプのヤツなんです。


それがやたらと大人たちの笑いのツボを刺激してしまうらしくて、毎回見る度に吹くのです。


透明?なれる訳ありません。

私の頭とフードにプレスされたピヨ子の顔が飛び出てるんです。

でもピヨ子は下に降ろすと私が歩く時、必ず後ろにヨチヨチついてくるんですよ。

ねぇ可愛いでしょ?

でも留守番は出来ません。

置いて姿を消すとピヨピヨ連打攻撃して来るんです。

私が見えるまでずっとピヨピヨしてますよ。

萌えますよマジで。


だから仕方無く、フン避けに頭の上に藁を乗せて布で頭部を包み、そこにピヨ子を乗せてフードを被って街に来るんだけど、特に糸目でムスッとしてる愛嬌の無いふわふわな雛の下に、愛くるしい美幼女だと思われる私の顔が有るのが、大人達を身悶えさせる要因となっていると考えております。


これが俗に言うギャップ萌えってやつですかね?

私が美幼女かどうかの確認は、今の所誰からも取れてませんので、あくまでも私の推測となります。

リリアナちゃん可愛いね!と、誰か言ってくれたら私も自分が可愛い自覚が持てるのに、誰からも面白いとしか言われないのが最近の密かな不満になります。


でも私からしたら母もカタリナもマルセロもとても可愛いし、ロベルトだってヤンチャな雰囲気は有るけど、不細工って訳じゃ無いし。

お父さんは素朴だけどこれも不細工とかじゃないから、私もちょっとは可愛いんじゃないかなと思うのよ?


でもギルバートさんやらお嬢さんやら魔王とか見ちゃうと、あの人達が子供の頃なら皆がキャー!可愛い!って、言ってそうだから、それに比べちゃうとね。

私なんて道端の石ころ程度の可愛いさなんじゃないかなぁ?って、最近気が付いて来たの。


前世の価値基準なら外国人のお子様は天使みたいに可愛いでしょ?きっとあんな感じなのよ。

だからウチのお父さんはまだカッコいい方だと思うのよ。


ジギタス叔父さんは山賊みたいだし、タルクス叔父さんはゴツくて真面目な柔道家みたいだから、お父さんは癒し系の保父さんみたいな感じなのよね。

ちょっとだけジムにハマった、素人筋トレしてる保父さんだけど。

毎朝髭剃りしてくれてるからかな?

お母さんがお髭の有るお顔が苦手なのかも知れないね。


お母さんの父親のマゼランお爺ちゃんは逆に髭が生えて無いの。

あの人も料理のためなのかお髭剃る人だから、お母さんはお髭が駄目なのかも知れないね。


逆にお父さんの父親のマドルスお爺ちゃんは、お髭がモジャモジャの仙人スタイルだよ。

だからジギタス叔父さんもそのうち仙人スタイルになるのかもね?


まだギリギリ40代だから、オッサンしてるけどね。

筋肉もモリモリだし。

ホント何処から見ても立派な山賊してるんだよ。


ジギタス叔父さんとタルクス叔父さんもお髭がモジャっとしてる。

ジギタス叔父さんは顔の全体的

に髭がボーボーで手入れなんか一切してません派なのに対して、タルクス叔父さんは髭をカットしてるお洒落髭だから、鼻の下には髭が無くて、顎だけ伸ばしてお洒落な感じに切り揃えてるの。


多分狩りするのに五感が必要だから、匂いを阻害する口周りの髭を嫌ってるのかなぁ?って、勝手に予想してる。

顎だけ残してるのはきっと髭に対する憧れみたいなポリシーなんじゃないかな?

髭モジャボーボースタイルのオッサンやお爺ちゃんが村には多いからね。


カルマンさんとギルバートさんはお髭が無い。

でもカルマンさんはパパの先王様に似て整った顔立ちの美形なんだけど、日焼けと身体を鍛えすぎたせいで一見美形に見えないせいで熊に見える。


その代わりギルバートさんは女性には見えないんだけど美人だから、女性にキャーキャーされるタイプだと思う。

王様がホントそんな感じなのよ。

身長はそんなに高く無いのに、存在感が強すぎるから、怪しい美貌が傾国の美女を連想させちゃうの。

だから下手に髭生やすと似合わないんだと思うのよ。

金髪の白人なのに、チャイナな詐欺師っぽくなりそう。

だから髭を生やして無いかは分からないよ?

アイツの場合仮面してないライダーだから、髭とか生えにくい体質にとかになってそうだしね。


上后様は迫力の有る正統派の美女だから、本当にグレース・ケリーみたいなんだよ。

顔の系統は同じなのに雰囲気があんなに違うのはやっぱり性格だろうか。

王様も真面目なんだけど、アレ多分グレてると思う。

俺は俺の道を行く!なロックマンみたいなやさぐれ方してるもん。

上后様はPTA会長タイプかな。


先王様は良い人〜って感じで、顔立ちは整ってるけどライオンみたいにあごやら鼻の下にはお髭が生えてて、目尻とか笑いジワがあるから白い中折れ帽子がとても似合いそう。お腹も少し丸いしね。

上品だから農家のお爺ちゃんて言うよりは、悪さ微糖で優しさミルクを全面に出してるジョージ・クルーニーかなぁ⋯。


なんか脱線した。

話を戻そう。キュルキュル♪


結局論文は公表禁止指定で、月の光を使って栽培してる事は書いた。

でも錬成瓶を使えば疑似群生が出来る事は完成に秘匿した。

あと月の光日数のレシピもね。

論文の文字数減らすのと後で別の論文で出て来るからだ。

それにバレた所でな、って奴だ。


魔法で出した水に月の光を浴びせて魔力を増幅させる方法さえ抑えておけば良いかなぁって考えてる。

錬成瓶の使用に、制限なんてかけようが無いと踏んだんだよ。

それすると全錬成師達から暴動が起きそう。


そして完成したので魔力草の栽培を家業にできるかの相談と、戦士ギルドを使ったアイデアと庶民に流す栽培方法と、我が家の魔力草はモノが違う事。

なんかのお手紙と現物を添えて提出した。

林から取ってきた魔力草を、透明錬成瓶を使用せずに木のコップで作った魔力草も資料としてて提出してるよ。


コイツは種まで行かないから7日で出来たね。

透明錬成瓶をつかって月の光を浴びせた魔法の水は1日の結果のみ盛り込んでる。

その代わり使わなかった場合はどうなるか、日程の変化で表現する。

種から発芽方法は前のままで行くので論文を変更する所は無かった。

少し手直しで増やしたけど、まぁそこまでの労力じゃなかったので何とか提出出来た。

強化魔石と人工魔石はこれからだ。

塩水で強化魔石が作れる事は秘匿して、ピノの血を使った最初の方法だけ論文に記載する。

記録してたからこれは簡単に書けた。


問題は人工魔石だけど、氷を出せる様になったので、コレから実験して行けばいいんだけど。

私には銀を買うつてが無いし、有っても加工が出来ないから、1日月の光を浴びせた魔法の水から論文記載時に最古の57日(実質50日)月の光を浴びせ続けてピノのレンズで調べた色の変化と情報を論文に書いた。


ピノのレンズを使った簡易魔力測定機の作り方も書いたよ。

最古の月の光を浴びせ続けてる錬成瓶は迂闊に渡せないから、それらが欲しいなら設備を整えて夜に受け渡しをする事も書いた。


そして錬成瓶に銀の棒を刺せば人工魔石になるんじゃね?と推論で締め括る。

コイツは国の秘匿になるので、極秘 重要書類とメモをつけてお嬢さんに渡した。

夏休みの時期だからか夏休みの宿題が終わった様な気分になった。


あと私謹製の魔水は、氷で出した1番最初のは自分で飲んだ。

魔王の事は言え無いけどバッカスで人体実験する訳にはいかなくて仕方無く。

日数経ったら悪くなりそうだったしね。

感想としたらほんのり葉っぱの匂いがする甘い水だ。

苦味は全くなかったし、甘さもクドくなくてスッキリしてた。

葉の量に比べて氷が少なくて、自分で飲むのに濃そうなのが怖くて魔法の水を足したせいかな?

回復量はサッパリ分からんかった。


自分で氷を直接だすのがシンドくなった原因かな?と考えたので、透明錬成瓶に1日月の光を浴びせたものを凍らせて、周りを湯煎して少しだけ溶かす。


次に花付き前の魔力草の葉だけを毟り、空の錬成瓶の底にいれ、その上に凍らせた月の光を浴びせたヤツをいれて蓋を閉めて、それに更に月の光を氷が全て解けるまで浴びせ続ける。


なので寝る前に作ってから外に置いといたら、朝にはスッカリ氷が溶けてた。


このまま葉っぱを入れとくと苦くなりそうだったので、空の遮光錬成瓶に水だけ移し替えた。

葉っぱが入らない様に、浄化した木の棒で抑えて水をカタリナに入れて貰ったよ。

そして蓋を閉めて魔力草の配達時にお嬢さんに届けてもらった。

そしたら初級魔水よりは軽めの魔水だってさ。

葉っぱしか使ってないからね。


そして魔水の鑑定と論文提出した日に、私用の魔力測定眼鏡を作る話を出された。

こっちに買うお金が無いから論文と交換の予定だったらしい。

内容確認してないけどええんかい?!と思ったけど黙っておいた。

だって数値化欲しいもん。


そして2週間目の今日、お迎えが来るのです。

対面はお城でするんだってさ。

ピヨ子は離せないので仕方無く連れて行く。

エレガント米粒もちゃんと元気だぜ!

ストックに瓶2本持ってる。

5時間空けられるけど、何があるか分からんしな。

1人で帰れないし、餌が無ければピヨ子は死ぬからな?

そりゃもう今ならパンも食べられる様になって来てるし、種も持ってるから誰か砕いてくれたらピヨ子に食べさせてあげられるけど、米粒をわざわざ城に持ってく理由なくね?とは思うけど。

別に城に行くためにストック持ってる訳じゃ無いから、仕方無くね?

食べる量が増えたからアレコレ持ってるだけなんだもん。

武器にしようだなんて思ってませんよ?

私出来の良いお子様ですもの。

魔王とは違うのだよ、魔王とは。


「ぶふ!」


久しぶりにリビングに来た魔王が部屋の中を見回して、私のお出かけルックを見た瞬間吹いた。


「⋯なんだそれは。」

「ピヨ子。」

「⋯あぁ、アレか。」

「うん。」


片手で口元を覆って直視するのも難しい様子で、無理やり私の顔に視線を固定しながら何かを悩んでる。


「それは置いていけ。」

「ムリ。」

「無理?」

「雛だから離れたらついて来るし、姿が見えるまで鳴き続けちゃうの。

だからピヨ子は置いていけないのよ。」

「たがそれでは姿が消せて居らぬ。

不要な者に姿が見られるのでは無いか?」

「それはそうなんだけど⋯消えてる後ろをついて歩いて来るから同じかなって。」

「むぅ⋯ならば魔獣と魔法契約を結んで魔法石の中に住まわせろ。」

「それって雛にしても問題ない魔法なの?」

「⋯⋯基本的に成獣に使う魔法で雛にした経験はないな。

した者もいるかは不明だが、世はその影響がどうなるかまでは知らぬ。」

「じゃあしない。

変なことになったら困るもん。」

「⋯⋯はぁ。

魔力測定眼鏡が欲しくは無いのか。」

「すごく欲しい!

だから支度してずっと待ってたんだよ!」


つい興奮して杖を持ち上げてしまい、下ろした時にドン!と鳴ってぴよこと2人してビク!とした。


「ならば少し寄るぞ。」


魔王は笑いを噛み殺した微妙な口元を引き締めると、ピヨ子に警戒の視線を向けながらも私を摘もうとして、ピヨ子に圧迫されてパツンパツンのローブが摘めず、ヤレヤレと言わんばかりに腕を回して私を抱き上げる。


「では行ってくる。」

「はい!」


頬染めたお母さんがクネクネしながら返事を返すと、姿が消えて見覚えのある豪華な執務室っぽい魔王の私室に来てた。


実はカタリナやマルセロも同じ部屋にいたのだが、テーブルの所の椅子に座っていたので、土間の方にいた母のほうには居なかったから、出発前に姿が見えなかった。


私の都合で今は朝の11時頃である。

あらかじめお嬢さんに言われたから朝の8時が良いと言ったら、それはちょっとと苦笑された。

私の都合とは一体。


とは思ったが、向こうの都合に合わせたら丁度お昼寝の時間になると言ったら11時になった。

お城の朝はどうやら遅いらしい。

魔王も夜更かししてるしな。


「王様、この前はごめんなさい。何時も助けてくれるのに、生意気言ってしまって、偉そうにしてて、ゴメンね?」

「突然どうした?」

「次にあったらゴメンねって言おうと思ってたから。」

「⋯そうか。だが何故謝る。

己が悪いと心から思っておる訳では無かろう。」

「ううん。ちゃんと反省したよ。あのときは多分シンドかったから、このままだとピヨ子が死んじゃうってずっと怖かったんだよ。


お父さんから、私が病気になったらピヨ子は諦めろって言われてたから。だから本当にヤバかったの。

助けてくれて嬉しかったけど、じゃあ私に王様が助けて欲しいと思った時に同じように行けるかってなると、行けないでしょう?


だから自分がそれに気がつく前に、本当は対等なんかじゃなかったのに、友だちでいたいから対等だと思いたくて変な見栄が出ちゃって張り合ったんだと思うのよ。

それで言い過ぎたなって、後から反省したんだよ。」


魔王は1つだけ小さく深呼吸をした。

そして私を探る様な目つきで見ながら、言葉を選ぶ様に慎重な雰囲気を滲ませる。


「⋯口から出た言葉は容易く覆らぬ。

後悔しようと決して消え去る事はない。

故に己の発する言葉には責任を持たねば成らぬ。

だが⋯あの時、それを知りながら世は未熟な発言をした。


いまさら発した言葉は覆らぬが、世はこれまで己を越える存在を知らずに居た為に、自覚のないまま其方の可能性を恐れたのだと思う。


それは正に其方に見抜かれ、そして其方の申す通りに世は己が自覚した以上に矮小なる存在なのを知る事が出来た。

よもや世にもその様な無様な感情が有るとは、露とも思って居らんかったのだ。


故に許せとは申さぬが、其方の信頼を裏切る浅はかな発言であった事を詫びよう。

対等が何を示すかは分からぬが、世は其方が世の知る其方で有る限り、其方を傷つける者には決して成らぬと改めて誓う。

故に⋯世を恐れぬで欲しく思う。」


魔王の方腕に座らされてる私と至近距離で視線がかち合う。

笑い上戸のクセに、お茶目なピヨ子が目に入らないぐらいには、真摯な感情が込められてる言葉だった。


「そっか⋯何だ、王様も私を見抜いてたんだ。

⋯私も王様を見習って、自分の言葉に誠実でいられるようにしなくちゃ、王様に信じて貰えなくなるんだね。気をつけるよ。」

「⋯⋯」


魔王の瞳に長いまつ毛の影が落ちる。

それだけで今彼が私の眼を見続けてられないぐらい、私の何かに失望したのが分かった。


「貴方と私は対等なんかじゃ無い。

年齢も身分も資産も魔力も経験も何もかもが劣ってる、私はそういう存在なんだよね。

あの時まで私は無知で子供だったから、目を逸らして自分の都合の良い身勝手な夢を見ていただけ。」


唇を引き結んで表情を消した魔王が、私からスルリと顔を背けるが、私は構わず奴の横顔を見つめて言葉を続ける。


「だから私が貴方と本当に対等になりたいのなら、それに眼を背けたらいけないと思うの。

どうやったら対等になれるかなんて分からないけど、せめて貴方が助けて欲しい時に頼れるぐらいには、頑張って知識や経験を積もうと考えてるんだけど、もう貴方の知ってる私じゃないなら駄目なのかもね?」

「はぁ~⋯」


大きく吐息を吐き出した魔王がまだ顔を背けたまま、私を支えてる腕や指先に力を込めて来る。


身体は飛んで来たまま重厚な机と窓の方を向き、顔は隠し部屋を隠している本棚に向けられている。

私も身体は窓の方を向いているけれど、視線は魔王の顎のラインからギリギリ見えてる唇の端っこを捉えてる。

無表情を装ったつもりになっても、彼の唇の形は良く感情を表すからだ。


でも今彼の感情を1番表現しているのは、腕と指先に込められてる力の強弱だろうか。

首筋が見えるぐらい思いっ切り顔を背けているのに、まるで離れて行くのを引き止めるかの様に、彼の腕には強い力が込められている。


「其方はまだ幼子のクセに、また随分と大人びた事を言う。」

「だって少し前の私よりも、今の私の方が大人だもの。」


何事も無かったかの様にこちらを向いた時には、腕の力はフッと軽くなり、指先の力も普通に戻っていた。

でもこちらを向いた時に私を見る瞳が、少し寂しそうに見えた気がする。


「急いで成長せずに呑気に育つのでは無かったのか?」

「そのつもりだったけど、しょうがないじゃない。

大人気のない大人が子供過ぎるんだもの。」

「フッ⋯果たして誰の事やら。」


魔王が不敵に笑うと2歩程歩いて窓に手を伸ばし、強引に豪華なカーテンを引いて引き千切った。


「もう!そんな事したら怒られるよ?」

「ふはっ⋯ククク⋯」


そして上機嫌に笑いながら腕を大きく回すと、重たい布のカーテンを使って私を上から覆い被した。


濃い赤地や茶色に金色の糸で刺繍をされてるカーテンは、何だか煌びやかなドレスみたいだ。

でもそれは私の頭の上からスッポリと被せてあるので、私の視界には薄暗いカーテンの裏地しか見えなくなる。


そして馴染みのある軽めの浮遊感の後で、ざわりとする部屋の空気だけで、今居る場所が変わった事が分かった。

でもなんも見えない。


「アルフィン、それはどうした。」

「困った事に隠し身のローブが効果を発揮出来ぬ故、私室の布を拝借して参ったのだ。」

「では黒魔石殿なのだな?」

「如何にも。」

「何故にその様な事に?」

「実験で孵った雛が離れず、頭の上に乗せておるせいで、ローブが反応せず。」

「ククク⋯それはまた。

頭から降ろせばよかろう。」

「そうは申しましたが駄々を捏ねるもので。」

「先王様!お久しぶりです。

ピヨ子はまだ赤ちゃんなので、私から離れられないんです。

姿が見えなくなったらピヨピヨ鳴くし、姿が見えるまでずっと鳴き続けてて家族が大変になるんです。

だからごめんなさい!」

「ほほ、幼子が赤子を育てて要るのか。それはまた随分と⋯」


何も見えないから声だけ聞いて先王様に説明すると、彼はソファーから立ち上がった。

魔王が元から近かくにいたのか、それだけで側に来る気配がする。

かと思えば、魔王が悪戯にカーテンの端っこを持ち上げたのだ。


「ぶふ!」


少しだけ見上げる場所に顔があったせいで、先王様の唾が飛んで来てゲッ!と思ったけど、まぁ⋯うん。

大抵みんなそうなる。

魔王もそうなったから、悪戯したかったんだろう。


「これを持ってこのまま歩けますまい。」

「ククク⋯はー⋯これは参った。

いやはや、またこれは何と申せば良いやら。

イザベラにも見せてやりたいものよの。」


先王様が見たあとまた魔王にサッと隠されてしまった。

さては1発芸の代わりにされてる予感がする。

でも瞬きの合間に左にチラリと見えたのは、ローブみたいな服装から宰相っぽいお爺ちゃんと、ギリ左側肩からの体格のラインからヴィルフォンテお爺ちゃんかなと。


「セバス。ノインは知っておるか?」

「は。ミシリャンゼで飼育されている家畜です。」

「雛を見たことは?」

「いえ、ですが資料は読みましたので情報は把握しております。」

「黒魔石は変異を疑っておる。 確認をしたい。これへ。」


あー、次のターゲットにお師匠さんを選んだな魔王め。

多分向こうは真剣な感じで近づいてるよ。

だから私も真剣な表情を作ってその時を待った。


「ぐぶ!」


唾は飛んできなかったし、真面目な顔のまんまだったけど異音がした。


「ぐふ!ゲホッ!」

『ハハハハハ!』


それに魔王が爆笑したけど、先王様もハモって爆笑してる。

またサッと布は降ろされた。

でも可哀想なお師匠さんは耐えたせいで変な所に負担がかかったのか、風邪を引いたみたいに咳き込んでるよ。


「へ、陛下⋯」

「ハハハ⋯いや、変異を疑って居るのは本当だぞ?

ちゃんと確認してくれ。」

「いや⋯少しそれは⋯ぐぶっっ」


魔王が容赦ない。

明らかに引いてたお師匠さんに、また布をあげて私を見せてるから、そりゃお師匠さんも大変だ。

宰相のお爺ちゃんやヴィルフォンテお爺ちゃんは私達の背中側にいるから、そりゃご開帳も大盤振る舞いだね。


「またまた何を遊んでおられますやら。」

「うむ。それほどの変異なのですか?」


事情が分からなくてジレてきた宰相とヴィルフォンテのお爺ちゃんコンビが諌める様な、興味津々で此方に向けて声をかけて来る。

そしたら魔王もそっちに行くよね。


「ぶふ!」

「おや⋯フホ。

これまた⋯ホホホホ⋯」


布を巡った拍子にヴィルフォンテお爺ちゃんは口元を抑えて耐えたけど、宰相のお爺ちゃんは素直に上品な爆笑をした。


そしてこの場にはこの人達しか居なかったのか、魔王がようやく私の頭の上からカーテンを取ってくれたんだけど。


『ブフッ⋯』

『ハハハハハ!!!』


無理やり我慢してる人達はやっぱり吹くし、素直に笑える人達は大爆笑してる。

ちなみに偉そうな騎士もドアの方にいて、だからそっちにもサービスで向いて上げたら思いっ切り顔を背けられてしまった。


そもそも私の姿を隠していた原因て、この人だと思う。

私は一方的に謁見室で見たことのある、マントが他の人よりも豪華になってる偉そうな騎士さんだけど、前には居なかったからね。

さては魔王、楽しくなり過ぎて来たから私を隠す気が無くなったな?

秘匿とは?


まぁ良い。

しかしクソ!

騎士だけ吹かせられなかった。

始めて耐えられた気がする。

流石偉そうな騎士め、やりおるわ。

でもきっと時間の問題だろう。

だってヤツは必死に顔を背けて我慢してるからね。


ちょっと強者になった気分で、真っ赤な顔をしてるお師匠さんの方を向くと、私は突然自分でフードを取った。


『ぶほ!!!』


背後から騎士も吹いた気配がする。

何故なら私の頭の上にいたピヨ子が3倍のサイズまで膨れ上がったからだ。

私の切り札はやっぱり最強だ。

騎士は私が別の方向を向いたから油断してたに違い無い。

でも直視したお師匠さんも、真横にいた魔王も流れ弾を食らって悶絶してる。


ヴィルフォンテのお爺ちゃんと、先王様は呼吸困難になるぐらいキュウキュウと甲高い異音を鳴らしながら笑ってるし、上品な宰相のお爺ちゃんは「おひょひょひょひょ⋯」と、何か笑い方が変化してた。


ピヨ子はな、もう全体的に丸いんだよ。

なのにチョコっとした羽根や尻尾の形は小さくても有るのよ。


だからローブを被ってても顔芸で笑わせられるんだけど、身体全体をいきなり見せたら大抵みんな崩れ落ちるぐらいに爆笑するのさ。

多分コレがギャップ萌えってヤツだよね。

まさか3倍に膨れるとは思ってないから、意外性が直撃するんだと思う。

あと私ほっかむりしてるし。

そこも笑えるポイントだぞ♪


「ゴホ!⋯ま⋯そ⋯」


私を落とすと悪いと思ったらしい魔王がゆっくりと床に崩折れたから、私とピヨ子はストンと床に降りた。


「ぶふ!」


そして魔王を見下ろしたら、そのままヤツは失礼にも顔を背けて悶絶してる。


だからサービス精神が素晴らしい私は皆の前をトコトコ歩いて騎士の真正面に立った。

でも騎士は何とか持ち直したらしく、真正面な仕事をしてるふりをして天井を見上げる戦法にでた。

小さな私じゃ背の高い騎士が天井を見上げたら手に負えない。

だから諦めてションボリと後ろの皆の方を向いて、騎士以外の人達全員の視線を集めた状態で、クル!と半身振り返って止まったら、また全員がドッと爆笑した。

そしたら天井を見上げてた騎士も、その笑いと私の気配につられてブフ!と上に向けて噴き出した。


今日はこれぐらいで勘弁しといてやろう。

私は咳き込む騎士に1つ心の中だけで頷くと、またトコトコ歩いて先王様の所に向かって行く。

だって頭を動かして頷いたらピヨ子が落ちちゃうからね。

半身を振り返る仕草もバランス感覚が難しいのよ?

私も大分身体の使い方が上手になって来たなとしみじみする。


そして爆笑してる先王様の膝に取り付くと、先王様は笑いながら私を持ち上げて膝に乗せてくれたのだ。

うん、まぁ狙ってた。

他にも椅子は有るけど皆大人用の椅子だから高いんだよ。


「はー、これはまた⋯重くはないのかな?」

「毛がフサフサしてるだけで、本当の身体は小さいみたいだから、大丈夫です。」

「ほほぉ⋯また何とも柔らかい毛並みよの。」


ピヨ子は人から触られるのが嫌いなので、迷惑そうな顔をしてるとは思うけど。

威嚇せずに我慢してるのを思えば、先王様の触り方は合格らしい。

何が基準かは分からないけど、カタリナやマルセロが触ろうとしたらピ!って鳴いて小さな羽をピンと張るのよ。

お母さんやロベルトも全然駄目なのに、お父さんが指先の背中で撫でた時だけ「しゃーない」みたいな感じで目を閉じて我慢するのだ。

賢いピヨ子は優しくしてくれる人が分かるのかも知れないね。


「んん!しかし文献とは随分違いますね。それは本当にノインの雛なのですか?」

「はい。ウチは農家ですが、副業でノインを育てて卵を産ませてるんです。


今回ウェブンを買ってサラディーン様が魔法生物にして下さったので、それを切っ掛けにウェブンの事を知った私が卵を取り寄せました。

ウチは元々ノインに慣れてるのもあって、ウェブンなら飼えるかもしれないと、家族と相談して決めたのですが⋯。」

「ふむ。頼まれて資料をお渡し致したアレですか。」

「はい!おかけで助かりました。

でも私が欲張って卵を2つ取り寄せたので、育ててる従兄弟が魔力切れを起こす様になってしまって、だから人工的にウェブンの卵を孵せないが調べるのに、ノインの卵を使いました。

実験は成功したんですけど、育つうちにどんどん白くなるから、王様に変かもって相談してたんです。」

「クク⋯初め見たときはまだ白い羽毛が少し生えているだけで、そこまでては無かったがな⋯」

「ノインが育てるのと違って私には羽根が無いので、産まれた翌日に温度が足らずに死にかけてしまったので、初級回復薬に月の光を浴びせた水を混ぜて、小麦粉を足して練ったものをピヨ子に与えたら、元気になってくれたんです。


でもそれから段々と白くなって来て⋯ノインの雛は灰色で私の片手より少し大きいぐらいなのが普通なんですが、ピヨ子はもう成鳥ぐらいの大きさになってしまって。

中身はもっと小さいから、大人になれば羽根が硬くなって今よりも小さくなるのかも知れませんが⋯」 

「月の光を浴びせた水とは⋯例のでしょうか。」

「はい。私が持ってるなかで、2番目に古いものだったので多分1月近く月の光を雨の日以外は毎晩浴びせ続けていたものでした。」

「ふーむ⋯ですが初級回復薬で変異するとも思えませんし、恐らく影響を受けたとすればそれでしょうか。他の餌はどうでしょう。」


お師匠さんがようやく調子を取り戻して真面目な話にのって来てくれてるけど、魔王はまだ復帰が難しいらしく窓の外を眺めてるし、騎士も偶に咳払いしてるし、ヴィルフォンテお爺ちゃんも真面目な顔をしようとして微妙に失敗してるけど、宰相のお爺ちゃんは声も出せずに笑い続けてる。


先王様はピヨ子の相手をしてくれてるのか、指先を突っ込んで本体の場所を優しく探して、ピヨ子が触っても良い場所を調べ続けてた。

先王様って動物が好きなのかな?随分と手慣れてる感じがする。


「ノインの雛が食べる餌を基本的に与えているのですが、最初の頃はどうしても私が慣れなくて豆を潰してもらってマモー乳で伸ばして麦粉なんかで練って水分を飛ばしたものとか、米粒をエレガントにした物を与えていました。」

「んん?こめつぶをえにかまんと?とは?」

「資料をお読みかと思うので、ご存知かと思うのですが白いアレです。

私が勝手に名前をつけて呼んでます。浄化した白いツブツブです。」


詳細を言わせるなよ?

ピヨ子を撫でてる先王様が大惨事やぞ!の、雰囲気を私は言葉に滲ませた。


「あー⋯なるほど、浄化した物を使用してるのですね?

ひょっとして頻繁に雛を浄化なされてますか?

では羽毛が白いのはそれが原因では?聖獣化してると考えると、それも予想出来ますよ。」

「せいじゅうか?」

「聖なる清い獣の事を言うのだよ。」


聞き慣れない単語に心の首を傾げた私に、先王様が教えてくれた。


「聖なる清い獣⋯聖獣?

それは普通のノインとどう違うのですか?」

「さぁ〜申し訳有りません。

ノインの聖獣化は始めて耳に致しますので、どの様な生態を持つかは観察して見なければ⋯」

「あぁ、すみません。

でしたら他にも似た聖獣化した魔物が居れば、同じ特徴が有れば教えて頂きたいのですが⋯」

「ふうぅ⋯聖獣は稀に見る獣故、詳しい生態を調べる事は中々に難しいのだ。

何しろ聖獣化している獣は同種の獣よりも魔力が高く非常に知性も優れておる。故に人を襲う事もなく、危害を加えられた時のみ反撃を行うが、大抵の聖獣は直ぐに逃げて行方を眩ませてしまうのでな。」


お師匠さんに突っ込んで深く聞いていたら、魔王が訪ね船を出す。


「たかがノインですが、それが羽毛だけの変異では無く聖獣化が原因ならば、扱いは慎重になされた方が宜しいかと思われます。」

「扱いを慎重に⋯とは?」

「魔獣契約を早急に結べ。

他者への危害はそれで抑えられるであろう。」

「え?!聖なる清い獣のクセに人を襲うんですか?」

「相手の扱いが悪ければそうなる。人と獣では価値が違うでな、ソナタの兄弟はまだ幼い。悪意は無くとも危害となる事も有ろう?」

「あー、そう言う⋯。

魔力が普通のノインよりも強いからどんな魔法を使うのか分からないからですか?」

「ノインは基本的に水属性が多く、鳥特有の風属性は低い獣なので、恐らく魔力が強くなれば水の魔法を使うのが上手くなるかと⋯その体格からして空を飛ぶ様になるかは不明ですが、一応は鳥なので⋯」

「なるほど。普通のノインよりも高く跳んで水の魔法を使うんですね?

浄化魔法とかも使いますかね?」

「稀な存在ですがその可能性は否定が出来ませんね。明らかに浄化能力を感じさせる環境の住処を確認されているので。」

「おー、ピヨ子はすごいね。自分で住む所を綺麗にお掃除出来るらしいよ。」

「ピ!」


魔王とお師匠さんの2人に代わる代わる説明を受けて、ようやく気が済んだ私は明るい声を挙げて、あからさまにピヨ子を誉めた。


すると頭の上からピョンと私の太腿の上に飛び降りてくる。そして誇らしげにふわっふわな胸元を張ってる姿がとっても可愛い。


「アハハ!ピヨ子は賢いもんね。ジーニスとかが触りに来たらちゃんと逃げるんだよ?

怪我させたらお父さん焼き鳥にされちゃうからね?」

「ピピ?!」

「ジーニスはピヨ子よりも身体が大きいけど、頭の中が赤ちゃんだからピヨ子みたいに賢く無いんだよ。だからピヨ子が大人になって仲良く皆で暮らそうね。」

「ぴぷ〜⋯」

『⋯⋯』


ガビーンとショックを受けたせいで、疲れたサラリーマンみたいに項垂れてため息をこぼしてるピヨ子の頭を、私は指先の背中で撫でてあげる。


「意思の疎通が出来るのか?」

「ピヨ子は賢いからね。

でも最近ようやくだよ。

色々と話しかけてたら言葉を覚えて来たみたいね。

野生の獣じゃないから、人の言葉が分かれば多分悪さはしないんじゃないかな?」

「獣を信用するのか?」

「我が子を信用出来ない親は、親の方に問題が有るんじゃない?

育て方の問題でしょ。」

「2歳の幼子が親を語るのか。」

「2歳だろうが100歳だろうが、子供が出来たら親は親だろ?

ウチの婆ちゃんも言ってたよ。

幼い子供の言葉が分からないのは当たり前なんだってさ。

でもちゃんと自分で育ててたら、例え子供の言葉が分からなくても、見てたら直ぐに何を伝えたいかが分かる様になるって言ってたよ。

私は特に観察する目には優れてる方だから、ピヨ子が何を考えてそうするかぐらいは直ぐに見抜けるよ。

それだけ手間をかけて育ててるしね。」

「⋯しかし獣と人は違うぞ。」

「本能や習性の事だろ?

そりゃ見たことのない始めて会う獣なら難しいだろうけど、ノインは0歳の頃から身近にいて良く触れ合ってるから、例え聖獣化した所で根本的に同じ性質の獣ならまぁ分かるだろ。

私が未熟でもノインの達人は他にも何人も家族に居るしね。」

「軽く考えておらぬか?」

「重く考えて良ければそれで良いけど、重ければ正しいとは言えないと思うけどね。

でも他の獣で事故が沢山あるから、心配してくれてるのは分かるよ。でもそんな事故を起こす時の環境と私の環境が同じだと思う?」

「ぬぅ⋯だが、そうか。」

「そう言った事故を起こすのは、普段は何も世話をしてないのに主の顔をしてる根っからのバカか、生態や習性を軽く見てるか忘れたか蔑ろにしてる行動をしたか、何方にしても油断して身勝手な人達に獣が巻き込まれて起こる事故だとは思う。」


私は胸元からサッと紙を取り出すと、スッとピヨ子のお尻の下に差し込んだ。

ピヨ子のキュ!と、小さく震えたからサッと紙を外して排泄物を確認して、紙をピカリと浄化する。

この時ピヨ子や自分の太腿も範囲に巻き込みながらも紙を中心的に浄化するのが私が編み出したコツだ。

そしたら部屋の空気がザワッとした。


「だからこうしてちゃんと観察してたらきっと大丈夫だよ。」

「⋯黒魔石。」

「排泄物の観察をしたの。

健康状態を調べるのは飼育の基本だろ?」

「そうではなく!」

「浄化しただけだろ?

さっきピヨ子がフンを出したがってた顔してたでしょ。

おしっこならこんな顔はしないし。だから紙を出したんだよ?」

「⋯そうか。」

「うん。」

『いやいやいや!!!』


偉そうな騎士や、お師匠さんとかヴィルフォンテお爺ちゃんやら、先王様も宰相のお爺ちゃん達から、総出でそれぞれの言語で突っ込みが跳んで来る。

魔王と私はもう、その辺は解決した問題なのでスルーした。

魔王は恐らく昔失敗した経験が有るんだろ。多分前者のバカをやらかしたに違い無い。

落ち込んでる魔王の姿にそれを察する。

敢えて指摘はしなかったが、しつこく魔獣契約を勧めてくる理由を垣間見た気がしたのだ。


「⋯その、魔法を使えるので有るか?」

「大分前にサラディーン様に教えて貰ったから。」

『っっ⋯⋯』


先王様が魔王以外の連中からの期待を一身に背負って躊躇いがちに聞いてきたから、素直に応えたらアイツか!と、魔王も含めて全ての人達からお嬢さんに向かって何かがブワリと飛んだ。


それがまるで鬼に金棒を与えた暴挙に対する怒りの波動みたいに感じて、酔っ払ってやらかしたお嬢さんの命運が木っ端微塵になるのが確定した様に思えた。


でも最初の魔王の時みたいに私だからと言うよりも、子供の為に幼い頃に魔法を与えないのは常識なんだろうと感じる。

だから何の罪もない家族に被害を与える訳にはいかないので、この暴露は仕方が無かったのだ。


なら魔法を使うのを隠せよと言われそうだが、便利なので使うに決まってんだろ!と、私は声を大にして訴える。


「普通なら小さな子供には魔法を教えないけど、私を観察してどんな子供かを知ったから信用してくれたんだよ。

私なら物事の善悪が分かるだろうし、迂闊な使い方なんてしないんじゃないかって。

家族もそれを聞いて同意したから、教えて貰えたんだよね。

お陰で生活が随分と楽になってすごく助かってるの。」

『⋯⋯⋯』


フォロー完了。

あー、うん。

みたいな雰囲気が漂う。

良かったよ。

私への認識をちゃんと受け止めてくれてる証拠だ。

これも私が気をつけて善良性の押し売りをした甲斐があったと言うものだ。


お嬢さんへの恩を仇で返しはしないよ。

当たり前の事だよね。

ピヨ子は眠くなったらしく、太腿の上で更に丸くなると暖かくなって来た。


「それで魔力草の制度?

それとも他の論文の質問?

素材の劣化問題の改善や強化の発見があったからこそ、魔石強化に繋がったんだけど⋯」

「それは⋯」


私とテンポの合う魔王が説明してくれてる中、え?もう話題変わるの?!

と、盛大に戸惑ってる人達を置き去りに私はフムフムと話を聞いて小さく頷く。


「魔力草の販売については、戦士ギルドを通す方が税も取りやすくて確実だし、軋轢がないのも良いと思って提案したんだよ。


問題は盗難や故意や無自覚に限らず制度の悪用なんだよね。

家の外に置いてるだけの魔力草なんて、持って行き放題になるでしょ。

そう言うのは魔力草を買った時に、戦士ギルドから割符とか渡して盗難された魔力草は買取しない様にして貰うしかないかな?


他に費用とか手間が少なくても良い案が有れば良いけど、私はそれぐらいしか思いつかなかよ。


制度の悪用に関しては、戦士ギルドから買ったばかりの魔力草を他所の戦士ギルドに持ち込む旅商人とか居そうでしょ。

戦士ギルドのない農村も多いだろうから、それを装うのは難しくないし。


あとは生産者が未熟で日の光に当てた物を持ってくるとかね。

明らかに状態が悪ければ受け取りした人が蹴れるかも知れないけど、厳格な見極めは素人には難しいでしょ。

魔力測定眼鏡が有ればまた違うと思うんだけど、私は使ったことが無いから、何処まで詳細が分かるか、そこが分からなかったんだよね。


今数値化出来るモノが開発されたから、従来の魔力測定眼鏡が安くなってたら、戦士ギルドでも扱える様ならそれを使って鑑定して欲しい所だけど、ちゃんと規定が見分けられるかは私じゃ判断出来なくてさ。」

「ふむ。だがそれは一考の余地が大いに有るな。

色で規定を指定して、それ以外は買取不可にすれば、過失も故意も省けよう。

盗難については栽培の性質上、月の光を浴びせるのを目的とするなら、窓辺や家の屋根を利用する方法も有るのではないか?

全てそれで凌げるとは言えぬがな。」

「屋根は雨水が流れる様な傾斜がついてるから、そこは各家での対応になるね。

窓辺に関して言えば魔力草が群生出来ない性質を持ってるから分散させる必要が有るし、構造的には庭と余り変わらないかな。

魔力草だけに絞って、魔法の水は月の光を浴びせないと割り切れるなら、革袋に水を入れて屋根から吊るすのは良いかもね。種まで作らないならそれでも時間が有れば育つと思う。


救済措置として、育成法が正しかったか確認はしてあげて欲しいかな。

完全に枯れて無ければまだ取り返せるし、遮光錬成瓶を使って運んでるの忘れてるとかさ。

ウッカリそのまま持って来る人が多そうでしょ。

だから大人じゃ無くて子供に正しい知識を教えた方が確実だとは思う。」

「教会か。」

「最悪は潰したし、初期の論文なら月の光の情報は最低限だから、教会には育成法と注意事項だけ伝えておけば、従来の価値観があるせいで論文を読めない国ならまだ誤魔化せると思う。」

「ふむ。」


魔王は絨毯に座ったままなのだが、国王がそれで大丈夫だろうか。

意識が全部他に回ってるから、多分本人は気付いて無さそう。周りも会話のスピード感についてくるのに精一杯らしくて、話の聞き取りに集中してる。


「家業にしたいから言う訳じゃ無いけど、真面目に作ってる人がバカを見るのは嫌なんだよね。

あと魔力草の事だけで魔力測定眼鏡を買わせるのは難しいだろうけど、それが有れば他の素材の良し悪しの判断も出来て、価格が適切に判断出来る様にならないかな?」

「なるほど。納品の時点で査定を厳しくするのか。」

「だから戦士達はこれから勉強しなければ生き残れなくなる。

でもその癖がつけばマトモな戦士が増えるとも思えるし。

厳しいけど悪い事ばかりじゃ無いかなって。」

「そこまで望むのは難しいやも知れぬぞ。」

「それは今まで曖昧だったせいも有ると思う。色見本を作ってこの色のものじゃ無いと駄目って言うのと、よく分からない傷を探して駄目って言われるだけとじゃ、認識の違いが出て来るよね?

それと農家で幼い頃から魔力草の扱いに慣れてたら、そのうちそう言った教育は必要なくなるかもだけどさ。


あとこれは出来ればで構わないんだけど、ピノのレンズを使った簡易の魔力測定機を作って戦士達に持たさせたら、わざわざ持ち帰ってガックリさせるより、早目に確認出来るし戦士達の意識付けには良いかなとは思う。


安く無ければ普及しないけど、錬成師じゃ無くても作れるから、どうにか出来れば良いんだけどね。

ただ作るには秘匿技術が使われるから、これはかなり難しいかな?」

「ふむ。技術としては容易としても秘匿技術か。

ならばレンズは錬成師が作りそれを回せばどうか。」

「錬成師は元から仕事が多すぎるんだよ。優秀な人は優秀な人にしか出来ない仕事をやらせないと、モノが足りなさ過ぎてると思う。


月の光を魔法の水を浴びせるだけなら農家の子供でも出来る仕事だから、そう言った仕事を作って専門でやる平民を集めて作らせれば良いんだよ。


月の光の効果やピノのレンズが何をするのかを知らなくても、作るだけなら作れるんだし。


錬成師しか作れない魔法生物ウェブンや魔法の鞄とか作って貰った方が、よっぽど世の中の為になると思う。


服も全然足りてないし、そもそも布すら無いから高級品になってる。

作り方知らないけど、需要が高いのに作る人が忙しいか、居ないから不足してる物は探せば沢山有ると思う。


あと貧困の差が開きすぎてるのも問題かな。バカに金を持たせたくないのも良く分かるけど、持たせなすぎて成人前に家から出されて、子供の死ぬ量が多いのが大問題だと思う。


成人前の戦士になるしかない子供に、職人の道を増やすとか。

魔力草でもピノのレンズでも、それぐらいの年齢の子供達なら作れるしね。


お金を上だけで回さないで、国全体で回して行けばもっと国は富むし、大きく育つと思うんだけどなぁ。

国は金持ちなんだから、他所の国からも沢山麦とか保存の効く食物を買って国の中にバラ撒いてもいいし、商人に魔法の鞄持たせてやれば、遠くの国からも仕入れて貰えるし、こっちだって平和利用出来る品なら沢山売れるだろう?

余ってる村娘に布織らせるとか、服を作らせるとか。

原料の綿を買うか作らせて安く売れば足りてないから沢山売れるよ。

って出しゃばりすぎるな。

ごめんなさい。

大人の事情が有るんだよね?

子供だから知らないのに言い過ぎました。

言うのは簡単だけどじゃあ具体的にどうするの?ってなったら色んな事情があって難しいんだよね?

そう言うのちゃんと勉強してないし、なにも言う権利なんか無いのに、ホント私って駄目だなぁ~⋯」


皆ドン引きしてた。

あーもぅ大失敗。

別に国政なんか興味ないんだよ。

なのにこれじゃ口ばかり達者なアホ丸出しじゃん。

身内の事すらまだちゃんと出来て無くてヒーヒーしてるのに、もっと大きな事なんて見てる暇なんか無いのにさ。


「⋯他国にはウェスタリア程の平地が無い。あっても水が不足するなどの環境故に国内の麦は他国へ輸出している。

元が少ない他国の食料を漁れば餓死者が増大して恨みを買う。」

「⋯それなら糸を作る植物はどうしてるの?」


反省して凹んでたら、魔王が当たり前の様に私の疑問に答えてくれたので、少し気が楽になってつい聞いてしまった。


「糸は魔獣が作る。

植物でそれが有るかは知らぬ。何故にその様な物を求めておるのか。」


あーちゃー、やらかした〜。

全身から吹き出す冷や汗を素知らぬ顔でやり過ごす。


「⋯てっきり糸は麦藁みたいな植物かと思ってたの。そか、魔獣だから糸が高いんだね⋯。植物なら農家で作れると考えてたんだけどな⋯やっぱり思い込みは駄目だね。


植物の図鑑とか見て勉強しなくちゃ⋯あ、でも確か魔獣が少ない国も有るよね?

そう言う所は布や服はどうしてるんだろう⋯」

「なるほど⋯他国からその様な植物が有れば仕入れて国で改良し、増やせば良いのか。」

「あと、甘い粉はウェスタリアでは木の根から取れるって聞いてるの。他所の国でもそれは同じなのかな?」

「ふむ⋯不足している物を探すのは良い案やも知れんな。」

「あと気になったのが靴なの。値段が高くて農民が中々買えないのね。

職人さんの技術が難しいからなのかも知れないんだけど、1番高い靴は1年かけて作るって言ってたよ。

良い魔道具が有ればと思うけど、魔道具ってどうしてあんなに高くなるの?」

「ウェスタリアでは金属が金以外は採取が難しい故、素材の価格が高値なのも有るが、使用される魔石の値や魔道具師の技術量が恐らく高値の要因であろう。」

「国外から金属の輸入は難しい?」

「鉄や銀は戦略物資となる故に、出す国は少なかろう。

また金属によれば大地や川が汚染し採取自体が困難を極めることもある。

それ故に欲しいと願おうと容易くは手に入れられぬ。」

「他国は採取の技術が低いのかな?」

「それが無いとは言えぬが、調べる訳にも行かなぬでな。」

「それなら他国に嫁いでる姫様達に聞いて見れば?」

「ふむ⋯しかし金属の扱いは気を遣わねば不要な警戒を招き兼ねぬ。」

「魔道具作って送ってあげたら?量産したいけど素材有りませんかー?って。」

「ふむ⋯」

「他にも足りない素材有ったら買いますって言っても難しい?」

「他国よりの輸入は安くはならぬが⋯」

「逆にお酒とか向こうの興味が有るものを作って売ればどうかな?」

「酒?」

「だって麦が沢山あるし、何処の農家にもエール作ってるよね?芋もあるしお酒なら沢山作れるとと思うけど⋯」

「それは農民が食すものでは?」

「その余剰の話だよ。

でも私はウェスタリアしか知らないから、ほかの村にそんな余裕が有るのかは知らないんだけど、エールとかの安いお酒じゃ無くてちゃんとしたお酒、錬成師なら作り方知らないかな?」

「何故そうなる?」

「それならこの国の良いお酒はどうなってるの?」

「果実より作るのが多いが⋯他は知らぬ。」

「他国から良いお酒って入って来るの?」

「たまにはな。」

「それはどんな種類のお酒なの?」

「どの様なとは⋯?」

「さっき果物で作るって言ってたよね?じゃあそれ以外で作るお酒はないの?エールみたいに。」

「あぁ、そう言う。世は余り酒は嗜まぬ故⋯」


そう言うと視線を騎士に向ける。何故そこを見る?と思ったのは私だけの様でした。

全員の視線がそっちに向いてたから、この人は有名な酒飲みらしい。


「火酒が何を元に作られて居るかは存じ上げませぬ。」

「ひざけ?」

「ワインよりも微量で酔う強い酒で、身体が燃える様に熱くなることから火酒と呼ばれております。」

「ありがとう御座います。

それならそれは『蒸留酒』ですかね?」

「じょりゆうすゅ?」

「魔力草もそうなんですけど、水は火をつけて沸かせば湯気になります。でもエールは火をつけなくても水が減ります。

つまりエールの中には水とはちがう、水に似た何か空気になりやすい物が入っているんでしょ?

この前ウェブンの卵孵機を作った時に、エールの話になって。

それでちょっと考えたのがその逃げて行く水の元を捕まえて冷やせば、それが沢山集められるかなぁって。


それがお酒の元ならそれを使って新しいお酒が出来るかなと考えてたんですが、もう他にそんなお酒が有るなら作っても売れないしと考えてたんです。」

「また何故その様なことを?」

「大人はお酒が大好きだからです。だから美味しいお酒が作れたら高く買ってくれるかなって。

親族を集めてるのですこしでも収入を増やそうと思って色んな事を考えてて。

魔力草もウェブンもそうですけど、お酒もその1つだったんです。」

「⋯なるほど。」

「そう言う他所にないものを考えて作るのが錬成師だから、錬成師なら知ってるかと思ってたんですけど⋯」

『⋯⋯⋯』

「クッ⋯ホホホホ!」

「フ⋯ハハハハハ!」


落ち込んだ雰囲気の魔王やヴィルフォンテお爺ちゃんやお師匠さんが面白かったのか、宰相のお爺ちゃんと先王様が楽しそうに笑い出した。


「いやはや黒魔石殿の着眼点は素晴らしいな。」

「そうですなぁ〜⋯あれやこれやと知りたがるお年頃故に、大人が当たり前と思う事が良く見えるのでしょうなぁ⋯」

「普通なら大人が分かる様な言葉を使えぬせいで、聞き流して居るのだろう。

アルフィンも誰彼かまわず捕まえては、あれやこれやと尋ねては困らせておったわ。」

「父上⋯」


でた!年寄りあるある。

こちとらいい年こいてんのに、記憶のない頃の黒歴史を暴露された中年のオッサンみたいに、やめろよと魔王が顔を顰めてる。


「さて何時迄もお話を聞いておりたい所で有りますが⋯」

「うむ。待たせて居る者も居るでな。いかが致す。」

「派閥としては問題はないかと。しかし本人はそこまででは無いのですが、親族がどうにも口煩くしておりますので⋯」


宰相さんがマキマキの合図を入れたら先王様がそれに乗っかり、ヴィルフォンテお爺ちゃんが私に情報をくれた様だ。


「つまりタダでは作ってやらないよと。

ならば私からは特に何も。

お金が貯まればまたお願いすれば良いだけですし、その頃には皆さんに行き渡ってるでしょうから、横入りして恨みを買うよりも宜しいかと思います。」

「ほほう。黒魔石殿は要らぬと申されますか⋯」

「いいえ?とても欲しいです。

素晴らしい良い魔道具だと思っていますよ。

でもそれでお困りのかたが居られるのなら、そこまで焦ることもないかと思っただけです。 そのうち自分でも作れる様になるかも知れませんしね。」

『ハハハハハ!』

「ほほほほほ!」


お爺ちゃんズにメッチャ受けた。

まぁそりゃ、そうなる。

私は強気に交渉しろと言ってるだけだしな。

向こうが強気で何かを言って来たんだろ。

何を言ったかは知らんけど、きっとお爺ちゃんズがムカつく話だったんだろうね。

でもアイテムの必要性が高いから、お爺ちゃん達に魔王がゴリ押ししてくれたんだろう。

真顔だが、内心でむくれてる彼にゴメンねと、素直に心の中だけで手を合わせておく。


「それにしても、残念です。

私みたいに規格が合わない人でも使える形を色々と考えて来てたんですけど⋯仕方が有りませんね。」

「ぶは!ハハハハハ!!!」

「ホホホ⋯それはとても興味深いお話ですなぁ〜」

「いやぁ~⋯誠に残念ですな。

少しばかりそのお話を伝えて参りましょう。」


お爺ちゃんと私の会話を理解した魔王が遅れて爆笑してるのにも構わずに、ヴィルフォンテお爺ちゃんが素晴らしい笑顔を見せて、ズシズシと軽やかにドアの方へ向かって行く。


身体は明らかに重そうなのに、明るい雰囲気が背中から翼を生やしてるみたいに見えたからか、少し弾みながら歩いてる様姿から、まるでリングに上がるボクサーの幻影を見た様な気がする。


とは言っても私のアイデアなんて、某アニメのスカウターとか、サンバイザーとかゴーグル程度のもんだけどね。

ゴムとか有れば良いけど、素材やら加工がサッパリ分からないから、伝えた所で出来るかどうかは知らないよ。


ちなみにお師匠さんや騎士は未だに私達の会話の内容を読み取れず、何故魔力測定眼鏡の製作を断るのに爆笑してるのかと、頭の上にクェスチョンマークを浮かべてるみたいだった。


まぁお師匠さんは今気付いてあぁ⋯、て顔してる。

騎士さんは、まぁいっかと。

逆に諦めたらしいよ。




マスコットの立場がギャグの小道具扱い。

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