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またしても説明章になります。(滝汗)
自分史上最高記録で怒り狂ってたせいか、気が付いたら皆がワチャワチャしながら魔力草や種の回収をしてくれてる所だった。
ハッとしてピヨ子を確認したが、スヤスヤ眠ってるだけで、逆に刺激を与えたせいで猛烈なピヨピヨコールが始まってしまい、私は大慌てでワチャワチャする。
「お母さん!」
目がショボショボしてる母に豆とマモー乳の提案をしたら、直ぐに裏庭の家庭菜園から豆を取ってくる様に言われて走る。
そして見た目はサヤエンドウみたいな豆を、サヤごと1つだけむしってまた土間に向かった。
お母さんがマモー乳を茹でてる所に、サッと洗ったサヤエンドウをそのまま放り込むのを見てギョッとする。
あれって皆が食べるヤツでは?とヒヤヒヤしたものの、お母さんは更にそこに麦までザラザラと入れていく。
だからマズいんだよ!とは言えなくて、その大雑把過ぎる調理方法を遠い目をしながら眺めてた。
とは言え鍋の中なんて見えないから、サヤエンドウが今どうなってるかは分からない。
リビングではピヨ子が己の限界にチャレンジでもしてるのか、ピヨピヨ連打に入って体力の消耗が心配になるが、もう食させてあげられるものが何も無いのだ。
そうしてるウチに母はお玉でサヤエンドウをマモー乳と麦ごと掬い上げて、平皿に入れる。
そして「あちっあちっ」と、可愛く言いながら苦労してサヤから豆を取り出していた。
私からしたらまだ茹で時間が足りて無いのでは?とかなり不安になったのだが。
母は何も気にすることも無く、すり鉢を出して木の棒でゴリゴリと豆を潰し始めた。
元々量が少なかった事もあり、あっという間終わったらしく。
次は平皿の麦とマモー乳とを入れて、またゴリゴリとすり鉢を掻き回していた。
あの⋯水分が多すぎやしませんかね?と、ハラハラしてる私の目の前で、母は麦粉を入れて行く。
「ほら出来たわよ〜!」
「あ⋯ありがとう、お母さん⋯」
確かに何かが出来てる。
麦まで豆より多めに入っているが、少しトロリとしてるペーストよりも固めの何かが、ちゃんと出来てた。
塩は?とはもうとても言えなくて、水洗いをした回復麦粉の瓶の中に、豆と麦とマモー乳のペーストに近い何かの塊を入れて貰った。
私は半分にカットしてる麦藁を使い、温度を確認してから木箱から首を精一杯伸ばしてピヨピヨしてるピヨ子に、新しい物体を与えて見た。
うん、飲んでる。
吐いてはいない様だ、取り敢えず今の所は。
しばらく不安で様子を見てたが、今の所は何も異常は感じられなかった。
後は下痢をしなければ、私やお母さんはエレガント米粒の試練から解放される事になる。
だからフンで汚れた混合羽毛クッションに怯える事も、もう無くなるのだ。
そして私はピヨ子を胸元に戻して、愛するロベルト兄ちゃんの元へ走って行った。
「自分でやれよなぁ〜」
「うう、お願いお兄ちゃん⋯」
自分史上最高記録のぶりっ子をして、私は不満げにしてるロベルトにエレガント米粒の始末をお願いした。
彼は非常に雑な感じで、錬成遮光瓶に水を注ぐと、そのままグルグルとして地面に捨ててしまった。
私は、ヒ!此処に捨てるの?!
と、非常に慌てたが。
「ほらよ。」
「あ⋯ありがと⋯」
「ハハ!
ホントに嫌いなんだな!」
消え入りそうな声でお礼を言いながら地面に視線を釘付けにしてる私に、ロベルトはクシャっと笑って私を抱き上げると、スタスタと錬成瓶の所に連れて行く。
そしてロベルトの肩からエレガント米粒の末路を眺めていると、ぶぶぶ⋯と夜なのに飛んで来たマージンが複数、先を争う様にして地面をツンツンし始める。
また私はそれにもギョッとしたのだが、今度歩く時あそこの地面を避けて歩かずに済むかと思えば、色々と込み上げて来る複雑な感情を飲み込む事にした。
エレガント米粒って魔力が豊富だったんだろうか?
人糞の肥溜めから暗い箱のなかで産まれて育つからその可能性が無い訳では無い。
すると今朝作ってもらった例のブツはピヨ子には魔力が足らないのでは?と予想する。
ならどうするか。
そう。収穫して持ってきてくれたのを数えたら36個あった種をひと粒潰して混ぜればいい。
でも今はちょっと言い出せ無いので、ご飯が終わって片付ける頃にもう一度母に頼もうかと考えてる。
だってピヨ子がお腹を壊して下痢するなら、餌を変えないといけないからだ。
先ずは観察をしてピヨ子が本当に無事な様なら、種を潰して混ぜる事を記憶のメモに書き込んだ。
そしてまだ月夜で明るいけど、太陽が出ないうちに私は満を持して作業を進めていく。
つまり昨夜マドルスお爺ちゃんに入れて貰った魔力の水を1日月の光を浴びた物を、お鍋の中にどんどん投入しているのだ。
その数透明錬成瓶10個。
それでもまだ鍋の半分ぐらいしか水は溜まってない。
でも今はそれでいいのだ。
後から卵入りの大型遮光錬成瓶やら、瓶が浮かないための重りやらを入れるので、水位は上がると予想をしている。
そしてカタリナの手を借りて蓋が外れない様に縄で十文字に縛ってもらい、私はそれを魔法の鞄に入れたのだ。
後は種を売って大型の錬成遮光瓶を買って帰れば、セフメトがいずれ保温機能つきの携帯魔道コンロを買って来るだろう。
今はそれは無いので先に手に入れて貰った、銀板1枚の携帯魔道コンロを使って、鳥小屋の北側にある影にでも設置すれば完了だ。
もう瓶に詰める藁も藁の縄もいい感じの小石も集めて魔法の鞄に入れてある。
そうしてるウチに朝日が昇ったので、私は家の中へと戻って行く。
集めてもらった36個の種のうち、3つを売り物として渡す予定だ。
それはお母さんに頼んだ。
何せ連日お父さんに言ってもらう訳にも行かないし、お母さんにも気晴らしが必要だからだ。
でも錬成遮光瓶が重かったら困るので、セフメトが付き添う予定でいる。
お母さんはセフメトの顔をお嬢さんに繋いで貰う為にいくのだ。
そのうち瓶が必要ならセフメトに注文をしに行ってもらい、そうすればお父さんがお金を払って持って帰れる。
何度も行かずに済むので、受け取りは納品もすれば良いと私は考えてる。
勉強会の日でも良いしね。
私はお嬢さんに宛てて手紙を書いた。
種を砕いて良いので種の外の魔力と中の魔力を調べて欲しいこと。
その分は買取の値段から外して良いこと。
その代わり種の外と中身の魔力量に違いが有れば、教えて欲しいこと。
魔力草のお茶は今はまだ育った魔力草が無いので、作ったらまた改めて持って行くこと。
「あ⋯ひとつあった。
⋯だけど⋯うーん⋯」
睡眠不足でラリった頭で作った氷出し茶があったのを思い出したのだ。
そう言えばコレをバッカスに飲ませるつもりだったけど、人体実験では?と気が付いてしまった。
何せこれは私の魔力を使って作った氷に、銀貨30枚になった花付き寸前の魔力が豊富な魔力草の葉っぱを入れている。
だから私はお手紙にそれを調べて欲しいと追加で書くことにした。
でも透明錬成瓶に入ってるんだよなぁ⋯魔法の鞄は有るには有る。
でも1つはお父さんが使ってて、残りは土間ぐらいの魔法の鞄が有るのだ。
セフメトに持たせて良いのか、お父さんに確認しなくちゃいけない。
そのうちセフメトは魔法の鞄を扱う様になる。
だから別に良いっちゃ良いんだけど、誤魔化し方を練習しないとまだ子供に身体のセフメトは、悪い大人にそれがバレたら偉い目に遭う。
そりゃ魔王が護衛のアミュレットを持たせてくれてるけど、それはあくまでも緊急時の護衛なので、あまり頼りたく無いんだよね。
魔王と喧嘩して罰が悪いのもある。
ちょっと言い過ぎたかも、と。
頼ってる分際で確かに私は恩知らずで傲慢なクソガキだったなと、ちょっぴり反省したのだ。
なのでトタトタと歩いて明るい外に向かって歩く。
そして少しだけ家から離れた所にある木に留まってるマージンを見上げた。
「王様、聞こえてるかな?
さっきは言い過ぎてごめんなさい。
同じ年のお友達じゃ無いのに偉そうにしちゃった。
王様が怒っても仕方が無いよね。
今度あったらちゃんとごめんなさいってするからね。」
これ王様が使役してるマージンが居なかったら私はバカ丸出しになるのだが、まぁ⋯どうせ顔を合わせたら謝るし。
まあいっかと、言い逃げする気分で家の中に戻って行った。
マージンは木に留まってるまんまだったし、王様が姿が現すことも無かった。
そして私は発芽させる為に錬成遮光瓶に種を10粒入れて月の光1日目のお水を入れて行く。
瓶の口まで注いで蓋をきっちり閉める。
酸素を完全に遮断する事になるが、果たしてどうなるか。
残り23個のうち次は10個を錬成遮光瓶に入れて月の光1日目の水を種が少し浸かる程度まで入れてきっちりと蓋を締めた。
そして3粒の種を錬成遮光瓶に入れて2日目の月の光のお水を種が少し浸る程度に入れてまたきっちりと蓋を締めた。
後は1日放置した後に、土の中に入れて発芽まで育てて行くだけだ。
最近雨が多いので、ここは少し不安になる。
何ならお皿に土を乗せてそこに種を植えても良いぐらいだが、果たして水の吐けないお皿で大丈夫かな?とそれも不安になる。
「てことなんだけど、どう思う?」
「それなら土の下に藁でも敷いて見れば良いんじゃないか?」
「それなら藁だけで良いんじゃない?細くしてやればいいのよ。」
ロベルトが前者でカタリナが後者の意見を言う。
どちらも有りだと思ったので、両方を試そうと思った。
種を5粒づつ分けて植えて行けば良いのだ。
月の光2日目の分は悩んだ末、藁を敷いた皿の上に土を被せて育てる事にする。
発芽したらそれぞれ透明錬成瓶に入れて育てて行くのだが、私はこの時蓋を閉めてみようと考えてる。
まだ双葉が小さなウチは、それで空気の魔力をそんなに使用しないのでは?と考えたからだ。
月の光の水を半分ぐらいは入れたいので、その分は双葉が水に浸からない様に、藁を下に敷く事にする。
まぁ、それは明日の話だ。
ロベルトは私達の話が一段落すると、メモを持って父と合流するのに家を出て行く。
カタリナは裏庭の家庭菜園で水やりをするというので、私もお手伝いに向かう。
マルセロは鳥小屋の手伝いに向かった。
「アンタ、寝てなさいよ。」
「うん、朝ごはんを食べ終わったら寝るよ。」
「ソレなら私洗濯しても良いかしら?」
「うん。魔法でお水を出せる様になったから、任せてくれて良いよ。」
「そう?ならお願いね!」
と言うわけで、ベッドからシーツを剥がしてきたカタリナが木桶に服とシーツを入れて足踏みするのを横目で見ながら、私は家庭菜園にミスト状にして水撒きを行う。
「ウフフ!涼しくって良いわね!」
「それならいいけど、私ね?
多分お湯も出せると思うよ。」
「なによそれ便利ね!
それなら秋になったらお湯を出して貰おうかしら?
今は暑いから全然平気よ。」
そしてグチャグチャ踏んだら、カタリナは服を木の枝にかけてクルクルと回して水を絞る。
絞った後は籠のなかにポイポイと入れて行った。
最後に物干し台に洗濯物を干していくのだが、ハンガーなんて無いから、袖に木の棒を通して、シーツは上から被せるだけになる。
なので風が吹いたら洗濯物がとんで行くのは日常茶飯時だ。
また土で汚れても、パンパンと叩いて洗い直さずに洗濯は修了になるのだ。
めっちゃアバウト。
洗剤を使わないから水洗い一回で終わるし、土が多少ついてても全く気にしない大らかさが農民の大きな特徴だなと思う。
それで良く病気にならないなと思うけど、そこで使われるのが初級回復薬らしい。
傷だけでなく多少体力も回復してくれるので、スタミナドリンクを飲んで風邪は自力で治すスタイルの様だ。
それなら酷い病気になったとすれば、神様にお祈りして治らなければ諦めるらしい。
そりゃ死ぬわ!
とは思うけど、案外死なないのが不思議だった。
全く死人が出ない訳でも無いのに、持ち前の体力と初級回復薬でたいていの病気は乗り越えてしまえるし、寿命が速いので60歳前後になれば亡くなる老人も多いのが普通だ。
つまり前世の癌やら高血圧やら糖尿病やら脳梗塞なんかの病気に、こっちの農民は殆ど縁がなかった。
ウチも最近はマリア婆ちゃんがめっきり足腰が弱くなって来てるので、かなり怪しくて心配になる。
そして最年長のお爺ちゃんも、お婆ちゃんよりはマシだけど、私からすればかなりハラハラしているのだ。
でも肉体労働をしてると、割と長生きなんだとか。
魔王が年の割に若い事を考えたら、魔力の豊富な食材を食べてるお陰なのと、そんな環境でそだった者の子孫は魔力保有量が多くて、それが病の少なさや長生きに繋がっているのでは無いかと私は予想している。
何故ならマリア婆ちゃんは外の村から嫁いで来た人だからだ。
お爺ちゃんに比べたら、年下なのに明らかに老化が早いのだ。
そして同じ物を食べてるのに、お婆ちゃんだけが弱るのは出産の多さが関係してるのでは無いかと疑っている。
種を飛ばして萎れてる魔力草を見たせいかも知れない。
マリア婆ちゃんは子供を13人産んでた。
そして生き残っている子供達が 6人しか居ない。
また6人のうち4人は村に住んでる。
幼いウチに亡くなってしまった子供もいるらしいけど(小川で溺れた)、無事に成人して旅立った子供は8人も居たのに、2人しか生き残って無いと思えば、村の外の環境がどれだけ過酷なのかが分かると言うものだ。
でもそんなミシリャンゼでも、死人は毎年出ている。
何故なら麦の収穫が終われば、開いてる土地に戦士達が大勢他所から流れ込んでくるからだ。
真冬になる前に決められた時期になれば立ち去る人も多いが、そんな大勢の人間で踏み荒らされた土地はとても畑とは言えなくなる。
だから戦士達は立ち去る前に、皆で協力して畑を耕し、種芋を植えてから立ち去って行くのだが。
それでもお金の無い人が居座るので、その人達は決められた狭い場所にテントを立てて真冬を乗り切る生活をおくるのだ。
でもやはり毎年何人かが寒さと飢えに耐えきれずに、亡くなっている。
それは大抵が未熟な少年達だった。
それを見てる村人は、戦士より狩人になる人も多いが。
狩人は狩人で大変で、筋が悪ければ家業を継ぐか、戦士になって村から離れると言う。
全く胸の痛む話で、0歳に始めて迎えた春に愕然とした気持ちになった。
親族が集まってる中で今年亡くなってる若い戦士の話も出て来るせいだ。
それは早く家を出ていけば皆もこうなるよ、と言った子供達への教育も兼ねているんだろう。
だから今こうして私は頑張っている。
兄弟も誰一人として欠けさせたくない。
これまでは自分の事をどうにかする事しか考えられなかったが、他の兄弟や従兄弟や叔父さん叔母さんの親族を何とか出来る目処が見えてきた自分がとても誇らしく思える。
でもこれは危険との背中合わせになるので、やはり気を引き締めないとならない。
調子に乗って傲慢でい続ければ、いずれ守りたいものを巻き込んで自滅するだろう。
やはり王様に楯突くんじゃ無かったと、今頃になって己の未熟さを後悔する。
お嬢さんさんが素敵な人だったから、ウッカリと心を開きすぎてしまった。
何故あんなに気を許してしまったのかと、我ながら呆れてしまう。
寝不足のせいだろうか。
眠くはないのだけど、ふつふつと悲しい気持ちが込み上げて来る。
魔力を使うとメンタルまで消耗するシステムでも有るんだろうか?
魔力=精神力って言うし?
ゲームじゃあるまいし、まさかねと鼻で笑うと私は家の中に戻った。
洗濯ばさみを作ってあげたいけど、あれだけ使ってたのに作り方なんて知らないのだ。
だから壊れたら直せなくて、直ぐに捨ててた自分を恨めしく思う。
あれだけでも構造をちゃんと覚えていられたら、今頃はそれでお金儲けが出来たのかなと。
でもそれならハンガーぐらい作れるよねと。
駄目だ。ハンガーを作った所で風が吹いたらハンガーごと跳んで行ってしまう。
大雑把な農民にハンガーを与えたら、服に穴を開けて引っ掛けそうでそれもまた恐ろしい。
それにハンガーに似てるものは一応有る。
ただ毛皮をかけて陰干しするとか、高級な品にしか使ってないだけなのだ。
それを思えばどうにも前世の知識なんて、役に立たないなと感じてしまう。
それを未練がましく求めるぐらいなら、浄化の1つでも魔法を覚えた方が断然便利で早い気がする。
でもなぁ〜。浄化しようと思って洗濯物が消滅したら、もう二度と浄化なんて使えないよね。
私は走るなら転ぶと思えば走らない人なので、浄化の使えない不便な生活を送るしか無いのかと、少しだけ前世の知識とやらが恨めしくなった。
魔法の鞄については、ウェブンの卵が大きいので錬成瓶も大きいだろうけど、馬車が有るから平気だと、セフメトが断ってきた。
セフメトは自分で馬車を運転して、母を街に連れて行くそうだ。
旅商人の修行がてら魔法生物ウェブンの世話も良くしてるらしく、でもそれも有るから余計にそんな大事な物を今は使えないと断られてしまった。
まぁそれは仕方が無い。
魔法の鞄は護衛がついて始めて持てる品なので、セフメトの警戒は間違いでは無いのだ。
ちなみに魔法生物ウェブンの契約者は、うちの父になっているのだが、このときはもうセフメトに商人の話が出ていたので、彼もサブで登録していたのだ。
もう一人バッカスも登録されていて、サブは3人まで登録出来るが一応一枠空いている。
多分そのうちセフメトの兄のワックスが登録されそうな気がする。
ジギタス叔父さんが拗そうで超ウケる。
でもそのうちセフメトが魔法生物ウェブンを持つときにはサブが空くし、何ならもう一匹作れば良いだけなのでやり方は幾らでも有る。
何故そうかと言えば、ウェブンの卵を孵した所で直ぐにメスに当たるとは言え無いからだ。
つまり卵はある意味ガチャだったりする。
雄は魔法生物ウェブンになり、雌は牧場で生産に回るのだ。
もちろん生産にも雄は必要だけれど、雌はもっと多いほうが良い。
例え魔法生物にしなくても、卵を産むから食用に使えるので、大食堂やらスタッフの多い貴族などは重宝して買ってくれる。
ウェブンの卵は1つ銀貨10枚するけれど、あれは有精卵だから高いだけで、無精卵は銀貨1枚で買えるのよね。
ノインの卵が1つ銅貨5枚だから、20 倍程度の大きさならノインの方が経済的に感じられるとは思うけど、卵を割る回数や、味を思えばウェブンもかなり優秀だったりする。
だから村の安い食堂で卵はあまり使用しない。
でも村人は買って食べるし、食堂でも良い食堂では卵を使っている。
だからウェブンの卵も需要は有ると思う。
セフメトが売り歩いてもいいしね。何せ魔法の鞄が有るから、割れる心配をする必要が無いのが大きい。
なんなら村に支店を出して、そこに魔法生物ウェブンや卵を売れば、旅商人が買っていきそうだよね。
そしてついに錬成遮光瓶が届いたので私達は鳥小屋に向かった。
小屋の北側に行き、お爺ちゃんとバッカスとセフメトやカタリナやマルセロやジーニスを抱いたお母さんが見守る中、私は錬成遮光瓶の底に藁をまず敷き詰めて、その上にウェブンの卵を1つおく。
そして卵の周りに藁を敷き詰めて行くのだが、バッカスが羽毛を集めてくれていたのだ。
だから1番外側には藁を入れて、手で隙間を開けてから羽毛を詰めて行く。
そして最後に浄化をして、鍋の蓋を開けて錬成遮光瓶を入れた。
錬成遮光瓶の蓋はもちろん開けっ放しにしてある。
何故浄化かって?
あんな米粒がいる不潔な場所で集めた羽毛やぞ!
しかも湿度の高い環境で、そんなもん詰めたら変な病原菌が繁殖してまうやろ!
と、言う事で。
羽毛だけでなく藁やら卵やらも纏めて、お母さんが浄化してくれたのだ。
そして錬成遮光瓶が浮かないために、縄の先に小石を括った物を瓶の上に置いて、瓶の口も縄で縛って錘付きの縄がずれない様にした。
後は鍋の蓋をして、5分加熱するのだが。
石で丸く円を作りそこの一角に加熱する機能だけの携帯魔道コンロを置く。
この時小屋の壁とは反対側に設置した。
火は出ないけど加熱をするから、輻射熱とかで鳥小屋が燃える事を不安に感じたからだ。
もちろん加熱して5分まち、消化した後で壁を触って熱の確認はしている。
5分程度では特に影響は無くて、心の中だけでホッと胸を撫で下ろした。
あとは雨が降ったら鍋と魔道具が心配なので、古い机を利用して屋根を作った。
下は石を敷いてるから雨水が来ても大丈夫だろうと、皆で知恵を出し合ってそう作ってある。
湯気が何処まで出てるか確認しなければならないので、少しだけ蓋をずらしたが湯気の気配が無いので更にまた5分加熱する。
そうすると途中から少しずらした隙間から湯気が確認出来たので、直ぐに魔道具を止めた。
心の中だけで数を数えたら合計で7分と、まぁ鍋の大きさを思えばコンロの火力は携帯の割に優秀だと言える。
沸騰させると卵が危険だと伝えて、保温機能つきの魔道具が買えるまでは、日中は皆で声を掛け合って火を付けて湯気を確認することになった。
この時蓋を開けすぎると魔力が漏れて卵が孵らなくなる事は伝えているし、今夜もお爺ちゃんに給水を依頼し。
月の光の水を少しづつ足す事にするので、毎日透明錬成瓶に入れた魔法の水を月の光を当てて魔力を増やそうと思ってる事も説明する。
夜はどうするかと言えば、そこはもう寝る前に湯を温めて、朝起きたらまた湯を温めるしか無いと割り切る事になった。
その代わり鍋が冷えない様に、温めた後は藁をまくことにする。
冬ならともかく、今は真夏だからね。
こうしてその日、手作りのウェブン卵孵機が無事に完成した。
後は卵が帰ってくれるのを祈って待つばかりだ。
そうして翌朝、私はとても驚く事になった。
たった1日で種を少し浸した錬成瓶は2種類とも発芽したのだ。
全て種を水に浸した物は、種のままだった。
私はこの時雷に打たれたかの様な衝撃を受けた。
1日月の光を浴びた水を入れた方はひと粒だけ発芽しており、2日月の光を浴びた水を入れた方は3粒発芽していたのだ。
つまり群生の成功である。
錬成瓶の中なら魔力草が群生する可能性があることを発見したのだ。
この日セフメトに大型遮光錬成瓶と同じサイズの透明錬成瓶の発注を依頼した。
なるべく数が欲しいと言って、出来る個数と金額を聞いて来る事、そして1つでも良いから5日以内に渡して欲しい事をお願いする。
それとは別に発芽した双葉は、それぞれ個別の透明錬成瓶に入れるのだが、この時月の光を1日入れたものと2日浴びたものとで2種類に分けた。
1日月の光を浴びた水を入れた
方は1つ。そして2日月の光を浴びた水を入れた方を3つ作り、それぞれ錬成瓶の半分まで水を入れ、そのうえに少し刻んだ麦藁をいれて、更にそこに双葉を乗せて蓋を閉めると経過を観察する。
この時全ての錬成瓶は魔法の鞄に収納した。
そして発芽して無かった、水が大量に入ってる方は水を浸る程度まで減らし、1日目の残った4つと、2日目の残った2つも同じ条件にして実験を続ける。
ただし遮光錬成瓶では無く、透明な錬成瓶を使用した。
それらは全て夜は魔法の鞄から錬成瓶を取り出して、全てを月の光を浴びせる。
すると1日目の種の方はまた1つ発芽しており、2日目の方は全ての発芽を確認した。
発芽した物は全て1日目は1日目と同じように、2日目は2日目と同じ環境にして育てて行く。
今回は水の入れ替えは全くせずに、何処まで育つかを確認する事にした。
1日目の方は1日目まではもう一つと同じ経過を辿ったが、2日目になると葉が萎れてしまった。
つまり1日月の光を浴びせた水の入れ替えが2日に一度で済む事になる。
そして2日目の月の光を浴びた方は、驚くことに3日目まで水の入れ替えを必要とせずに成長した。
そして1日の方は水を2日に一度、2日の方は3日に一度の水の交換で、1日目は10日、2日目の方は8日有れば発送出来るレベルにまで成長するのを確認出来た。
これは水の入れ替えを控えたパターンの方であり、毎日錬成瓶半分の水を入れ替えた方は、1日目は発芽してから出荷まで7日で出荷が可能になった。
つまり錬成瓶半分の水の量で、蓋を閉めれば足りる事が証明されたのだ。
そして2日目の方は発芽から5日で出荷相当になった。
そしてこの法則がウェブンの卵孵機にも、応用されると気付いたので1日目月の光を浴びた水で育てていた魔力草が、2日しか保たないと気付いた時に、鍋のお湯も2日に一度入れ替えている。
お爺ちゃんは元は畑と鳥を両立していた人なので、お父さんには劣るけど、水を出すだけならかなりの量を出せたのが幸いだった。
魔力草のお茶を飲む必要はあるけれど、月の光を2日当てられるぐらいには、一度に大量のお水を出せたからだ。
ストックが出来れば2日月の光を浴びた魔法の水を毎日交換したい所だけど、流石にそれは準備期間が足りなくて厳しかったので、2日月の光を浴びた水を2日毎に時間のある夜に交換する様にした。
錬成瓶でチマチマするのが面倒だったので、錬成箱を利用して大量の水を生産している。
私は一心不乱になって毎日毎日パターンを変えて記録に残して行った。
1人じゃ手が足りないので、従来の育生方法をしてる魔力草はカタリナに任せ、1日月の光を浴びた水を使用している錬成瓶の中で育生している物の記録をマルセロに任せと仕事を分担し。
ロベルトを父から奪ってその他のパターンの魔力草を私が担当して、総指揮をとって新技術の研究を進めて行ったのだ。
ピヨ子に慣れたことも有り、魔王の薬の効果も翌日には消えていたのに、あまりの興奮に頭が冴えてしまい。
日中はお昼寝する時以外は、全く眠くならなくなった。
それなのに夜中にピヨ子に餌を上げるとスイッチが切れた様にパタリと眠りに落ちる様になり。
ピヨピヨと鳴いて起こされると餌を与えてまたパタリと眠りに落ちる。
夜をそんなふうに過ごせば朝や昼など魔力草を観察する頃には興奮で眠気が吹き飛び、頭がシャッキリとしたので、ピヨ子の餌の異常にも直ぐに気付ける事で対応も出来た。
そうあの豆麦マモー乳で作ってもらった何かは、翌朝には腐った様な変な匂いがしたのだ。
その時私は魔力草やら卵やらが気になってしまい。
目がショボショボしてる母に頼むと時間がかかると思い、エレガント米粒を作ってくれと頼めなかったのだ。
そして酷い興奮状態だったせいで、自分で踏み台を持って行って、あの臭い箱からブオンと飛び立つ成長した米粒に怯むことなく開け。
フン!と柄杓を堆肥に押し込み、持てそうな分だけ地面に置いた平たい網籠に入れて、更に小川の付近でバッカスがしてくれた様に小川の水を使って洗おうとしたが、流石にそれは難しく。
かなり苛ついたから浄化魔法をぶっ飛ばして、「消えろ汚物!残れエレガント米粒!」とエレガント米粒の姿を思い浮かべながら魔法を使ったら、自ら誕生させる事が出来たのだ。
網籠も柄杓もついでに新品みたいに綺麗になってくれて良かったよ。
消滅したのは臭い堆肥だけだった。
流石にエレガント米粒を摘む事は出来なかったから、そこはピヨ子の餌やりが終わった後から、兄弟にお願いして瓶に入れて貰った。
まだ夜明け前で視界がハッキリして無かった事や、ピヨ子の煩い催促や他に興味が有ることやら、米粒達が餌として意外と優秀な事に気付いていたからとか、今後の展開に頭がいっぱいだっとか色々と理由はあるけど、人間てぶちキレたら何でも出来るものらしい。
私はそれぞれ必要な日程やら水の交換回数やらの研究を行い。
蕾がついた頃には大型透明錬成瓶も届き、ちなみにこれ一本で銀板1枚する。
そしてこの大型透明錬成瓶は10個単位での発注をお嬢さんに言われてたので、小金貨を支払い50個発注した。
銀板50枚=小金貨1枚なので。
そして届いた大型透明錬成瓶を利用して蕾がついた魔力草を開花から種まで育て上げた。
蕾をつける前までなら、従来の錬成瓶で何とか育てられるが、蕾をつける頃には30cmもの高さに成長するので、この大型透明錬成瓶でなければ育てられなかったのだ。
でもこの大型透明錬成瓶の最大の特徴は、蓋を開けて夜間花付きを置いてると3日で種を作る事は変わらず。
でも種が瓶の中に全て落ちて回収に探し回る必要が無くなった事にある。
残念ながら瓶の蓋を開けない方は開花までは出来ても種を作れず、5日までは花が咲いていたが、5日目の朝になれば花だけが萎れているのを発見した。
でも水を入れ替えてから蓋をして放置していると新たに蕾を作り、そこから更に5日すると再び開花したのだ。
でも種を作る時だけ蓋を外せば良いだけなので、これで魔力草の群生は透明錬成瓶の使用に限り成功させる事となった。
この発見には父だけで無くマルセロまでを含めた全員が驚愕していた。
何せ今までしてきた労働が、魔法の鞄に入れたら済むので、ほぼ無くなってしまったのだ。
実験はしていたので毎日水の入れ替えは必要だったけれど、今までの半分の量で良かったし、その代わり草の固定に藁を利用するので、それに少し手はとられるが、毎日交換しなくて済むパターンもあったので、以前比べて手間がかなり減って楽になった。
今までなら魔力草を家や倉庫やらあちこちに分けて置く手間があったが、魔法の鞄に全て収納出来るので、私を運ぶか、私が出したものを庭に並べるだけで済む様になったのだ。
お手軽なんてもんじゃない。
劇的な機能改善になった。
つまり支出は透明錬成瓶銀貨20枚と魔法の鞄が必要なものの、それがあれば発芽から最短で5日で出荷が可能になったのである。
種まで作ろうと思えば、銀板1枚の大型透明錬成瓶と3日月の光を浴びたものを利用すると、わずか5日で開花となり蓋を開ければ3日で種を取る事が出来るようになった。
ただし1日に一度3日月光を浴びた水を交換する必要はある。
特に開花した後は魔力がとても必要らしく、開花までなら最低2日に一度の交換でも良いが、開花後は毎日交換するのは確定した。
手間を取るか、サイクルを取るかで悩む所だが、今まで10本無いと買い取れない縛りが無くなったので、研究じゃ無ければ気ままでもある程度は融通が利くと言った所だろうか。
どうしても2日に一度だと、林から取ってきた魔力草が混ざれば時期がズレて忘れやすいので、何か大事な用事とかなければ毎日交換した方が無難とも言える。
月の光の水を1日浴びた水だけでは効果も薄いので、錬成瓶に3粒入れた物を2日月の光の水を浴びせた物で発芽させるのが1番安定していたので、それはそうする事に決めた。
これはかなり後の話になるが、発芽させようと思えば魔法の鞄には入れられない事。
または寒くなって来て発芽しなくなった事で、温度も少し関係が有りそうなのに気が付いたので、人肌程度に湯煎させた物を使用すると、一度に最大5粒の発芽を確認出来ている。
まぁ、それは後日談なので今は3粒+月の光2日目+透明錬成瓶+月の光→1日で発芽
一瓶に月の光2日目魔法の水1/3量+麦藁+双葉+月の光→2日で10cm
一瓶に月の光2日目魔法の水1/2量+麦藁+10cm魔力草+月の光→2日で30cm 蕾付き寸前
つまり5日で魔力草1本銀貨1枚の稼ぎになる。
一ヶ月が30日なので、1月銀貨30枚×魔力草の本数=透明錬成瓶の数=1月分の稼ぎとなる。
つまり今の時点では全部使用出来ないので、最大で50本の透明錬成瓶が利用できるとして、1月銀貨1500枚→銀板15枚の稼ぎが叩き出せるのだ。
これには家族全員の目の色が変わった。
正直に言えば透明錬成瓶は1つ銀貨20枚なので、魔法の鞄があれば幾らでも増やしたいだけ増やせる。
手間としては5回錬成瓶を交換するに等しいが、それは2つの瓶を使い回せるので、理論上では100個透明錬成瓶があれば50個の魔力草が作れる計算になる。
でも水を毎日交換するとなると、月の光をいれておく余分の瓶が必要なので、正確に言えば透明錬成瓶は150本必要になる。
我が家は今の所錬成箱があるので、透明錬成瓶100個で回せるのだ。
今は卵の方に透明錬成箱を1つ取られているので、2つを遣り繰りすれば良いのだが、そこは長時間の月の光の水も作りたいのでこの2つの錬成箱は1つだけ2日月の光を浴びせて運用している。
でも長時間蓋を開けてしまえば、せっかくの魔力が抜けて仕舞うので蛇口が欲しい所だ。
今はそんな贅沢を言えないから、一家総出で箱の周りを囲み、各自後ろに椅子やテーブルなどの台を置いてその上に空の錬成瓶を置き、蓋を開けた瞬間に人海戦術で水を満杯まで入れて蓋をしているが、私は端から戦力外なので、空き瓶を手渡す役に回っている。
でも箱の高さが1メートル有るせいで、平地のままなら父と母しか水が汲められなくなる。
なのでマルセロの手が届かなくなった瞬間一度上蓋を閉じると、箱の下に木桶を置いて傾きを作り、1番低い所にカタリナとロベルトが担当し、両横を父と母が担当して、私とマルセロは空の錬成瓶を渡したり蓋を閉める役に回って錬成瓶50個分の水を汲むのが今の所1番効率的に錬成箱を使用出来ている。
でもこれは夏なのでそうしてるけど、寒くなったらやってられない。
だから錬成箱の使い道は、他で探す必要がある。
つまりウェブンの卵を量産するなら、この錬成箱は魔力草より実力を発揮出来ると考えていた。
毎日錬成瓶に水を入れる手間は増えるけど、使用するのは半分なので錬成瓶25個を満水にすれば良い。
何故満水にするかといえば、空間があるとそこに抜けた魔力が溜まるせいで、蓋を開けると外に魔力に逃げてしまうと考えているからだ。
だから解放する前に振るとかすればまた違うのかも知れないけど、今はそれが判別出来ないので満水にしている。
まぁ透明錬成瓶の消耗も抑えられるので、それはそれで良いと考えたのだ。
現時点で言えば毎日月の光を浴びせた箱から夜に錬成瓶に移し替え、それはそのまま月の光を浴びせる。→錬成瓶25本使用。
水が減った箱はまた魔力の水を満杯まで入れてそのまま月の光を浴びせる。
翌朝回収。
使用済みの麦藁と空き瓶を干しておく。空き瓶50本
夜→浄化した空の透明錬成瓶に半分月の光の水を入れて育生中の魔力草を入れ、浄化した藁を根元付近に詰めて瓶のなかで倒れない様にして蓋を閉める。
錬成瓶25本+水の減った錬成瓶25本使用。
交換した後の麦藁と透明錬成瓶を干す。麦藁が風で飛ばない為に、麦藁は刻まずにクシャっとそのまま利用しているので、平たい網籠やテーブルの上に広げて乾燥させる。
雨の日には干せないので、魔法の鞄に入れて保管するが、カビ等の異常が起きない様にする為に保管前に一度浄化しておく。
更に外気に晒していた空き瓶と乾燥させた藁は使用前にも纏めて浄化させる。
このサイクルで5日に50本の魔力草が出荷可能となり、銀板2枚銀貨50枚の収入になる。
そしてその50本とは別に50本分の花付き魔力草を育てて種を作っている。
花のまま出荷するのは希望時だけとし、50本は全て種まで育てている。
途中で家庭で使用する魔力草はコレを使ってる。
何故なら根っ子を利用したいからだ。
繁殖を考えると種が100個は最低でも必要なので、7本魔力草が残れば足りるけど、そこは安全性をとって10本は絶対に使用しないと気を付けている。
つまり40本は家庭で自由に使える魔力草になった。
まぁお金儲けが有るから勿体ない!と、皆が反対するので迂闊には利用出来ないけれど、実験する重要性は理解して貰えてるから、そこは実績のお陰かな。
つまり兎のマッチョ化と強化魔石に利用するのです。
ただそこにたどり着く前に、今後の家業についての話し合いが行われました。
何せ最大効率でやれば1月銀板15枚の収入が、魔力草だけで得られてしまうのが確定したからです。
しかも働くのは日が落ちた後と日の出前と言う短時間。
ぶっちゃけ水を汲むのも、使用済みの物資を乾かすのも並べる手間も余り必要ないので、戦力外な私とジーニス以外の家族が全員でやれば、夜は1時間。
朝は30分未満で終わる作業なのです。
種を探すのも平たい網籠に錬成瓶の水をザッと流して藁を避ければ集まる、簡単な作業になったせいですね。
正直に言えば麦なんて育てなくても、錬成瓶と魔法の鞄が有ればカタリナでも1人で出来る作業になります。
まぁ1人でやるのはちょっと面倒だけど、銀板15枚なら誰でもやるよね。
楽しくないだけなので。
瓶を増やせば収入は上がるけれど、その代わり夜の作業時間と、朝の作業時間が増えてしまうので、睡眠時間を考えると余り作業を増やすのはどうかと私は思うけど、種の事を考え無ければ2日は交換作業しなくても放置出来ると思えば、幾らでも遣り繰りは簡単に出来てしまう。
なら畑はどうする?と、なるのである。
麦藁は必要だけど、それは近所の農家から買おうと思えば幾らでも買い放題になる。
種までの育生に必要な大型透明錬成瓶も、銀板1枚で買えるので、現時点でもう50本有るから当分は要らない。
しかも種はひと粒銀貨10枚で売れるのだ。
魔力含有量は花付き魔力草が最高値になるけど、種は出荷している魔力草一本分の魔力を含んでいたのだ。
ひと粒でである。
つまり最低でも15粒とれるので、魔力草一本につき銀板1枚と銀貨50枚の稼ぎになる。
今種まで育てるには手間は増えるけど、蕾まで6日、開花まで5日、種まで3日の最短で2週間で作れてしまうから、1月辺り魔力草一本で銀板3枚以上稼げてしまう。
なのでこれは机上の計算になるけれど、魔力草10本は生産に必要なので除外するとしても、残り40本で1月銀板120枚。
つまり小金貨2枚銀板20枚の稼ぎになるのだ。
そりゃ家族が使うな!と、必死に止めるわな(爆笑)
もう濡れ手に泡な状態に感じるとは思われるが、1つだけ落とし穴が有る。
それはお手軽作業に必要な魔法の鞄には、制限期間が有ると言う事だ。
これはお嬢さんからお父さんが説明を聞いて、知っていた知識だったのだが。
魔法の鞄は常時魔力を消耗し続けているので、最安値の白金貨1枚の魔法の鞄ですら、10年で利用が出来なくなるそうだ。
なので製造された日を袋の口を止める紐に金具が取り付けられているのだが、そこに製造年月日が記載されている。
そこから10年経つと、魔法の鞄は利用出来なくなるらしい。
そして白金貨1枚の魔法の鞄の容量は、私達が白金貨10枚を貰った時の袋と同じで2m×1m高さ50cmぐらいが最低値らしく。
収納可能な内容量が増えるに連れて値段が高くなってるらしい。
つまり錬成箱はともかくとして、現在作成してる大型透明錬成瓶ですら収納出来ないスペースになる。
現在机上の計算で、ロスが全く起こらない事を前提に計算すると。
魔力草→5日で50本=銀貨250枚
30日で銀貨1500枚=銀板15枚
1年10ヶ月なので銀板150枚=小金貨3枚
そこに種14日で40本=種600個=銀貨6000枚=銀板120枚
1月銀板120×2サークル=銀板240枚=小金貨4枚+銀板40枚
1年で小金貨48枚になる。
両方合わせて小金貨51枚だから、10年では小金貨510枚なので金貨5枚と小金貨10枚にしかならないので、白金貨1枚の魔法の鞄は購入出来ない事になるのだ。
小金貨100枚=金貨50枚=金貨板1枚なのでそうなる。
白金貨1枚稼ごうと思えば、白金貨1枚=小白金貨100枚=金板10枚=金貨100枚が必要になるからね。
なら倉庫を建てればそこは解決する。その代わり倉庫から朝晩錬成瓶を持ち運びする労働力が必要になる。
これは現時点での最大効率の話になるので、もっと稼ごうと思えば稼げるけど、それには錬成瓶を増やす資金やら倉庫を建てるお金やら、あとは税の問題も出て来るのだ。
麦藁を買っても良いけど鳥をメインにするとかカモフラージュしないと、絶対に不審に思われるので、目立ちたく無ければ税対策で麦畑は残すとして、余った土地を利用して倉庫は建てられる。
そうすれば水を入れた錬成瓶を運ぶ労力は必要になるけど、魔力草の栽培を家業にすれば、年間小金貨51枚の稼ぎになるわけだ。
何せ魔力草は錬成瓶で独立しているので、倉庫のなかに縦でも横でも並べて置けるからね。
まぁ魔力量を上げれば種まで1つの建物で作れる事は発見したけど、その設備費用と魔力草の値段が釣り合うかと言えば、現時点では不明だ。
もちろん種は15個より多く取れるし、雨の日とかあれば月の光が不足して、魔力草の育生能力が落ちる事も有るので、必ず毎年小金貨51枚稼げるかは分からない。
でも逆に今はかなり余裕が有るので、倉庫を立てて丁度良い労働になるのかは、試さなくては分からないから安易に作業量を増やすのも厳しいかな。
まぁ今まで税以外での我が家の収入が銀貨80枚だったのを考えたら、かなりの大幅収入アップにはなる。
そして留意点があるとすれば、この価格はお嬢さんと交渉して決めているので、買い手が変わればもっと安く求められるかも知れないし、逆に値段が高くなるのかも知れない。
現時点で魔力茸が銀貨1枚でウチの魔力草も同等の魔力を保有しており、ウチだけなら戦士ギルドとの関係もそこまで圧迫する量の魔力草を作れて無いから、コッソリ内緒でする分には大丈夫かな?と考えている。
何せ多くても魔力草は1月1500本しか作ってない。
お嬢さんが本気なら1日に1000本捌けるらしいので、次に来た錬成瓶見習いさんがいくらショボくても、余裕なんじゃね?とは考えてる。
種の値段が高いのは、何もしなくてもそれを噛むだけで初級魔水に近い回復量が有ると、お嬢さんが言っていたからだ。
水腹になる時には種を砕いて口に入れるだけで済む様な状態の時に重宝するし、素材としての保存力が抜群に高く。
種を直射日光に当てない限り、劣化しないと予想出来たのもある。
つまり種は魔石とほぼ同じ構造になっていた。
でも全く同じと言えないのは、鳥や動物に捕食して貰って繁殖する性質を持っているから、微量な魔力漏れが有るからだ。
なので密閉してる遮光錬成瓶に保存してるだけで、年単位での保存が出来るのでは?と予想している。
その利便性を持って銀貨10枚の価値となっている。
現時点の稼ぎで済むならお目こぼしして貰えるかも知れないけど、ウェブン事業が軌道に乗れば鳥産業と分けないと、生き残りは難しそうではある。
だってこれハッキリ言って脱税だからね?
村長代理が視察に来て倉庫に気が付き、魔力草の栽培がバレてしまえば、もう次の年から麦で生計を立ててる農家から外されてしまうだろう。
下手をすれば稼ぐ金額を調べられたら、悪質だと判断されて処刑されてしまうかも知れない。
と、言ったら全員が顔色を悪くした。
なので本格的に継続するなら、魔力草の生産を村長代理に申告する必要があり、そうすれば口づてで周りの農家にもうちが麦農家とは違うとバレる可能性もある。
周りの村民から事情を聞かれた時、果たして何処まで説明するのかの問題もあるし。
秘密にした所で羽振りの良い暮らしをしていれば、妬みを買う恐れもあるから難しい問題だよね。
だって言えば皆が真似したがるし、もし真似をすれば今度は戦士ギルドとの軋轢が産まれてしまうからだ。
頭を抱える父に、私は一応考えてるプランを告げた。
木のコップを使った元祖の魔力草の育生方法を伝えればいいのだ。
元になる魔力草は戦士ギルドで銅貨30枚で買ってもらい、育てた魔力草を1本銀貨1枚で錬成師の店で買い取る流れを作る事が出来るなら、それらの軋轢が収まるのだ。
透明錬成瓶は銀貨20枚で買う必要があるので、従来の育生方法なら一本育てるには33日必要になる。
そこを戦士ギルドから銅貨30枚で魔力草を買い、蕾付きの寸前まで育生すれば10日に1本作れる計算になる。
ただし私達みたいに上手に作れるかは分からないので、錬成瓶の店に持ち込めるのは10本1セットの縛りは必要だと考えている。
となれば初期費用に魔力だけで銀貨3枚が必要になるので、安易に挑戦する家庭が減るとも考えられるし、それでも儲けが銀貨7枚になれば喜ぶ家庭も多いと考えられる。
そして倉庫で作れるようにするなら、銀貨20枚する透明錬成瓶と、銀板1枚する大型透明錬成瓶が必要だと言えば、誰も真似しないか。
真似をしても随分と人数が減ると予想出来るのだ。
問題は錬成師界がこの提案を受け入れてくれるのか、だが。
多分向こうは喜んで受けてくれると思ってる。
何故なら魔力草の買取は義務だから行っているので、元々銅貨30枚で戦士ギルドから購入しているものの質が悪すぎて辟易していたからだ。
そこで農家を間に挟む事で、値段は上がるものの、質の良い魔力草を手に入れる事が出来る。
しかも農家も貧民層なので、社会貢献とみなされると考えられるので、まず蹴られないと考えている。
現時点では月の光を魔力草に浴びせているだけなので、この時点で言えば理論を知っていてもまだ魔石に繋がるアイデアとは、誰にも気が付かれないと私は考えていた。
我が家付近の農家は透明錬成瓶の事も知識として取り入れられるが、木のコップで育生させる栽培方法だけを伝達して国中に回してしまっても、錬成瓶の事は遮光錬成瓶しか伝わらないと予想したのだ。
その代わり勝手に行動出来ないので、お嬢さんにその事を相談する必要が有る。
そしてお師匠さんを経由して、ヴィラフォンテお爺ちゃんにでも伝えて貰えたら考えて貰えないかな?と思ってるのだが。
ならお前が直接国王に言えと、言われそうなので一応筋を通そうと思いましたと反論するつもりでは有る。
まぁ収入が増えれば税も増えるから、そこも考えてもらわないとね。
木のコップ農家は税を払う必要が有るとは思えないけど、そこをどうするのはか国の仕事になる。
そこで決められた比率で、私達も税が決まるだろう。
最悪なのが買取に戦士ギルドを通される事だ。
税とその手間賃をそこで取られる事も考えられる。
規模が大きくなれば、どうしてもそうなるよね?
だから銅貨30枚で購入させずに銅貨10枚で購入させて、農家からの買取を銅貨50枚ぐらいにされて、錬成師に銀貨1枚で売り払う事すら考えられてしまう。
これはそもそも銅貨30枚で戦士から買取りするのが、銅貨1枚で買い取る救済措置の補填になってるから。
更に言えば農民が魔力草に持ち込んだとして、魔力草の魔力が規定に達していない場合、戦士ギルドは銅貨50枚の損失を被ることになる。
それはそう。
だって銅貨10枚で買った魔力草を日光に当てたり、悪質ならそのまま戦士ギルドに育てたよ!と、売りに来たらどうしてもそうなる。
だから戦士ギルドが銅貨50枚の利益を得るのは、損失の補填や税の手数料を思えば妥当な金額と言えてしまうのだ。
でもそんな事をされたらウチラみたいに設備を揃えて真面目に育ててる上に価格が更に高い魔力草と、戦士ギルドで扱われてる魔力草とでは、全く製品と値段の規格が釣り合わない。
つまり私達が戦士ギルドに持ち込んだら、大損するのが確定するのだ。
だから戦士ギルドが魔力草を購入するのなら、魔力測定眼鏡を購入して、商品に個別で対応す る事を断固として私は主張したい。
が、難しいだろうなぁ〜と考えてる。
なので話し合いをした結果、魔力草を家業にする案は一度保留になった。
畑は縮小しても良いけど、表向きは麦農家のままで行く。
つまり魔法の鞄が使えて周囲にバレる心配が薄く、国の保護を受けている私がいる間は、お目こぼしして貰える程度に魔力草を作って稼ぐ事に決めたのだ。
10年も有れば国も法律や仕組みを考えてくれるだろうし、家業にするならその規格で税を個別に払うか、戦士ギルドに持ち込むにしても戦士でもある、専属契約者契約をして個別に値段の対応をして貰うかを戦士ギルドと相談して決めるとかね。
種も銀貨10枚になるけど一応売れるから、戦士が魔水代わりに持ち込んで森で使う事も出来る。
まぁ初級魔水を買った方が安いのかは知らない。
そして我が家の収入が上がることになるが、例えば靴や衣類や鞄なんかの生活必需品や、実験道具を買う程度の支出はどうしても必要になる。
貴族の学校に行くなら、周りに合わせて金貨1枚の靴や服も必要になると説明した。
その中に普段使い出来る銀板の靴があっても、値段の高い品物に慣れるのに丁度良いのでは?とも伝えたよ。
そして魔力草の栽培は家業では無く、私の実験用と家庭の中での公式の口実としたのだ。
チャンチャン♪
ヒロイン→さぁ実験にジャンジャン使うぞぉ♪
家族→「後7〜4日で種まで育てれば1本銀貨150枚以上になる魔力草が!」(血涙)




