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ピヨピヨ


私は寝室でローブを久しぶりに脱いだ。

暑かったけどもうそれどころじゃ無くて、ピヨ子を中に入れて、少し待って指入れたらただの布みたいになってた。

これは反応してくれてないのかな?と、残念に思って倒れ込んだら、そのまま寝てしまった。

ピヨ子はローブの中できっと大冒険をするのだろう。

寒くならないだけマシかなとは思うけど、これも私からしたら大失敗だ。


ピヨ子のピヨピヨコールに起こされて、慌てて飛び起きた時は本当に血の気が引いたのだ。

でも脱ぎ捨てたローブの中で小さい塊がもぞもぞしてるのを見て、心からホッとした。


きっとローブの方も「何か人間と違うもん入ってますけどー!

ええー?どしたらええん?

もー分からんから仕事すんのやめときますわ!」と、混乱した事だと思う。

迷惑かけてすまんな。


寝て起きて多少回復した今なら思う事だけど、もしローブが着てる人の身体から溢れた魔力を利用するタイプの魔道具で、ピヨ子でも反応してたら今頃ピヨ子は魔力切れて死んでたかも知れない?

構造を知らないアイテムは、試すのは恐ろしいと考えないと駄目だと思う。

子供の私が常用出来るから安全な気もするけど、ピヨ子とは身体のサイズが全く違うので、それは危険な思い込みとも言えるだろう。


取り敢えず只の布になったローブから、ピヨ子を出して太ももに乗せると、私は少し悩んだ後で米粒を出してピヨ子に少したけ食べさせた。

と言うか絶対に落とさせんように突っ込んだ。

回復麦粉を食べさせたいけど、冷たかったら身体が冷えてしまう。

米粒も冷たいけど、だから控えめにしたのだ。

回復麦粉は温められるけど、米粒とはお母さんも私も全力で関わりたくないので、今は温める方法は全く無いと判断する。


「お母さん〜」


私はローブを着てピヨ子を両手に包み、クシャクシャのワンピースを腕に乗せてトタトタと土間に向かった。

そして回復麦粉を入れた遮光錬成瓶を湯煎で温めて貰ってる間、私は薄暗い場所へ向かい。

もぞもぞ⋯ピヨ、もぞもぞ⋯ピヨピヨピヨと、控えめにご飯コールをしてるピヨ子を指先でなだめながら、回収し忘れてた月の光透明錬成瓶を回収しておく。

半分も減ってないから何かあればピヨ子に使おうと考えている。例え薄暗くても日光に分解されてるかも知れないので、他には使えない。

何処まで分解されてるか分からないから、再現性が無ければ実験には使えないのだ。

でも人間に使うには開封したから不衛生だし、だからピヨ子かそうでないものに使おうと思う。


ポカポカもぞもぞする感触にボーッとしながら、寝る間に何をしてたのかを思い出そうとしたけど、何か頑張って喋ってたぐらいしかあんまり思い出せん。


今もまだ眠くてぼんやりしてるせいかなと思う。

お日様に当たればシャッキリしそうだけど、今はピヨ子が居るしな。

回復麦粉を食べさせたら、何かポシェットみたいな小さい袋を作ってもらってお庭を散歩するのも良いかもね。

ローブが無ければ家1択しか無いけど、これのお陰で散歩も出来るし、バッカスが気になる。

昨日すでに魔力切れの症状みたいなん出てたしね。


「お母さん、ピヨ子に餌あげたらバック兄ちゃんの様子見てくる。差し入れに魔力草のお茶を持って行ってあげてもいいかな?」

「そうねぇ、そんなに魔力草使って大丈夫なの?」

「うん。出荷するのには手をつけてないよ。

種を取ろうと思って残してた分を使うつもりなの。

種はそれでも沢山出来るから大丈夫かな。

毎日ずっとてなると難しいけど、卵の保育器が出来れば要らなくなると思うから。」

「そお?なら一本貰おうかしらぁ。」

「うん。あ、でもマモーのミルクは吸収が悪かったから止めとこう。お母さんが余ったのを飲むのなら良いけどね。

あ⋯そうだ。お母さん、葉っぱを洗って千切ってくれるかな?

1日のだけど月の光の瓶に葉っぱだけ入れたいの。

時間かかるけど、水に魔力が解けるから、その方が苦く無いと思う。」


水出し茶のイメージかな、氷の方が良いけど今は氷が⋯。

私はハッとしてピヨ子を包んでる手を見下ろす。

氷、作れるかも。

お湯も作れるかも?

やってみなければ分からない。

そしてやった結果魔力切れになるなら、ヤッパリ魔力草のお茶は必要だ。

それに今はピヨ子を優先するべきだから、そんな博打は打てない。

私が体調を崩せば、ピヨ子は取り上げられてしまう。

いくら回復魔法の真似事が出来たとしても、同じ様に出来るから分からないし、出来たとしてまた魔力切れになれば?

その時ピヨ子の体調が悪ければ?


それにまだ群生に成功して無いから、魔力草だって種だって貴重な物資なんだよね。

作れば作れるけど、種は発芽してから20 日かかるのよ。

そう随分と実験してブラッシュアップしたから33日必要だった日程が13日も短縮した。

種用の魔力草はまだ6本残ってるから後2〜3本ぐらい潰せるのは本当だけど3本潰せば種45個の損失になる。

それにお茶なら種用のじゃ無いのを潰せば良いんだけど、出荷用の数が足らなくなるからして無いだけなんだよね。

またロベルトに取りに行って貰うとしても、攻めて一度は出荷を成功させてからにしたい。

もうすぐ20本出荷出来るんだし、はぁ~世知辛い。

ホント今回のピヨ子は誤算だった。


出荷しよう。

種を待ってたけど予想以上に魔力草の価値が高かった。

バッカスを思えば早く手に入れた方が良い。

銀貨20 枚稼いで実績を作れば、ロベルトに魔力草を沢山取ってこさせられる。

とはいえあと3日もすれば種も取れるから、10本有れば良いかもね。

魔力草、花、種と揃えてお嬢さんに出すつもりだったのよ。

今朝魔力草に花が咲いてたから、1つは成長させないように明日になれば遮光錬成瓶にいれて、種が出来たら魔力草を全て回収する予定を、明日花と魔力草20本出荷。

種はその1日から2日後に出荷かな。

私もお店に連れて行って貰う予定だったんだけどなぁ〜。

はぁ。これも定めと言うヤツがな。


「ピヨピヨピヨピヨ!」

「いきなり食欲爆発モードかよ。

さっき食わせただろぉ~。

もう少しぐらい我慢しろよなぁ〜」

「ウフフ、泣く子には盗賊だって勝てないのよ?」

「ナニソレ。」

「リリに話した事なかったかしら〜?」


ピヨ子を黙らせるのに、温めた瓶から半分に割った麦藁で回復麦粉を穿(ほじ)って瓶から取り出し、一応指先で突いて温度を確認した後で太ももでピヨピヨしてるピヨ子を鷲掴み、お母さんに藁を支えて貰って木串でグイグイ口の中に押し込んで行く。


前よりも食べてくれたけど、沢山与えすぎてもこわいので、連打ピヨが止まったら所でまた魔法の鞄に収納する。

そして米粒を与える直前に狙ったのか偶然か分からないけど、お母さんが魔力草を一本回収に向かった。

分かるかなぁ?

不安だったので首を伸ばしてリビングの奥を見ると食器棚と壁の隙間に魔力草が隠してあった。

日陰に置いてるだけなんだけどね。


「これ良いかしら〜?」

「うん。花のやつなら大丈夫。それ使おう。」

「綺麗なお話ねぇ〜」


お母さんが千切った葉っぱを私の指示でコップに入れると、茎も千切って鍋にドボン。

そして根っ子は前にも使った月の光の瓶に回収し、根っ子は2本分ゲットだぜ。

使うか分からんがな。

魔力が漏れたところで月の光の水が飲んだと思えばまぁ。 

うん。

開封してるしどんだけ劣化してるか分からんし、バッカスに言って魔石1つ買ってから魔石強化に使ってみても良いかな。

四日目で割れたら失敗だけど魔力は高い証明になるから、今後根っ子の使用方法が決まるまで入れといてもいいしね。

魔力の水の強化が出来るんなら、ゴミが便利アイテムになる。

漢方みたいにしたくても乾燥させたら魔力が抜けちゃうから、生で齧ると苦いし。

何かいい方法が見つかるまで、そうしようと決めた。


「盗賊のお話なんだけどね~」


そう前置きしてお母さんが言うには、昔むちゃくちゃ腕の良い盗賊が居たらしくて、盗む前に必ず下調べをしてたらしい。

盗みは夜にするつもりで、客のふりして金持ちの家に入り、トイレに行くフリをして間取りを確認してたらその家の小さな子供とばったり遭遇した。

そして何故だか服を掴んで離さない。

でも引き離そうとすると泣いてしまう。

困った盗賊は家人に言って子供をもどそうと思ったが、今いる場所はトイレが理由で離席したには都合が悪いぐらいに家の奥だったのだ。

だから困った盗賊は子供をあの手この手で騙して離れようとしたけど、まだ幼子過ぎて話しが通じない。

このままだと家人に不審がられてしまうので、大泣きをする子供を残して庭に飛び出して逃げようとした。

でも火がついた様な子供の泣き声に、警備していた戦士が駆けつけ、壁にとりついてる盗賊を見つけて捕縛する。

そして衛兵に事情を聞かれて、かなり被害者がいた大泥棒だった事が分かり、盗賊も泣く子には勝てないと笑い話になって、世界中を回ってるんだとか旅商人の面白話らしいね。


うん。マヌケだね。

何故逃げたし。

まぁ、切羽詰まってたんだろうね。

小さな子供なんて奥に隠して当然の存在だ。


来客に会わせて恥をかくのも困るが、目が離せない年ごろなら尚更外が危ないと思えば、奥にと言うか家の中心部かな?

簡単に外に出られない場所に居させるよね。

この場所の言う恥とはクレヨン小僧みたいな計算するアホなお子様の事では無くて、下半身の緩いお子様が貫通性の高いオシメを突き抜けて粗相してしまい、子供を抱いた客の衣類を汚すとか言った迷惑をかける事を恥と表現しての、恥の事だよ。

エレベーターの中で親の恥ずかしい話をぶっ放すとか、子供は予想外の事をするから親も警戒するよね。


しかし子供が防犯ブザーとかウケる。

だから話が世界中を回ったんだろうけど、逆に盗賊が可哀想になるやつだ。

盗みに入るなって事だけど、子供を殺さないで逃げ出した所がまた何というか。

ポリシーや良心のあるヤツはマヌケだとしても人に好かれるもんなんだろうね。

コレが極悪人なら話は闇に葬られてそう。


「面白かった。」

「ウフフ、なら良かったわ。

私この話を最初に聞いた時はとても怖かったのよ。

1人で奥に居ることが多かったから、盗賊が来たらどうしようって⋯」

「確かに!そりゃお母さんなら似たような環境だもんね?」

「そしたらお爺ちゃんがね?

思いっ切り泣け!

そしたら俺がすぐに行く!って言ってくれたから、それから怖くなくなったのよ〜」

「笑い話じゃ無かった!

良い話だった!」

「ウフフ!リリはいつも面白いわね〜!」

「お姉ちゃんやお兄ちゃんはなんて言ってたの?」

「カタリナは棒で叩いて追い出してやる!って言うし、ロベルトはナイフで刺してやる!って言うから、お母さんビックリしちゃって。アレも怖かったわ〜」

「うちの兄弟が戦士過ぎる!

それやったら絶対にダメなヤツ!」

「ウフフ〜!

それならリリはどうするのかしら〜?」

「姿を消して隠れる。

賊の姿をちゃんと確認して特徴を覚えて、後で大人に報告する。なんなら王様呼ぶ。」

「リリらしいとは思うけど、王様は呼んだらダメじゃ無いかしら〜?」

「強いから大丈夫。

むしろ呼ばなくても来そう。」

「あらあら。

リリならそうなるのね?」

「貧乏農家に何を盗みに来るのか分かんないけど、まさか王様が出て来た上で消し炭にされるとは思わないよね。

自分が死んだことも気が付かなさそう。」

「まあ!逆にそれはそれで怖いお話よね〜。

盗賊も大変だわぁ~」

「じゃあこう言うのはどう?

王様がウンチしてる時に盗賊が来たから、しかたなくお尻丸出しで王様が来ちゃうの。

盗賊はお尻を出した変な男にビックリして逃げ出しちゃうんだよ!」

「ちょっっ⋯やだあ!

もうリリったらぁ!

王様はウンチなんてしないわよ〜」

「『昭和のアイドルかな?!』」

「うん???」

「王様はちゃと人間だから、ウンチはしてると思うよ。」

「もぉダメよ〜!

そんな事言わないで〜!」


珍しくプンプンと怒ってるお母さんを見て、今度王様に言ってやろうと思った。

アイツも大変だなぁ~。


その後煮すぎて苦味が強くなった魔力草スポドリを持って私はトコトコと鳥小屋に向かう。

お母さんは天才だった。

木箱にピヨ子を入れて開いてる方を私の胸元に当てて、斜めに布を巻いて背中で縛ってあるのだ。

お陰でピヨ子は私の身体に触れてるし、木箱と藁で寒さもカット出来ちゃう優れもの。

その上にローブを着てるから、気温は下がったけど、その分私の体温と木箱がある程度寒さをガードしてくれると思う。

魔力草スポドリ、略して苦甘汁をバッカスに届けるだけなので、帰ったらローブはちゃんと脱ぐよ。

でもお陰で私は外出が出来ちゃう。

これはとても大きかった。

まだピヨ子中心の生活する予定だけど、トイレの時とか離れないとだから不安だったのよ。

お陰でトイレもちゃんとして来たよ。


バッカスはヤッパリしんどそうに小屋の外で休憩してた。


「あー、なるほどなぁ。

魔力切れかぁ~。」

「うん。だから今急いで卵の保育器を作ろうと思って、セフ兄ちゃんに買い出しに行ってもらってるの。

それでね?ウェブンにバッカス兄ちゃんの魔力を覚えさせたいから、夜に家の家に来てくれるかな?またお薬作るから、魔力のお水が欲しいの。

そしたら明日から卵1つに減らせるかは、楽になると思うの。」

「リリアナはスゲェなぁ。

それであの雛か。

良く考えてくれてんだなぁ〜」

「ううん。私もこんな事になるなんて思っても無かったから、ゴメンね?」

「いや、俺がやりたかったんだし。そらやったこと無いことしてんだから、失敗ぐらいするさ。だけど早目にリリアナが気づいて色々してくれてるかはら凄く助かるよ。」

「うん。卵が落ち着いたら、今度は餌の問題も出て来ると思うの。

それもセフ兄ちゃんに伝えたから、帰ったら聞いてみてね。

商人の修行で買い物を沢山して貰ってるの。

最初は失敗も有るかもだけど、お金は私が何とか出来そうだから、長い目で見ていてあげてね?」

「ハハハ!そんなの俺も一緒だろ?だからリリアナも頑張りすぎんなよ。

まだ小さいんだし、雛はキツイだろ?

俺も一回やっちまったんだよ。俺のときは1日保たなかったなぁ〜」


日陰にいるせいか何時もより少し濃い茶色の短い髪をガシガシと掻く。そして空色の瞳を寂しそうに細めてぎこちなく笑った。

俺も頑張ったんだけどなぁと、まだ少年のあどけなさを残した顔に滲む後悔を私も察する。

生き物が好きだからこの仕事を選んだ、バッカス兄ちゃんらしい痛みだと思った。


「私もそうだったよ。

ピヨ子は死ぬ所だったの。

でも死なずに生き延びられたのは、家族が皆協力してくれて、初級回復薬を使わせてくれたからなの。」

「ウゲッ、あんな高い薬を使ったのかよ。」

「お金が有るからじゃ無いよ。お父さんもお母さんも、ちゃんとお金の価値が分かってる人なの。

でも私が欲しいって望んだ時に使わせてくれたのは、私の心を助けてくれたからなの。

お金が無くてもお父さん達は使ってくれたと思う。また自分が働けばいいやって思う人達だから。」

「⋯そっか。」

「うん。だから私が病気になる様なら、ピヨ子を育てるのは諦めなさいって言われてるよ。

だから私は無理出来ないし、それでも後悔しないぐらい全力でピヨ子を守りたいの。

それが本当ならこんな苦労をしなくて済んでたピヨ子を、私が利用して苦労をさせてるから。私がしなくちゃいけない『贖罪』なの。」

「⋯ん?」

「調子に乗って命を軽く見てた罰ってことだよ。

バック兄ちゃんの事を何とかしようと考えたのは、私が少しでもお金を儲けようと簡単に考えてたからなの。


だからバック兄ちゃんはしなくても良い苦労をさせられてるんだから、私はそれを何とかする責任があるよね?

だからそうしようとして、無関係だったピヨ子を利用したんだよ。

そりゃ罰を受けて当たり前だよね。

私の身勝手で皆を苦労させてるんだもん。


でもピヨ子のお陰で調子に乗ってた自分にも気づけたし、知らなかった事を沢山勉強させて貰えてるから、結局私は幸せな子供なんだよ。

ピヨ子は頑張る私へのご褒美になったの。

わかるかなぁ⋯説明がヘタでゴメンね?」

「あー⋯うん。何か分かんねぇけど⋯俺がガキの頃より沢山リリアナが考えてんのは分かったよ。

だから俺には出来なかった事が、リリアナには出来ちまうんだろう?

俺は何も考えて無かったから、頑張ったけど、でも多分それが足りて無かったんだろうな。」

「バック兄ちゃん⋯」

「でもよ!俺はもうあの頃の俺とは違うんだぞ?

雛を育ててて、何か困った事は有るか?」

「うん、ある。

温度が足りないの。

私には鳥の羽根が生えてないから。」

「なら鳥の羽根、抜けてんの使ってみるか?掃除したからひょっとしたらって思って集めといたんだよ。

リリアナなら要らないかもとは思ったけど、冬は鳥が冷えない様に色々とすっからさ。

俺もそういうのが理由で、雛を駄目にしちまったのかなって考えてたんだ。」

「ありがとうお兄ちゃん!」


集めてくれてた羽は、ペンにする様なシッカリとした羽では無くて、ふわふわとしたタンポポの綿毛みたいに軽くて柔らかい羽毛だった。

つい「ダウンジャケット」が頭をよぎったけど、流石にそれをピヨ子には着せられない。

でもまあ、新しい金儲けのネタにはなりそうだが、それには規模が少なすぎる。

今は心の引き出しに収めておくのが無難だろう。


鴨みたいな鶏だと思ってたのは、奴等が畑の土の中の虫を狙って人工小川を泳ぐ姿を見てるからだ。ちゃんとした水鳥の足じゃ無くて、水掻きが小さいしトサカがあるから鶏が頭から離れないけど、泳ぐ鳥なら元は水鳥なのかも知れない。


羽毛布団とかの原料に使われてるのも水鳥だった様な⋯。

この辺は朧げなので自信はないけど、捨てるしか無かった羽が利用出来るなら、使うのは有りだよね。

南部の温暖な地方だから、この辺で需要は薄いかもだけど、薄い羽根布団とか冬にあれば私はとても嬉しいのだ。

何せ綿が無いから毛皮が毛布だし、半袖民族が多くて筋肉も脂肪の薄い私には寒くて厳しいのよ。


でもバック兄ちゃんのお陰でピヨ子を入れる木箱には、ふわふわの羽毛をビッシリと詰め込めた。

もちろん直ぐにその場所で作業なんてせずに、両手に包んで持って帰り、裁縫の天才に知恵を借りたのだ。

あとちゃんと浄化もして貰ってる。何せ鳥小屋はバッチィ米粒を食べて出したウンウンが有る場所だからだ。


両手ももちろん浄化で綺麗にして貰った上で、しっかり水で洗ったよ。

魔法の水は小さな私にはとても便利だ。

お陰で届かない水瓶を使用しなくても手が簡単に洗える。

教会で水の魔法を教えてるのは、お風呂に入らない平民の保清効果も、狙ってるのかも知れないね。


理由はお父さんやカタリナと私の魔法の水を出す時の違い。

私は1番最初は何もない空間に水の球が出る様にイメージして水を出した。


でもお父さんやカタリナが魔力の水を錬成瓶に入れる時は、最初に少しだけ水を出して指先を洗い、それから指先の爪と皮膚の間付近から水を出すのだ。

協会では教えてる人がそうやって見せてるのでは無いかなと、何となくそう考えた。

保清の必要性が分かってそうしてるのか、分からなくても昔からそうして教え続けて学ばれ続けてるのかは分からない。


ルドルフ大帝国もそうだけど、良い効果が有ればその理由は知らなくても、ただ川の流れの様に先人の知恵が伝わってるからだ。

考えるな!覚えろ!

が、この世界の教育のスタンダードだと思ってる。

魔法学院の入試を見ればそれが分かる。

ほぼほぼ暗記問題なんだもん。

思考させる文章問題と比べたら、出題数が段違いに偏ってる。

思考より記憶を重用してる結果、そうなってるんじゃ無かろうか。


これは恐らく知識を持った先人が居て、その子孫達がその知恵を利用しながら生きて来た歴史の背景が有るのでは無いか。

錬成師達の驚きぶりを見ていると、何となくそんな感じがしてくるのだけれど。

まだ真実は分からないので、単なる私の勘違いかも知れない。





羽毛ゲット!

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