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ピヨピヨ


私が異常に気がついたのはお母さんが朝食前に起こしてくれた直ぐ後の事だった。


「お母さん!ピヨ子が!」


ショックと動揺で頭が回らず、取り敢えず寝室から出ようとしていたお母さんを呼び止めた。


起きて木箱を持っていこうとして、ピヨ子の胸が動いて無い事に気がついたのだ。

直感的に温度不足を察したので、慌てて両手にピヨ子を掬い上げて今は片手に乗せ、その上にもう片方の手を被せてピヨ子を必死に温めている。

もう死んでる気もするし、まだ間に合って欲しくてそれを直視出来ないでいるだけかも知れない。

でも私は何もしないウチから諦めるなんて、端から頭になかったので、一心不乱に救命に向けて思考を全力でぶん回す。


「あらぁ~⋯ヤッパリ無理だったのね。でも仕方が無いわよ〜」

「まだ間に合う。

間に合わせてみせる!」

「え〜?」

「お母さん、私の魔法の鞄から月の光を込めたお水と遮光瓶を出すから、月の光の方の透明瓶をなるべく比に当てないで、竈門で1番暗い所に持って行って欲しいの。

そこで遮光瓶に親指の第1間接ぐらい入れて、月の光の瓶はそのまま暗い所に置いといて、あと誰かに初級回復薬を持ってこさせて。

次の指示は竈門のほうで私がお母さんに出すから。」


強引に話を進めると、サッサと竈門の土間に向かうお母さんのあとを必死についていく。

ピヨ子は握り潰さないように、両手の中に包んで持っている。


「誰か初級回復薬を持ってきて!ピヨ子が死んじゃう!」


お母さんが土間でも薄暗い所に向かい、透明の錬成瓶を胸元から引き出してる頃、私達の様子に驚いた家族がハワハワしながらも、お父さんが素早く動いて初級回復薬を食器棚から出す。

兄弟達は、私とお母さんをチラチラと視線を向けてジッと息を呑んでいた。


「誰か麦藁を一本取ってきて欲しいの。

お母さん、種を砕いて遮光瓶の中に入れて。

回復薬も瓶の半分を遮光瓶にいれて、ふたをしたら振って混ぜて欲しい!

そしたらその遮光瓶に、麦か芋を細かく砕いて入れて。

何なら麦粉でも良い。そうだ⋯麦粉にしよう!

麦粉を入れて混ぜて欲しい!麦粉が固まらない様に、少しづつ入れて蓋してガシャガシャして⋯最後には鍋で温めるからとろみがつくまで繰り返して欲しいの。」

「麦藁とってきたぞ!」

「ありがとうロベ兄ちゃん。

麦藁は筒になってるかな?

どこか割れてない?

あ、いや良い。そっかそうだ。

ロベ兄ちゃん。麦藁を半分に切って欲しい横じゃ無くて縦!

ピヨ子のスプーンにするの!」

「分かった!」


麦藁の中は空洞になっている。

最初はストローとして使おうと考えていたけど、とろみが有れば硬くて吸えない事に話をしてる途中で気付いた。


落ち着け落ち着けと心の中で念じながら、包んだ両手にピヨ子の温もりを感じて必死に祈った。

まだ死んでない!

まだちゃんと温かい!

ピヨ子は生きてる!

心臓が弱ってるだけだから、まだ大丈夫。

心臓止まらないで。

お願いよ。


両手に包んでるから私の体温がピヨ子を温めてるだけかも知れないし、実は殆どそうなんだろうけど。

この時の私は現状を受け入れられないただの子供で、必死にピヨ子が生きてる事を願って、元気になりますように。

身体を温めて。

心臓止まらないで。

ちゃんと動いて。

と、支離滅裂になりながりも必死に祈ってたらズルリと身体から魔力が抜け出した。


『あっ⋯?!』


目を閉じてても分かるぐらいピカリとレモン色に光ってビックリする。

パッと目を開けたら、手の中でピヨ子がピクリと動いた。

まだまだ全然弱くて。

でも私は絶望の淵と言う暗闇の中で、一筋の光と言う名の希望が見えた気がして、あっという間に涙が溢れて零れ落ち。

前が見えなくなった。


皆は私が何かの魔法を使った事に気がついたので、片隅を飲んで私を見つめている。

お母さんも瓶をシャカシャカしながらジッと見つめてた。


「お母さん、私魔力切れみたいなの。指示するから、私用に魔力が回復するお薬作ってほしいの。」

「分かったわ!

さっきは何の魔法だったの?」

「多分回復魔法。

でもデタラメだから効果が弱くてピヨ子が少し呼吸して動いてるけど、まだ全然弱いの。」

『回復魔法?!』

「お母さん⋯」

「あ、そうね!

お薬作るのね?分かったわ!

ピヨ子のお薬はカタリナ、貴方出来るかしら?」

「小麦粉を入れたら良いのね!出来るわ!」


そして何度かシャカシャカを繰り返して濃度を上げて行くが、途中からお父さんや兄弟も交代して、皆で遮光錬成瓶をシャカシャカし続けてくれた。


「⋯回復魔法が使えるのか?」

「お父さん、私は必死に祈ってただけで使おうと思ってした訳じゃ無いの。

でも死にかけて動かなかったピヨ子が少しだけ息をしてるから、そうかなって予想しただけなの。」

「⋯⋯」

「リリアナ、アンタ回復魔法が使えるなら教会で働けるわよ?

でも教会は駄目なんだっけ⋯」

「錬成師に成りたいから教会では働かないよ。

お姉ちゃんゴメンね。」

「ううん。いいの。」


私はドッと身体が疲れて怠かったので、お母さんに頼んで種を砕き、新しい遮光瓶に月の光のお水も砕いた種と塩を少しだけを入れて貰って、軽くシャカシャカ混ぜた後でそれを浄化して貰う。

飲んだら身体が随分と楽になった。


「うん、効いてる。

でもヤッパリ少し苦いかも。

我慢出来るぐらいだけど⋯」

「そう、でも良かったわ!」


私は甘味が作れたと喜んでたけど、ひょっとしたら魔力回復薬を作ってしまったかも知れない。

我ながら吹き飛んだ怠さを思って、発狂してるお嬢さんの姿もホワワンと頭の中に浮かんだ。

ピヨ子がまだ予断を許さない状況なので、楽観的には出来ないけれど、希望が見えてきたので涙は止まったし、少しだけ心が楽になった。


「どうだろうか。」

「うん。大分良いと思う。

お母さん、最後は回復薬の残りを使って温度を冷ますけど、少し水分を入れても固めになるぐらいこれを鍋で煮てくれるかな?」

「分かったわ!」


そしてクリーム状がボソボソして来た所で竈門から鍋を離してもらい。

木の皿に入れて、残った回復薬を垂らしながら捏ねて貰った。

最初は熱いので木匙を使って捏ねて貰い、少しねっとりしたら温度を確認して貰った。


「⋯うん、どうかしら?」

「少し熱いね。

これ以上は溶け過ぎるからこの辺で一度やめて、小麦粉を少しだけ()しながら回復薬を垂らせるかな?」

「なるほど!

その手があったわね。

そうしましょう。」

「美味しく無さそうよ?」

「お薬だから良いんだよ。」

『あー⋯?』


時間があるならパン種として発酵させて焼いても良いけど、ピヨ子にはその時間が無いので半生なパン種の薬を食べさせる事にする。

不潔な方の米粒を食べて生きられる生物だから、それぐらいはイケるやろ!と考えてる。

水分の問題が有るから固形よりは雑炊レベルが好ましいがね。


「お母さん、藁のスプーンに乗ってもこぼれなければ良いから。硬めのお粥ぐらいで。

その方がむせないだろうし、弱ってても飲み込めると思うの。塩もちょっとだけ入れて欲しい。砂粒1つ2つぐらい。ほんのチョビット。」

「分かったわ。

少し緩めでいいのね?」


お母さんは半分に割った麦藁に乗せて、フムフムしながら冷まして行く。割とあっという間だった。


「出来たわ!

これならもう熱く無いわよ。

どうかしら?」

「うん!スゴク良い!

お母さんありがとう!

早速ピヨ子に食べさせるね!

誰か麦藁を持っててくれる?

串で押し出してみるから。」

『やる!』


しまった。

兄弟が全員で参加しようとしてる。これは喧嘩になるやつだ。


「今回はお父さんがやろう。

皆見ててくれよ?」


お父さんからナイスなフォローが飛んで来たので、私は魔法の鞄から木串の箱を取り出し、カタリナに蓋を開けて貰った。

少しづつ麦藁に乗せた小麦粥状回復薬をピヨ子の口元に押し込んで行く。

ぎこちなく手を操り、ピヨ子の身体を左手で持って口を開けさせ、口元に近づけてくれた麦藁の上にある回復薬を木串で少しづつ押してやった。


全員が固唾を飲んで見守っていると、口の中に入れられたものを呑み込んだピヨ子が。


「⋯ぴ⋯ピ⋯ピヨ⋯ピヨピヨピヨピヨ!」

『わあああ!!!』


消え入りそうな声だったのが段々と元気になり。

前みたいに元気に鳴き出したのを聞いて、また私は号泣してしまった。

兄弟達は飛び跳ねて笑顔で喜んでたし、両親は顔を見合わせて苦笑を浮かべてる。

私は鼻水を垂らしながらえぐえぐしてて、ピヨ子はピヨピヨと煩かった。


「ほら泣いてないで食べさせてやれ。」

「う⋯ゔん!」


私は鼻を啜りながらも後少しだけ回復薬を食べさせて、ピヨ子が鳴かなくなったので、残りは遮光瓶に入れて魔法の鞄に戻した。

またこれを温めて使うつもりだからだ。

何日保つか分からないけど、遮光瓶に入ってるし、浄化もして貰ってるのですこしは保つだろうし、ピヨ子も日に日に逞しくなるだろうから、今はまだどう使うか決めてないけど、必要なら使おうと思う。


私は本気寝に入ったピヨ子を両手に包んで皆に相談を持ちかけた。


「今回ピヨ子が危なかったのは、温度が足らなかったのと、お日様の光を当ててしまったのが原因かなって考えてるの。」

『⋯?』

「雛は親鳥のお腹の下で産まれてしばらくはずっとそこに居るから、いつもは羽毛で包まれて暖かくして過ごしてるんだよ。

そしたら鳥小屋が明るくても、日の光は当たらないと思うの。

バッカス兄ちゃんは餌を運んでたから、親鳥は動かなくて良い様になってたから⋯」

『なるほどー!』

「私は木箱にピヨ子を入れてたから、まず温度が低くてピヨ子が耐えられなかったんだよ。

それにあの鳥も魔物だよね?

多分1級なんじゃない?」

「あぁ、魔石が有るから魔物だな。魔物にしたら人間に慣れて大人しいが⋯」

「うん。でも私達は最初見慣れてくれてないと攻撃されてたから、ちゃんと魔物だと思う。

だからある程度は魔力を必要としてると思うの。

親鳥になったらそこまで気にしないのかも知れないけど、鳥のお水は魔法のお水を使ってる?」

「うむ。朝晩入れ替えてるな。井戸から汲むのが手間なのもあるが⋯魔力の為にそうだったのかも知れないな。

考えた事は無かったんだが⋯そう言えばクズ魔石を砕いて水に入れてたぞ。」

「あー!水桶の底にあるのって砕いた魔石だったんだ。」

「あー、あの小石かぁ〜」


鳥の水換えは皆が経験している。木箱に入ってる古いお水を捨てて、新しい水に取り替えるのだが、それ用の水瓶が鳥小屋の近くに置いてあるのだ。

木蓋がしてあって底には小石がゴロゴロしているのを、皆記憶しているのだ。

私も背負われていた時に中をチラリと見ていたので覚えてる。


水が腐らない為の、炭みたいな便利アイテムかな?ぐらいに考えてた。

何せ色々と聞いてた頃なので、ウンザリされない様に言葉の意味以外を聞くのを控えてたのだ。

ちなみに自宅で使った卵の殻は鳥小屋に戻されて親鳥の餌に混ぜて使われている。

魔力は水で補給して、食物は芋がメインだ。

葉っぱなんかも刻んで乾燥させた物も食べるし、芋も細く砕けば食べてる。

偶に麦や庭で育ててるトウモロコシみたいなものを、乾燥させた物も食べさせてる。


新しい物ばかり目についていたけど、まだ家業に改良の余地がある事に気がついて目から鱗の気分だった。

でも卵や鳥肉は多少強化したとしても衛生管理が必要になるので、高く売ろうと思っても魔法の鞄を持てる商人にしか売れないし、そこばかり売ると今まで卵を使ってる農家の食卓が大打撃になる。

値段も高くなれば余計にそうなるだろうね。


だからまぁその辺は一端保留だ。

鳥の家業はジギタス叔父さんが戻ってからの話になるだろう。

頭脳労働が頼りなくてもあの人が継ぐんだから、これからの鳥事業の家長だし。

いや⋯すっ飛ばしてバッカスに継がせる様に誘導する?

でも今それは考える事では無い。


ピヨ子はまだ産まれたてなので、私は集中してピヨ子をと向き合わなければならない。

あれやこれやと思考が散漫になっていたせいで、危うくピヨ子を殺してしまう所だった。

これは猛烈に反省すべきである。


ピヨ子はやはり何者かからの刺客かも知れない。

トラウマレベルの罪悪感に苛まれる羽目になる所だったのだ。

私は酷い母親だ。

子供が産まれて喜んだクセに、直ぐに世話が面倒で気が散って殺しかけたんだから。

毒親にならない様に気をつけなければならない。

むしろ毒親の汚名からは逃げられないのかな?


恐らくピヨ子は普通の親なら体験しなかった、魔改造を受けてる気がする。

果たして無事に成長してラブリーピヨ子になってくれるのか、早くも不安になって来た。

魔王の若さを思って、永遠にエイリアンピヨ子から卒業出来なかったらどうしようと悪い想像に胸がざわつく。


そこまで考えて、思考を止めた。

例え生涯エイリアンピヨ子だろうと、親の私が死ぬまではピヨ子が私の愛おしい我が子なのは変わらないのだ。


「⋯リリアナ、ちょっと聞いてくれるかい。」

「⋯うん。なぁに?お父さん。」


そんな事を考えていたら、遅くなった朝食の支度を終えて私達は全員がテーブルに向かう。

その中で両手にピヨ子を包んで持ち、ぎこちなく動いて木箱に入れようとしない私を見たお父さんが、全員が朝食を前にした時にそう言い出した。


「リリアナには雛を育てるのは難しいと俺は考えてるんだ。」

「⋯うん。私もそう思う。

でも限界まで頑張りたいの。

ヤッパリ命だから、粗末にしたくないの。

駄目なら諦めるけど⋯。」

「そうか。でもリリアナが病気になる様ならお父さんはその雛を取り上げるからな?

そこは覚悟をするんだぞ。」

「うん、分かった。

気をつけるね。

後で必ず私に無理のない。

良い方法を考えるから、取り敢えず今は誰か私に朝ごはんを食べさせて下さい。

朝から迷惑ばかりかけてゴメンね。」


お父さんは苦笑して、まだピヨ子を私から取り上げないでくれた。

そしてカタリナが笑いながらロベルトと席を代わって私にご飯を食べさせてくれる事になった。

ピヨ子は小さいけれど私の手も小さいから、少しでも動くとピヨ子の身体の全てを包み隠すのはとても難しいのだ。

ローブは私の体温調節をしてるから、ピヨ子を中に入れることも出来ない。

私が快適な温度なら、恐らくピヨ子には温度が足らないからだ。

ならと思ってローブを脱ごうとしたが、今ここでそれはピヨ子を日の光に晒すことになる。

だから今は早く食事を済ませて、寝室に戻ってからの事になる。

お父さんに釘を刺されたからだ。

ご飯をそっちのけにアレコレしてたら、ピヨ子を取り上げられてしまいそうで怖かったのだ。


それに考えない様にしたいけど、セフメトに伝言を頼んでしまってる。

お父さんが今いるうちに、しておかないといけない話もある。

でも今はご飯だし⋯あー!

ピヨ子の事で心が動揺してて、寝不足もあって頭が回らなくなってるよ、もー!

誰かに服が布を貰おうかと思ったけどご飯食べてる所だし出遅れた。うう⋯もうどうしたら。

と、1人でモンモンとしてたら。


「ご飯の後のべんきょうは、出来そうにないよね?」


マルセロが遠慮気味に残念そうにそう呟く。


「仕方が無いな。

でも文字の勉強するよりも、今朝のは今朝ので凄い勉強だったんだぞ?

誰かに話せないのが残念だよ。」

「リリアナが教会に連れて行かれちまいそうだもんな⋯」


お父さんはマルセロに苦笑を浮かべて諭すと、ロベルトがため息交じりに呟いた。


「祭司様はそんな人じゃないけど、教会の他の人がどうかなんて私にも分からないから、私もバレない様に気をつけるわ。

アンタ達も今朝の事は絶対に秘密よ!リリアナが攫われちゃうわよ。」

「分かってるよ⋯」

「え?何で?」


ロベルトは渋い顔をして頷いたが、マルセロは皆の顔をみながらオドオドと聞いてくる。


「マルセロ偉いぞ!

知った顔をして知らないのに知ってるふりをするのは悪い事だからな。

聞いて誰かにバカにされたり、呆れられても、嘘をついて知らないのに知った顔をしてると、とても危ない事も有るんだ。

ちゃんと聞けたマルセロは、良い事をしたな。

大人になっても忘れないようにな。」

「うん!エヘヘ」


お父さんはそうマルセロを褒めて、回復魔法がどれだけ希少で使える人が少なく。

そして私がとても危ない事も分かりやすく伝えてくれてた。

教会じゃ無くても回復魔法は役に立つので、使えると知れられたら悪い大人に誘拐されるかも知れないとも言って、皆に視線を巡らせてる。


私はこの父の相手を尊重する語り方や、褒めて伸ばす教育方針が大好きだった。

なら真似しろと各方面から叱られそうだが、まぁ⋯ね。

私も気をつけようと思う。


「リリアナはスゴいなぁ〜。僕もそんなふうに産まれたかったなぁ〜」

「ムグムグ。マル兄ちゃんはスゴい人だよ。

気が付いて無かったの?」

「え?!」

「マルお兄ちゃんの年で文字を書けたり、貴族や偉い大人が使う省略文字や法律が言える子供なんて、貴族にもあんまり居ないよ?」

「え?ホントに?!」

『うんうん⋯』


私以外の家族からも同意されて、目をパチクリとさせたマルセロは嬉しそうに頬を染める。

口元がモニョモニョしてて、とても可愛かった。


「このまま頑張ったら私とお父さんが行く国力魔法学院に入れるよ。でも私と違って付き添う人が居ないから、1人で行かないと行けないかも。

だからもし勉強を続けて行きたくなったら、15歳になってからの方が良いと思うよ。

もし合格出来たら私と同じ錬成師になれるね。」

「うわ!ホントに?!」

「それに錬成師じゃ無くても、騎士にもなれるよ。

身体を鍛えて勉強する必要は有るけど、錬成師よりは勉強も難しくないから。」

「う⋯うわぁ!

きき⋯騎士になれるの?!」

「学校に行けば間違いなくマル兄ちゃんは騎士になるよ。

だって私の事が有るから王様が雇うかも知れないし、そもそも私が離さないかも。

私も一応貴族だし、多分今よりもっと爵位も上げてるかもだん。

まぁ平民がそこまで爵位を持たせて貰えるかは分からないけどね。

一応王妃になるか?とは聞かれたけど、王子様達が可哀想だから、条件をムッチャ高くしたから諦めてるかも?」


私がペラペラ喋るから、カタリナがスプーンを持って隙を狙ってる。

キリの良い所で口を空けたら、カタリナはギョッとしながらもスプーンでミルク粥を口の中に入れてくれた。


『王妃?!』

「むぐむぐ⋯うん。

錬成師見習いのお姉さんの弟が2人居るのね。

今の王様が国の仕組みを変えるから、王子様達では後継ぎになるのは難しくなっちゃったの。

だから私を王妃にして、国を継がさせたい偉い貴族のお爺ちゃんが居るんだけど、王子達はもうバッカス兄ちゃんより年上なんだよ。


だから私が成人前でも結婚する時はもう30歳になってるの。

王族の規則で、男の子の子供が産まれないと王様の後継ぎになれないんだよ。


私が結婚して直ぐに子供を産めても、残りの片方の王子は私が男の子を産むまで結婚すら出来ないんだよ。

あんまりにも可哀想だから、色んな条件を積み上げて行ったら、私を王妃にさせるのが怖くなっちゃってたから、多分諦めてると思う。」

「ま、まてリリアナ。

一体何を言ったんだ?」

「んー、王子2人には自分が好きな人を選んで先に結婚してて貰うの。その時はお嫁さんは最初から第2夫人になるようにして貰う様に言ったの。


王妃じゃないと国の仕事が出来ないから、私を嫁にする意味が無くなるからね。

そして先に男の子が産まれた方の王子に王太子になって貰って、私がそこに嫁ぐの。

私はその旦那様を心から好きにならないと子作りしないって言ったの。

それで第2夫人の子供を次の王太子になる様に私が皆と育てて行くの。

そして次の王様が王様を辞める時に、私も王妃を辞めるから、その時私は王家を離れて自由に生きるのよ。そして結婚して好きな人と子作りするの。

王様が48歳になってても、私はまだ26歳だから子作り出来ると思うのよ。次の王太子もその頃なら私と似た年になってるから、充分代代わり出来るよね?

その頃には私も錬成師だからお金も稼げるし独り立ちも出来るのよ。

ってお話しをしたの。


でもそんなの今まで王家でしたことのなかった新しい方法だから、直ぐに良いよなんて言えないし。

あと多分王子様じゃ私に勝てなさそうだから、国のお仕事は私の提案で動くと思うよ?って言ったらガックリしてたね。

だって平民が国を乗っ取る事になるでしょ?」

「え?乗っ取る???」

 『おー⋯???』

「私がお仕事が出来てて例えそれが正しくても、王族が平民に負けると立場が無いのよ。

そう言うのを嫌う貴族が居るから、王子様が納得してるからそうしてるのに、そんな人達は私を攻撃して国を荒らそうとするよ。


でも私はそんなもの絶対に許さないから、事前に起きる事を予想したり、情報を集めてるだろうから、皆が気が付かないウチにその人達を潰せるんだよ。


今の王様がそんな人だから、私もきっとそうなるの。

そしたら誰も私に逆らえなくなるのね?それがお爺ちゃんには困った問題だったみたいよ。」

『⋯⋯』

「私も窮屈な王妃生活なんてしたくないし、好きでもない人と結婚させられるのも嫌よ。

それに今の王様がそれを許さないと思うから、まず消えた無いお話として後で笑い話になると思うよ。

王妃様になりそこねちゃったね!ってね。」

『⋯そ⋯そうなの?』

「そ⋯そうか!

いやぁ良かった!!、

それは本当に⋯うぅ⋯胸が⋯」

「もう!

信じちゃったじゃ無い!

ウソだったの?」

「リリったら王妃様になりそこねちゃったのね〜?」

「アハハハ!

王妃ってガラじゃねぇだろ!

アハハハ!」

「何だか良く分からないけど、嬉しいこと?」


お父さんは胸と言ってるけど鳩尾を服の上から握ってるし、それって多分胃痛じゃね?

カタリナは勘違いして人聞きの悪い事を言ってる。

お母さんは楽しそうにコロコロと笑ってて、ロベルトは私を見下す様にニヒヒと笑っているけど、私もそう思うので特に否定はしない。

マルセロだけが可愛かった。

もうタレ目な所もあって顔が可愛いし、私の中では癒し系カテゴリーだね。


「ムグムグ。嘘じゃ無いよ。

誘われたから、向こうから断る様に話を持って行ってそうなる様に交渉したんだよ。

と言っても伝わらないか。


向こうが乗り気で持ってきたお見合いの話を、向こうからヤッパリやめますって言いたくなる様にお行儀を悪くしたみたいな感じかな?

良いか悪いかで言えば、貴族の家の娘さんなら勿体ない話だけど、平民の私からしたら面倒臭かったから良かった事になるんだよ。

この言い方で分かるかなぁ⋯?」

『おー⋯うん。』


雰囲気で理解した気分になってる様な顔だけど、まぁ仕方が無い。

理解出来るお父さんだけが、あからさまにホッと胸を撫で下ろしてる。

お母さんは端から理解するつもりが無いので相変わらずのニコニコだ。


「お父さん。マルセロにセフメトを呼ぶように伝言頼んだんだけど、大人にが仕事に行く前にちょっと相談したかったんだけど⋯時間少しだけ良いかな?

ご飯食べながらで良いし、皆にも聞いて欲しくってさ。」

「な⋯なんだ?またスゴい事なのか?」

「お父さん、そんな警戒しなくて大丈夫だよ。

今バッカスがウェブンを育ててるんだけど、予想以上に大変でね?

(つがい)にさせるつもりで2個卵を買ったでしょう?勿論返ってみないとオス・メス分からないから、業者に連れて行って交渉するんだけどさ。」

「あ、あぁ⋯錬成師様が作るウェブンの元にするんだろう?」

「家族が増えるから収入を増やそうと思ってお試しにそうしてやってみてるんだけど、一度に2つの卵は無茶で、魔力が枯渇する寸前だったよ、バッカス兄ちゃん。

このままだと倒れちゃうから、私はこうやってピヨ子を育てる羽目になったんだけど、卵を育てる機械を作ってたの。」

「あー!そうか、それで突然卵を育て始めてたのか。

ふむ、そうか成功したんだから出来るんだな?」

「まだ1回試しただけだし、ウェブンで出来るかは分からないけど、どっちにしても2つは難しいから挑戦してみようと思うのね?」

「⋯つまり金か?」

「必要なのはウェブンの卵を入れられる大きな遮光錬成瓶1つに、それを入れられる金属の鍋か金属の大きな木桶。

これはいちいちお湯を竈門で沸かすのが大変だから。

直接その鍋の下に魔道具の竈門を入れてお湯を入れ替えする手間を省くのね。

だから土間に置く立派な物は要らないけど、持ち運びできる小さな魔道具の竈門が2つ欲しいの。」

「え?2つ?!」

「これは真ん中に置けないからなの。真ん中で煮たら卵が煮えちゃうでしょう?」

「あー!なるほど、うん。確かに。だが端で煮てもそうなるのでは?」

「お母さんが手伝ってくれて実験済みだよ。煮えない温度でお湯を止めるの。だからお湯を沸かす仕事だけじゃ無くて、温度を下げないようにする仕事が出来る魔道具の竈門を買うんだよ。

2ついるのは大きな鍋の端っこに置きたいから。

1つで足りるなら、片方は石とか置いて高さを調整しても良いね。

ただ2つ有れば今回みたいな実験する時にお母さんに迷惑かけなくて済むし無駄にはならないよ。」

「ふむ⋯金額次第だが⋯先ずは1つ試しに買って使ってみてからだな。必要なら買い足す方がどんな魔道具が使いやすいかこっちも分かるだろ?」

「お父さん流石だよ!

本当にその通りだ!

お父さんはヤッパリ頭がいいよね!」

『おおー⋯』

「ハハハ⋯よせよ。

照れるな⋯ハハハ⋯」


子供達から全面的に尊敬の眼差しを向けられて、日に焼けてソバカスが浮いてるほっぺたをポリポリと書いて苦笑してた。

これは煽てじゃないよ、本心だよ。

こう言った警戒心てヤッパリ大事よね。お金が有るからってポンポン買ってたらあっという間にお金は無くなるもんだもの。

こう言った感覚は大事にしなくちゃ駄目だと思うのよね。

まぁそのうち自分用に買うけど。

学費以外にかかる費用って、こう言った物を揃える必要が有るからなのかな?と。

白金貨5枚要ると言ってた昔のお嬢さんを思い出した。


私はそんなに使わないと思ってたけど、魔法の鞄だけでも白金貨1枚いるんだよね。

何がそんなに高いのかは知らないけど、まぁ魔石が中に含まれてる気がするから、ソレなら私は節約出来るかなと思うし、魔法の鞄は持ってるから大丈夫かな?とも思う。


「それで、これは予想なんだけど、ウェブンは餌が似てるから選んだ魔物なんだけど、今飼ってる鳥よりも食費が高くなると思うの。」

「あぁ、それはそうだな。

しかし1年で銀板1枚ならかなり儲かるぞ?」

「うん。問題はお金が有っても何処で買うかが問題なの。

食物だから足りないって事にはしたくないでしょう?」

「まぁ⋯自分の家だけで賄うのは難しいか?」

「人が増えても畑は増えないから⋯」

「なるほど。しかし買ってもまだ大丈夫だろう?」

「まずは先に卵を返さないと失敗する度に銀貨が10枚かかるのと、一度に人間が育てられる限界が卵1つなの。

だから育てる機械を作ってるんだけど、魔道具だから多分魔石を使うと思うのね?」

「あー!そうかなるほど。沢山育てるには番して放って置くだけでは駄目なんだったな。

食費以外にも金が要るとなると⋯」

「そこは私が実験で開発したから、3級以下の魔石で足りるなら、1級の魔石を育てられるんだよ。」

「なっっ?!は???」

『????』

「この方法は国が滅びるぐらいに大きな発見だから、作り方は秘密なの。

でも家でコッソリ魔道具に使うのならバレないから大丈夫でしょ?だから魔石も集める必要が有るんだけど、1級の魔石ばかり買ってたら何で?ってなるでしょ?」

「⋯うむ、確かに買うのは怪しいな。

だが(ノイン)を潰せば良いんじゃないのか?」

「ん?あ、1級の魔石、鳥から取れるの?!」

「水瓶の魔石はそれだからな。」

「あー!なるほどぉ。

でもそれに使うと今までの収入が落ちちゃうし、そもそもこの技術はまだ秘密だから外には売れないんだよ。」

「ふむ⋯なら自分で狩るか⋯だな。」

「そう!大正解!

ジギタス叔父さんが帰ってきてくれたら叔母さんが⋯」

「なるほど!

姉さんが居るのか!

(ピノ)なら余裕そうだな!」

「お父さん大正解!

でも私が考えた方法を使えば、ただ狩ってきてさばくより、魔石も毛皮も肉も美味しく出来る方法が有るの。

魔力草を林から取ってくるよりも私達が育てた魔力草の方が質が良いよね?

これから家族が沢山増えるから、少しでも育ててお金を稼ぐ必要があるから、今のうちにセフメトに簡単な商人の修行をかねて働いて貰おうと思ってるのよ。

ピノなら叔母さんが来る前に、村の狩人に取りに行って貰えるよね?

そして捕まえたピノを5日ほど家で育ててからさばくと、かなり質が高くなると考えてるの。

質が良い毛皮になれば戦士ギルドに売るよりも、セフメトが修行する予定の旅商人に売ったほうが⋯」

「よし!わかった。

詳しい説明はまた夜に聞かせてくれ。今俺は何をすれば良いんだ?」

「わー!お父さんあれだけの説明でもう分かってくれたんだ、凄い!!!

それじゃセフメトに家用のピノを入れる檻を買わせたいの。

そのお金と⋯えとメモをだすね。」


とんとんと話が進み、お父さんから軍資金をゲット出来た。

そして携帯用のコンロは雑貨屋で売ってるのも聞けた。

え?雑貨屋?!とは思ったけど、中古品を売りさばく旅商人が居て、それで村の狩人達は安く魔道具を買えるのだそうだ。

私が必要なのは保温機能だから、その条件に合うかは分からない。

そこはお父さんも納得してくれた。欲しいのは保温機能だからだ。


でも安いならセフメトの修行に使えると話が進み、大きな買い物になるけど安いコンロと保温機能つきコンロを1つづつセフメトに買わせる交渉をさせる事を許してくれた。

成功するともっと増やす事を思えばと、納得してくれたらだ。

失敗しても使い道は沢山有る。

それも許可が下りた理由かな。


それとこれは中古品ならと条件はある。

新品のはカタログにあったが、新品2個はどうしても値段が高く、1つ買うのも渋かったからだ。

とは言っても1つ辺り金額1枚有ればメッチャ良い品が買えちゃうから、新品買った方が最終的にお得になるんだけどね?


まぁ無駄にはならない。

何故ならそのうち新品買ったら私がその中古品を解体出来るからだ。

最新技術は難しくても、それも勉強になるでしょう?

魔道具に使用されてる素材もわかるし手に入る。

つまり魔法学院の予習かな?

魔道具科に行く予定は無いけど学べるなら学びたいし、なるべく時間は節約しなくちゃ。

お父さんがあっという間に魔法師を修了しそうだから、仕方が無いよね?


私以外の家族が食事を終えかけた頃、セフメトが家に顔を出して来た。

お父さんはもの凄く気になっていたけど、私のお願いを聞いてロベルトを残して1人で畑に向かってくれた。

出かける前のお父さんにも聞いたけど、解体してピノの皮は剥けるけど、皮を鞣して革にした事は無いそうだ。

それは何時も戦士ギルドでしてる仕事では無いかと、お父さんもそう予想していた。

なので可能ならロベルトに革にする鞣し方を学んで来て貰う必要が有る。


と、その辺りでセフメトが現れて、お父さんは後ろ髪を引かれながらも仕事に向かったのだ。

ロベルトは後から合流して、話がどうなったかを説明して貰う事になった。

疑問が有れば昼に帰ってきた時に私に聞けば済むが、私がこの状態なのでと配慮してくれた形になる。


「えと⋯」

「セフ兄ちゃん、呼び出してゴメンね。ちょっと座って待っててくれるかな?

あの、マル兄ちゃん。

私の着替えを取ってきてくれる?

ピヨ子を私の手の上から包んであげたいの。

この服は私に合わせてる温度だから、ピヨ子には寒くて使えないんだよ。」

「わかった!」


カタリナが素速く突っ込んでくるスプーンをぱくつきながら、冷えてまずくなったミルク粥を黙々と噛み締める。

セフメトは戸惑いながらも、私の手の中から少しはみ出してるピヨ子の枝っぽい羽根をみて、なるほどコレが(ノイン)の雛かと納得しながら元はお母さんが座っていた所に腰を降ろす。

私の真正面がロベルトだから、その左隣だね。

私はジーニスのベットの前に座ってるし、私の右隣にはカタリナが座ってる。

マルセロはカタリナの更に向こうに座っていたけど、今は私に頼まれて離席している。

セフメトは私と話をする為に、お母さんの席に座ったんだろう。

今お母さんは洗い物をしている所だった。


浄化で済むけど、他にも使わないといけないから節約してるんだろう。

今回魔力草でお茶を飲む様になれば、お皿も浄化し始めるんじゃないかと予想してる。


「ねぇ先に食べちゃいなさいよ。」

「ううん。マル兄ちゃんが戻ってきたら代わって貰うよ。

私はまだ小さいからシッカリと噛まないとお腹に悪いの。

でもセフ兄ちゃんもだけど、お姉ちゃんやロベ兄ちゃんにも話を聞いて欲しいから、今はお話を先にしたいの。

じゃないと皆が動けないから。」

「もー、仕方ないわね。

でもジーニスが泣いたらお母さんと代わるわよ。」

「うん。ありがとうお姉ちゃん。お母さん、ごめんね!」

「フフフ⋯リリは何時も忙しいわねぇ〜」


いつもはお姉ちゃんがお皿を洗ってくれてるのでソワソワしていたが、諦めてくれた様で私は話を続ける。


「手紙は全部読めた?」

「ううん。読める所だけ読んだよ。」

「それなら後は急がないから、時間が作れたら読んでみてね。答え合わせは終わったらするね?」

「うん。分かったよ。

それで商人の修行って何をするのかな?」

「多分小金貨になるかも知れないんだけど、動かせる竈門の魔道具をセフ兄ちゃんに買ってもらおうかと考えてるの。

でもそれは危険のある事だから、エリザベスお祖母ちゃんの協力が必要になるの。

セフ兄ちゃんはエリザベスお祖母ちゃんに会って、私が望んだ魔道具を買うのに協力して欲しいと私がお手紙を書くから、それを届けて欲しいのよ。

此処まででお話分かるかしら?」

「えっと⋯小金貨で魔道具を買うから危ない。エリザベスさんに助けてもらうのに会ってリリが書いたお手紙を渡せば良いのかな?」

「そう!セフ兄ちゃん凄いね!

ちゃんと大事な所を聞けてるよ!」

「エヘヘ、まぁな。俺これから旅商人になるし。話はちゃんと聞かないとな!」

「うん。それでどうしてそんな高い買い物をするのか、理由を説明するね?

あと高いのはその魔道具だけど、他にもセフ兄ちゃんには色んな物を買って欲しいの。

これは後で全然急がないから、買う時はまたお願いするけど、話の流れを知っててほしいの。

ここまでどうかしら?

分かる?」

「うん!えーと⋯高いのは魔道具だけだけど、他にも買い物が有るから話をきいてねって事かな?」

「そう!大正解!

じゃ先に私が何で(ノイン)の雛を育てる羽目になったのかを言うね?エリザベスお祖母ちゃんから聞かれて答えられないと気まずいでしょう?」

「ん?リリが卵を(かえ)したからだろ?」

「じゃあ私はどうして卵を返したの?」

「どうしてって⋯」

「それはね。バッカス兄ちゃんが今育ててるウェブンて言う鳥は、卵を1つ育てるのが限界だからなの。」

「え?!でも⋯」

「うん。卵を2つ買ったけど、思ってたよりバッカス兄ちゃんの負担が大き過ぎるの。

このままだとバッカス兄ちゃんが倒れるか、卵が駄目になると私は考えてるの。」

「そ⋯そんな!それじゃ⋯」

「落ち着いて聞いてね?

卵を雛に孵すにはバッカス兄ちゃんじゃ無いと後が困るの。

だから私は道具を作ってバッカス兄ちゃんのお手伝いをしようと色々実験して、今こうなってるの。」

「あ⋯ひょっとして(ノイン)の雛って⋯」

「そうなの。

道具で孵した卵の雛なの。私がウッカリ顔を見せちゃったからこうなってるのよ。

それでその道具を作るには大きな鍋とウェブンの卵が入る大きな遮光瓶と⋯そうだ。セフ兄ちゃん。メモを取ってくれる?」

「メモ?あ、書くのか!

分かった!

道具を取ってくるな!」

「道具なら私のを貸すよ。

ロベ兄ちゃんとお姉ちゃんも書いて貰うから用意しよう。

マル兄と交代出来るしね。」

『あ、え?!』


私の服を持ってモジモジしてたマルセロ兄ちゃん超天使。

私の両手を包む様にワンピースをグルグル巻いてくれた。

そしてカタリナと交代して私にご飯を食べさせて貰う様にお願いする。

え?て、顔をされたけど何もない紙を見て難しい顔をしてる兄弟の姿に、何にも言えずに言葉を飲み込んでた。


「まずは何故メモを書くか、その理由を伝えるよ。

ロベルト兄ちゃんはお父さんにこの場所で話した事を伝える役があるね。


だから自分が読める様に、何を話していたのかをメモしておくの。

そうしたらお父さんに伝える時に読めるから、全てを覚えなくて済むし、字を間違えてても自分が読めればそれでいいの。


カタリナお姉ちゃんはセフ兄ちゃんに協力してあげて欲しいから。

エリザベスお祖母ちゃんはセフメト兄ちゃんの顔を知らないの。お店の人達もカタリナお姉ちゃんは見て覚えてるかも知らないけど、セフメト兄ちゃんの事は知らないよね?


だからカタリナお姉ちゃんが顔を繋がないとセフ兄ちゃんはエリザベスお祖母ちゃんとお話する事も難しいのよ。


エリザベスお祖母ちゃんは今とても忙しいし、それだけ村では大事な人だから、子供とは言っても簡単に合わせて貰える人じゃないのよ。

此処までのお話分かるかな?」

『うん。』

「ええ、分かったわ。私はセフ兄ちゃんのお手伝いをすれば良いよね。」

「俺は父さんにこんな話してたぜってのを言うんだろ?

でも覚えられるぜ?そんなもん。」

「これから沢山お話するから書いておいて、お父さんに説明する時に言い忘れてないか紙を見て確認が出来るでしょう?

仕事と言うのはそういったちゃんと出来る事が大事なの。

今はお父さんに話すだけだから、例え忘れてる事があっても平気よ?


でもこれが国が相手のお仕事だったら?

例えば税を渡す日を忘れて、準備が足りてなかったら死ぬことになるよね?


戦士ギルドでも文章を読んてちゃんと覚えてなければ失敗するの。頭で覚えるのも大事よ?

でも頭で覚えた事は忘れる事もある。

でも文字を書いてたら無くさないか汚さなければ読めるのよ。そして忘れてないか確認してお仕事をすれば、全く失敗しない凄い戦士として誰からも仕事を任せて貰える様になるのよ。

これはそういった練習なの。

子供のウチにしておかないと、大人になって出来ないから、村でよく見る稼げない戦士になるのよ。

ロベ兄ちゃんは戦士になる訳では無いけど、ちゃんと出来る人なら戦士ギルドに関わる時に、お父さんみたいに知り合いが増えたりしてて便利よ。

此処までで分かるかな?」

「長くてあんまり⋯でもだからメモを書くんだな!

分かった頑張ってみる!」

「私も同じようにするの?」

「お姉ちゃんにはお祖母ちゃんに手紙を書いて貰うの。

あとお祖母ちゃんに合わせて貰える様に働いてる人への会話のやり方を書いて覚えて貰うから、書いてねって言うまでは書かなくても大丈夫よ。」

「な、なんだか聞いてたら良く分かると思って聞いてるのに、聞き終わったらあんまり分からなくなるのよ。なんでかしら⋯」

「そうだね。頭のなかで上手く想像出来て無いのかも。

こればかりは練習かなぁ⋯。

人から話を聞いて分かるようになるには、それだけ沢山の言葉を聞いて、物を知らないといけない。

多分今回経験したら、同じ説明されても皆分かると思うから、取り敢えず私が言う通りに文章を書いてね?


ロベルト兄ちゃんは話を丸写しするつもりで書いても良いけど、間に合わない時には言ってね?ゆっくりお話するけど、止まったらご飯食べれるし。」

「わ、わかった!

やってみる。」

「慣れたら必要な事だけ書けるようになると思うよ。」

「お、おう⋯」


こうしてゆっくり言葉を伝えて皆に今後の予定を話して行く。

鐘半分以上かかりましたー!

下手したら鐘1つかかってかも。

15分以内で終わらせたかったのに、皆よく耐えて聞いてくれたよ。


そりゃピヨ子もピヨピヨ鳴くわな。






ゾンビピヨ子ではない。

ギリ蘇生じゃ無い設定です。

魔力不足と低体温症の仮死状態を想定しました。

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