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ドレスを来たマングース

龍は玉を持った和製でお願いします。



お日様サンサンな暑い日差しが続く今日この頃、私がゴトゴトゴトンと揺れてる馬車の中で寝てられるのも、日頃モーブが道を舐めながら歩いて整備をしてくれるお陰だと思ってます。

見た目でっかいモップだしな。

あれの原種が何なのか知りたいわ。

金貨3枚なら原種も高そう。

今日村の中央でギルバート先生からお父さんは中間テスト受けてましたが、何とか半分は正解だったそうな。

半分かよ!と、思うなかれ。


父は毎朝早くから畑で仕事して、隙間に省略文字の単語を覚えながら、朝ご飯の後は毎回子供達とトランプやらカルタで遊ばれつつ、また疲れた顔で仕事に向かい。

時々鳥を手伝いながら、昼食後や夕食後にも調子に乗ってる娘達や息子達や甥っ子達にボコボコに遊ばれながらも、たまには反撃して父の威厳を取り返しながら。

夜には子供が寝た頃を見計らって、プチ聖女になり損ねたの母に癒されつつもハッスルして、と言った生活を頑張ってるんだよ。


聞くだけで大変そうだろう?

大人が子供と遊ぶのって大変なんだぞ?

子供って容赦無く潰しに来るからな?

しかも子供の方が物覚えが良いし、親のプライドがズタボロになるんだぞ。

半分でも出来れば上等だよ。

だって入試対策だからね?

錬成師見習い候補生なら全問正解から9割は取らないと駄目だけど、魔法師になるだけなら合格ラインだってさ。

つまり只の平民が、僅か一月あたりで国立魔法学院に入学出来る所まで来たって事なんだよ。

凄い努力でしょ。

小学1年生の学力しか無かったのに、小学4年生ぐらいの授業についてくる様なもんだしね。


テストの内容は3桁までの足し算引き算と、畑何メートル四方から麦の税が幾らか答えよ。

やらハブトゥルで王都から辺境まで何日有れば到達するか述べよ。ただし昼夜関係無く、一定の速度で走り続け、ハブトゥルの交代は必要が無いものとする。または走行時間を鐘3つより鐘10と3つとの間に限定し、夜間は移動せず休憩も無しとした場合、必要になる日数を答えよ、(転移門の使用は禁止)とかさ。(ちなみにハブトゥルは騎士が乗ってた二足歩行のトカゲね。)みたいな文章問題とか。


漢字じゃ無いけど省略文字テストや、国の始祖となる始まりの地名やウェスタリア最初の王様の名前なんかの歴史問題と、意図的に殺害した場合、平民と貴族で受ける刑罰の違いを述べよみたいな法律問題とか、現在の王様の名前とか、大きな地方の名前と特産品とか、税金の問題とか⋯ほぼ記憶。

しかも王都と南部地方の辺境までの距離とからハブトゥルの速さとかを、ちゃんと知らないと解けないヤツ。

割りかしマジで卑怯問題。

平民なら分かるかぁ!て、地面に叩き付けていい奴だ。

だってハブトゥルは騎士の乗り物だし、スピードの記載が無いし、地形とか戦略的な情報なんざその場所の領主しか知ってたら駄目な情報だからな?

解かさない来マンマンな問題なんだよ。

私は解けちゃうけどさ。

だってトカゲに乗せて貰ったしな。

あと事前学習でハブトゥルが何かを教えて貰えてたし、子供の足で1時間を5分で移動とかの目安もあるし。

時間なら答えられないけど、日数ならいけるくない?

王都からミシリャンゼまで2週間かかるって前にお嬢さんが言ってたやん?

ほいでこのまえジギタス叔父さんがモーブ馬車で辺境まで片道1ヶ月かかる言うてたし。

体感速度的に言えば、子供が1とするならウェブンが25モーブは30でハブトゥルが60お嬢さんが乗ってる馬モドキがその上。

本気で走ってないだろうから、今は分かんねぇが。

本気のハブトゥルがどんな速さかなら分かる。

お嬢さんのに必死について来たからだ。

私が乗ってる時は40ぐらいにまでスピード落としてただろうけどね。

まぁモーブ馬車で30日かかるなら、大体が半分の15日だ。

でもこのモーブ馬車30日ってのはリアルな数字になる。

この問題みてぇにリアル無視な問題なら最初の2週間すらもう少し減るだろうな。

なら14+15が13+14位か?

2番目の問いは27日以上30日未満と答えたら正解じゃね?

なら最初の問いは昼夜問わないなら半分の15日前後(雨天以外)となる訳だ。


もう前世なら舐めてんのか?!って、受験生が激怒しそうな問題や答えなんだけど、雨が降ったりするだけでも日程なんて覆る世界なもんで、几帳面なこと言ってられないんだよ。

じゃ何でこんな問題出した?って、なると。

なら騎士のいる家庭の貴族なら必ず知ってる魔法生物だろう?

なら早さはどれぐらいかも勿論知ってる。

じゃあ後は距離感が有れば解ける問題になる。

実際に行ったことがなくても、王都から辺境まではどれぐらいかかるとか、常識的な知識があれば解けるのさ。

もし解けないならハブトゥルは足が早いのは知ってるから、適当に2番目の問いが1週間で行けるとか明らかに無理な答えになる訳だ。

つまり最初の問いは3〜4日で、2つ目問いが1週間ぐらいとか書きそうだろ?

つまり子供を落とす問題なわけだ。

あとは常識を知らないヤツとかな。

身の回りの事を知らない、情報に疎い証明になる。

そりゃ受験対策はされてるだろうから、ちゃんと勉強してるヤツなら解けるのさ。

私も南部地方は知ってたから答えられたが、これが北部とか東部とか書かれてたらまずは解けなかった。


でも冷静に考えりゃ、寒い所から移転して来てるんなら国の中心部に近い所に新しく遷都するじゃん?

遷都した年も勉強したしな。

そこから東の先はもう打ち止めなのも知ってるし、西にしか伸びないなら北と南の端は同じ距離で、王都から東は短く王都から西が長くなる。

それから偉い人を辺境の最前線に置かないなら、ダンジェロ侯爵の前の子爵が居たところが、遷都した時の当時の最西端になると仮定すると。

タルクス叔父さんが⋯て、やってたら王都から東の距離もある程度は分かる。

丼勘定で笑っちまうよな。

でもそんなアバウトな事がまかり通るユルさがまた面白い。

出題の意図を考えて答えられる私には、そこまで難しい問題じゃ無いんだよ。

むしろ強敵は純粋な暗記。

もうこれ1択。

国王の名前とか呪文レベルだぞ?

ちなみに魔王はアルフィン・ドンネスト・レベリ・アタカ・ウェスタリアだと。

覚えられっか!

最後のウェスタリア以外覚える気力が無くて苦労した。

ご丁寧に意味まで調べましたよ?

普段心の中じゃ魔王って呼んでるから、吹いたけど。

アルフィンて夜明けの(あかり)って意味が有るらしいぞ?

似合わないだろ。

朝方に産まれたんじゃね?

まぁ革命王と考えたら、その通りだとは思うがね。

やさぐれてジギタス叔父さんモードになっちゃうよ。


始祖の王様はアイルヴァッフ・ドンファン・ウェスタリアだってさ。

ドンファンてのは魔王と同じだから、国の主。王様って意味が有るんだと。

アイルヴァッフは青銀の剣て意味らしいから、侵略王には相応しいよね。

最初の王様は青銀のケンちゃんて覚えたよ。

魔王はコケコッコーがレベり(れべる)あ、たか!(あ、高)で覚えた。

笑ながら素敵センスにウケる。

アルフィンを間違えてシャムって書いたらどーしよ。

シャムはジギタス叔父さんが育ててる鳥の種類の名前。

ニワトリだかカモだか分かんない卵産む鳥ね。

アホな事を言ってたら本番でそうなりそうだから止めておく。


私は全問正解は無理だけど、今の所は8割イケてる。

残りは暗記を徹底するしかない。

法律とか法律とか法律が超面倒臭い。

だって量が多いんだよ!

暮らしてたら当たり前のルールかもだけど、2年しか生きて無いからね?

しかも殆ど庭をウロウロしてるだけなのよ?

法律ナニソレ食べれんの?!

吠えたくなって当たり前だよね?

でも錬成師になるなら法律は大事なんだよぉ〜。

魔法生物ウェブンもそうだけど、持ってこられて魔法契約して下さい!て、客が来たら法律知らないとはい!ってやっちゃうよね。

そしたら罪人になるんだよ?

ソレが自分が作ったウェブンじゃ無いなら、飼い主を殺して盗んだ物かも知れないでしょ。

私は調べたから知ってるけど、普通に生きてるだけじゃ覚えない法律だからね?


この場合は。

【国法第3章16番 

魔法生物に魔法契約を行う場合について。


自己にて製作したものでない魔法生物で、契約者不明の魔法生物を魔法契約処理する場合は依頼者が正当な権利を持っているか確認する義務がある。

正当な権利の無い者の依頼を受けた事が発覚した場合、錬成師及び錬成師見習いの権利を剥奪の上、精査及び査問会にて審議を受け、罪状により厳罰に処すものとする。】と、なる。

長いでしょ〜これ覚えてくんだよぉ~⋯。

めっさ法律の本分厚んだよぉ。

面倒でしょ〜。

転生無双なんざできやしませんぜ旦那〜。

鬱になるレベル。

2歳児に無理言うな。

いやお父さん32歳だけど、大人でも無理か。

まぁお父さんは魔法師科だから答えられなくたって良いのよ。

鬱だぁぁ~!


知ってるか?

法律の本て私より体重が重いんだぜ?

人間の子供より重い本とかなんの嫌がらせ???

笑わせるよな。

しかも試験で法律がしめる点数の割合が高いから、9割取ろうと思ったらミスは3回も出来ないのよ。

なのに問題は30種類ぐらい出るんだぞ?

お父さんが半分正解してるだけスゴクね?

小学生レベルだったテストの中に高校受験の問題が混ざったレベルよ?

暗記するだけだけど、難易度の高さを思えばそれ以上だよ。

だから朝昼晩の勉強カルタ大会やってんの。

お父さんの為に歴史や地理の問題やら王様の名前やら入れてはいるけど、7割が法律問題だからね?

第2章7番の法律を答えよ!

がカルタ読みで、原文探したり、逆パターンもしてるわよ。

私が書いて必死に作ったのを混ぜて並べて皆で探すの。

6歳なのにマルセロが法律覚えてんのウケるよね。

娯楽が無いってヤバいっしょ。

でも意味までは分かって無いよ。

文字も省略文字使ってるから、形を覚えてるだけなの。

でも大きくなったら、意味も理解出来るようになるから、10歳になれば国立魔法学院の錬成師科に入学出来ちゃうかも。

超ウケる。

黒魔石じゃ無くてええやん。

てかもう教会で文字習わなくても、もう書けるしな。

何なら書くだけなら省略文字も書けるんだよ。

私を手伝ってカルタ作ってるから。

勝手に英才教育してすまんな。

皆カルタの札が取りたいから、本から好きな所を抜粋して、自分だけが分かるカルタを作らせてんのよ。

そのせいでこうなった。

反省も後悔もしてない。

何故ならある程度覚えたら、従兄弟とバトルしてるからね。

向こうも自分達でカルタ作るようになったから、年齢関係無く気合い入ってるよ。

セフメトは商人になるから要るしね、法律。

私が本から商法についての項目を書き出したのを渡してる。

セフメトが省略文字を覚えるついでに、自分の武器カルタを作っているのだ。

そして皆で持ち寄って、バトルを毎日朝昼晩の合間にやってる。

だから皆揃ってもの凄く忙しくなった。


「行くぞ。」

『きゃあ?!』

『うお?!』


家族でカルタやってたら、何か来た。

お母さんやカタリナやマルセロが可愛い悲鳴を挙げて顔を赤くしてる。

お父さんとロベルトも驚きながら頬を染めてた。

おい、何でや。

魔王は美人だが男丸出しやぞ。

美女には見えん。

身体のラインも骨とか明らかに男性じゃよ。


「アレは?」

「そこ。」

「?」

「音鳴らして兄弟が遊ぶから逃がしてんの。」

「⋯他に無いのか。」

「高さのある家具ってそんなもんだよ。」


魔王が食器棚の上からチミっとはみ出してる杖を見て複雑そうな困った様な、ちょっと意味分かんないんだけど?みたいな顔になってる。

理由説明したら理解はしたけど何かを諦めた。

多分普通なら王様から貰った物なら家宝扱いされるのに、雑な保管してたからだろうな。


そして腕を伸ばして指先を軽く曲げて引き寄せ、ポロリと落ちた所で杖が黄色に光った。

多分浄化させられてる。

触りたく無かったようで、杖は空中に浮いてるままだった。

最初の指クイも杖を触ってないしな。

だが魔王は正しい。

少しだけ棚から埃が落ちてたから。

お母さん浄化得意だけど、上はたまにしかしてないんだよ。

その代わり歯磨きやお風呂の代わりに私達をバンバン浄化してくれてる。

その余波で下の方は綺麗なのだ。

棚の上見たら浄化するとは思うけど、普段は見ないしな。

でも今度から浄化すると思う。

魔王のバッチィな。って気配見て顔だけじゃ無くて耳やら首まで真っ赤にしてたから。


「なんだ?」

「『カルタ』で勉強してたんだよ。知ってるか?6歳なのにマル兄ちゃん法律言えるんだぜ?王様、勝負してみっか?」

「フ⋯」


マルセロがギョッとして私を見たけど、勝負って言ったら顔と目がキリッとした。

それを見て魔王が楽しそうに笑ったが。


「実に興味深いが、黒魔石に用が有る。」

「また仕事かよ〜。

まぁ色々作って貰ってるし、ちょっといってくるね!」

『⋯⋯おう(うん)』


もう誰も心配してくれない。

魔王が色んな便利グッズ作ってくれてるの知ってるからだ。


「あ、あの!

これありがとう!」


マルセロが首から下げてる紐の先を服の上から握って言えば、皆ようやく我に返ったみたいに口々にお礼を言い始めたので、魔王がひょいと私の襟首をつまんで椅子から持ち上げる。


「気にするな。」


一言だけ告げて食卓に座ってた皆が消えた。

いやカルタって私の為の勉強だからな?

お前等私が居なくても遊ぶつもり満々だろ!

てか魔力草の水換え言うの忘れてた。覚えててくれるかなぁ?


「なに?

ルドルフでも滅ぼすの?」

『っ⋯?!』


魔王を見上げながら言うと、ヤツはニンマリと唇の端を歪めて笑った。


私が魔王につれられて来た部屋は、どっかの高級サロンみたいに大きな窓があり、外には美しい庭園や噴水が見えてる。

カーテンとか布が茶色やら赤やら金色やらとカラフルでヒラヒラしてて、めっさ高そう。

しかも下に敷かれた絨毯は落ちついた深みの有る赤色で、座ってる革張りのソファーにはそれぞれ年寄りから若いのまでバラけて座ってる。

お嬢さんもいたし、見たこと無いけど雰囲気からしたらお嬢さんのお師匠さんっぽい中年も居る。

カルマンさんやギルバートさんも居るし、多分アレはカルマンさんの息子かな?

カルマンさんの近くには、銀髪に青い目をした20歳ぐらいのヒョロヒョロした男性が1人用のソファーに座っていて、薄い赤茶色の髪に青い目をした高校生ぐらいのヤンチャそうな男の子がその後ろに立っている。


カルマンさんも今は銀髪に綺麗な青い瞳をしてる。

だから長男と思われる20歳ぐらいの男性は、死にかけてた長男で、その後ろにいる薄い赤茶色の髪をした男の子が母親似の次男と悟った。


お嬢さんが座ってるソファーの後ろに、年は40代。痩せ型で長身の真面目そうな男性は金色の髪と青みがかったグレーの瞳をしてて、彼が例のお師匠さんっぽいと考えてる。

雰囲気が知的だし、立ってるからこのメンバーを見れば貴族の地位が低いんだと考えたからだ。

子爵様の親族だもんね。


あとは宰相っぽいお爺ちゃんと重鎮のヴィラフォンテお爺ちゃんと、先王様がそれぞれ横長のソファーやら個人用ソファーに座っていた。

他には騎士も小間使いみたいな人も誰も居ない。

ならこれはかなり重要性の高そうな話をするつもりだったんだろう。


「何故そう考えた⋯?」

「だってサラディーン様と多分始めて会うけどサラディーン様のお師匠様が叱られた顔してるし、先王様達も表情暗いし。

カルマンさん達は関係無いけど、私を連れてくるからついでに息子さん達を会わせる為に呼んでたのかな?と。

全体的に雰囲気が暗いから、王様がルドルフ大帝国の王様を殺しに行くとか言い出したのかなって。」

「ふ⋯フフ⋯ハハハハ!」

「ねぇ⋯私達が暗かったら、何故そこでルドルフ大帝国が出て来るのかしら⋯貴方お父様みたいになってるわよ?」

「うん。

大分説明端折ったからね。

でもそうだよね?王様。」

「ハハハ⋯なるほど。

そう来たか。」

「もう公表したから今更止めようが無いでしょ。

例え魔力草の栽培方法を秘匿させても、大勢の人が知ってる知識だし。

むしろルドルフ大帝国が先に気付いて研究してるのを秘匿してたら後手に回るよ?

皆それは考えて無かったんだね。」

「まだ拮抗していたからな。」

「待って?ねぇ2人だけで会話を進めないで下さらない?」


お嬢さんがキレ気味で制止したが、他の人達もそれぞれがウンウンと顔に書いてた。

すまんな。


「で?」

「うむ。大筋はそうだ。

具体的な危険性までは上がって無かったが⋯」

「なるほどね。

先を見越してルドルフ大帝国が新しい理論を知ると悪用しそうで厄介だから、魔力草の栽培方法を秘匿しようとなったんだね?

私はそれを使って平民の暮らしや教会に恩を売ろうと考えてたから、どう説得しようか悩んでた?」

「うむ。」

「なら私はそこから更に先に話を進めるね。

例え魔力草の栽培方法を秘匿しても、私が見つけた理論は秘匿出来ない。

何故なら大勢の錬成師達が知っているから。

するとその理由を利用した実験がこれから沢山出て来る。

ソレを全て禁止するのは不可能だと、私は考えたけどどうだろう?」

「世もそれを伝えたかったが、お前の方が上手くつたえるだろうと連れてきた。」

『⋯⋯』

「うん。それでサラディーン様やサラディーン様のお師匠さんは暗い気持ちになってたんだね?」

「えぇ⋯そうよ。

でもお父様が何を危険に感じて秘匿を求められているのかまでは分からなかったの。

貴方が分かるのなら説得して下さる?」

「うーん⋯それは魔力草なんかじゃ比べ物にならないぐらい大きな問題になるんだけどなぁ〜」

「フフフ⋯言ってみろ。」

「うーん⋯それならサラディーン様とお師匠さんとカルマンさん達のギルバートさんは外そう。可哀想だよ。」

「なるほど。

なら後ほど聞こう。

手間だからな。」

「んん?ひょっとしてお風呂?」

「フハハハハハハ!!!」

『⋯⋯』

「もー、横入りするん?

サラディーン様が張り切ってるのに。」

「小さな物は任せればよかろう。」

「大きなお風呂の方をしてくれるの?!

サラディーン様が良いなら良いけど⋯あ、ひょっとしてお師匠さんが呼ばれてるのは広い土地が欲しいから?!」

「フフフ⋯」

「畑があるんだよ?

立ち退きなんて迷惑じゃん。

畑の土を育てるのって大変だし、せっかく中央に近い場所に住んでた人達が迷惑じゃん。」

「畑ごと動かせば良かろう。

もしくは森を開くかだ。」

「森の近くならお風呂作っても良いけどさ。

王様が作ると豪華になりそうだし維持費がスゴクならない?」

「セバスティアに管理させれば良かろう。」

「その人が誰だか知らないけど、取り敢えずエリザベスお祖母ちゃんから取り上げるんだね?

私、お祖母ちゃんの名前をつけて村に残したくて出した案だったんだよ?

そのうち森が遠くなっても、中央に大きなお風呂が有れば、皆がお祖母ちゃんの作った宿や食堂に来てくれると思ったから。


まぁお祖母ちゃんからしたら、その方が気が楽だろうし、村の人達は王様が作ってくれた物の方が素敵だろうから喜ぶだろうけどさ。

私だって王様が悪いヤツじゃ無いの知ってるし、純粋に好奇心でしてるのも分かるけど⋯普通の平民にそれやらかしたら案の盗賊になるからやめとけよ?」

「⋯ふむ。気をつけよう。」


普通に反省してる魔王に、何人かが震撼してる。

日頃の行いが分かる光景だな。


「⋯申し遅れました。

ご挨拶をしても宜しいでしょうか。」

「いいえ、村長さんには今回だけじゃ無く、迷惑かけてすみませんでした。

嫌な思いさせてますよね。」

「決してそのような。

お会いできて大変光栄に存じ上げます。

いつかお会い出来る日を心より楽しみにしておりました。

なにせいつも話を聞く度に新鮮な驚きを頂き、とても楽しい日々を送らせて頂いております。

私セバスティア・フォロー・ヤルコフスキと申します。

ヤルコフスキ子爵家の次男になります。

お察しの通り子爵より、ミシリャンゼの村長を任されております。これからも何卒宜しくお願い申し上げます。」


めっちゃ丁寧に挨拶されてもーた。こりゃもう恥ずかしいやら、申し訳無いやら。

なので魔王に被せられたフードをペロンと後ろに落とした。

そしたら全身が現れて全員が驚きに目を見張る。


「黒魔石?」

「うん。村長さんには本当に迷惑かけてるし、とても助けてもらったんだよ。

なら顔を合わせてお礼を言うのは筋だろ?

それに他の人達は全員私も信用出来そうだから良いんだよ。」

「王子がいる。」

「カルマンさんの息子だろ?

少し前まで平民だし、カルマンさんが親で、奥さんがどんな人だったかも話を聞いてるしな。

それなら信用出来ると思ったんだ。

兄弟の仲も良さそうだし。

それなら悪いヤツじゃ無いだろ?」

『っ?!』

「⋯⋯」


魔王がそうじゃない。

異性に姿を見せるなと言いたげだが、そんなん無視だ無視。

平民の王子とか超気が合いそう。

多分向こうは辟易してるぞ、天災みたいな王族ライフ。

しかも次男は思春期だからな?

程々にしとかないとグレちまうぞ?


「呆れた。まぁ⋯貴方が良いなら良いけど⋯。」

「お師匠さんには守ってもらったしな。姿も見せない礼儀知らずで、挨拶にも行けてなかったから良いんだよ。

ウチのばあちゃんも面倒かけたし。」

「?⋯!⋯なるほど。

どうかお気になさらず。」

「お師匠さんも私のこと気にしすぎないでね?

まだ子供だから知らないことばかりだし。普通でお願いします。」

「ハハハ⋯」


お師匠さんは私の言うばあちゃんが誰か分かったらしい。

無理ッスと顔に張り付けて、乾いた笑いで誤魔化してる。

王子2人は目を見張った後で、照れ臭そうにしてた。


それより思ってたより私がチビで、元々知ってる人以外の人達が、年齢知ってるクセにかなり動揺してる。

お師匠さんも汗をダラダラさせながらやたらと恐縮してるし、ほかの年寄りがな。

倒れそうだが大丈夫か?爺さんズ。


「はー⋯」

「いやはや⋯」

「むむむ⋯」


ヴィラフォンテ爺ちゃんは、ため息なのか話そうとして失敗してるのか、良くわかんない声を長く出してるし、宰相のお爺ちゃんは困った様な呻きを呟いてチワワみたいにプルプルしてる。

王様は腕を組んで難しそうな顔をして何かを悩んでる。

目を閉じてるし、現実逃避か?

よーわからんが頭では2歳だと知ってても、実物見たらショックを受けた様だ。


「王様、降ろして。

絵を描きながら話す。」


それらを丸っと無視すると、王様から絨毯の上に降ろして貰い、私はトテトテと歩いてソファーに囲まれてる低いテーブルに向かう。

王様は私の後ろをついて歩き、私の真後ろに立って上から紙を覗き込んだ。

私は魔法の鞄から紙とインクの要らないペンを出して縦に長い四角を書く。


「中規模で良いから先に面白い風呂はヤッパリ中央に1つ欲しい。

森が遠くなると不安だしな。

それに森の方に後からでっかいの作ったら、こっちの小さい方には女や子供が来易くなりそうだし。

客の取り合いにはならない気がする。

えーと紙に書いていいか?」


縦長の長方形の1番上を三角屋根をつけ足して。


「この部分の屋根は透明な錬成瓶みたいなので作って欲しい。

んでここの、屋根の真ん中から下まで黒い布を横にずらせるようにして、昼は閉じて夜は開いて透明な所に月の光を当てたい。

んで建物の上に魔力草を作る畑を作る。

入り口に入ったら直ぐに3階まで階段で登らせる。

ここが3階だ受付の場所がこう。ここで金を払わせる。

あと魔法の水を必ず一杯以上錬成瓶一本分入れさせる。

受付すると魔法の水がどんどん増えてくようにする。

んで、風呂場で着る分厚い布のこんな感じの服を入れた袋を渡す。で、脱いだ服と靴を入れる箱の鍵を渡す。

鍵には数字が書いてて、服と脱いだ靴を入れる扉付きの棚の所と同じ番号になってて、そこに入れたら鍵をかけさせて、鍵は首から下げさせる。


んで2回に移動すると、好きに飲み食い出来る場所とか、ごろ寝が出来る所を作ってて、3階から穴を空けた所からお湯を滝みたいに落とす。

この2回から下に階段で降りれるけど、川みたいにこう壁ぞいに曲げさせて滑り降りる事も出来る。滑り降りた先はお湯の泉にしてて、中に客が落ちたら直ぐに移動させる様に店員が見張ってる。

1階はこの川が落ちる風呂と、身体に良い薬草やら果物を入れた袋をお湯につけて⋯。

他にも3階から滝みてぇに落ちてるお湯の下にも湯船。

ここは他より少し高い場所にあって、その湯船から他の風呂にお湯が流れる仕組みを作る。


他は泡が出るお風呂とか、床に寝転がったまま入れる風呂とか作る。

地下が作れたら何処かから階段で降りれるようにして、地下には石を燃やして樽にお湯が入ってる所にいれる身体を蒸す水のない風呂にする。

あとは森みてぇに植物の小物とか置いたり、鳥の模型を置いたりとかして森を思い浮かべる小物を置いたりする。

欲しい魔道具は温度を調節してくれるヤツと、身体から水分をサッと消してくれるヤツと、着替える所に入る時に浄化して、身体の汚れを綺麗にしてくれるのが有れば良いな。

無ければ、湯船にいれる前に身体を洗わせなくちゃ駄目だから、そうなると2階の所にそう言うのを作る。

んで3階は受付するのと着替える場所とお湯を作る場所が欲しい。

あともし余裕があったら個室のお風呂を何処かに作りたい。

なんなら5階建てとかでも良いけど、木じゃ作れないから全部石みたいな建物になると思う。

どう?分かりそう?」


魔王がうーん⋯と声に出さずに考えながら、やたらと綺麗な顎に指を曲げた背を当ててる。


「その浄化は身体と衣類の汚れを落としたいのね?」


お嬢さんがソファーから身を乗り出して、私の横から声をかけてくる。


「うん。」

「どれだけ人が来るかは分からないけれど、高くなるわよ。

3級以上の魔石を使うし、1日に20人に使えれば良いぐらいね。」

「え?

思ってたより少ないね。

3級の魔石って幾らだっけ?」

「銀板20枚よ。」

「わ、意外と要るね。

でもまぁ、うん⋯大丈夫かな。何とかするよ。」

「⋯何とかする?

どうするつもりかしら。

客は平民なのでしょう?

銀貨50枚の中級回復薬が買えない者達なのに、それでは可笑しくなくて?

魔道具は他にも使うのでしょう?」

「え?!あ、うん。そっか。

ならえーと⋯身体洗う所を作ればいいかな。」

『⋯⋯』


ヤバヤバ、皆の視線が突き刺さって来た。

カルマンさんの息子達が、王族とタメ口で会話をしてる私に驚いて心配してる。

でも迂闊に喋れない豪華メンバーだから、モヤモヤハラハラしながら私の頭に視線を向けてた。

それはそうだ。

錬成師の知識も無ければ、私と面識も無いしな。


でもお師匠さんは何かを察して無表情のまま、ダラダラと汗を流してるし。

ヴィラフォンテの爺ちゃんとお嬢さんの眼圧がやたらと鋭い。

宰相さんは静かだけど雰囲気が好奇心なのかな?

なんかバードウォッチングされてる様な視線に、そんな気分になる。

先王様もジーッと探る様な眼差しをお嬢さんの反対側から向けて来てる。

そして真後ろからの圧がまた、これ⋯そんな食いつかなくて良くない?

サラッと流してくれたら良いのにと、私は小さな吐息を零す。


「まー、うん。これはさっき言えなかったヤツに通じる話だからさ。流してくれたら良いかな。

お姉さんには元々話すつもりだったんだよ。

でももし国の秘密とかなったら下手に話すのもどうかなと思ってて、王様に会えたら確認しとこうと考えてたから⋯」


視界があっという間に切り替わった。


「王様が⋯え⋯と。アレ?」


その前にお嬢さんがソファーから飛び出して私の手を握るのと、魔王が襟首を掴むのかほぼ同時。


「何かを考えた、話せ。」

「駄目よ!

お祖父様か、ダーフィー宰相やヴィラフォンテ卿を混ぜるべきだわ!」

『⋯⋯⋯』


よく似た親子だなぁと、私にそう言った後で睨み合う父娘に龍とマングースの幻影を見た私は、思わずトホホな気分になる。


だってマングース、ヘビに似てるがソレは違うぞ。

無謀だと思うからやめとけ?

そう思うだろ?



龍と分かってても戦うマングース。

そりゃ可愛いよな、龍も。

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