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はじめに。
さて。
これからここに書くことは、まあ大体、このとおりに起こった。
もちろん。
私が見ていない部分については、信頼に足る、あるいは足らない人物からの伝聞であるし、私を含めた人名その他の固有名詞にもそれぞれ若干の変更を加えてはいるのだが、それでも。
はなればなれの家族は再会し、仮の父と娘は絆を確かめ合う。
自身の死をも預言した男は、それでも使命を遂行し、世界を消さんとした殺人鬼の野望は、英雄たちの手により食い止められる。
朝日はのぼり、夜がおとずれ、星もない暗闇を経てのち、運命の恋人たちは新しい生命を迎え入れる――とか、まあ、そんな色々が。
なので、ここから先、私の筆が折れたり、暴走を始めなければ、きっと、これら物語の諸々を、私は書き、語ることになるのだろう――そう願いたい。
そう。
なのでお話は、その第一歩として、ある男の、こんな叫び声からはじまる――
「うっわぁああああああああ!!!」
(続く)




