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転生者たち~時空の終わりとソウルフルネス・ワンダーランド~  作者: 樫山泰士
第十三話「ワイルド・ブルー・ヨンダー」
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その3


 問題の三度目は、前の二回とはちょっとちがった三度目だった。


 と言うのも、先ず、落ちて来たのは、この惑星のヒトではなかったし、だからと言って、それがイコール、この惑星のヒト以外の動物種や植物種や機械種族が落ちて来たという意味でもなかった。


 彼は、一応ヒト型をしてはいたものの、その身体は殺しても死なず(注1)、その頭脳は、にわかには信じられないが、ヒトよりかーなーりっ高度に進化しており、高度過ぎてマヌケに見えるほどであって、要は、この惑星以外のヒト型種族――エイリアンであった。


 そう。そうして、その落ちて来た主体が違っていたこともそうだが、その落ち方ならびに出現方法も、前の二回とは微妙に違っていた。


 もちろん。いわゆる時空の“くんにゃらがり”を利用して移動・出現することに前の二回と違いはなかったけれど、その“くんにゃらがり”の利用の仕方が、前の二回はより無為自然的であったのに対し、今回のジャンプはあくまで人為的・科学的な利用だったからである。そのため、


 ブブッ、

 ブブブブッ、

 ブブブブッ。


 と先ず、ケヤキのボブの頭上で音がした。奇妙な音であった。そのため、


『なんだ? この音は?』


 と当然ボブは不審に想い、空を見上げた。するとそこには、何やら暗い球形の空間のようなものが今まさに現われようとしているところであった。そのため続けて、


『なんだ? この空間は?』


 と当然ボブは続けて想い、それが何かを観察・考察しようとしてみたのだが、それもつかの間、そこに今度は、


 グゥウウゥウォン。


 とその空間から、ゆっくり、じんわり、押し出されるように、ひとりの宇宙人が姿を現したのである。そのためそうして、


『なんだ? このオスは?』


 と当然、ケヤキのボブはイヤーな気持ちになった。それはもちろん、前二回のヒトのオスとメスのことが想い出されたからであったし、更には、その現れた男の、赤毛と丸顔とボッロボロの衣服と間の抜けた顔が、如何にもトラブルメーカー然としていたからでもあった。であるからして、そうして、


「あれ?」と男はつぶやいた。球形空間の端に立ち、如何にも間の抜けた顔で、「どこだい? ここは?」


 と足元も確かめぬまま、


「つぎも誰か協力者のところに行くんだろ?」とまさか自分が、地上数十mの高さにいるとは想いも寄らずに、「とても誰も、いそうにな――」


 と勢いよく右足を出しながら。


『ああ、クソッ』とケヤキのボブは想った。『またかよ』


 すると、まるでそのため息に合わせるように、問題の球形空間は、


 ふいっ。


 と不意に消えてなくなり、問題の赤毛男は赤毛男で、


「うん?」


 と当然下を向くことになるのだが、このときの彼は、例の『時空間的くんにゃらがり』の中にいたので、大体コンマ七秒ほど、その場に浮かぶ形になった。彼の身体に働く重力が、球形空間のものから地球のそれに切り替わるのに、それだけの時間を要したということである。そのため、


「あっ、クソッ」と男も悪態を吐きかけたのだが、


「またかよ」と続ける間もなく、彼もそのまま、前の二人と同じように、地面へと引き寄せられたのである。


「うっわぁああああああああ!!!」と絶叫しながら。


 がしかし、ここで災難なのはボブである。いくらヘナチョコ細身エイリアンだと言っても、その身長は180cmをいくらか超え、そんな男が彼の頭上4~5mの位置から落っこちて来るのであれば、彼のしなやかな若葉は散々散らされ、立派な枝もいくつか折られるのは必定であった――そう。それは例えば、こんな感じに。


 メキッ。

 ミキッ。

 メキッ。

 ムキッ――ドッシン。


「え? え? うそうそ?」


 メキキキキキキキ、


「うそだろ……」


 ボギッ。


「うっわぁあああああーー」


 ドッ。

 ゴツッ。

 ドタッ。

 ゴンッ。


「いってーッ!」


 メキキキキキキキキキキキキ……、


「いや、待て待て、まだ心の――」


 ポキッ。


「ぎゃっぁあぁあぁああーー」


 ドンッ。


「や、やっと、止まっ――」


 メキッ。

 ミキッ。

 メキッ。

 モキッ。


「――ってない?」


 ボキッ。


「うっわぁああぁあああああああ」


 ドッシーーーーン。(地面に大きく落ちる音)


 と、まあ毎回、色んなとこから色んなところへと落ちて来て、よくぞ身体がもつものだなあ、とちょっと感心したりもしますが、


「ま、まあ、今回は枝がクッションになってくれたから――」


 と、どうにかよろよろ、その枝やら葉っぱやらを払い落とし立ち上がる彼にひとりの少女が声をかけます。


「ミスター……さん?」


 ひとり静かに友を失くした怒りと悲しみに涙していた、あの佐倉八千代であった。



(続く)

(注1)ここで言う『殺しても死なず』は、あくまで『殺しても他の身体で生まれ変わる』というミスターの種族の特徴を言っているだけですし、この生まれ変わりにも限度があるので(最大八回)、それ以上殺されてしまえば、流石の彼らでも、生まれ変わることは出来なくなります。で、ちなみに。いまの彼の身体は五代目で、生まれ変わりは四回経験済み。つまりあと四回生まれ変わりを行えば(九代目になれば)、そこで生命のストックは切れる形にもなります。

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