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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
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89.ご飯が炊けないからいい

 怪しい。

 一緒に居たリンが突っ込んだがきっぱりと返された。

「シンさんにアタックしたわけじゃないから」

「まあ、ある意味ではそう言えるかも」

「でもリンが思っているようなことじゃないから安心して」

 何を安心しろと。

 リンは不満そうだったがレイナは納得していた。

 サリとナオはレイナ達と違って日本社会の基準でも成人している。

 つまり大人だ。

 シンに事実上養って貰っているレイナや親のスネかじりのリンとは立場が違う。

 レスリーは関心なさそうだった。

「私には関係のないことですから」

 それもそうか。

 でも多分、最終的にはレスリーも巻き込まれるだろうな。

 帰宅してシンに聞いてみたけどぼやかされた。

「今のところ何も決まってないんだ。

 実現するかどうかも判らない話だし」

「何かするの?」

「それはレイナ次第」

 益々判らなくなった。

 まあいいや。

 そうして平穏な日が過ぎ、そろそろ夏休みが近づいて来た時点で丹下先生から許可というか提案があった。

「明智さん、そろそろ高認試験、受けてみない?」

「高認ですか。

 まだ早いかと」

 依然としてレイナの学力は中学卒業にすら至っていない。

 絶対に無理だ。

「英語と数学ならイケるんじゃないかと思うのよね。

 全部いっぺんに合格する必要はないから、一度経験してみたら」

 そういうことか。

 受験料なんかレイナの財産からしたら微々たるものだし、経験は多い方がいい。

「シンに相談してみます」

 早速連絡してシンの家に押しかける。

 ちょうど夕食時だったので、シンがごちそうしてくれた。

「シンって料理出来たの?」

「一人暮らしが長かったからね。

 ミルガンテから戻った頃は自信なかったんだけど、やってみたら思い出した」

 夕食はカレーだった。

 サラダもついていて、これはスーパーで惣菜を買ってきたそうだ。

「カレー、作ったの?」

「簡単だよ。

 野菜切って肉と一緒に炒めてカレーのルーと一緒に煮込んだだけ」

 一箱使ったからどんどんお代わりしてよ、と差し出されたカレーはとても美味しかった。

「シンってコックさん?」

「レシピに従って作れば誰でも出来るって。

 レイナも今度挑戦してみたら」

「まだ無理」

 何せレシピを正確に読み解く自信がない。

 美味しかったので2杯もお代わりしてしまった。

 食事後、レイナがお皿を洗っている間にシンがコーヒーを煎れる。

 ちなみにまだカレーが結構残っていたが、これはまた後で食べるそうだ。

「持っていく?」

「ご飯が炊けないからいい」

「パックご飯もあるけど」

「今回は遠慮する」

 まだ一人で料理は自信がない。

 リビングで寛ぎながら丹下先生の提案について話す。

「高認か。

 いいんじゃない?

 雰囲気に慣れるだけでも」

「間違いなく不合格になるけど」

「お試し受験ということで。

 そういえば受験日っていつなの?」

 レイナは丹下先生から渡された書類を見せた。

「高認試験って年に2回あって、1回目はもう出願期間が終わっている。

 二回目の出願はまだ間に合うって。

 試験日は11月だけど」

「どれどれ。

 受験資格は当該年度に16歳以上になる者か。

 レイナって今16歳だっけ」

「そう申告したからそうなっている」

「……ま、レイナって大人っぽいというか年齢不詳なところがあるから大丈夫か。

 その気になったら威圧(カリスマ)で押し通せば良いし」

 言い方は酷いがその通りだ。

 実際の所、レイナは自分の歳を知らない。

 大聖殿で過ごした期間すら曖昧で、そもそも引き取られた時に何歳だったのか不明だ。

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