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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
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87.うーん、それでか

「ところで」

 レスリーが言った。

「前々から不思議に思っていたんですが、これってレイナさんがやってるんですか?」

 レスリーが聞いてきた。

 言わんとすることは判る。

 背中を向けていても判るくらい、店中の客の視線がこっちに集中している。

 ウェイトレスすら例外ではない。

 まあ確かに外国人の美少女が二人で話していたら興味を引くだろうけど。

「やっているというか。

 止められないだけ」

「そうなんですか」

 レスリーも客観的に観たら外国人の美少女なのだが、それだけならここまで注目はされまい。

 やはりレイナから聖力か何かが漏れ出しているせいだと思うべきだろう。

「そういえばリンさんに聞きましたが、レイナさんは外出する度にスカウトされるとか」

 余計な事を。

「声かけられて名刺を渡される。

 全部断っているけど」

「凄いです」

 ウザいだけだよ、と言いたいレイナだった。

 面倒くさくなってきたので早々に引き上げることにする。

 レスリーとはファミレスの前で別れた。

 帰宅してお風呂に入って少し休んでからシンに連絡する。

「ちょっといい?」

「いいよ。

 家に居るから」

 すぐに既読と返事がきたので部屋着のままシンの部屋に行くと、やはり寛いだ格好のシンが迎えてくれた。

「どうしたの?

 お泊まり会じゃなかった?」

「それは済んだ。

 新しい情報が入ったから」

「判った」

 飲み物を断ってからレスリーから聞いた話を披露する。

 始祖とその奥さんの関係。

 レスリーやタイロン氏が所属する組織の話。

 シンは頷きながら聞いていたが、一段落つくと考え込んだ。

「なるほど。

 始祖は地球人だったのかもしれないね」

「奥さんがレスリーの言う神力持ちだったみたい。

 始祖は聖力使えたかどうか判らないと」

「うーん、それでか」

「何?」

「いや、あのとき僕が聖力をちょっと使ってみせたでしょ。

 そしたらタイロン氏の態度が急変してね。

 それまではレイナが興味の対象だったんだけど、そこからは僕のことばかり聞いてきて」

 それはそうだろうな。

 タイロン氏も当然、始祖とその奥様について詳しいはずだ。

 レスリーすら知っているんだから組織の幹部であるタイロン氏が知らないはずがない。

「てことは」

「うん。

 僕とレイナの関係を邪推したんだろうね。

 それに伴って僕の立場が障害から懐柔対象に変わった」

「どういうこと?」

 シンの話はいきなり飛ぶので説明して貰わないと判らない。

「タイロン氏というか組織は最初、聖力持ちであるレイナを引き取るという方向で考えていたはずだ。

 僕はたまたまレイナを保護していただけの一般人だから組織からみたら価値がない。

 金銭か何か知らないけど代償を払ってレイナを手に入れるつもりだった」

「なるほど」

「僕が反対しても向こうは何百年も前から続く組織だからね。

 個人が抵抗なんか出来るはずがない。

 でも僕が聖力持ちだとしたら?」

「向こうにとってみればシンも重要人物(VIP)になったと」

「そう。

 それどころか始祖と同じかもしれないと思ったんだろう。

 となれば方針が全然変わってくる」

「それで急遽帰国して幹部会でも開くと?」

「だろうね」

 概ね思った通りだった。

 それにしてもシンは凄い。

 なんでいきなりタイロン氏に聖力持ちであることをバラしたのかと思っていたけど、そういうことか。

 シンについていけば大丈夫かも。

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