表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
93/348

84.学園物のアニメでもよく出てきます

 本来のレイナは音痴とまではいわないまでも歌の才能はゼロだ。

 練習もしていないし、本当なら高得点が出るはずがない。

 ということはやってしまったと。

 聖力は現実を歪める力だ。

 アニメに出てくる魔法とか超能力とかとは根本的に違う。

 理屈も何もなく聖力の使用者が願った通りの事が起きてしまう。

 今の場合、レイナが陶酔して「ああいいなあ」とか思っただけでプロ歌手並の歌になってしまったのだろう。

 ちなみにみんなが感動したのは精神操作などではない。

 「そういう現実」が実現しただけのことだ。

「レイナの本気を見た」

 まあ、ある意味そうとも言えるが。

「いつもは実力を隠しているわけね」

 それもその通りではあるが。

「もう点数はいいでしょう」

 ナオがそう言って評点機能をオフにする。

 それからはみんなで自由に歌った。

 レイナは歌わなかった。

 またアニソン歌って奇跡を起こすのはご免だ。

 結局みんなで3時間くらいいて、散々飲み食いしたのにカラオケを出るとサリが言った。

「腹が減ってきた。

 どっかでラーメンでも食べて行かないか」

 あれだけスイーツを食べて、しかもカラオケでも健啖ぶりを発揮していたのに。

「私はいい」

 聖力を使えばどうとでもなるが、正直これ以上何か食べたいとは思わない。

 濃い一日だった。

 もう帰って寝たい。

「私もいいです」

「お腹の調子がイマイチで」

 レスリーがあっさり断り、リンは腹を押さえていた。

 それはそうだ。

 スイーツを無茶喰いした上でアイスクリームも大量に食べれば普通はそうなる。

「しょうがないな。

 ナオ、行こうぜ」

「そうね。

 ではここで解散」

 連れだって去って行くナオとサリ。

 一番古くからの知り合いだろうし付き合いが深いのだろう。

 そういえばナオもストレス解消のためにスイーツを馬鹿喰いしていたけど平気なんだろうか。

「私も」

 青い顔のリンがよろよろと去った。

 さあ帰ろうかと思った途端、レスリーが言った。

「ちょっとお茶していきませんか?」

 あー、そうなるわよね。

「いいよ」

「それでは」

 レスリーが向かった先はファミレスだった。

 てっきり高級そうな喫茶店かと思ったのだが意外と堅実派らしい。

 それを言ったら返された。

「日本のファミレス、最高です。

 特にドリンクバーがいい。

 英国にはあんなものはありません」

「そうなの」

「学園物のアニメでもよく出てきます」

 そうかなあ。

 まあいいんだけど。

 まだ夕食には早い時間なのでファミレスは空いていた。

 それぞれドリンクバーを注文する。

 向かい合ってコーヒーを飲んでいると、何やら派手な原色の炭酸水を啜っていたレスリーが言った。

「レイナ様のあの歌は、やはり神力なのですか?」

 それが聞きたかったと。

「言えないけど、そんなものね。

 あと『様』は止めて」

「凄かったです。

 始祖のお話は本当でした!」

 レスリーは聞いてなかった。

 興奮してまくし立てる。

「あの声だけでみんなひれ伏します!

 最高です!」

「ちょっと待って。

 始祖って何?」

 気になる言葉が出てきた。

「……シン様から聞いてないんですか」

「知らない」

「そうですか。

 ええと、始祖というのは我が一族の祖先というか、今の組織の基礎を作った人で」

 組織ときたか。

 やっぱり悪の秘密結社だったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ