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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
92/350

83.これ、ラブソングよね?

「フリは得点にならないのですか?」

 レスリーが口を挟んだ。

「ならないね。

 歌だけだ」

「いいのよ!

 楽しければ」

 点数勝負はどうなった。

 まあいいけど。

 でも一応やることになり、順番に歌った。

 意外にもナオの点数はそれほどでもなかった。

 接客の玄人(プロ)なのに。

「72点か」

「お客様より点数が高かったら拙いでしょう。

 かといってあまり下手だと失礼になるし。

 微妙な線を狙う癖がついてしまって」

 言い訳に聞こえる。

 サリは妙な歌い方をして、それなりにフリを入れていた。

「94点!」

「こんなもんだな。

 一応、歌い込んでいるし」

「練習してたの?」

「演歌が好きな人はそれぞれ持ち歌があってな。

 そればかり歌うから必然的に上手くなる」

 さいですか。

 奥深い世界らしい。

 レスリーが歌ったのは何とアニメの主題歌だった。

 推しとは適切な距離を置くんじゃなかったのか。

 リンやレイナを含めて誰も知らない曲だ。

 なのになぜアニメ曲だと判ったのかというと、スクリーンにアニメのシーンが映ったから。

「え?」

「これ、ラブソングよね?」

「なのに何でロボットなの?」

 そう、画面ではマシンが変形したり合体したり攻撃したり爆発したりしていた。

 なのに曲はどう聴いてもラブソングだ。

 それも歌詞が甘々で、映像と何の関係もなさそう。

 レスリーが歌い終わると質問が殺到した。

「87点」

「結構いい点数ね」

「じゃなくて何なのこれ?

 アニメだということは判るけど」

 息を整えたレスリーがにっこりと笑う。

「『○獣機神ダンクーガ』の後期オープニングテーマです。

 アニメファンすら誰も知らないけど、私ファンなので」

 デープなアニメヲタクだった。

「古そうなアニメね」

「40年くらい前の作品です。

 ロボットアニメの黄金時代ですね」

 レスリーは満足そうだが他の全員が深淵を覗いたような表情だった。

「次!

 レイナ」

「判った」

 何か居たたまれない気がするが、他に知っている歌がないのでお気に入りのアニソンを入力する。

 大量のアニメを見続けているため、レイナにも好みというかファンになった作品はいくつかあった。

 でもうっかりテンションが上がってシャウトしてしまうと拙いので、バラードっぽい歌にする。

 アニメ自体も癒やし系だからボルテージが上がることもないだろう。

 前奏の後、歌い出す。

 画面にはやはりアニメのシーンが映っていた。

 と言っても止め絵の連続だ。

 ああ、やっぱり好きだなあ。

 この温和で平和な世界観。

 ミルガンテとは正反対だ。

 自己陶酔しながら歌い終わる。

 しばらく沈黙が続いたが、突然レスリーが拍手した。

「素晴らしいです!

 こんなに感動する『○の波千の波』を聴いたのは初めてです!」

 レスリーが酔ったように叫ぶ。

「100点って」

「そんな点数出るんだ」

「いや、レイナって本当に素人?

 プロの歌手じゃないの?」

「何かよく判らないけど凄く感動したんだけど」

 失敗(しま)った(泣)。

 何かやらかした臭い。

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― 新着の感想 ―
新居昭乃さんのファンですがこの曲がアニソンだったとは知らなかったです( ̄▽ ̄;)レイナの生歌聞いてみたい
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