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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
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80.家元って何よ

 ナオが鬼気迫る勢いでスイーツにかぶりついていた。

 相当溜まっているようだ。

 リンもがっついているしサリはなぜかピザを食べている。

 スイーツが嫌いなの?

「いや?

 ピザって滅多に喰う機会がないからな」

 そうなの。

「いいじゃないか。

 好きなんだよピザ」

 別にかまわないけど。

 レスリーは他のメンバーを観察しつつ少しずつ食べていた。

 何で遠慮がちなんだろう。

「英国にはここまでこってりしたものが食べ放題という食事型式はないです。

 見ているだけで胸焼けします」

「え?

 だってイギリスってアフタヌーンティーの家元じゃないの?」

 リンがショートケーキを口に運びながら聞いた。

「家元って何よ」

「本場だろ」

「発祥の地とか」

「言い方はどうでもいいでしょ!」

 レスリーは首をかしげた。

「あれにはスイーツはあまり出てきませんよ?

 サンドイッチやパイが(メイン)で」

「そうだっけ」

「そもそも食べ放題ではありませんし。

 もっとも食べきれないくらいの量が出るのは確かですが」

 レスリーに寄れば、アフタヌーンティーを嗜むというか食べられるのは余裕がある家だけで、しかもむしろ交流の場であって喰いまくるとかいう状態にはならないそうだ。

 いわゆる一般市民は滅多に参加しない。

 お金持ちなら舌が肥えているから、やはり食べまくりという事にはならないと。

「ま、どうでもいいわよね」

 リンが最後のスイーツのかけらを口に放り込んで立ち上がった。

「次はチョコレートファウンティンよ!

 あとアイス!」

「腹壊すなよ」

「そんなにヤワじゃないから!」

 リンのテンションが高い。

 ナオは黙々と食べ続けていたが、最後にぐっとコークを飲んでため息をついた。

 玄人の美女がこれをやるとインパクトが凄い。

「……まだまだ」

 何と戦っているのだろうか。

 雄々しく立ち上がってカウンターに向かうナオ。

 戦士の背中だった。

 サリはピザを食べ終えたらしくて今度はパスタに挑戦していた。

「そんなのあったんだ」

「何でもあるぞ。

 カレーや味噌汁もあった」

「何もスイーツ屋(ここ)に来てまでそんなの食べなくても」

「好きなんだよ」

 イタリア派なのだろうか。

 リンはといえば皿に満載のショートケーキをぱくついている。

 チョコレートやアイスはどうした。

「気が変わった」

 とはいえスイーツのほとんどはチョコだった。

 アイスクリームはない。

 漫画やアニメだとギャグだ。

 現実にもそんなことをする人がいるとは。

「男には見せられないよな」

 サリにからかわれてもリンはめげない。

「いいの!

 色気より食い気よ」

「お子様か」

「まだ子供だよ!」

 開き直っている。

 ふと見るとレスリーがサラダを食べていた。

 スイーツバイキングに来てそれか。

 色々な人がいるなあ。

 レイナは定番のチョコレートとバニラのスイーツを食べた。

 うん、美味しい。

 もっともレイナの場合、未だに何を食べても美味しく感じてしまうのだが。

 シンに言わせると日本という国は食事が美味しいので有名で、外国人観光客はそのためだけに来日するらしい。

 ミルガンテと比べるのが間違っているのか。

 結局、ナオは時間制限一杯まで喰いまくっていた。

 リンですら途中でギブアップしてアイスクリームに移行したというのにナオは底なしだった。

 食べ終わって店を出るとサリが言った。

「腹ごなしにカラオケにでも行かないか」

「イイネ!」

 リンがクリックする。

 特に反対もなかった。

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