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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
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78.そこは死守しました

「そんなに?」

 ナオが頷いた。

「秘書って別に資格がなくてもなれるけど、逆に言えば資格持ちの秘書って専門職(プロ)なのよ。

 矜持がある。

 秘書を愛人にするような社長の会社にはまず雇われないわね」

 そうなのか。

 未だに日本の社会や会社の事には無知なレイナだった。

 もっともこれはレイナがミルガンテ人だからというわけではなくて、大抵の人は同じようなものだろう。

 実際、リンも「へー」みたいな表情をしている。

「そういうわけで私は賛成。

 思い切り食べまくりましょう」

 ナオがなぜか鬼気迫る表情で言い放った。

 逆らえる雰囲気ではない。

 サリもうんざりしたように「まあいいか」とか言ってため息をついている。

 リンは自慢そうだしレスリーに至っては「いいですね!」と。

 スイーツバイキングって英国にもあるんだろうか。

 レイナもアニメでちょっと観ただけで実際に経験したことはないのだが。

 リンがその場でスマホを弄り始め、ナオが「この店は駄目。美味しくない」とか「ここは予約が詰まっていて当分先になるわよ」とかアドバイスしていた。

 何気に詳しい?

「ああ見えてナオって甘い物好きなんだよ。

 太ったら仕事に差し支えるから普段は節制してるけど、結構詰まっているんじゃないのか」

 サリが生暖かい目付きでナオを見ながら言った。

「詳しいね?」

「まだみんなと知り合う前に私は散々付き合わされたからな。

 二人ともあまり余裕が無かったから安い店に行って。

 スイーツの味が微妙で胸焼けしたなあ」

 遠い目をするサリ。

「でもナオってかなり高給取りなのでは」

 自力で大学に行くつもりなのだから相当稼いでいるはずだ。

「ナオに余裕が出来ても私がついていけなくてな。

 そういえばリンと知り合ってからは一度も行ってない」

 そういう理由か。

 ナオの場合、秘書の学校でのいらつきに加えてスイーツから遠ざかっているという状況もきつかったと。

 だからリンの提案は渡りに船だったはずだ。

「ここにします!」

 リンが意気揚々とスマホの画面を見せた。

「どれどれ。

 うわっ、スイーツ専門店の企画か。

 バイキングやってるって?」

「そう。

 時間制だからカロリー摂取量に限界がある」

「そこは死守しました」

 ナオが自慢そうだ。

「いいですね」

「私もいい」

「じゃあ決まりね!」

 その場で予定が組まれ、ネットで予約する。

「平日だけどみんな大丈夫よね」

「ああ。

 いつでも大丈夫だ」

「私も」

 そういえばこのメンバー、まともに昼間仕事している人っていない。

「ナオはいいの?

 授業サボって」

「秘書の学校って毎日はないから。

 授業というよりは講座かな。

 通信教育でも受講出来るくらいで。

 実際の講師に教えて貰いたくて通っているだけだから」

 ナオが通っている所は、いわゆる正規の専門学校のコースではなくて塾いや予備校のようなものなのだそうだ。

 目的は秘書検定に合格することで、その講座を受講したからと言って別にすぐに秘書になれるとかでは無いという。

目処(めど)は立ちそうなの?」

「ペーパーテストは大丈夫。

 面接にちょっと手こずっている」

 そういう資格なのか。

「ナオなら余裕だと思うけど」

「ホステスの技能と秘書は違うから。

 ついうっかりおもてなししてしまって講師の人に怒られてる」

 レイナには想像もつかない世界だ。

 忘れよう。

「それではそういうことで」

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