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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第五章 聖女、アプローチされる
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68.こんなの着る必要あるの?

 レイナは健康ランドから帰る途中にスマホでシンに連絡した。

「というわけで」

「判った。

 いいよ」

「いいの?

 忙しくない?」

「レイナが優先だから」

 さいですか。

 これは別にシンがレイナに惚れているとか大事にしているということではない。

 下手するとシン自身の生活や命に関わってくる事案だからだろう。

 平穏なようでも聖力持ちとの暮らしは毎日がサバイバルだ。

 レスリーに連絡するとなるべく早くという返事だったので、翌日の朝に会うことになった。

 月曜日だがシンも異存はないとのこと。

「僕は社長だから自分の予定(スケジュール)は自分で自由に決められるんだよ」

 そうかなあ?

 アニメやドラマで見る限り、社長みたいな立場の人って普段から予定がギチギチに詰まっていると思ったけど。

「僕の会社は僕一人だけだから」

 何じゃそりゃ。

 聞いてみたらシンは投資会社のふりをした個人投資家ということだった。

 扱う金額が大きいし税金やら何やらで有利なので会社組織にしただけで、その実個人経営なのだそうだ。

「仕事と言ってもパソコンの前に坐っているだけだから」

「でもシンは結構外出してない?」

 スマホで連絡すると明らかに屋外な場合が多い。

「一応は人と会ったりしてるからね。

 投資する会社を一応は見ておかないとでしょ」

「会社に投資って」

「株を買うとそうなるんだよ。

 これでも複数の会社の結構な大株主だ」

 シンが話してくれたところによると、既にいくつかの会社の大口株主になっているらしい。

 まだ小さい会社ばかりだが、今後大発展するそうだ。

「それって」

「うん。

 前世というかこの世界の未来で大企業になっている会社だよ。

 レイナのおかげで初期投資資金があっという間に貯まったから」

 それはズルではないのか。

 インサイダー取引とか?

 未来の情報を元に儲けるってタイムパトロールとかが来そうだ。

「大丈夫。

 もうこの世界は元々の時間線から外れているから」

 シンは某アニメのようなことを言い出した。

 確かにシンとレイナが転移してくる前の状況とは明らかに違っている。

 そもそもシンはともかくレイナの存在だけで全然別の歴史を辿りそうだ。

「だから僕がちょっとお金を儲けても問題ないということで」

 改めて思うけどシンって平凡で温厚なようでいて結構ぶっ飛んだ性格をしている。

 まあ、そうでなければミルガンテの大聖鏡に飛び込んだりはしないが。

 そういうわけで翌朝、レイナはシンに連れられて都心に出かけた。

 シンはどこがどう違うのか判らないがきっちりした黒のスーツでかなり男前が上がっているような。

 レイナもシンに言われて膝下の上品なワンピースだ。

 紫色のグラデュエーションがレイナの長い銀髪に映えて目立つことこの上もない。

 どこぞのお嬢様どころか貴族令嬢のようだ。

「こんなの着る必要あるの?」

「ハッタリだよ」

 さいですか。

 大きなホテルに入り、フロントでちょっと話すとボーイが案内してくれる。

 会議室というよりは応接室と言えそうな重厚で上品な内装の部屋に通された。

 高級そうなソファーとテーブル、壁には絵もかかっている。

 シンが「コーヒーを4人前、ポットで」と指示していた。

 つまりボーイやウェイトレスに邪魔されたくないわけね。

「こっち」

 どこに坐ろうかと思っていたら上座、つまりドアから遠い方を指さされた。

「いいの?」

「いいんだよ。

 僕の予想だと相手もそのつもりだろうし」

 シンはこの事態を予想していたらしい。

 やはり頭が切れる。

 いつもは茶化した態度だが、シンが相当の切れ者だということは判っていたけど。

 まあいいか。

 ワゴンでコーヒーが届き、一応目下の者の義務としてレイナが煎れて二人で飲んでいたらノックの音がした。

「どうぞ」

「失礼します」

 まず、レスリーが入って来た。

 夜間中学の時と違って濃紺のドレスを着ている。

 金髪が輝いてどこぞのお嬢様(セレブ)のようだ。

 というか多分、本当のお嬢様なのだろうけど。

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