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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第四章 聖女、友達が出来る
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65.シンも大学出たのよね

「夜間中学に通っているというだけで訳ありなのに、プロのホステスとか外国人の絶世の美少女とか、まともなはずないでしょ。

 レイナとかレスリーって大金持ちのお嬢様だし」

 そういう認識なのか。

 まあ、確かにレイナもレスリーも一見地味だが高価な服を着ている。

 レイナの場合は服に無頓着なだけだが、レスリーは明らかに上流階級の臭いがプンプンしている。

 レイナにも判る位なので、他の同級生(クラスメイト)からみたら別世界の人種だろう。

「リンは平気なのに」

「私は何というか、あまり拘らないタイプだから。

 元引きこもりを舐めるな」

 そんなことを言われてもね。

 というより、リンも謎だ。

 イジメで不登校になって引きこもっていたようには見えない。

 そういう人って漫画やラノベでは陰キャで孤立しているはずなのに。

 リンはどうみても陽キャだし、無理して作っている様にも見えない。

 よく判らないので思考停止するレイナだった。

 淡々と毎日を過ごすうちにレイナもだんだん日本社会に同化しつつあるようだった。

 今では誰とでも普通に日本語で会話出来るし、一般向け小説や論文は無理だがライトノベルや漫画は読めるようになった。

 漢字を覚えるのが大変で、ラノベのせいで特定の用語にばかり詳しくなってしまった。

 中学の教科書は未だに辞書を引きながら読むレベルだ。

 高認は遠い。

 その件については何度もシンと談判しているのだが、シンはどれだけ時間がかかってもいいから出来れば大学、悪くても高校出の資格は取れの一点張りだった。

「学歴って日本じゃ最高の信用になるんだよ」

 シンが力説するところによれば、大学出という肩書きは色々なことの証明書になるのだそうだ。

 まず、とりあえず大学で学べる程度の知性と教養があることを示せる。

 次に大学の授業料を払えるだけの経済的な余裕があるか、または奨学金が取れるくらいの立場に居たことが判る。

 更に教育課程(カリキュラム)に従って単位を取得出来たことで規則に従って物事を処理出来ることが証明される。

「まあ、中にはいい加減な大学もあるけどね。

 それでも大学を出ていないよりは学士号持ちの方が評価されることは確かだし」

 学歴社会というものらしいけど、表面的にはそんなの差別だということで否定はされている。

 しかし実社会では根強く残っているという。

「シンも大学出たのよね」

「大した大学じゃないけどね。

 それでも大手企業に採用される程度の知名度はあるから」

 つまりはそういうことらしい。

 シンが言うには人間の能力は学歴とはあまり関係ないけど、その能力を発揮する機会を与えられなければ絵に描いた餅だ。

 大学出という経歴があれば、とりあえずはスタートラインに並べる。

 そこから先は学歴はあまり関係なくなるけど。

「ミルガンテで言うと、そうだな。

 ちょっと違うけど神官の資格みたいなものかな。

 その身分があるとないとでは扱いが全然違ってくる。

 神官って王国の宮廷でも通用する身分なんだよ」

 なるほど。

 大聖殿の神官は身分ではないが、一種の特権階級として扱われていると聖女教育で習った。

 神官教育はレイナからみても期間が短くて内容も大したことはないのだが、任命されているかどうかで社会における立場がまったく違ってくる。

「大卒はそれほどじゃないけどね。

 日本(ここ)では若者の大半は大学に行くし」

「そうなの!」

 驚いた。

 それってミルガンテで言うと国民の大半が神官ということではないか。

「お金も時間もかかるのに」

「それでもペイするだけの価値があるとみんな思っているんだよ。

 というよりはむしろ、持ってないと損するという方が近いか」

「損」

「うん。

 大半の人がそれを持っているとして、何かで誰かを選ぼうとする場合、レイナだったらどっちを取る?

 持っている人といない人の」

「そうか」

 納得した。

 日本(ここ)では大学に行くのは特別なことではないのだ。

 むしろ当たり前で。

 逆に行かない人はその理由が問われるくらい。

「実際には大学行かないで好きな方向に進む人も多いんだけどね。

 専門学校とか就職とか」

「そうなの?」

「うん。

 結局は将来の就職のためなんだけど、専門学校を出たり資格を持ってないと出来ない仕事もあるから」

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