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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第四章 聖女、友達が出来る
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62.愛と平和を守るんだったらそっち方面がいいかも

 そういうするうちに予定時刻が近づいたので動物園の方に移動してホワイトタイガーやお目当てのガチョウパレードを観た。

「うん、これは面白い」

「一度観れば十分という気はするけど」

「ネタにはなりそう」

 みんなはほどほどに感心しているがレイナは夢中だった。

 こんなものはミルガンテにはなかった。

 全てが灰色で陰鬱な雰囲気だった。

 それに比べて日本(こっち)はどうだ。

 まるで夢の国だ。

 これが平和というものか。

 守りたい。

 唐突に理解した。

 テレビでヒーローが言っていたことってこれだったのか。

 この尊い平和を乱す者と戦う。

 まあ、何であんな変な鎧とかコスチュームとかを着ないといけないのか判らないけど。

 不思議に思って一緒に観ていたシンに聞いたらあっさり答えられた。

「そりゃ正体を隠したいからでしょ」

「そうか」

「ああいう変身ヒーローって普段は一般人として生活しているからね。

 その暮らしを守りたいわけで。

 逆に言えば正体を晒して何かやったら有象無象が家に押しかけて来る」

「なるほど」

「アメコミのヒーローなんかもほとんどそれだね」

 原初のヒーローであるスーパーマンは普段は新聞社の記者をやっていて、悪を討ったり人助けをする場合は真っ赤なマントと青いコスチュームに着替えるのだそうだ。

「顔は?」

「一応はメガネを外すけど。

 でもそれだけで正体がバレないって不自然だよね。

 だからそれ以降のヒーローはみんな顔を隠すようになった」

 バットマンは口元だけを晒す覆面をしているし、その助手のロビンも仮面を付けるらしい。

「スパイダーマンとかヴェノムとかは完全に顔を隠しているし、正体はバレてない。

 逆に顔を晒しているヒーローもいるけど、変身する前の正体がバレてるのもいる。

 まあ、そこら辺はお約束ということで」

 シンは妙に詳しかった。

「趣味なの?」

「そこまでいかないかな。

 アメコミヒーローは映画になってるから、コミック観ないでも大抵の人は知ってる」

 そうなのか。

 まだまだ世間の常識? に疎いレイナだった。

 そういえばアニメの○ーラームーンなんかは衣装変えただけで顔は同じなのにバレてないけど、あれはどうなんだろう。

「『お約束』だよ。

 そもそもアニメって状況設定がいい加減な事が多いんだよ。

 セ○ラームーンにしたって一般市民に被害が出てるのに警察や自衛隊が動く表現がないし。

 大体、特撮で毎回街とかビルとかが破壊されてるのに誰も補償とか言い出さないっておかしいだろ?」

「それもそうね」

「だから(レイナ)は間違ってもセー○ームーンとかになっちゃ駄目だよ。

 いや、(レイナ)ならむしろ魔法少女か」

「いやいやいや!

 やらないから!」

「愛と平和を守るんだったらそっち方面がいいかも」

「絶対無理。

 アイドルより嫌だ」

 あの時は全力で否定したけど、こんなに楽しい生活を守るためならやってもいいかなと思ってしまう。

 でも魔法少女は駄目。

 バリヤとか砲撃魔法とか出来ちゃいそうなので余計嫌だ。

 そんなことを考えて鬱々としているとナオが言った。

「どうしたの?

 疲れた?」

「そうじゃなくてちょっと個人的な事で」

「まあ、今日くらいは忘れて楽しみましょうよ」

 そうだ。

 私は遊びに来たんだった。

「で、どうする?

 プールは閉鎖されているから無理だけど」

「水着持ってきてないしね」

「だったら夏にまた来ようぜ。

 今日乗り損ねたアトラクションはその時ということで」

「賛成」

 これでまた次の楽しみが約束された。

 お友達っていいなあ。

 レイナ一人では、とてもこんな場所に来る勇気は出なかっただろう。

 というよりは存在すら知らなかったものね。

 アニメではよく出てくるけど自分とは無関係だと切って捨てていた。

「それじゃ夕食まで遊んで、最後に観覧車ということで」

「了解」

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