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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第四章 聖女、友達が出来る
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61.もっと大人しいものがいい

 荷物は後で取りに来ることにして、全員軽装のまま出かける。

 電車を乗り継いで1時間ほどかけてやってきたのは、やはりそれなりに賑わっている場所だった。

「あー。

 この辺、人がいるのは線路や道路のそばだけみたい。

 土地は有り余っているし」

 確かに途中で観た景色は「田舎」としか言いようがなかった。

 線路の周りに何もなかったりして。

 初めて観た。

「そこまで言うことないだろう」

「でも東京に比べたら全然よね」

「まあな。

 比べる方が間違っているが」

 駅を出てみんなで歩いて行くと観覧車が見えてきた。

「あれ!」

「おう。

 乗るのは最後だな」

「前に来たことあるけど、他にも色々あったよ。

 ガチョウパレードとか」

「何それ!」

 サリによれば施設内の道を係員に先導されたガチョウの群れが行進するのだそうだ。

 客が観ている前で。

「逃げないの?」

「何かガチョウの鳴き声みたいな音の出るでっかいガチョウ型の台車みたいなものを押している人についてゾロゾロ歩いていたな。

 結構昔だから今もやっているかどうか知らないけど」

「観たい!」

 はしゃぐレイナを生暖かい目で見るその他の人たち。

 レイナは年齢で言えばリンやレスリーと大差ないはずだが、全員が幼い妹を見る目をしていた。

「まあまあ、慌てないで」

 ナオが仕切って入場する。

 それからみんなで色々見て回った。

 ガチョウパレードは現在もやっているが開催時刻が決まっているということで、それまでは遊園地で遊ぶことになった。

 最初にジェットコースターに載せられた時には思わず聖力を使いそうになって必死で耐えた。

 こんな大がかりな人殺しの乗り物がアトラクションというのだからこっちの世界の人って怖い。

 人の命がミルガンテより安いのかもしれない。

「時々事故るよ。

 途中で停まったり」

「こないだテレビニュースでやっていたな。

 ループの頂点で逆さ吊りのままカートが止まっちゃって、2時間くらいそのままだったとか」

「それはそれでアトラクションっぽいな」

 冗談じゃない。

 そんなことになったらレイナは現実を改変してしまう。

「もっと大人しいものがいい」

「レイナには刺激が強すぎたか」

「お化け屋敷とかどう?」

 聞いてみたら恐ろしい物が満載のお屋敷に通されて脅されるらしい。

「絶対に嫌」

「まあ、あれは子供とカップル向けだからな」

「女だけで入ってもしらけるだけよね」

 そういうものなの?

 こっそりレスリーに聞いたら言われた。

「子供向けは判りますよね?」

「それは判る。

 でもアベックって?」

「女性が脅かされて男性に飛びつくことが期待されています。

 女性側も大義名分が出来るので」

 よく判らなかった。

 シンに言うにはレイナは恋愛感情(そっち)方面の情緒がまだ未発達なのだそうだ。

 確かに。

 アニメでもラブコメ物はキャラの行動の半分くらいが意味不明だったし、そもそも修羅場とかハーレムとか理解不能だ。

 誰かに執着するとか独占したいとか、意味が判らない。

「ま、ゆっくり覚えていけばいいから」

 シンはそう無責任に言いながらもちょっと不安そうだった。

 レイナが恋をしたら何が起こるか判らないそうだ。

「そうかな」

「アニメで色々やってるでしょ。

 修羅場とか。

 レイナの場合、下手すると聖力が出る」

 ああ、なるほど。

 嫉妬の余り現実を改変しそうだ。

 それはともかくレイナは初めての遊園地を思い切り楽しんだ。

 乗り放題券(フリーパスポート)で入園したのでアトラクションは全部体験可能だったし、一日ではとても全部回れないくらい色々あった。

 人気がある施設は行列が長かったのでパス。

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