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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第四章 聖女、友達が出来る
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52.おやつはいくらまでいいの?

 とりあえず大丈夫そうなのでそこで話が決まってしまった。

 お泊まりになるので翌日が休日がいいということで金曜日にする。

 全員の都合が合う日を合わせると二週間後になった。

 リンとレイナはいつでもいいし、レスリーも自宅なので問題ない。

 サリもバイトを調整して参加することになった。

 ナオについては途中で抜けるかもしれないということだが参加は決定。

「食べ物は各自持ちよりね」

「お酒は?」

「禁止。

 未成年がいるし」

「おやつはいくらまでいいの?」

「そういうギャグは止めて。

 無制限でいいから」

 なるほど、これは楽しい。

 レイナの今までの生活にはなかった状況だ。

 友達ってこういうものなのか。

 もっとも完全に気を許したわけではない。

 無条件に人を信頼するにはレイナの今までの人生経験が過酷過ぎる。

 もっとも危険はなかろう。

 何があってもレイナの聖力がすべてを蹂躙する。

「それでは」

 ドリンクバーの飲み物で乾杯して解散。

 帰宅してから思いついてシンに連絡してみた。

『ちょっと相談したいことが』

『いいよ』

 ということで部屋を出てエレベーターでシンの部屋へ。

 シンはコーヒーを煎れて待っていてくれた。

「数日ぶりだね」

「そうね」

「大丈夫そうで良かった。

 まあ、心配はしてなかったけど」

 シンが言うにはさすがのレイナもいきなりの一人暮らしに辟易して、もっと早く連絡してくると思っていたらしい。

「そうなの?」

「だってレイナってこれまで一人になったことがなかっただろう?

 孤独に耐えられるのかと」

「ん、平気みたい。

 自分でも意外だけど、私むしろ一人が好きというか気楽で」

「それは良かった。

 聖女ってやっぱり強いんだな」

 そうなのか?

 強いというよりは鈍感なのかもしれないが、そもそもレイナの場合、まず肉親の情を知らない。

 周りには常に人がいたけど、気楽に付き合える相手ではなかった。

 監視役だということが判っていたし、相手も踏み込んで来なかった。

 レイナもことさら距離を縮めようという気はなかったから、そのままになっていただけで。

 そういう事を言えばシンが一番近い人間かもしれない。

「私、そもそもそういう感情が判らない気がする」

「まあ、レイナの場合思春期があったかどうかすら怪しいからなあ。

 よくそれでまともに成長出来たものだ」

 それについての答えは出ている。

「多分、出来なかった聖女候補は始末されたんじゃないかな。

 誰かに依存する聖女なんか大聖殿にとっては劇薬みたいなものだろうし」

「それもそうか。

 神官も似たようなものだったからね」

 シンが言うには、同期の神官候補も結構ふるい落とされた人がいたそうだ。

「突然、いなくなるんだよ。

 それでどうなったのかも判らない。

 話題に出すことすら禁止(タブー)だったし」

「怖いわね」

「まあ、そうなる奴のタイプって大体決まっていたからね。

 脱走しようとして消えた奴もいたっけ。

 こうしてみると大聖殿って恐ろしい場所だったな」

「本当。

 それに比べたら日本は天国ね。

 ご飯も美味しいし」

「それな」

 笑い合う。

 シンについてきて本当に良かったと改めて思うレイナだった。

 次の次の金曜日の夕方、レイナは身支度をして家を出た。

 このときのために買った小型のキャリーケースを引いている。

 初めての外泊? だ。

 ワクワクが止まらない。

 夜間中学の教室にはリンやレスリーに加えてサリもいた。

「どうせなら一緒にと思って」

 レスリー以外は大荷物なので同級生(クラスメイト)たちにジロジロ見られてしまったが気にしない。

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