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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第四章 聖女、友達が出来る
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49.考えすぎなのでは

「判った。

 いつ出ていけばいい?」

「そんなにあっさり言わないでよ。

 別に追い出したいわけじゃないんだから」

 シンが説明してくれたところによれば、何と同じマンションに部屋を用意したそうだ。

 別の階の少し小さな部屋だが、それでも結構高かっただろうに。

 何せコンシェルジェがいるようなマンションである。

 レイナとしては、前に一緒に住んでいたようなアパートくらいでいいと思っていたんだけど。

「いや、レイナの経済力で言えば今でも不足なくらいだから」

「私、そんなにお金持ってないよ?」

「持っていることにしようよ。

 ていうかレイナの容姿だと、これから絶対武装が必要になるから」

「戦いになると?」

「そう。

 お金がないように思われたら絶対にちょっかいをかけてくる連中が出てくる。

 まあ、持ってればそれはそれで面倒くさいけど。

 でもないよりはマシなはずだよ。

 大金持ちの外国人のお嬢様が訳あって一人暮らししているという設定にしよう」

 よく判らないが、確かにアニメでも似たような状況はあった。

 ヤクザの組長の娘が実家を嫌ってマンションに住んでいるとか、財閥のお嬢様が敢えて一人暮らししているとか。

 もちろん、影からお庭番が守っていてお嬢様がピンチになると介入してくるという。

「考えすぎなのでは」

「でも対策しないよりはした方がいいでしょ。

 それに出て行けじゃなくて自分の住処(すみか)を持つという風に思えば良い」

 シンが言うにはレイナの住民票の住所はそこにするけど、いつでもシンを訪ねて来てもいいそうだ。

 というよりは名目的に住まいを分けるだけで、実際にはこっちの家にもレイナの部屋はそのままにしておいてくれるらしい。

「ああ、なるほど」

「うん。

 役所の住民票を調べられたら僕とレイナの関係がすぐに判ってしまうからね。

 お互いの行動を相手に影響させたくないんだ」

 今更だが、シンは実によく頭が回る。

 サラリーマンとしても優秀なのではないだろうか。

 こんな人がミルガンテの神官として生きるのは絶望しかないだろう。

 一か八かでやってみる気になったのも無理はない。

 ついてこれたのはつくづく幸運だった。

 それからレイナは自分の「新居」を教えて貰った。

 シンの部屋に比べたら小さいけど、一人暮らしには十分すぎるほど広い。

「2LDKだから、どっちかを寝室にしてもう一方は納戸にするとか。

 お客さんはDK(ダイニングキッチン)でもてなせばいいし」

「うん、判った」

「家具なんかも自由に揃えて良いからね。

 カード使って」

「いいの?」

「元はレイナが稼いだ金だよ?

 未成年者はナンバーズ出来ないから僕の名義になっているけど。

 あ、言い忘れていたけどレイナのカードの引き落とし口座を変えたから」

 シンによれば、シンがナンバーズや宝くじの賞金として受け取ったお金をレイナが自由に使うと、後で問題になるかもしれないそうだ。

 よく判らないけど贈与税とかで国に大金を持って行かれるらしい。

 だからレイナが使ったお金はシンが作った会社の従業員用の口座から引き落とされることになっているという。

「よく判らない」

「まあ、そうだろうけど誰かに何か聞かれたら『よく判らない』と応えればいいよ。

 普通の未成年もその辺、よく判らないだろうし」

 何でそんなに詳しいのか聞いたら、シンは仕事で金融システムとやらを扱っていて一通りの知識はあるということだった。

 やっぱり凄い人なのでは。

「いやいや、僕なんかサラリーマンとしては平凡もいいところだよ。

 知識は勉強すれば身につくしね」

「ああ、それで」

 前にシンは働き始める前に16年間も学校に通ったと言っていた。

 それくらい勉強しないとこの世界ではやっていけないのか。

 今更ながら落ち込むレイナだった。

 まあ、やれることをやるしかない。

 レイナは早速シンから渡されたタブレットを使って家具や生活必需品を注文した。

 ネットでの買い物については色々と教えて貰っていたから何とかなったけど、このポイントというのは何だろう。

 ていうかどうすれば?

「それも勉強だから自分で調べて……と言いたいけど無茶だな。

 うん、今回は僕がセットしておくから」

 そういってパパパッと処理するシン。

 思わずときめいてしまった。

 いや、アニメや漫画に出てくる恋じゃなくて憧れ?

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