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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十九章 聖女、旅立つ

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378.さんざん練習しましたから

 え?

 今の子供がスリだったの?

「何もされなかったけど」

 念のためにバッグの中やコートのポケットを探って確かめてみたが、なくなっているものはなかった。

「追い抜きざまの一瞬を狙ってきますから。

 導線を遮ってやれば不発です」

 レスリーが別に自慢することもなく言った。

「何か言ってたみたいだけど」

「一応、ご免みたいなこと言ってましたけど慣用句ですよ。

 ぶつかりそうになったという設定ですね」

「俺が動くまでもなかったな。

 それにしても見切りが上手い」

「さんざん練習しましたから」

 アルバートとレスリーが含み笑いを交換した。

 何か凄い。

 やっぱ二人ともただ者じゃないなあ。

 レイナとは別の方向に突き抜けているような。

「また来るかな?」

「一度失敗した獲物は狙わないと思います。

 ケチがつくので」

「他の奴が来るかもしれん。

 バッグは抱え込んでおけ」

 すっかり二人のペースだった。

 しかし聖力が何も反応しないとは。

 なるほど。

 ミルガンテの大聖殿では教えて貰えなかったけど、つまり聖力ってあくまで(レイナ)の属性なわけだ。

 聖力は無敵だけど、それはレイナが無敵なのであって無敵な聖力があるわけではない。

 だからレイナが認識出来ないことには反応しない。

 危害を加えられたら自動的に反撃すると言われたけど、それは本人がやられたと思った時の対応だ。

 知らないうちにすられていたら反撃のしようがない。

「気をつける」

 バッグを身体の前に回して抱え込む。

 ふと見ると周りの観光客の大半は同じ事をしていた。

 どうも観光地では通常の対応らしい。

「日本ならこんなことはなかったのに」

 呟いたらレスリーが反応した。

「日本は特別ですよ。

 他の国はみんな似たようなものです。

 油断したら盗られます」

「懐かしいな」

 アルバートが空を見上げた。

「平和ボケとか言われていたが、本当に安全な国だった。

 数年過ごしてから英国に帰国したらすぐに財布を盗られた」

 アルバートも災難に遭ったらしい。

「そうなの?」

「ああ。

 日本じゃレストランでテーブルの上に財布やスマホを置きっぱなしにしてトイレに行っても戻ったらそのままなのが当たり前だったからな。

 英国(こっち)なら5秒で消える」

「東南アジアはもっと酷かったですよ」

 レスリーが淡々と言った。

「白昼、道の真ん中で突然集団で襲ってきてバッグとかひったくられます。

 周りは知らない振りです」

「その程度ならまだいい。

 アフリカに赴任していた頃は」

 アルバートとレスリーが思い出話に花を咲かさせている間、レイナはしっかりとバッグを抱え込んで俯きながら歩いていた。

 盗られる心配より、うっかり反撃して相手を粉砕してしまうことが怖い。

 いや相手は自業自得だけど騒ぎになったらシンに迷惑がかかりそうで。

 気をつけなければと決心するレイナだった。

 橋を集団でゾロゾロ渡る。

 これだけ人がいても、みんな目の前のモン・サン・ミッシェルに気を取られていればレイナが目立つこともない。

 幸いにしてスリは襲ってこなかったので、レイナは無事に橋を渡りきって目的地に上陸? した。

 着いてみれば目の前に聳え立っているのは巨大だが単なる石造りの建物だった。

 でも日本の高層ビルなんかと違ってどっしりとした威圧感が凄い。

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