374.何てこった(泣)
「それはいいな。
あとはお嬢が目立たないように振る舞ってくれれば」
アルバートが余計な口出しをした。
もっともなだけに腹が立つ。
レイナだって好きで目立っているわけではないのに。
自分ではあまり感じないのだが、ミルガンテにいた頃より明らかに聖力が強力になっているようだ。
それどころかシンにくっついて日本に来てしまった時点より強い。
ちょっと気を緩めると周りに滲み出す気がする。
どこかで解消させておかないとある日突然何かを吹き飛ばしてしまいそう。
「アルバートさん」
「何だ」
「どこかこの辺に吹き飛ばしても問題がない山とかない?」
一瞬、車がよれた。
「あるはずないだろう!
何を考えてる」
「ちょっと、このままでは人混みに囲まれたら暴発しそうで」
「何てこった(泣)」
アルバートの泣き言が入った。
そんなにショックかな。
「昨日、派手にやりましたからね」
レスリーが淡々と言った。
「何かしたっけ」
「車を何台もひっくり返したり逆立ちさせたりしたじゃないですか」
「ああ、あれ」
そんな些細な事はすっかり忘れていた。
「あの程度、どうってことないし」
「どうってことあるんですよ。
普通の人にとっては」
「映画なんかではもっと凄いことが連続して起こるじゃない」
「映画と現実を一緒にしないで下さい」
怒られてしまった。
だってアメリカの映画では人が空を飛んだり見えないくらい早く走ったり、異世界や宇宙から化物が攻めてきて街を破壊したりしてるのに。
しかも地球人や地球に住み着いていたりする異星出身の人? が迎撃して相手を叩きのめしているし。
「あれはCGです」
「だから私が何かやってもCGだと言い張れば」
「本当にそれで済むと思いますか?」
駄目か。
レイナが色々やったために日本で都市伝説が出来てしまったからなあ。
慌てて止めたけど、しばらくはネットが騒がしかった。
「夜叫び女」とか「夜中に消える美少女」とか完全に怪奇現象なのは判るけど。
「とにかくそういう物理的な破壊行為は絶対禁止だ」
アルバートのイライラが爆発寸前だった。
「責任問題になりますからね」
レスリーがこっそり教えてくれた。
そうか。
でもどうしよう。
困った時の一つ覚えでレイナは電話した。
『何?』
本当にこのそっけなさには救われる。
「実は」
聖力の暴発の可能性について話すとシンはふんふんと頷いてから言った。
『溜まっているのなら発散させないとね』
「いいの?」
『いいというかしょうがないでしょ。
でも物理的な破壊は止めて。
ていうか目立たないように何かすればいいよ。
レイナとは一見関係ない所で』
よく判らない。
「でも私がやるのに?」
『レイナがやったことが判らなければ問題ないよ。
知らない振りをしていれば世の中には不思議な事もあるものですなあ、で終わるだろうし』
相変わらずいい加減なシンだった。
もはや投げやり?
「何してもいいのよね?」
念を押したらシンは飄々として答えた。
『いいよ。
いざとなったらグロリア様に頼んでもみ消して貰うから』




