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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十七章 聖女、伝統芸能に親しむ
341/350

328.レイナ様って美的感覚がおかしいって言われません?

「おそらく上からの命令でこのお屋敷全体が半ば閉鎖されているのではないかと」

 レスリーが教えてくれた。

「そうなの」

「組織の最高会議ですからね。

 ほら、外国の偉い人を招いたり重要な会談をするときなんかは交通規制とかするじゃないですか。

 それと似たようなもので」

 だから人気(ひとけ)がないのか。

 確かにレイナたちに接触しようとする連中を閉め出すためにはそれが一番効率がいいかも。

 レスリーと一緒に準備体操をしてからプールに入る。

 うっかりオリンピック記録を出したりするとレスリーに怒られるので努めてゆっくり泳いだ。

 前回より楽に進める気がする。

「レイナ様、上手くなってません?」

「そうかな。

 練習してないのに」

 これはあれだ。

 多分聖力が関係している。

 レイナの泳ぎが上手くなるように現実を改変しているのかも。

 真相は闇だが。

 たっぷり泳いでからジャグジーに浸かり、サウナを経てプールサイドの寝椅子で寝てみる。

 これはこれで。

「レイナ様がどこかの海岸でこんなことしたらパパラッチが殺到してきそうです」

 レスリーが隣に横たわったまま言った。

「そうなの?」

「少なくとも盗撮されてネットに画像や動画が上がりますね。

 間違いなくバズりますし」

「ふうん」

 よく判らない。

 そういえばお嬢様コスプレの画像もやたらとバズッていたけど、あんなのどこがいいんだろうか。

「レイナ様って美的感覚がおかしいって言われません?」

 隣のレスリーが失礼なことを言った。

「言われた事無いけど」

「そうですか。

 ご自分にここまで無関心なのって、どんな子供時代を過ごしたのか気になります」

 子供時代か。

 そういえば記憶が曖昧だ。

 気がついたら大聖殿で聖女見習いをやっていた気がする。

 ガチガチに管理されてはいたけど、他の暮らしを知らないから別に何とも思わなかった。

 ただ、言葉に出来ない不満というか圧迫感からくる嫌悪感をいつも感じていて、シンの自殺? に遭遇した頃には限界に達しつつあった気がする。

 死にたくないから黙っていたけど。

 でもあのままだったらいつか爆発していただろうな。

 そんなこんなで色恋沙汰なんか皆無だったし、そもそもレイナも周りの人達も顔の美醜などまったく気にしていなかった。

 いや、それは不潔だとか下品だとかの人がいたら違っただろうけど、ミルガンテの大聖殿は聖力持ちの集団だ。

 聖力を使えば清潔さは保てる。

 下品や粗野は是正出来ないにしても、そんなのがいたらすぐに駆逐される。

 そういう意味では無菌状態みたいな場所だったなあ。

 それだけに歪みが限界に達していた気はするけど。

 もう関係ないけどね。

 それからジャグジーやサウナに何回か入り、十分堪能したところで引き上げる。

 回廊を戻りながら聞いてみた。

「ここって他に何かない?」

 いやプールがあるだけでも凄いけど。

「娯楽室があるみたいです。

 ご覧になりますか?」

「もちろん」

 部屋に帰ってもテレビを観るだけだ。

 ここってリゾートホテルに近い施設みたいだから、それなりの遊興(エンタメ)設備があってもおかしくない。

 レスリーはその場で立ち止まってスマホでどこかに電話した。

 うんうんと頷いてからちょっと困ったように言う。

「あるにはあるんですが……日本のゲームセンターみたいなものではないそうです」

「それはそうよね。

 でもあるんでしょ」

「一応は。

 行ってみます?」

 当然。

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