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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十七章 聖女、伝統芸能に親しむ
336/349

323.歌舞伎とかみたいね

 なるほど。

 それは何十年も続いたシリーズで一人の俳優がずっと同じ役をやり続けるのは無理かな。

「出来なくはないんですけれどね」

 ぼそっと呟くレスリー。

「そうなの?」

「私も噂でしか聞いたことがないんですが、日本の映画に『○はつらいよ』というシリーズがあって、50本くらい映画が作られて全部同じ俳優が主役やったらしいです」

「50本!」

 1本2時間として合計100時間。

 眠らずに見続けても4日かかる。

「しかも40年くらい続いたらしいです。

 もっと言うとストーリーはみんな同じで主人公の男が美女に惚れるけど失恋するという」

 何なのそれ?

 様式美?

「歌舞伎とかみたいね」

「もう伝統芸能ですよね。

 戦隊ものと同じで」

 ちょっと待った!

 何でそこで戦隊が出てくる。

 アニメ中毒のレイナだったが「特撮」という分野はまだよく知らなかった。

 存在自体は時々アニメにも出てくるので知っていたけど、戦隊ものって5人組の正義の味方が地球を征服する敵と戦う話なのでは。

「レイナ様、知りません?

 日本のテレビには『戦隊』と『ライダー』っていう二大伝統芸能があるんですよ」

「いや知ってるけど、あれって別に伝統とかじゃないのでは」

 レスリーはこほんと咳をしてから話し始めた。

「歴史ある由緒正しい伝統芸能です。

 基本設定はほぼ同じ。

 主人公が改造人間だったり、強化スーツや巨大ロボットを使って悪と戦う勧善懲悪の物語です。

 どちらも1970年代から半世紀続いています。

 もっとも21世紀に入る頃から必ずしも正義と悪の戦いではなくなってますが」

「そうなの」

 そこで気づいたがもう遅い。

 ヲタクに蘊蓄を語らせたら本人の気が済むまでは終わらない。

 もっとも興味ある話ではあったから、このまま続けて貰う事にする。

 正直、映画なんかより面白い。

「そもそも戦隊とかライダーとかって何なの?

 ライダーはバイクに乗っている人よね?」

 聞いてみた。

「正式には『仮面ライダー』と言って、仮面をつけてバイクに乗っている人ですね。

 ていうかバイクに乗るのは移動手段であって、基本的には降りて戦うんですが」

 レスリーが落ち着いて解説を始めた。

「仮面をつけるの?」

「実は仮面だけじゃなくて全身装甲服というか、改造人間なんですよ。

 普段は人間の姿をしていますが戦う時は変身してバッタになります」

 バッタに?

 虫になるの?

 レイナが? の表情になったのでレスリーが慌てて弁解した。

「違いました。

 ええとですね。

 そもそも最初の設定では悪の組織が人を攫ってきて無断で改造して怪人にするんです。

 その時に色々な生物をモチーフにするので、主人公がたまたまバッタだったというだけです」

「すると、他にも色々な怪人()がいると」

「はい。

 それが敵の怪物(モンスター)です。

 レイナ様もアニメで観てましたよね?

 そういう悪の組織は大抵世界征服を目的としていて、トップに首領がいてその下に幹部がいて、その配下に怪人がいます。

 一番の下っ端は戦闘員です」

「あー。

 『イー!』とかしか言わない黒ずくめの」

「それが定番ですね。

 で、このパターンは後に続く戦隊物やライダーでも踏襲されるわけです。

 一度や二度ならウケ狙いですが、何十回も続いたらそれはもはや伝統です」

 それで伝統芸能か。

 いや、確かに特撮はドラマだから「芸能」ではあるけど。

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