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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十七章 聖女、伝統芸能に親しむ
333/351

320.これ、盛ったの?

 ソファーで待っているとノックの音がしたので聖力でドアを開ける。

 慣れたものでレスリーが平然とワゴンを押して入って来た。

 ソファーに座っているレイナがどうやってドアのキーを開けたのか不思議ではないはずはないんだけど、そういうものだと割切ったらしい。

 人外扱いされている。

 別にいいのだが。

「定番で良かったでしょうか」

「いいよ」

 テーブルに載せられたのは大皿だった。

 目玉焼き、ベーコンにソーセージ、豆の蒸し焼き(ベイクド・ビーンズ)やマッシュルームが大皿に山盛りになっていて数枚のトーストがついている。

 レスリーに聞いたらEnglish breakfastというそうだ。

 ボリュームが凄い。

「これ、盛ったの?」

「違います。

 これが標準です」

 レスリーが言うには、もともと英国人は食事なんか燃料補給だとか質素でいいというような風潮だったのだが産業革命で労働者階級が激しく働くようになると、それでは持たなくなったそうだ。

 その頃の平民は一日二食が当たり前だったので、朝大量に食べて夜まで持たせるために朝食にたっぷりとしたボリュームの食事をする習慣が定着したのだとか。

「当時は衛生状態がイマイチだったので、材料を全部一度焼いたり煮たりして殺菌しています」

「それでこんな風になったの」

「朝手早くたっぷり食べられるということでこうなったと聞きました」

 相変わらずレスリーは博識だ。

 ただのアニメヲタクじゃなくて、ひょっとしたら何とかハカセなのかもしれない。

 レスリーが紅茶を煎れてくれたので二人で食事をする。

 もちろん大皿は2つあった。

 レイナは大食漢に類するけどレスリーも平然と同じくらい平らげる。

 そういやこの女、フードファイター並に食べるんだった。

「お代わりはいかがですか?」

 紅茶のことじゃなくて朝食について聞いてくるのが凄い。

「もういい」

「では片付けますね」

 紅茶のセットを残してお皿をワゴンに乗せてドアの外に出すレスリー。

「持って行ってくれるの?」

「はい」

 気配も感じないんだけど、いつの間にかドアの外から消えているのよね。

 聖力持ちのレイナに悟られないとは。

 不気味だ。

 ひょっとしたらお手伝いのこびと(ブラウニー)とかいるのかも。

 レスリーが戻って来てレイナの隣に座った。

 その辺はメイドらしくないなあ。

 今は侍女モード、いや友人枠なのかもしれない。

「そういえばグロリア様だかアルバートさんだかと会うのよね」

「そう聞いています」

「連絡待ちか」

 だとするとプールに行くことも出来ない。

 退屈と言えば退屈だけどテレビがある。

「それじゃ映画観ようか」

 これはこれでレイナの趣味に合っているような。

 レスリーに聞くと何でもいいというのだが、さすがに例の魔法使いの話は飽きたので別の物にする。

 せっかく英国に居るのだからと、英国で有名な映画はないかと聞いたらちょっと悩んでからレスリーが言った。

「厳密に言うと英国の映画じゃないんですが。

 原作小説を書いた作家が英国人で、主人公が英国情報部のスパイっていうシリーズがあります。

 第一作は古いんですが、未だに続編が作られているという大人気シリーズです」

「何ていう映画?」

007(ダブルオーセブン)シリーズっていって、その番号は主人公のスパイの識別番号(コードネーム)です」

 ほう。

 悪の組織らしくなってきた。

 そういえば日本にもあったっけ。

 サイボーグとか。

「どんな話?」

 そもそもスパイとか言われてもよく判らない。

 漫画やアニメにスパイの家族の話があったけど、あんなものか。

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― 新着の感想 ―
ダブルオーシリーズ>第一作は古いんですが、未だに続編が作られているという大人気シリーズ> 英国?、日本の両シリーズ共にそんな感じですからホント作品数が多い、ソレに時代の流れと共に作風や内容も変化して…
巻き添えで失脚して嫁さんが子供達を連れて実家に帰ってしまったが 女神様から目を掛けてもらえて と言う記録が残っていたりするのかなw
組織内部で どんくらい阿鼻叫喚になっていて 最上位から尋問と従僕まで粛清の刃が飛び交っているのか 興味があります
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