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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十五章 聖女、深入りする

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312.人のいない時間に動くしかないと

『うーん。

 聖力を抑えるって出来る?』

「出来るけど」

『でもそれじゃ無防備になるんだよね』

 そうなのだ。

 レイナの聖力はあまりコントロールが効かない。

 0か100かというほどではないが、段階的にパワーを調節するとかは無理。

 コップに水を注ぎたいのに消火用のホースしかないようなものか。

 完全に水を止めることは出来るけど、その瞬間レイナは無防備で不器用な小娘になり下がる。

 まあ、身についた礼儀(マナー)はそのままだろうけど。

『聖力を切るのは拙いね。

 今のレイナって聖力に関係なしに目立つから狙われやすくなるだけだし』

「そうね」

 ミルガンテの聖女見習いとして叩き込まれた姿勢(マナー)はもはや天性になっていて自分ではどうにもならない。

 努力すればギャル的な動作も出来ない事はないが違和感が増すだけだろう。

『うーん。

 今のところ僕にも思いつかないなあ。

 レスリーさんは何と言ってる?』

「人のいない時間に動くしかないと」

『それが正解かもなあ。

 まあ、考えておくよ』

 電話が切れた。

 シンにも見捨てられてしまった。

 いやそこまではいかないか。

 考えると言ってくれているんだし。

 でも当面はこのままだろうな。

 仕方がない。

 いつものように問題を棚上げにして、ソファーに寝転がりながらタブレットでコミックを読むレイナだった。

 結局、レスリーが戻って来たのはそろそろ夕食かな、という頃だった。

 コミックにもテレビにも飽きたレイナは仕方なしにリビングの中央で聖力制御の自主練をしていた。

 日本でもやっていたけどあれは屋外に夜間なので思い切り出来た。

 今は目立ったら困るので室内でも可能な些細な事だけだ。

 衝立の向こう側にサイコロを投げてゾロ目にするとか。

 レイナは見えている物なら聖力であやつれる。

 というよりは現実を改変出来る。

 これはテレビカメラ越しでも可能だ。

 だが見えないというかレイナが認識出来ない物は操作できない。

 もっとも聖力で壁の向こう側を「観」たり、個体の内部を聖力で探ったりすることは可能だ。

 具体的には「観」ているわけではなくて、むしろ触る方に近い。

 視覚ではなくて触覚?

 だから人間の体内の腫瘍や破損した部位を払ったり治したりすることは割合に簡単なのだが。

 これがウイルスや細菌による病気なんかだと話が違ってくる。

 特定の部位がおかしくなっているわけではないからレイナには認識出来ない。

 これを何とかしたいと考えているのだが、なかなか上手くいかない。

 夜間中学で習って人体の構造などもある程度は把握出来たから、ミルガンテにいた頃よりは体内の聖力操作に自信が出てきたことは確かなんだけど。

 風邪を治すとか無理そう。

「何やってるんですか?」

 ドアを開けて入ってくるなり呆れたように言うレスリー。

 レイナはリビングの真ん中で逆立ちしているところだった。

 片手で。

 もちろん太ももでスカートを挟んでいる。

「練習」

「何の練習ですか」

 言いながらレスリーがソファーテーブルの上に超薄い本のような物を置く。

 レイナは逆立ちしたまま聞いてみた。

「何それ」

「ディナーコースのメニューです。

 注文していただければ何でも作ってくれるとのことです。

 このメニューに載ってないものでも可能と」

 ほう。

 逆立ちを解いたレイナはメニューとやらを見てみた。

 ファミレスのものと違って写真がない。

 しかも英語だ。

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