表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十五章 聖女、深入りする

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

316/356

303.治していい?

 多数の視線が突き刺さる中をレスリーは平然と先導する。

 この女もいい加減突き抜けているな。

 ひょっとしたら傑物なのかもしれない。

 正面にはこっちに向けて長椅子が並んでいた。

 グロリア様を筆頭に何か見覚えがある中年から初老の人達が着席している。

 シンもいたけどグロリア様のひとつ置いた隣だった。

「ここは?」

 歩きながら聞いてみた。

「元はこのお屋敷(タウンハウス)の礼拝堂だったみたいです。

 改装して講堂にしたと」

 なるほど。

 この屋敷が建った頃は貴族の持ち物だったから礼拝堂は必須だったのね。

 でも今は信仰心を前面に打ち出すような設備は不必要ということで潰して大講堂にしてしまったらしい。

 教会ならこの構造も頷ける。

 椅子とかはそのまま流用したんだろうな。

「こちらです」

 レスリーに案内されてシンとグロリア様に挟まれた席に腰を下ろす。

 レスリーはすすっと下がって隅の方の椅子に事掛けた。

 やっぱり使い走り扱いか。

 グロリア様がレイナをちらっと観て恭しく頭を下げた。

 他の人達も習う。

(どうすれば)

(ちょっと頷いておいて)

 シンと以心伝心で会話してその通りにすると、なぜかほっとしたような空気が流れた。

 良かった。

 演説でもさせられるのかと。

 グロリア様が話し始め、例によってまったく聞き取れなかったのでレイナは現実逃避した。

 スマホでも持ってくれば良かった。

 いや駄目だろう!

 周りから丸見えの中でサボれるわけがない。

 それにしても退屈だ。

 グロリア様の話が終わるとその隣の人が話し出す。

 激しい身振り手振りで何か主張している。

 確かあの人は膝が悪かったんだっけ。

 もちろん聖力で治したけど。

 退屈しのぎに聖力で回りを探ってみた。

 巨大な講堂だったけど、薄く聖力を張り巡らせるとあちこちに(シャドー)持ちの人が見つかった。

 それはそうかも。

 出席者の平均年齢、というよりは下限年齢が高い。

 一番下が40代くらい?

 幹部会なんだろうな。

 幹部だけでこんなにいるということは、組織って思ったより大規模なのかも。

 それにしても(シャドー)が気になる。

「シン」

 つい声を上げてしまった。

 発言していた人が黙り、突然静寂が訪れる。

「何だい?」

「調子が悪そうな人が何人もいるんだけど。

 治していい?」

 シンは肩を竦めるとグロリア様に言った。

「Reina says she wants to treat her, can I have your permission?」

「……That's a very kind thought. Of course.」

 最後のオフコースだけ判った。

 「もちろん」だっけ。

 昔の有名バンドじゃないよね?

「やっちゃって」

 シンが言って付け加えた。

「Lady Reina has bestowed upon you a favor. Please be careful.」

 レイナがどうとか言ってるけどよく判らなかった。

 いいけど。

 レイナは「治した」。

 聖力を放出する。

 ちょっと抵抗があったけど、思ったより楽に出来た。

 やはり、レイナの聖力はミルガンテにいた頃より強化されているみたい。

 原因はやっぱり使いまくっているせい?

 大聖殿でも大聖鏡に向けて定期的に放出していたんだけどな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
オフコース>昔の有名バンドじゃないよね? レイナちゃん何で知ってるのwwwアレ昭和だよ!カラオケで誰かが歌ったのかな?それともアニメ関係?今は何でもネットで辿って調べていけるからな~小田和正の楽曲か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ